2008年05月02日

フィオレンティーナvsレンジャーズ(UEFAカップ)

 
 UEFAカップ準決勝第2戦、フィオレンティーナ対レンジャーズの試合が、アルテミオ・フランキにて行われた。
 グラスゴーのアイブロックスで行われた第1戦はスコアレスドロー。この第2戦もレンジャーズが守備的戦術に終始し、延長戦を経ても1点も入らずPK戦に。
 フィオレンティーナ、リヴェラーニが止められ、ヴィエリが大きく外したことにより、PK戦を制したレンジャーズが勝利。5月14日の決勝戦へと駒を進め、優勝をかけてゼニト・サンクトペテルブルグと戦うことになった。

 
 ■プレビュー
 ホームのフィオレンティーナ、セリエAで来季のチャンピオンズリーグ(以下CL)出場権をミラン・サンプドリアと争っている。27日にサンプドリアと直接対決があったが、残り数十秒というところで同点に追いつかれて、勝ち点を「2」失った形だ。
 プランデッリ監督はあまりローテーションを用いない。選手の疲労はピークに達しているはずだ。 

 GK セバスティアン・フレイ
 DF マルティン・ヨルゲンセン
    アレッサンドロ・ガンベリーニ
    トマーシュ・ウィファルシ
    マッシモ・ゴッビ
 MF マルコ・ドナデル
    ファビオ・リヴェラーニ
    リッカルド・モントリーヴォ
 FW マリオ・サンターナ
    ジャンパオロ・パッツィーニ
    アドリアン・ムトゥ

 アウェーのレンジャーズ、リーグ戦はセルティックとの”いつもの”2強争い。

 GK ニール・アレクサンダー
 DF カーク・ブロードフット
    カルロス・クエジャール
    デイヴィッド・ウィア
    サシャ・パパツ
 MF スティーヴン・ウィテカー
    バリー・ファ-ガソン
    ブライム・ヘムダニ
    スティーヴン・デイヴィス
    ケヴィン・トムソン
 FW ジャン・クロード・ダルシュヴィル


 ■何をしに来たのか?
 私の拙い文章によるゲームレポートは、つらつらとプレイを書き並べてしまうことが多い。しかしこの第2戦をそのような書き方にすれば、読んでいただいている方はすぐにこのページを閉じてしまうことだろう。普段と違う書き方で進めることにする。

 「彼らはフィレンツェに何をしに来たんだろう。フットボールか?いや違う。守備をしに来たんだ。はるばるね」
 これはフィオレンティーナの選手の試合後のインタビュー…ではない。想像、憶測だ。しかし遠からずだろうと思う。


 ■レンジャーズの欧州での戦術
 レンジャーズはチャンピオンズリーグのグループリーグで敗退。3位だったのでUEFAカップに回ることができた。その前のグループリーグのお話。
 07年10月23日のレンジャーズ対バルセロナ戦、レンジャーズはホームにも関わらず守備を固めてほとんど攻撃を放棄した。そして試合後、バルサのリオネル・メッシはこう語った。
 「レンジャースには試合をしようという気がなかった。試合開始からアンチ・フットボールともいえるプレーをしていた。こんなサッカーをするチームに勝てなかったのは本当に悔しい」

 実力差があるなら、現実的に勝ちに行くなら、こういう戦術も批判はできないだろう。しかしこの試合「も」酷かった。フィオレンティーナをF、レンジャーズをRとすると、

総シュート数 F:29 R:7
ファウル     F:16 R:31
支配率     F:61% R:39%

 であった。レンジャーズのシステムは4-4-1-1か。FWダルシュヴィルを前線に残して、4×2枚の白い壁を自陣に築いてひたすら耐えるのみ。
 実況もフィオレンティーナの一方的な攻撃の試合展開に「knockin' on the Door!!」と呆れて(?)いた。


 ■原因はフィオレンティーナにもあり
 フィオレンティーナの、コンディション不良による攻撃の精度の低さもレンジャーズには味方したのだろう。いつもなら決めているようなシュートも、力なかったりCBに楽々クリアされていた。4月13日のセリエA、インテル戦も似た状況だった。PSV戦を戦い、プレーにキレがなく、あえなくインテルに敗れた。

 レンジャーズは、途中交代のダニエル・クザンが退場した時も、4-4-1-1の「1」が減っただけの話であって、結果に大きな影響があったとは言えない。
 そしてヴィエリの絶不調が響いた。途中交代で入ってから、幾度となくチャンスに絡んだが、身体の重たさが明らかだった。
 レンジャーズは前半には、2列目が飛び出したり攻撃意欲を多少見せていたが、時計の針が進むに従って、自陣から動かなくなった。


 ■延長を終えて
 120分、攻め疲れ、走り疲れたのはもちろんフィオレンティーナだ。レンジャーズは、ゴール前で集中して弾き返すことしかやってない。スタミナの浪費もさほどないだろう。実際、レンジャーズは延長戦にも関わらず交代を2枚しか切らなかった。選手を代えて得点することは考えず、守備の流れを壊すことを嫌がったのだろう。

 そしてPK。フィオレンティーナのGKフレイに期待がかかり、それに応えて1本止めたがそれまで。フィオレンティーナ側は、助走短く蹴ったリヴェラーニがGKに読まれ、絶不調のヴィエリは大きく枠を外した。何故ヴィエリに蹴らせたのか?今季終了後の放出は免れない気がする。何よりティフォージ(ファン)が黙っていないだろう。
 そしてムトゥは蹴らなかった。誰よりも前線で精力的に動いていたため、足が限界に来ていたのかもしれない。


 ■最低の試合
 反感を招くかもしれないが、これは「最低の試合」だった。昔のイタリア代表やセリエAクラブの所謂「カテナチオ的戦術」をしっかりと観ていないので、正しい比較はできないが、レンジャーズは「攻める気がゼロ」であり、「守備能力の高さというより、人を多く並べただけ」だった気がする。

 2002-2003シーズンのチャンピオンズリーグ決勝は、ミランvsユヴェントスのイタリア対決。こちらもスコアレスドローの末、PK決着だった。「点を取らない守備的なサッカーなんぞイタリア国内でやってろ」と他国から批判続出の1戦だったようだ。しかしこちらは「正に堅守」のぶつかり合いだったようだ。この時の試合もしっかりとは観ていないので、確認したい。

 そういえば今年のCLは02-03以来の同国対決であり、UEFAカップの決勝の地は「そのCL決勝があった」マンチェスターだ(ただしオールド・トラッフォードではなく、マンCのシティー・オブ・マンチェスター)。まさか決勝もPK決着か。それともバイエルンから4得点を奪ったゼニトが勢いそのままに大量点か?
 
 決勝は5月14日。uefa.comでオンライン生中継される。

posted by batistuta |07:46 | UCL・UEFA CUP | コメント(9) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年05月02日

ゼニトvsバイエルン(UEFAカップ)

 
 UEFAカップ準決勝第2戦、FCゼニト・サンクトペテルブルク対バイエルン・ミュンヘンの試合が、ゼニトのホーム、ペトロフスキースタジアムで行われた。
 バイエルンのホーム、アリアンツ・アレナで行われた第1戦は、バイエルンのリベリーが先制するも、ルシオのオウンゴールで1-1のドローに終わった。
 この第2戦はまさかの展開を見せた。開始早々にクローゼのシュートがGKを超えてバイエルン先制かと思われたが、シロコフがカヴァーリング。
 4分にはルシオがポグレブニアクをヴァイタルエリアで倒しFK。絶好のポジションのFKをポグレブニアクが自ら決めてゼニト先制。ここからが歴史を作る舞台の幕開けだった。
 39分、ドミンゲスのスルーパスを受けたズリアノフが、フェイクでDFを置き去りにし、豪快にゴールネットに突き刺す。
 54分には右サイドからのクロスを、後ろから飛び込んだファイズリンが頭で押し込む。
 最後もドミンゴスがDFを一人かわしてクロス、ポグレブニアクがキッチリ決めてみせた。
 終わってみればロシア王者が、ドイツの絶対王者相手に4-0で圧勝。14日の決勝戦でレンジャーズと戦うこととなった。 


 ■プレビュー
 ゼニトはエースストライカーのアンドレイ・アルシャフィン、ラデク・シールル、フェルナンド・リクセンらを欠く。ロシア代表のアレクサンダー・アニュコフが戻ってきた。

 GK ビアチェスラフ・マラフェエフ 
 DF アレクサンドル・アニュコフ
    イビツァ・クリジャナツ
    ロマン・シロコフ
    オレクサンドル・ゴルシュコフ
 MF コンスタンチン・ズリアノフ
    アナトリー・ティモシュク
    イーゴリ・デニソフ
 FW アレハンドロ・ドミンゲス
    パベル・ポグレブニアク
    ビクトル・ファイズリン

 バイエルン、開幕前にはリーガカップを、19日にはドイツカップを獲得。ブンデスリーガも優勝に王手をかけており、国内では最早敵なし。開幕前にトーニ、クローゼ、リベリー、ゼ・ロベルト、ハミト・アルティントップらを100億円以上の巨費を投じて補強、正に「FCハリウッド」に相応しい。
 フランス代表SBウィリー・サニョルが、シュツットガルト戦でSBではなくSHで使われたことに腹を立て、監督に苦言。今回の遠征メンバーから外れることになった。 

 GK オリバー・カーン
 DF マルセル・ヤンセン
    ルシオ
    マルティン・デミチェリス
    フィリップ・ラーム
 MF バスティアン・シュバインシュタイガー
    マルク・ファン・ボメル
    ゼ・ロベルト
    フランク・リベリー
 FW ルカ・トニ
    ミロスラフ・クローゼ


 ■因縁?
 サンクトペテルブルグはロシアにおいて、モスクワに次ぐ大都市。ロシア帝国時代は首都であり、ソ連時代はレニングラードと呼ばれた。

 ロシアとドイツ――因縁は第1時世界大戦時代にある。

 ドイツは1887年にはロシア帝国と独露再保障条約を締結し、ビスマルク体制を構築した。しかし1890年にビスマルクが失脚すると、独露再保障条約は延長されなかった。さらに1894年、フランスとロシアは露仏同盟を締結し、ドイツが対フランス・対ロシアの二正面作戦に直面する可能性が高まった。(Wikiより抜粋)

 ドイツとロシア、ロシア側についたフランス。今回の試合では、ドイツ側に「新皇帝・リベリー」がついていると考えると面白い。 

 
 ■もしも… 
 開始すぐ、チャンスを掴んだのはバイエルンだった。
 左サイドのコーナーフラッグに近いところからクロスを放ち、トニがファーに流してクローゼがシュート。GKを超えてゴールかと思われたが、シロコフがリカバリーに入っており難を逃れた。
 この1点がもし入っていれば流れは…「たられば」は禁物だが。

 何しろその2分後のことだ。
 ルシオがペナルティエリア付近でポグレブニアクにファウル。FKを与える。そしてこのFKをポグレブニアク自らが、壁の足下をすり抜けるグラウンダー性の強烈なFKを決めた。1-0、ゼニトが先制点を挙げる。


 ■陵辱されるバイエルンの左サイド
 ゼニトが何度も右サイドをえぐっているのを見て、やはりサニョルの不在が…と思ったが、サニョルは右SBであり逆だ。左はフィリップ・ラームである。
 この試合の得点のキーポイントはゼニトの右サイドアタックだった。
 21分、ワンツーで右サイドから崩し、アニュコフが迫るもカーン、ファインセーブで難を逃れる。31分、33分も得点はならなかったものの、右サイドの突破に成功するゼニト。
 バイエルンがサイドを気にしたウラをかいたのが、39分の得点シーンだった。右に右にと意識を持たせておいて、真ん中にドミンゲスがスルーパス!受けたズリアノフがワンフェイクを入れてから、ドリブルでスペースを強襲し、バイエルンゴールを破った。2-0、ゼニトが優位に立つ。
 

 ■沈黙するバイエルン攻撃陣
 バイエルンが誇る、イタリア代表とドイツ代表のFW2トップ。この日も脅威となるはずだったが、うまく行かない。けちのつき始めは前述の通り。
 前半などはリベリーがチャンスメイクしつつ、得点の機会を窺っていた。しかしトニのシュートは枠に行かなかったり、GKのセーブにあったりで見せ場を作れない。
 後半にヤンセンに代えてレル、ゼ・ロベルトに代えてポドルスキを入れるなど「超攻撃的」な面子で臨むも、得点の香りは前半より減ってしまった。
 やがてクローゼを下げてしまい、ホセ・エルネスト・ソーサに期待をかける。


 ■Mayday Celebration!
 ロシアの祝祭は続く。
 54分にまたしても右サイドからクロス、後ろから飛び込んだファイズリンが頭で押し込んで3-0。 これには実況もたまらず「Mayday Celebration!!」
 今日はメーデーだ。ロシア国民はみんな会社を休み、この小さなスタジアムに駆けつけた。ピッチ上で真面目に働くイレブンには、ご褒美が待っていた。 
 72分、ドミンゲスがDFを抜き去りクロス。ポグレブニアクが落ち着いて決めた。4-0.うなだれるGKカーン。こんな姿を誰が想像しただろうか。

 
 ■総括 アドフォカートの失策
 ペトロフスキースタジアムの観客達は大勝利に酔いしれた。 肩を組み左右に揺れるその姿は、うねりを持つ波のように。ピッチ上のビッグウェーヴはゲルマンを呑みこんだ。そういえば第1次世界大戦の勝者はロシア側だった。

 4-0で完全勝利と言いたいが、アドフォカート監督の失策は「ポグレブニアクを下げなかったこと」だろう。試合の大勢が決したところで、「カードもらったら次節出場停止」のプレイヤーを下げても良かったのではないだろうか。逆に考えれば、最後まで戦い抜くという姿勢だったということか。
 1-0の時も、4-0になってからも、ゼニトの攻める姿勢は全く変わらなかった。それは感動的ですらあった。この後に観た試合が酷かっただけに、それは一層際立った気がする。
 ムダにパス回しをすることも、時間を潰すこともなく、ドイツ王者に真正面からぶつかっていったゼニト。
 めでたいニュースもある。FWパベル・ポグレブニアクの得点王が確定した。決勝はカード累積のため出場停止になったが、2位はバイエルンのルカ・トニのため上乗せはない。決勝で戦うレンジャーズのFWはランキング圏外であるため。ポグレブニアクはこの成果を手土産に、夏のEUROで大暴れしてもらいたいものだ。

 UEFAカップ決勝の地はシティー・オブ・マンチェスター(マンCのホーム)。チャンピオンズリーグの決勝はモスクワ。
 マンチェスター・ユナイテッドとゼニトは、近さを考えると開催地を交換したいとでも思っているだろうか。決勝は5月14日(水) 、グラスゴー・レンジャーズと戦うことになった。
 堅守のレンジャーズを大差で勝つような試合を見せてほしい。

posted by batistuta |03:20 | UCL・UEFA CUP | コメント(0) | トラックバック(1)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加