2008年05月03日

スナイパー チェルシーvsリヴァプール(CL Semi Final)

 チャンピオンズリーグ準決勝第2戦、チェルシーvsリヴァプールの試合がスタンフォード・ブリッジで行われた。  
 第1戦において、終了間際のリーセのオウンゴールで貴重なアウェーゴールを得たチェルシー。この日も堂々たる戦いぶりで、33分にリーセのカヴァーリング不足をついたドログバがシュートをねじ込み先制。
 リヴァプールは64分にトーレスがゴールを挙げ反撃するが、同点のまま終了し延長戦へ。
 延長4分、エシアンのゴールが取り消されたが、直後にPKを獲得。ランパードがきっちり決めると、延長前半終了前にはドログバが2点目。3-1と突き放す。
 延長27分にバベルがロングシュートを叩き込み、一気に緊張感が増すがチェルシーが守りきり勝利。
 チェルシーは5月21日の決勝戦で、マンチェスター・ユナイテッドと戦うこととなった。プレミアリーグとの2冠を達成するのか、それとも1冠分け合うことになるか。 


 ■プレビュー
 ホームのチェルシーは、母親を亡くし傷心のランパードが戦列に復帰。心身ともにコンディションが心配される。

 GK ペトル・ツェフ
 DF マイケル・エッシェン
    リカルド・カルヴァーリョ
    ジョン・テリー
    アシュリー・コール
 MF クロード・マケレレ
    フランク・ランパード
    ミヒャエル・バラック
 FW ジョー・コール
    ディディエ・ドログバ
    サロモン・カルー

 アウェーのリヴァプール、目を引くのはヨッシ・ベナヨウンの起用。バベルがベンチスタートとなった。第1戦で負傷したファビオ・アウレリオは欠場、動揺が心配されるリーセがスタメン出場。汚名返上なるか。

 GK ペペ・レイナ
 DF アルバロ・アルベロア
    ジェイミー・カラガー
    マルティン・シュクルテル
    ヨン・アルネ・リーセ
 MF シャビ・アロンソ
    ハビエル・マスチェラーノ
    ディルク・カイト
    スティーヴン・ジェラード
    ヨッシ・ベナヨウン
 FW フェルナンド・トーレス


 ■手の内を知り尽くした両者
 試合の入り、というのは相手の様子を見るべく慎重な立ち上がりになりがちだ。しかしプレミアリーグで何度も手を合わせている両チーム、序盤から激しいトランジション・ゲームを展開する。 
 手数(というか足数か)をかけずにどんどん前線にボールを運んでいく。オウンゴールを得ているチェルシーはスコアレスドローでも勝ち進めるが、攻撃は最大の防御とばかりに攻める。

 ドログバとシュクルテルのマッチアップは圧巻だった。シュクルテルは191cm・81kg の巨体。UEFAカップで決勝に進んだゼニトから1月にやってきたCBだ。この対決は正に「巨象と巨人」のよう。
 5分にはドログバがポストプレーでボールをもらい、反転してミドルシュート。枠を捉える強烈なシュートで、GKレイナはラインに逃れるのが精一杯。
 9分、今度はリヴァプールが攻め立てる。カウンターで左サイドからベナヨウンがドリブルで持ち上がり中央のジェラードへ。ベナヨウンと入れ替わるように、左サイドのスペースへ移動したトーレスへジェラードがパス。チャンスとなったが、GKツェフの絶妙な飛び出しでCKに逃れる。

 18分、中央のマケレレからドログバへ。ランパードに預けて猛然と前線へ。ランパードがためてスルーパスを出し、ドログバがシュートに持ち込むがゴール右へ逸れてしまう。ランパードのコンディションに問題はないようだ。
 この後、ドログバと接触して足を痛めていたシュクルテルが交代。サミ・ヒューピアが入る。

 33分、試合が動いた。チェルシー、自陣の高い位置でカルヴァーリョがトーレスからボールを奪うとランパードへ預ける。ランパードはすかさずグラウンダーのロングスルーパス、これがカルーに通る。カルーは2人に囲まれながらもシュート、GKレイナがこれを弾く。近くにリーセがいたが反応が遅れる。リーセより遠い位置にいたドログバが、「巨象から黒豹」に変貌した。エリア外から、獲物を見つけた猛獣がボールに飛びつきゴールに叩き込んだ。1-0、チェルシーが先制点を挙げた!

 40分、左サイドからカルーがスピードに乗ったドリブルで仕掛けるとX・アロンソがたまらずカニ挟み。イエローカードをもらう。
 27m地点、26日のマンチェスター・ユナイテッド戦でバラックとドログバが言い争いをしたところに近い地点だ。ドログバが狙う雰囲気を醸し出すが、バラックが直接蹴った。GKレイナは動けなかったが、ボール2個分くらいのところで枠を外れた。

 1-0のチェルシーリードで前半が終了。シュート数がチェルシーが10本放って枠内6、リヴァプールが3本中枠内1本と、チェルシーが圧倒。中でもミドルシュートの精度がかなり高いことに驚かされた。GKレイナには考えられないくらいの心理的・物理的なプレッシャーがのしかかったことだろう。


 ■後半
 47分、マスチェラーノが山なりに前方へパス、ジェラードが頭で中央へ送るとカイトが右足のアウトサイドで合わせたが、これは弱くツェフが足で弾き出した。

 63分、再び試合が動く。
 右サイドに流れていたベナヨウンがボールをもらうと、その前をジェラードが横切り囮に。ベナヨウンは中央へドリブルで仕掛けドログバ・マケレレを振り切ると、カルヴァーリョ・テリーのCBコンビの集中も引きつけ、トーレスへ決定的なラストパス。このお膳立てを決めないわけにはいかないトーレス、ツェフの動きをきっちり読みきり、ゴール右隅へ流し込んだ。1-1、リヴァプールが追いつき、合計スコアもタイに!

 リヴァプールはベニテス政権になってから、スタンフォード・ブリッジでは3分5敗。得点はゼロと苦手にしているスタジアムだった。試合前日の記者会見でそのことを問われたベニテス監督は「明日それを変えればいいだけの話」と楽観視していたが、見事に結果を出した。

 その後は一進一退の攻防。チェルシーが相変わらず枠内にシュートを飛ばすので、チェルシーが優勢と見ても良いか。75分、エッシェンが右サイドをゴリ押しで突破し、シュートまで持っていく様は圧巻だった。

 チャンピオンズリーグで3度目の準決勝対決となる両チーム、180分で決着がつくほど簡単ではなかった。


 ■延長
 チェルシーは延長開始からJ・コールを下げてFWニコラ・アネルカをピッチに送り出す。
 しかし先に仕掛けたのはリヴァプール。中央~右サイドで勝負すると、ジェラードから後ろのX・アロンソに戻す。すると左のオープンスペースへ展開、リーセが飛び出す。クロスを上げるが、トーレスとマスチェラーノがカブってしまいシュートまで持ち込めず。

 延長4分、後半に入っていたマルダが縦パス。ドログバが巧みなトラップで処理し、カラガーをかわし突破する。しかしカラガーが追いつきラインに逃れCKに。
 このCKで、こぼれ球をエッシェンがペナルティエリアライン上からシュート、チェルシー勝ち越し弾!…と喜びも束の間、線審がフラッグを掲げる――オフサイドだ。リヴァプールが最終ラインを上げ、チェルシープレイヤー4人が残っていた。プレイに関わらなければオフサイドにはならないが、GKレイナの視界を邪魔するようであればオフサイドと認められる。微妙なポジションだったが、ゴールは認められず。

 しかしこの直後、再びリヴァプールエリア内に攻め入った際に、バラックがヒューピアのタックルを受けてPKに。最近はバラックが蹴っていたが(ランパード欠場だからかもしれないが)、ここはランパードがキッカーを務める。
 プレッシャーがかかる場面だが、きっちりと決めたランパード。2-1、チェルシーが勝ち越し。ランパードは腕の喪章を外し、亡き母親に祈りを捧ぐ。

 そして延長前半終了間際、右サイドで攻撃を展開するチェルシー。ポストプレーでマルダが懐に収め溜めた後、ライン裏へ抜け出したアネルカへパス。アネルカがクロスを送ると、ドログバが走りこみ、ニアで合わせてGKレイナの足下を射抜くシュート!3-1、試合を決定づける得点を挙げる。
 リヴァプールはすかさずトーレスを下げバベルを投入。

 延長後半27分、30~35mはあろうかというところから、バベルがロングシュート。これがGKツェフの手を弾き、チェルシーゴールを破る。3-2。緊張が走るスタンフォード・ブリッジ。何せ追いつかれたらアウェーゴールで敗北が決まる。

 この得点シーンの前に時間稼ぎであろう、交代にシェフチェンコを用意していたグラント監督。守備の選手を入れるべきか迷ったのか交代が遅らされたようだが、結局29分にランパードを下げてシェフチェンコを投入。

 しかし時間は少なくロスタイムも1分、そのまま3-2で試合が終了した。
 

 ■総括
 チェルシーは、第1戦のオウンゴールによるアウェーゴールで余裕ができたかもしれない。しかしそれを抜きにしても、この試合は質の高いサッカーを披露した。前述の通り、まるで「スナイパー」のように精確に枠を捉えたミドルシュート。GKレイナを終始脅かした。
 一時期不調に陥っていたドログバがコンディションを戻してきたようで、ゴール前で力強いパフォーマンスを見せ2得点の活躍。
 心配されたランパードも、強いメンタルと存在感を見せつけた。

 チェルシーはこれで2冠を狙う体勢が整った…と言いたいところだが、3日に行われたプレミアリーグ、マンチェスター・U対ウェストハム戦が終了し、4-1とマンチェスター・Uが圧勝。チェルシーが勝ち点でもし並んでも、得失点差で大差をつけられているために苦しい状況となった。ビッグイヤーは意地でも勝ち取りたいところだろう。

 リヴァプールは悔やみきれない敗戦。もしアーセナル、チェルシー、マンチェスター・Uと倒していけば、現在リーグ4位のリヴァプールが他の4強を倒していくという面白いストーリーがあったのだが、ここで舞台を降りることとなってしまった。
 クラブは現在借金を抱えており、シーズン終了後にトーレスを放出せざるをえなくなるのでは、という報道も出ている。名誉もそうだが、CL優勝で賞金を得ていれば、という思いもあるだろう。

 CLの決勝は5月21日、モスクワにて行われる。

posted by batistuta |22:25 | UCL・UEFA CUP | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年05月03日

勇敢さが勝利を呼ぶ 京都vs札幌

 Jリーグ第10節、京都サンガvsコンサドーレ札幌の試合が、西京極で行われた。
 田原とダヴィという両チームのFWの柱が不在。そんな中、京都の加藤監督が中山ではなくアタリバをトップ下起用。これが見事に当たり、20分にアタリバが先制ゴールを挙げる。
 札幌も反撃を試みるが、京都が押し気味に試合を進め、1-0で京都が勝利。3連敗を脱出し、5月スタートを良い形で切れた。


 ■プレビュー
 ホームの京都、FW田原が出場停止中、次の試合から復帰予定。アタリバをトップ下起用という策に出た加藤監督。吉と出るか凶と出るか。GKは前節の磐田戦に続き、水谷が起用された。
 システムは3-5-2。大剛と中谷がサイドに張り、中山と勇人のダブルボランチ。

 GK 水谷 雄一
 DF 増嶋 竜也
    シジクレイ
    手島 和希
 MF 渡邉 大剛
    中山 博貴
    佐藤 勇人
    中谷 勇介
    アタリバ
 FW 林 丈統
    柳沢 敦

 アウェーの札幌はダヴィ出場停止のため不在。そして藤田、西嶋、中山を欠く苦しい台所事情。ボランチのクライトンを2トップの一角に。クライトンはブラジルのボタフォゴFRで、アタリバとダブルボランチを形成していたことが。

 GK 高木 貴弘
 DF 池内 友彦
    柴田 慎吾
    吉弘 充志
    坪内 秀介
 MF 砂川 誠
    ディビッドソン純マーカス
    芳賀 博信
    西谷 正也
 FW クライトン
    西 大伍

 今日の西京極は30℃の暑さ。はるばる札幌から来るのは大変だろう、アウェー席はやはり空席が目立った。
 無得点3連敗中の京都と、2連敗中の札幌。イヤな流れを断ち切れるのはどちらか。


 ■「左サイド+アタリバ」
 スタメン発表でFW登録のアタリバに注目が集まった。まさか3トップの一角を担うのかと思われたが、トップ下だった。今までの動きでは守備型のMFかと思われただけに「奇策」かと思われた。
 しかし開始早々にそのアタリバが前線に柔らかくパス。抜け出した柳沢がチップインシュートを狙ったが、猛然と飛び出すGK高木と激しく交錯。頭を打ったようで意識があるか心配され、そのまま担架で外へ。どうやら額を出血したようで、テーピングを巻いてピッチに戻った。

 西京極は今日も強風が吹いていた。前半は札幌の追い風だったが、攻撃に追い風は来ない。京都は左サイドの中谷と勇人が激しく動く。自陣の下がり目の位置からボールを持ってスルスルッと上がった勇人。バイタルエリアに入り込みDFの意識をひきつけた。そしてアタリバにパス!アタリバは落ち着いてワンドリブルでマークを外すと右足を振り抜き、ゴール左隅へ叩き込んだ。1-0、京都が先制した!

 「左サイド+アタリバ」、この流れが続く。得点直後に勇人がインターセプト、30分には中谷がボールを奪い、横に流すとアタリバがワンタッチで前線へ。スペースに侵出した柳沢がワントラップでGKを交わそうとしたところを倒されてPKを獲得!
 しかしこのPKをシジクレイが蹴り、右に外してしまう。このところ得点できていない柳沢に蹴らせて勢いづいてほしかったが…。

 札幌は右サイドからのクロスにクライトンが押し込む場面があったが、ボールをもらう前の競り合いで倒してしまい、幻のゴールに終わった。


 ■中山のゲームメイク
 前節出番がなかった中山。結果論にすぎないが、ミランのアンドレア・ピルロのように視野が広く、決定的なロングパスを出せる中山なら後方からゲーム展開の舵取りをするのも良いかもしれない。勇人という守備面の負担を減らす相棒もいるし、アタリバもいる。ピルロとガットゥーゾ&アンブロジーニのような関係だ。中山は守備もしっかりとやっている。
 34分には柳沢がバックチャージを受けてファウルかと思われたがノーホイッスル。っ両軍の足が止まったが、中山はスキを見逃さず前線の林へ。これはGK高木がストップ。
 82分の場面では、自陣でボールを奪った中山が即座に前線へ大きくフィード。柳沢が抜け出し、DF2人に囲まれながらもつま先でループシュートを狙ったが大きく上へ外れてしまった。
 ライン裏への抜け出しが巧みな柳沢と林という2トップには、中山のパスセンスは合致する。これにアタリバの攻撃センスが絡めば、田原に当てるポストプレー戦術に加える攻撃バリエーションの一つとなるだろう。


 ■攻め手を欠く札幌
 前半、シュートがゼロに終わった札幌。攻撃の核となる選手を欠いているのが痛いところ。クライトンは良い動きを見せているものの、後半から石井 謙伍を入れてワントップ気味にし、クライトンに下がり気味でゲームメイクを司ると、札幌はボールの回りが良くなりチャンスを作り始める。
 しかしその攻撃もシュート空振りなどのミスや、京都の必死のディフェンスの前に得点できない。

 逆に京都は後半もどんどん攻めていく。
 55分、柳沢が自陣で積極的にディフェンスしてボールを奪うと、中谷が左サイドから持ち上がる。決定的なパスを出すも、前目でもらいたかったアタリバがトラップしきれず好機を逸する。
 59分には京都が攻撃をしのいでカウンター、柳沢が持ち込みシュートもゴール左。
 73分、京都は左サイドに意識を集中させてから一気に右サイドに展開。大剛がアーリークロスで放り込むと、途中交代で入った西野が倒されるもノーホイッスル。ゴールラインで、交代で入った徳重が粘りマイナス気味に戻すと、そこに柳沢が完全な形で札幌ゴールを破った!…かに見えたが、徳重の戻しの際にラインを割っていたためノーゴールに。

 この後は札幌の攻撃をしのいで、1-0で京都が勝利を挙げた。


 ■MOM 柳沢 敦
 ゴールへの意欲、交錯を恐れぬ勇敢さ、オフ・ザ・ボールの動き、献身的な守備。それに胸トラップ、足でとあらゆるところに落とし、自分の持っていきたい体勢に持ち込む身体使いの巧さ。
 前節終了後に加藤監督に「そろそろ得点が欲しい」と名指しされて期待をされている柳沢。惜しい場面が何度かあり、決めたゴールも幻のゴールだったが動きは試合を通して良かった。
 この試合の後のインタビューで加藤監督は「身体のキレは良いし、波に乗れれば固め取り(大量得点)も可能だ」と、ストライカーに全幅の信頼を置いている。
 次節に大いに期待しよう。

 
 ■総括
 終わってみればシュート数が20対4と京都が圧倒的に押した。札幌の三浦監督は、試合後に「怪我人が多いのはお互い様なので言い訳にはならない」と語ったが、選手層の厚さはないので頭を悩ませていることだろう。10代後半から20代前半の選手が多く、成長を待っていては降格圏内から脱出することは苦しくなる。

 京都は途中から入った西野が何度か好機に絡めていた。いまだノーゴールだが、少ない出場機会を十分に生かして飛躍してほしい。
 GK水谷は2試合目のスタメン、そして西京極初登場となった。安定したフィールディング、ライン際での落ち着いたセーブ、場面を見極めた飛び出し。浦和など強豪とやりあったGK平井と比べることは難しいが、水谷が安定していたのは事実。今後、激しい正GK争いが続くようだ。
 中谷は動きは良かったものの、クロスの精度の低さが気になった。しかし中谷も出場機会は最近になって増えてきたので、フィットしてきたら貢献度は増すだろう。
 今日は五輪代表の井原コーチが観戦。中山の視察を明言したらしい。中山は今日何度も良質のパスを繰り出していたので好印象ではないだろうか。増嶋は23歳になったばかり、滑り込みでの出場も期待される。
  
 5月、良いスタートを切ることができた京都。次は千葉に乗り込んでの一戦。その後は横浜FM、G大阪、清水と強豪の3連戦が控えているため、2連勝で気持ちよく連戦に臨みたいところだ。

posted by batistuta |16:03 | 京都サンガ | コメント(6) | トラックバック(0)
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