2008年05月12日
主演男優賞:マテラッツィ インテルvsシエナ
セリエA第37節、インテルvsシエナ戦がジュゼッペ・メアッツァにて行われた。 前節でのミラノダービーを落とし優勝を持ち越していたインテル。昨季に優勝を決めた験の良い相手シエナ、そしてホームのインテリスタの目の前で歓喜を味わう予定であった。 インテルが殆ど試合の主導権を握っていたが、要所要所でマテラッツィが不用意なプレイを見せた。その結果2-2の引分けに終わり、優勝の行方が分からなくなった。 ■プレビュー ホームのインテル、前節のミラノダービーで勝っていればライバルの目の前で、アウェー扱いとはいえジュゼッペ・メアッツァで歓喜の瞬間を迎えるはずだった。しかし2-1で敗北。 ダービーに負けることを屈辱としか捉えないティフォージ(サポーター)に対して「コッパ・イタリアもあるし、ホームで優勝を決めれば良い」と言うマンチーニ。監督は、理想よりも2冠という現実路線を選んだ。 GK ジュリオ・セザル DF マイコン ニコラス・ブルディッソ マルコ・マテラッツィ マクスウェル MF ハビエル・サネッティ エステバン・カンビアッソ パトリック・ヴィエラ ルイス・ヒメネス FW フリオ・クルース マリオ・バロテッリ そして今日は12位のシエナ。降格に関係のない中位におり、「降格したくない必死さ」はないだろう。しかも9回対戦中、インテルの6勝3分という抜群の相性の良さを見せる。ただ不気味なのは、シエナは前節に3位のユヴェントス相手に1-0で勝利したこと。そして昨季はシエナのホーム、スタディオ・アルテミオ・フランキにおいて、目の前でインテルの優勝の瞬間を目の当たりにしたのだ。あのような屈辱は受けたくない――そんな思いもあっただろう。 GK アレクサンダー・マニンガー DF シモーネ・ロリア アンドレア・ロッシ ダニエレ・フィカーニャ ダニエレ・ポルタノーヴァ MF パウル・コドレア フサイン・ハーリヤ シモーネ・ヴェルガッソーラ ダニエレ・ガッロッパ トマス・ロカテッリ FW マッシモ・マッカローネ 控えメンバーを見て2点驚いた。大ベテラン、エンリコ・キエーザの名前がない。そしてクリスティアン・リガノ。財政破綻したフィオレンティーナ(その当時は「フロレンティア・ヴィオラ」と名乗ったり)でセリエC~B~Aという昇格にリガノは大きく貢献した。そのリガノはリーガ・エスパニョーラのレバンテに行っていたが、セリエAに戻ってきていたのは知らなかった。レバンテが給料未払いで大揺れなのは耳に入っていたが…。 ■目に見える差 豊富な資金力のビッグクラブのインテル。今の順位が過去最高になるかならないかのシエナ。スタジアムにいた観客、TVの前にいた観客の誰もがインテル優勝の瞬間はこの試合後、と思っていたはずだ。 開始1分、インテルが早くも2本シュートを放ち、シエナゴールを脅かす。個人能力、総合力、組織など全ての面でインテルが上回っているように見える。シエナはなかなかボールが繋がらない。インテルはたやすくボールを前線にボールを運び、何と得た試合合計CKは14。対してシエナは「ゼロ」だ。 インテル最初の決定的な場面は9分、左CKをマテラッツィが頭で合わせたが、クロスバーを直撃した。 そして得点は逆の右CKから。ヴィエラがドンピシャで合わせて先制点を挙げた。 その後もインテルが押し気味に試合を進めていたが、流れを変えたのはマテラッツィだった。29分、カウンターで攻め上がっていたロカテッリに対してスライディングタックルを敢行し、イエローカードをもらった。 その後、シエナは右サイド深い位置からのスローインで攻撃を展開。狭いところでボールを回し、最後はブルディッソのマークにつかれながらもマッカローネがライン裏を狙い、見逃さなかったハーリヤが絶妙なスルーパス。角度の少ないところで受けたマッカローネだが、GKセーザルの股を抜く見事なシュート、1-1の同点に追いついた!あまりにあっさりとしたゴールで、スタジアムは呆気に取られる。 31分、インテルの左サイドスローインからの攻撃。セカンドボールでヒメネスがライン裏でボールをもらいシュートを放ったがGKマニンガーがストップ。しかもオフサイドの判定だった。 ピンチの後はチャンス。40分、シエナがカウンター。自陣右サイドから左サイドのスペースに大きく蹴り出すと、ロッシが追いつきGKセーザルとの1対1に持ち込んだがここはセーブされた。 1-1で前半を終えるには苦しいインテル。44分、右サイドスローインをマイコンがロングスロー。ヴィエラが頭で後ろにすらしたところを、バロテッリがフリーでヘディングで叩き込んだ。2-1、インテルが突き放す!ここで前半が終了した。 ■後半 バロテッリ+マテラッツィ リードされたシエナのマリオ・ベレッタ監督は、ハーフタイムに2人を交代。 コドレアを下げてマヌエル・コッポラを投入。マテラッツィのタックルで負傷したと見られるロカテッリを下げて、アウベルトをピッチに送り出した。 シエナのキックオフで始まった後半、軽快なパス回しでインテルゴールに迫ったがボールを奪われる。逆にカウンターを食らい、バロテッリからクルスへ決定的なパス。DFフィカーニャをかわしてクルスがシュートを放ったが、ゴール左へ逸れた。 後半も押し気味に試合を進めるインテルはCKを得ると、キッカーがバロテッリ、そしてファーサイドのマテラッツィを狙う戦術をシンプルに推し進める。シエナのDF陣に高さが無いのは一目瞭然。この戦術は効果的だったように見えた。 ■裏目に出たマンチーニの交代策 やがて得点が動かないまま62分。前線で激しく動き、プレースキック全般を任されていた17歳のバロテッリが足をつる事態に。準備していたダビド・スアーソと交代。しかしこの交代が転換点だったかもしれない。 対するシエナも最後の交代枠、ガロッパに代えてクリスティアン・リガノを送り出し、前線の枚数を増やす。 68分、シエナの攻撃。オーバーラップしていたフィカーニャが右サイドの浅いところから中央へクロス。リガノが飛び込んだが、ブルディッソが文字通り「一足先に」足を出してカット。しかしこのボールが中途半端なところに転がり、ハーリヤがそれを見逃さなかった。ペナルティエリアの少し外あたりから、豪快に右足を降りぬくとインテルゴール右隅に突き刺した。2-2、ここでシエナが同点に追いつく! インテルプレイヤー、マンチーニ監督の耳に入っていたかは分からないがローマが勝っているとの途中経過。同点で終われば今節の優勝はない。 シエナは前節ユーヴェを完封したように、この試合、特に後半に高い集中を見せた。苦しい場面でもラインを上げてオフサイドトラップの網にかける。尤も、バロテッリがピッチを去ってから単調になったインテルの攻撃を守るのは、少し易しくなったかもしれない。 ■主演男優賞 マルコ・マテラッツィ この試合のハイライトと言っていいかもしれない。 75分、カウンターで攻撃を仕掛けたインテル。シエナのディフェンスがバラけてスペースは出来上がっている。縦パスを繋いで、最後はペナルティエリア内にドリブルで持ち込んだクルスがシュートを放つ。 そこには信じられない光景があった。クルスのシュートの先にあった「障害物」――それはマテラッツィだった。セットプレーの場面ではなかったが、おそらくパワープレーを考え、マテラッツィは前線へ一気に攻め上がっていた。クルスがボールを持った前を横切り、シュートコースに入ってしまうと感じたマテラッツィは四つん這いで伏せる。しかし完全にクルスのシュートコースを塞ぎ、しかもオフサイドポジションだった。 この直後、CKを得たインテル。おそらくはリガノを挑発したであろうマテラッツィは2人で揉みあいとなり共倒れ。主審はPKスポットを指差した。リガノは猛抗議をしてイエローカード。 キッカーはそのマテラッツィ。「違った」期待感が頭をよぎったが、マテラッツィは裏切らなかった。GKマニンガーがコースを完全に読みきりストップ。 その後も中央突破に固執してしまうインテル。マクスウェルに代えてクレスポ、負傷したカンビアッソに代えてペレを入れるが、試合は動かない。 むしろプレースキッカーのバロテッリを下げたことで、CKの精度が落ちたような気がした。ヒメネスも決して悪いキッカーではなかったが。 ロスタイムは4分あったが、インテルは攻めきれないまま試合終了のホイッスルを聞くこととなった。2-2の同点、優勝はならなかった。ピッチを大ブーイングが包む。 ■総括 圧倒的なインテルの強さ、というか「圧力」を感じた試合だったが、ゴールシーンを振り返れば両方ともセットプレーから。脈々と続く「個人能力に任せた単調な攻め」が後半にまた出てしまった。逆にシエナには少ないチャンスをモノにされてしまった。40分のロッシのチャンスで決められていたら…。 そして不用意なプレイを続けて試合を壊してしまったマテラッツィ。インテルホームページのサポーター評価でも平均「4.55」とチーム最低。モラッティ会長は戦犯としてマテラッツィを名指しで批判していた。 この節の他の試合を見るとリボルノの降格が決定した模様。シーズン前にクリスティアーノ・ルカレッリを放出、その穴埋めがうまく行かなかったようだ。 そしてインテルの最終戦の相手となるパルマが降格圏の真っ只中。パルマのホームであり、死に物狂いで向かってくるはずだ。 インテルを追う2位ローマの最終戦の相手も、残留争いのカターニア。こちらもカターニアホームで行われ、一筋縄では行かないだろう。 5位フィオレンティーナがパルマに快勝、4位ミランがナポリに負けて順位が入れ替わる事態に。首位争い、4位のCL出場権争いとセリエAの最終節は目が離せない展開となった。
posted by batistuta |15:33 |
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