2008年04月26日

退場が試合を決めた 京都vs浦和

  
 Jリーグ第8節、京都サンガと浦和レッズの試合が西京極で行われた。
 「風の影響もあった」と浦和エンゲルス監督が語るように、この日の西京極は強風。追い風を味方につけると同時に、イレブンそれぞれが集中して前半のピッチを支配した京都。前節のような拙いジャッジとは異なり、ベテラン主審の正当なジャッジで京都は浦和の攻撃をハードに止めにかかる。
 お互いに気持ちが入り、マークに厳しさが増す。53分に阿部に強烈な左膝を腰にお見舞いされた田原が報復行為に出てしまい一発レッドで退場してしまう。
 下位に沈む新潟とは異なり、圧倒的な選手層の浦和には、一人欠くとたちまち主導権を握られた。直後の57分から、浦和が怒涛のゴールショー。高原の移籍後初得点を含む2点、闘莉王が頭で2点で0-4と、京都を完膚なきにまで叩きのめした。
 次の直接対決は10/1の第26節。ケガで帰国したパウリーニョの復帰を期待しつつ、京都はベストメンバーで挑み、今日の借りを返したいところだ。
 
 
 ■プレビュー
 メインスタンドにも侵食する赤、赤、赤…。クラブを愛する気持ちと行動力。これはJの他のクラブ全てが見習うべき姿であろう(もちろんスタイルなど賛否両論のところもあったりするが)
 京都も負けじと集まった効果か、チケット完売・当日券なしの19,680人が入った。スタジアム入り口の隙間から観戦する人も多くいたようだ。

 ホームの京都は前節の誤審により大量の退場者を出し、今日に大きく影響した。サポーター席に掲げられた横断幕は、「フェアプレー、フェアジャッジそして…フェアサポーター」だった。
 前節は10試合にも満たない経験不足の佐藤隆治主審だったが、今回は松尾 一氏が主審を務める。60試合以上を裁く国際主審だ。

 MFアタリバ、DF増嶋、ボランチとCB両方をこなすシジクレイとディフェンスの要を、そして指揮官・加藤久監督を欠く京都。
 その上、練習中にFWパウリーニョが左アキレス腱断裂という重傷を負い、ブラジルへ帰国し療養に。ベンチにはパウリーニョのユニフォームと千羽鶴が掲げられた。
 手島の復帰は朗報だが、今日の状況によるスクランブル出場かもしれない。

 この日、渡邊大剛に「Jリーグアフターゲームショー みんなが選ぶ月間ベストゴール(3月)」の受賞を記念してクリスタルの盾が贈られた。

 GK 平井 直人
 DF 角田 誠
    森岡 隆三
    手島 和希
 MF 平島 崇
    中山 博貴
    佐藤 勇人
    渡邉 大剛
 FW 柳沢 敦
    徳重 隆明
    田原 豊

 アウェーの浦和は、鈴木啓太がへんとう炎による発熱で離脱中。それ以外はベストメンバーである。

 GK 都築 龍太
 DF 堤 俊輔
    堀之内 聖
    阿部 勇樹
 MF 山田 暢久
    細貝 萌
    田中マルクス闘莉王
    平川 忠亮
 FW 高原 直泰
    永井雄一郎
    エジミウソン


 ■前半 京都ペース
 前節のことがありやはり主審の名前を確認して、開始~15分ほどを注目して見てしまう。その後も見ていたが、望まれる主審のレベルだった。前節新潟戦以上に激しいぶつかり合いがピッチ上には存在している。それだけに、ここに3人と監督がいない状況は納得がいかないものがあった。

 しかし出場選手に言葉はいらない。結果を出すのみ。
 3バックながら果敢にオーバーラップを仕掛けていった森岡。中山、勇人が果敢にミドルシュートを打っていく。
 13分には、勇人が右サイドの田原へ浮き球でパスを送る。田原はクロスを送るもクリアされる。

 球際の競り合い、ルーズボール、セカンドボールに京都は執念を見せ、ことごとく奪う。相手のロングボールもDFが必死に競り合う。前節の主審ならばもう退場者が出ているかもしれない――やはりこれが普通、いや激しくぶつかり合う姿がJリーグだろう。

 一方の浦和はボランチに入った闘莉王の展開力が弱く、パスミスを連発する。
 26分、永井がセンターラインから一人でドリブルで持ち込み、エジミウソンに決定的なパス。しかし角度ない難しい態勢になり、GK平井がストップ。
 39分には右サイドから山田がロングスロー。スルーしてバウンドしたボールをエジミウソンが狙い済ましてオーバーヘッドを披露するが、これはゴール左。

 43分、森岡が阿部の「ボール」に綺麗にタックルに行ったがイエローカードが出される。ここで面白かったのはスカパー!の実況陣だ。「これはどうですか」「いやー良いタックルだったと思いますがね」 極めつけは和田りつ子さんの「阿部選手の技術が素晴らしい、ということですね」と皮肉にも聞こえるトークが飛び出していた。
 ここで得たFK、ゴール前での競り合いのこぼれ球に高原がハンド。主審はペナルティエリアの近くまで来て、「自分の目で」しっかりとジャッジしていた。


 ■後半 田原の退場、崩壊する京都ディフェンス
 後半、攻め込む浦和の阿部のボールを強奪したのは中山。そのルーズボールを拾った田原がドリブルしつつルックアップ。右前方へ走る柳沢にロングパス。柳沢は中央へ折り返すと、インターセプトした中山が走りこんできたがここはファウル。スピーディーな良いカウンターを見せた京都、後半にも期待を持たせる。

 52分、前線でボールを持った高原を勇人と中山が挟み込む。近くの闘莉王と山田は傍観するのみ。孤立無援――正にそういう印象を受けた。ボールを奪い左へ展開、柳沢が受けてドリブルで持ち込む。「さっきのお返し」とばかりに右前方の田原にボールを送る。オフサイドもなく抜け出した田原だったが、難しい態勢になりシュートはバーの上へ。これが決まっていたら、プラスの方向に展開は変わっていたかもしれない。しかし待ち受けていたのはマイナスだった。

 53分、前線でポストプレーをこなす田原の後ろにはりついた阿部。この直前に画面に映し出された不気味な笑顔と田原に向けられた視線は「企んで」いた。これまでにもハードに田原をマークしていたが、この場面では田原の左腰に左膝を入れている。この時に笛は鳴っていた。もしかしたら阿部にカードが出ていたかもしれない。しかし、もんどりうった田原は倒れこみながら阿部の膝にスパイクを打ちつけた。
 この報復行為に対し、主審はもちろんレッドカード。田原の若さが出た。受け流すなど対処法を身につけるのは、田原の今後のステップアップに繋がるだろう。

 この直後の57分、これまでの試合でも見せていたGK平井の飛び出し「ミス」が出てしまった。記憶する限りでは失点に繋がることはなかったが、ここで決められてしまった。永井のスルーパスに反応した高原。微妙な距離、確かにここは飛び出すのが最良の選択だっただろう。しかし高原は冷静に持ち込み、ゴール前に戻った京都DFをあざ笑うシュートを決めてみせた。0-1、浦和が先制。

 この後は浦和が完全にゲームを支配した。
 右サイドのCKを永井が蹴り、阿部がヘディングで合わす。中央へボールがこぼれ、エジミウソンが詰めたがバーに当ててしまう。
 60分、右サイドライン際でボールを持つエジミウソン。ファーサイドでは闘莉王が存在をアピール。狙い済ました精度の高いクロスは闘莉王の元へ。対応した平島の頭上を越えたジャンプで京都ゴールに押し込んだ。
 65分には右サイドのCK、闘莉王はニアへスルスルッと入り込みまたも頭で合わせた。
 67分、止まらない闘莉王の独壇場。センターライン手前から風を計算に入れ、GKの場所を確認するとロングシュートを狙った。前に出ていたGK平井は急いで戻り、ワンハンドセーブで難を逃れた。

 主力が欠けた京都には交代の駒が少ない。徳重に代えて斉藤、中山に代えて林をピッチに送り出すも、戦況を変えるには至らない。
 そして75分には、左サイドのCKに闘莉王が頭ですらしたか、触ってないかは微妙なところだったが、後ろにいた高原が押し込んだ。今日の2点で得点感覚が戻ると、今後他のチームにとってさらなる脅威になるだろう。

 この後、余裕ができた浦和は「幼少期より浦和で育った」正に生え抜きとも言える山田 直輝を投入。2007年8月に行なわれたU-17W杯で、U-17サッカー日本代表の10番を背負い活躍。この試合で浦和の最年少出場者となった。
 
 試合は0-4で浦和が完勝した。


 ■総括
 ナビスコで2分け。アジアチャンピオンが、J1上がりたてのチームに勝たないわけにはいかない。そんな意地とプライドが見えていた浦和。前半こそ、京都の攻めと強い当たりにいらついてはいたものの、試合の流れを引き寄せる力、個の力、マリーシアは見事なところだ。さすがアジアの厳しさを知るクラブだ。

 田原の退場が全てだった。前半は良い攻守を見せていただけに、勝ちを奪ってもおかしくない内容だった。しかし一人欠けたことでガラっと変わった。シジクレイがいないことで守備面の高さはなく、それを補うのは「セットプレーでの田原の守備」であるが、退場後は闘莉王に好き勝手にやらせてしまった。

 次節は中2日、29(火・祝)のアウェーでのジュビロ磐田戦。
 アタリバが2試合出場停止なので引き続き欠場、そして田原が欠場だ。
 0-4という大敗、京都はこれを引きずらずに再びペースを取り戻せるか。

posted by batistuta |22:31 | 京都サンガ | コメント(7) | トラックバック(0)
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