2008年07月04日
サンガ×EURO2008
Jリーグは第14節まで消化しました。京都サンガは、勝ち点17の15位。 勝ち点16の16位神戸から、勝ち点23の6位の柏までダンゴ状態が続いています。まだまだ、どうなるか分かりません。 一方、欧州では6/29にEURO2008が決勝戦、スペインの優勝で幕を閉じました。全試合を観ましたが、ドイツW杯と比べて総じてレベルが高く、見応えのある試合がほとんどでした。 やはり「現在のフットボールの流行」というものがあったと思います。私なりに感じたものですが、簡単にまとめてみたいと思います。 1.全員で守備をし、全員で攻撃 もちろん、以前からある傾向ではあります。ファンタジスタというものが段々と少なくなりました。戦術を遂行するには、守備をしない者・走らない者・フィジカルのない者は淘汰されてきました。"ファンタジスタの抹殺" ドイツW杯でのジネディーヌ・ジダンはどうか、というと確かにファンタジスタ然とした高いテクニックを持つものの、それ一辺倒ではなくフィジカルも有しています。フランチェスコ・トッティに関しても同様です。 西部謙司さんの分かりやすい例え、現在のチームに必要なのは「一芸、ニ芸のあるハードワーカーを揃える」「テクニシャンがハードワークする」のどちらかだ、というものがありました。 今回のEUROの決勝で言えば前者がドイツ、後者がスペインだったということです。 「全員で攻撃」という意味では、GKエドウィン・ファン・デル・サールの足下の技術の高さから、ピッチ全体でビルドアップができるというのがオランダの強みでした。マンUででもそうですが、GKに一旦戻して再び攻撃を作り直すという光景はよく見られます。 2.フォーメーション EURO2004王者のギリシャ。おそらくこのチームだけだったでしょう、3バックを用いたのは。3バックにサイドバックが加わって5バックに近い時が多かったです。これが功を奏したかというと「否」です。ギリシャのグループリーグはスウェーデンに2失点、ロシアに1失点、メンバーを落としたスペインに2失点を喫しています。 得点はスペインでの1点のみ。カラグニスのFKに合わせたハリステアスのヘッドのみ、というセットプレーだけのものでした。 …というように、現代のサッカーで3バックは「古い」ものとなっています。トルシエの「フラット3」導入時ですら、もはや古いと言われていたようです(杉本茂樹氏の「4-2-3-1」にありました)。 「守れないのか?」という意味よりも、「一層点が取れなくなる」という意味の方が強く感じます。ギリシャは前回優勝した時でさえ、得点源はセットプレーでした。引きすぎると、かなりカウンターの精度を高めない限りは得点力がかなり落ちます。 チャンピオンズリーグというクラブレベルで見ても、3バックはかなり少ないです。4-3-3、4-2-3-1、4-4-2がほとんどです。一昔前のミランの中盤ダイアモンド型の4-4-2、これを少し守備的に両セントラルMFが下がった4-3-1-2、現在のミランの4-3-2-1(クリスマスツリー型)なども少なくなりました。 EUROで、スイスが第1戦のチェコ戦で見せたような「最終ライン+中盤のライン」の4人×4人の2枚、のような美しい守備ラインはとても印象的でした。「全体をコンパクトに、かつスペースを消す」というのも現在の流れかと思います。 かつてのアルセーヌ・ベンゲルが率いた名古屋グランパスも、4-4-2のコンパクトな陣形をしいており「意識したわけでもないのに」オフサイドを取ることが多かったらしいです(「ベンゲル・ノート」より)。今季のピクシー名古屋は、ベンゲルの影響が少なくないはずです。 引いて守ると自ゴールに近くなり、相手のゴール・危険なセットプレーに繋がりやすくなります。ラインを押し上げ、高い位置でボールを奪い得点に繋げる。 チェコvsポルトガル戦で、チェコは両SBの上がりは少なく、かなり引いて守っていました。しかしこれが裏目に出ていたようです。 そしてFWにも守備が求められます。一番印象的だったのはクロアチアのイヴィツァ・オリッチ。彼の守備でのハードワークはチームに多大な貢献をしていました。 3.サイドバックの重要性 スペインのセルヒオ・ラモス、ドイツのフィリップ・ラーム、ロシアのユーリ・ジルコフ、トルコのハミト・アルティントップ――EURO2008ベスト4のサイドバックたちです。アルティントップは、チームが負傷者まみれになってからはサブリ・サリオールに右SBを任せて中盤をやっていましたが、グループリーグでは右SBとして効果的な働きをしていました。 さて何を言いたいかというと「これも以前からだろう」と言われるかもしれませんが「サイドバックの重要性」です。 優勝したスペインのS・ラモスはほとんどの場面に顔を出していました。スペインの攻撃の時に、スペインの守備の時に、あるいはセンターラインでの右サイドでのビルドアップに…。ドイツは逆にラームが、負傷のためハーフタイムに下がらざるを得なくなり、後半のドイツの攻撃の迫力不足の一因となったと見ています。また大会前にベルント・シュナイダーがいなくなってしまったことで、サイドプレーヤーの人員配置で混迷が見られました。 そして記事で何度か取り上げましたが、クロアチア代表のサイドバック問題。 アーセナルのエドゥアルド・ダ・シウヴァが、今年2月23日のバーミンガム戦で悪質なタックルを受けて大ケガを負い、EUROまでもが絶望になりました。エドゥアルドが挙げたEURO予選10得点は、EURO本大会参加国中で最高の個人得点成績です。そのうちの1得点は、クロアチアホームでのイングランド戦のもの。 そんなストライカーの穴を埋めるべく、クロアチア代表のスラヴェン・ビリッチ監督が考えたのは、攻撃的MF/WGのダニエル・プラニッチを左SBに配すること。これは攻撃面で効果を発揮することもあり、また初戦のオーストリア戦で徹底的に突かれたように「諸刃の剣」でもありました。 しかし個人的なベストマッチに挙げたいクロアチアvsドイツ戦で、プラニッチは積極的に左サイドを攻め上がり1点目を演出しました。 個人的な考えですが、現在の日本代表の攻撃の硬直化にもSBの人材不足が考えられます。内田はクラブでの好調な動きが出来ておらず(連携やフィットしているかの問題もあるかとは思いますが)、内田を右に置くために本職ではない左SBに置かれて力を発揮できない駒野。浦和に復帰していた三都主は今季絶望(岡田監督に招集する意思があったかは分かりませんが…)。加地・坪井は代表引退。 今のところ期待できるのは長友ですが、これまた負傷に悩まされています。 例えばアーセナルなどでは、右サイドでエマニュエル・エブエ&バカリ・サニャという「ダブル・サイドバック」と言っても良いくらいの機動力を持ったサイドラインを形成したりしています。 4.FWの決定力 これも当たり前のことですが、FW1人や2人だけで得点できるというようなことは稀です。よほど相手と実力差がないとなかなか難しいことだと思います。 ハイライトで見ると錯覚してしまいますが、やはり得点に至るまでの「流れを作る」こと、そしてそれを最後に決めきれるかということだと思います。今回のEUROで、そのように「独力で決める」というシーンは少なかったように感じました。 日本代表でよく言われる「決定力不足」ですが、FWの決定力うんぬんというよりは(もちろんイージーで外す時も多々ありますが…)、それまでの「流れ」そしてチャンスを作り上げることが必要だと思います。その例の一つが、サイドバックの重要性だったりすると思います。 ■上記を考えつつ、サンガを考える。 「EUROを見た上でサンガも好き」でないと、以降のことは「何のこっちゃ」となるかもしれません。「サンガと欧州トップレベルを比べるな」とか「机上の空論」と言われるかもしれません。ファンの戯言、と思って気楽に読んで(読み流して)下さい。 ┏━┳━┳━━━┳━┳━┓ ┃□┃□┗━━━┛□┃□┃ ┃□┃□□□11□□□┃□┃ 11 田原 豊 ┃□┗━━━━━━━┛□┃ 10 柳沢 敦 ┃□□□□□□□□□□□┃ 09 フェルナンジーニョ ┃■08■■■09■■■10■┃ 08 徳重 隆明 ┃■■■■■■■■■■■┃ 07 シジクレイ ┃■■■■■■■■■■■┃ 06 佐藤 勇人 ┣━━━━━━━07━━━┫ 05 角田 誠 ┃■■■06■■■■■■■┃ 04 増嶋 竜也 ┃■■■■■■■■■■■┃ 03 水本 裕貴 ┃□02□□□□□□□05□┃ 02 渡邉 大剛 ┃□□□□□□□□□□□┃ 01 水谷 雄一 ┃□┏━━03━04━━┓□┃ ┃□┃□□□□□□□┃□┃ ┃□┃□┏━━━┓□┃□┃ ┗━┻━┻━01━┻━┻━┛ まずフォーメーションは4-2-3-1。イメージするのはオランダ代表です。 大剛がたまに3トップ右に置かれることがありますが、やはり左SBで起用したいところ。これは「3.サイドバックの重要性」に関連しています。オランダの左SBジョバンニ・ファン・ブロンクホルストのように、豊富な運動量で攻守に貢献してもらいたい。 3トップの右に位置することが多い柳沢は、4-2-3-1の「3の右」。ディルク・カイトのように運動量+守備面で、対面する相手のサイドバックを封じながらも、巧みなオフ・ザ・ボールの動きでチャンスメイク。 「シジクレイ=ボランチ」は今まで何度も言ってきましたが、最近は「2ボランチにしても良いんじゃないか?」という考えがあります。というのは4-3-3(4-1-2-3)の1ボランチにすると、守備で下がった時に最終ラインに吸収されがちです。サイドからのクロスボールに強くなるのは良いですが、奪った後のカウンターに持ち込むスピードが遅く、攻撃のテンポアップが重く感じます。 またゴールキックは基本的に田原に当てる戦術です。しかしこれをシジクレイに切り替えます。勇人が少し下がり目で待機し、シジクレイの競り合いのルーズボールを拾う、あるいは相手に奪われた時の逆襲に備えます。そして田原がシジクレイに任せて前線に張ることで、運動量が減り他に守備などで使うことができます。 大久保がCBで使われたこの2試合ですが、やはり水本と増嶋を組ませたCBの方が良い気がします。増嶋の左SBもあまり芳しくなかった。利き足が右である上、サイドバックでの守備・攻撃参加に慣れていない。本職の手島和希に任せる手もあるが、やはり大剛をファーストチョイスに推したい。 CBで左・水本、右・増嶋がおそらくベスト。もし増嶋をSBで使うなら右で、左サイドで大剛に攻め上がらせた上での守備のバランサーとしての起用が良いかと思います。そしてもちろんロングスローの時は前線に。 右サイドのスタメンとしてファーストチョイスとしては、角田誠をやはり薦めたい。前半戦は平島崇の後塵を拝したが、ここ2試合G大阪戦の序盤でのオーバーラップ、そして清水戦での幾多のアーリークロス、エグってのクロスと好機を演出しました。 フェルナンジーニョ。上の図ではトップ下の位置に配し、左を徳重に任せました。フェルナンジーニョを左に配し、アタリバor中山をトップ下に置いてポゼッションを高めるという考え方もできます。 今までのサンガの攻撃において、バイタルエリアでのボールキープが少なかったように思えます。 バイタルエリアとは: 1.相手のペナルティーエリアの中でゴール幅と同じ幅のエリアの事。ペナルティアーク付近のペナルティエリアの正面ライン(幅40mくらい)から少し外側のエリア。 2.DFとMFの間のスペースのこと。ペナルティアーク周辺のDFラインとMF(セントラルMF・守備的MF)の間のスペース。 田原が下がってポストプレーで受けるは良いが、その後の展開に乏しかった。周りの押し上げであったり、サポートであったり。もっと田原が相手ペナルティエリア内でボールを持てるようになれば面白いことになるのでは、と思っています。 その田原。今までのJ1での成績よりは、良いペースでゴールを積み上げてはいるものの(J2で量産、が多い)、今以上の得点をやはり期待してしまいます。「難しいゴールほどよく決める」とは加藤監督の弁ですが、清水戦のようにイージーショット(GKとの1vs1など)もしっかりと決めていってほしい。 さて、よくよく見ると現在のサンガのスターティングは昨季とは過半数、いやそれ以上の入れ替えぶりです。いくら実力者を引き入れたといっても連携ゼロスタートはなかなか厳しいです。 負けが続いて、確かに「気持ち見せろ」とは私も、そしてサポの皆さんも言いたいところでしょう。とは言っても実際は「気持ちと連携が空回り」している状態なのかもしれませんね。 今考えると、やはり第7節のアルビレックス新潟からオカシくなりました。しかし第14節清水戦ではシュート数16本と、かなり増えました。その中にはもちろん決めなきゃいけないものが多かったのも事実です(田原…)。 中位がダンゴだからこそ、まだまだ巻き返せます。選手は揃っています。今後のサンガの巻き返しに期待したいですね。相手に引かず、全員守備・全員攻撃の気持ちで戦ってほしいです。 スペインがEUROで優勝したのは、テクニシャン揃いだったからではありません。全員で結束して、強い気持ちを持って、相手に走り勝ったからです。 清水戦のフェルナンジーニョのゴールの時の雰囲気の良さは、TV画面越しにもよく伝わりました。サンガの選手たちに、もっともっと頑張ってもらいたいです。そしてその応援も惜しみません!
posted by batistuta |01:09 |
京都サンガ |
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