2008年07月13日

2度おいしい 東京Vvs京都

 
 Jリ-グ第16節、東京ヴェルディ(11位)vs京都サンガ(15位)の試合が、味の素スタジアムにて行われた。
 J1昇格組の今季初対戦。ディエゴを欠く東京Vは、フッキと河野の独力突破に頼る展開に。暑さの中、京都は走り勝つ姿勢を見せる。
 そして30分、東京VのCKから京都がカウンターを仕掛け、柳沢が見事なゴール。この"虎の子の"1点を守りきり、京都が中断後で初めての「勝ち点3」をアウェーで手に入れた。


 ■プレビュー
 アウェーの京都、前節と同じ布陣で臨む。前節不在だった田原豊がベンチスタート。

 GK 水谷 雄一
 DF 増嶋 竜也
    大久保裕樹
    水本 裕貴
    角田 誠
 MF 佐藤 勇人
    シジクレイ
    中谷 勇介    
 FW 渡邉 大剛
    柳沢 敦
    フェルナンジーニョ 

 ホームの東京V、司令塔ディエゴを警告累積で欠く。かつてサンガに在籍していた大野敏隆は腰痛で欠場。廣山望もいないようだ。

 GK 土肥 洋一
 DF 富澤清太郎
    那須 大亮
    土屋 征夫
    服部 年宏
 MF レアンドロ
    菅原 智
    福西 崇史
    河野 広貴
 FW 平本 一樹
    フッキ


 ■前半 2人のFWが流れを変える
 試合当日の15:00~15:30の間、東京地方を強烈な雷と大雨が襲った。筆者の干していた布団がズブ濡れになるほどで、特に京都サンガの選手が前半、よく滑る場面が見受けられた。

 左SBの角田は、滑ってレアンドロの突破を許していた。
 そして16分、冨澤のロングボールが角田の身体に当たり河野の元へ。河野は、トラップからヒールで巧くコントロールし、左足のシュートに持ち込む。これはGK水谷が反応してストップした。

 スカパー!解説の前園真聖氏のコメント「河野はサイドでプレーすべき」には同意したいところ。この日はトップ下に近いポジションでプレー。サイドにももちろん顔を出すが、フッキも左サイドに張りたがっていたのでカブる場面も見受けられた。このフッキの「サイドに張る」というのは、今季序盤の川崎在籍時でも「窮屈」という印象を与えていた。

 といって河野が純粋なドリブラーでゲームメイク能力がないのか、というとそこまででもない。25分、カウンターを仕掛ける東京V。前線へ走るフッキ目掛けて、河野はDFをかわすかのような弾道の「アウトサイド回転をかけた」見事なスルーパス。これをフッキがシュートまで持ち込んだが、角度がなくゴールに至らず。

 東京Vペースではあった試合序盤だが、25分に京都の2人のFWが流れを変える。
 ロングボールを、ペナルティエリア内でコントロールした柳沢が後ろのフェルナンジーニョへ。フェルナンジーニョが持ち込んでシュートも、GK土肥がストップ。
 しかしその5分後、東京VのCKを防いで京都がカウンター。中谷が前線へ送ると、フェルナンジーニョが見事なトラップでコントロールし、中央右寄りを駆け上がっていた柳沢へ絶妙なパス。全速力で戻りカヴァーリングに来た服部を嘲笑うかのように、柳沢はシュートフェイントを交えてかわしシュート!GKの動きも読んで、逆へ蹴りこんだ。

 京都、先制点を挙げる!

 勢いづいた京都は守備にも力が入る。出しどころがなく、東京V最終ラインが立ち往生する。パスが繋がっても、レアンドロが孤立しボールを持たざるを得ず潰されてしまう。東京Vの周りのプレーヤーもサポートしきれず、味方同士で口論が起こったようだ。


 ■後半 フッキ封じ
 後半開始、両チームに交代はない。京都が引き続き、前線からプレスを仕掛けていく。
 東京V、負傷を抱える福西の動きは良くはない。58分には河野を下げ、前節ゴールを挙げて勢いづく柴崎を投入。しかし流れは変わらない。むしろ河野が下がったことにより、さらに「フッキ頼み」がさらに強まる。
 京都は「最終ライン前の防波堤」として、シジクレイがフィジカルでフッキを阻止。抜かれても中央では大久保と水本がハードマークで潰し、フッキが左サイドをエグると増嶋が身体を投げ出すようなスライディングタックルでクロスを挙げさせない。
 またフッキの左利きを「殺す」ために、コースを巧みに切って右足のシュートに持っていかせる。最後の砦、GK水谷も何度もファインセーブを見せた。

 東京Vが大黒を投入してからも、守備陣は集中して守った。

 ◆後半、京都の3度のビッグチャンスを振り返る
 73分、東京Vの縦パスを大久保がダイレクトに前線へ蹴り出す。ペナルティエリア左でボールを受けたフェルナンジーニョは、土屋をかわしてシュート。これは左ポストを直撃した。

 78分、自陣右サイドから増嶋が縦にロングスロー。DFの位置とボールのバウンドを確認すると、ボールに触れず鋭くターンして前へ走りこむ。DFの浅いクリアを拾いそのまま前線をルックアップ。DFの間を突き抜け疾走する柳沢の前へパス。少し前に出ていたGK土肥を確認して、ループシュートを狙ったがこれは惜しくもバーの上。

 83分、水本が大黒をストップ。ルーズボールをシジクレイが拾い、センターライン近くのフェルナンジーニョへ縦パス。大剛に預けて、フェルは猛然と前線へダッシュ。大剛が柔らかいパスを出すと、フェルナンジーニョは土屋を振り切り、柳沢に続いてループシュートを狙った。しかしこれは僅かに逸れて右ポストに当たってしまう。
 悔しがるフェルナンジーニョは逆の左ポストに抱きつき、悔しさをぶつける頭突き。ポストにしがみついたまま、スタジアムの声援に合わせてて手拍子するお茶目な一面を見せた。

 京都が攻めの姿勢を崩さず、極端に守りの姿勢に入ることもなく、東京Vの猛攻をしのぐ。ロスタイム4分、東京V最後のパワープレー。土屋がゴール前に詰めるも、ボレーシュートが空振りしてしまいGK水谷がキャッチ。

 京都がアウェーで、見事勝利を手にした。


 ■総括

◆東京Vの敗因
1.ディエゴの不在
 やはりこれが一番大きいだろう。元々フッキは「独力突破型」かもしれないが、今日はさらに拍車がかかった。

2.主審の判定
 「今日はプレミアリーグの試合を観ているのか」と思うくらい、激しい当たりにノーホイッスルだった。ビデオで見直せば、ボールタックルももちろんいくつかあったものの「これはファウルを取っていいんじゃないか」という判定がいくつかあった。もちろん、これは京都・東京Vに限らない。ある意味では両者に公平に「取らなかった」と言える。
 しかし東京Vが、京都ゴール近くでもっとフリーキックを獲得していたら展開は変わっていたはずだろう。パワーシューターのフッキがいて、ここ数試合でセットプレーで失点し続けている京都なのだから。

3.大黒
 これは敗因とは言わないが、やはりまだまだフィットしていない。ある意味、京都と似ている。やはり個人の能力が高くても、連携がないとうまく行かないのだということを改めて思い知らされた。

4.観客数
 8,060人――寂しい数字である。味の素スタジアム2階席完全封鎖が物悲しい。直前の大雨が客足を遠ざけたのか。あるいはJ1昇格同士というものが魅力的ではなかったか。何にせよ、ホームの声援・後押しは欲しいところ。
 この点は京都も、中断前と比べて観客動員数が少し減っているので盛り返してほしい。


 ◆京都の勝因
1.走った、とにかく走った
 技術云々よりも、まず「走った」、これにつきる。フェルナンジーニョと柳沢はどれほど走り、守備をしたか。試合後の柳沢のインタビューの顔つきから「燃焼」という印象がピッタリだった。タッチラインを割りそうなボールも、大剛が諦めずに追いかけるシーンがあった。
 フェルナンジーニョという「タメ」を作れるプレーヤーが入ったことによって、柳沢の前線でのチャンスメイキング・スペースメイキングがさらに効果が上がり、勇人の飛び出しがさらに威力を持つだろう。連携不足が快勝されれば、さらに良くなるはず。

 中谷も地味ではあるが、ピッチを駆け回った。特に後半開始直後、前線でボールを奪い決定機のきっかけになった。
 中谷が奪って、右サイドの大剛へ。大剛が前線へ送ると、勇人が足裏で軽く落としフェルナンジーニョへ。フェルナンジーニョはDF3人に囲まれながらもペナルティエリア左を突破し、マイナス気味のショートクロス。このボールを柳沢、勇人、最後は大剛がシュートに持ち込む形となった。

2.守備連携の向上
 前節と同じスタメン発表に、不安を抱いた人も少なくないと思う。
 明らかに左ではなく右SB向きと思われる角田を、またもや左SB起用。中断前はCBだった増嶋の右SB、そして右CBに大久保。角田は少しミスが目立ったものの、前線へのフィードは時にハッとするものが見られた。
 それ以上が大久保だった。先述の73分の場面もそうだし、15分にも前線の柳沢へ柔らかいパスを送っていた。現代サッカーではCBは「ただ守れれば良い」ではすまない。フィールドで「全員攻撃、全員守備」である。
 もちろん、本職の守備でも良かった。東京Vが司令塔を欠き力技で少し単調だったとはいえ、フッキや大黒というリーグ屈指の攻撃タレントを、京都最終ラインがクリーンシート(完封)。不必要にラインを下げることもなかった。

3.MOM 柳沢
 今日のMan Of the Matchは間違いなく柳沢だろう。「2度おいしい」プレーヤーだ。
 まずはスタジアム観戦で、決勝点を挙げてサポーターに「歓喜」を与えた。
 そして自宅でのTV観戦の際、スタジアムでは分からなかった細かいプレーで「驚嘆」を与える。

 25分、角田のロングボールをペナルティエリアで待ち受ける柳沢。マークにつくDFに対してうまく身体を入れて懐へボールを誘う。そして足下でボールをバウンドさせ、ヒザでプッシュ。後ろのフェルナンジーニョにヒザでパスだ。フェルナンジーニョも見事で、シュートモーションで土屋を騙して切り返し。フェルナンジーニョがワンドリブルを入れると、柳沢はスッと身体を引いて、フェルナンジーニョのシュートスペースを作った。

 前線、GKへのプレッシャーも怠らない。「得点が少ないFW」と揶揄されることも多い柳沢だが、やはり「フォア・ザ・チーム」の意識が高い。今の京都は新メンバーばかりで連携不足ではあるが、徐々に改善されている。「柳沢は調子が上がってくれば、固め打ち(一気に大量得点すること)ができる選手」とは加藤監督評。

4.加藤監督
 前節の試合後インタビューを再び引用。

・Q.1人残した交代をしましたが、交代の意図は?
 監督「これからスタメンでやっていくだろうというメンバーが揃いましたので、そのメンバーのプレーする時間をなるべく長くできればいいなと思っていました。出来るならば今日は一人も交代せずに終わるゲームができないかなと思っていました。最後フェルナンジーニョを代えたのは、かなり彼自身疲労していたということ。後は終盤セットプレーになったときにアタリバを入れればもう一つ高さが加わるのでそういう意味で最後、交代しました」 

 …ということで、おそらく今回もスタメンでの連携を考えて交代を遅らせたように思う。交代1枚目のカードは78分だった。
 中谷と交代で入った中山。フェルナンジーニョからパスを受けて、綺麗にスルーパスを通した。この日のフェルナンジーニョの「タッチ&ゴー」は素晴らしかった。
 そんなフェルナンジーニョと柳沢はさすがに疲労があったので、林と田原が入る。交代で入った3人で「攻撃的采配」ともとれるが、

 中山→ポゼッションを高める
 林→運動量、前線の守備
 田原→高さで前線でのポストに加え、東京Vのセットプレーでの守備
 
 という意味合いもあったと思う。守備も安定していたので、変に交代させるより現状維持したのが正解だっただろう。


 ◆次節プレビュー 
 第17節 vs 鹿島アントラーズ 16(水) 19:00@西京極
 土曜日の暫定順位で12位に上がった京都、次の相手は昨シーズンチャンピオンの鹿島だ。鹿島は現在ナビスコもACLもないが、日曜に試合を行うため中2日となる。絶対に京都は走り負けられない戦いになるだろう。

 また京都は伝統行事、祇園祭の宵山と日程が当たるようだ。これが西京極の観客動員にどう影響するだろうか。

 もし鹿島を叩ければ、折り返し最後の第17節を勝利で締めくくりJ1定着への道が大きく広がるはず。
 浦和が土曜日の試合で大分に負けたため、鹿島は京都に勝てば首位が近くなる。気合を入れて臨んで来るだろう。
 そしてやはり注目が「柳沢の古巣対決」である。柳沢は現在2試合連続得点、鹿島相手に燃えないわけがないだろう。そして気になるデータとして「今季、柳沢がゴールを決めると負けない」がある。ナビスコ含めて4勝3分け。
 ホームだから当然勝ちたいところだが、強豪相手に引き分けでしぶとく勝ち点1を取るのも重要だ。
 

posted by batistuta |01:10 | 京都サンガ | コメント(8) | トラックバック(0)
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