2008年04月21日

次はあなたの応援チームが被害者になるかもしれない

 
 1995年のU-20ワールドユース大会でのオランダ対ホンジュラス戦で、私は90分間戦うべき試合を、77分で中止にしてしまった。試合が終わったあとの私の感想は「退場になるようなファウルをおかした選手が悪かったのだ」というものだった。しかし、その後、冷静になって試合を振り返って考えてみて「いや、責任は選手にあるのではない。自分のレフェリングに問題があったのではないか」と思うようになった。 (「ジャッジをくだす瞬間」あとがきより抜粋)


 前々回の記事で、新潟vs京都戦の記事を書き多くのコメントをいただいた。大半は「おかしかったジャッジ」を批判した記事に賛同いただいたものばかり。否定・批判の書き込みも来るかと思われたがなかった。コメントの削除は一切していない。今回、試合から日を置いた上で改めて書いてみる。

 審判に関して理解が足らないのではないか、ということで岡田正義氏の「ジャッジをくだす瞬間」を購入し、早速読んでみた。岡田氏は現在もJリーグで笛を吹き、「ジャスティス」の愛称(?)で有名な主審である。岡田氏はワールドカップフランス大会のグループリーグで主審を務め、1997年・2002年・2007年には、Jリーグ優秀主審賞を獲得している。

 まだまだサッカーに理解の足らない私なので、発見と共に読ませていただいた。
 45歳定年制、1試合に走る総距離、基本的にはアマチュア審判であること、当然ある観客、選手からのプレッシャー。

 ワールドカップドイツ大会で、上川徹氏が3位決定戦で主審を務めたのは日本でもニュースになった。この上川氏も優秀な審判だが、今年45歳になるため最後の大会だった(イタリアの有名なコッリーナ氏も年齢で引退している。正しいジャッジができても、だ)
 経験が必要だが、積んできたと思ったら審判引退、となる難しい職業である。

 そして今回の主役、佐藤隆治氏である。
 31歳になりたての若い審判。JFAの審判養成学校卒業生第1号ということらしい。

 民放でしかJリーグをチェックしていない方は、「管理人さん、あなたは何を言っているのか?」と思うかもしれない。
 なぜなら、TBS「スーパーサッカー」テレ朝「やべっちFC」などのハイライトでは、「荒れた試合展開」の一言で済まされたからである。ではなぜ一部で物議をかもしているかは、スカパー!の「Jリーグ アフターゲームショー」において、野々村芳和がこの試合の不審な部分を取り上げたため。

 ログイン制のHPを紹介する形で恐縮だが、ニコニコ動画にアップされている↓
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm3042088

 民放では時間も限られているし、視聴率優先のためこのような新潟vs京都戦を細かく取り上げることがないのは理解できる。
 今年3月のゼロックススーパーカップでも、家本政明主審のジャッジが議論を呼んだ。こちらは3月1日に行われた唯一の試合だったので、たっぷりと時間があった。あとは鹿島サポーターが乱入したことも取り上げられる要因になったのではないだろうか。
 しかもこのジャッジは「ルールをガチガチに守りすぎて余裕がなく、主審と選手の関係が崩れた」と後日の専門誌には掲載されている。GK曽ヶ端のPK飛び出しが早すぎるなど、ルールを遵守していた。選手が細かいルールを理解していなかった、という話もあったくらいだ。

 しかし新潟vs京都戦のジャッジは異なる。シミュレーションを見抜けず、京都の選手らとコミュニケーションを取ることもなく、線審とも協力せず、淡々とカードを出して試合を壊していったのだ。

 新潟vs京都戦は、Jリーグの中の「ただの1試合」にすぎないかもしれない。しかし、その小さいところから、レベルの高いジャッジをできずに、プレッシャーのかかる大舞台で落ち着いた正当なジャッジができるだろうか?

 2002年9月の柏vs名古屋戦以来の3人退場になったこの試合、「荒れた」で済まされるものだろうか?もし京都の退場が正当ならば、「ラフプレーが多すぎる」としてチームに忠告があってしかるべき事態である。「フェアプレーの精神にのっとる」ならば必要なことだ。しかし各ニュースはこの「異常な4人退場」を黙殺している。

 岡田氏の著書に「FIFAにはインスペクター(審判評価)があり、イタリア地元紙(おそらくガゼッタ・デッロ・スポルト紙)は審判にも評価をつける」とあった。今回の佐藤氏にはどれほどの点を付けられるだろうか?
 
 野々村氏の指摘の後追いで申し訳ないが、動画を見られない人のために記述する。
 序盤の5~15分で、主審はジャッジの一定の基準を定めるという。この日の当たりがこれくらいなら流すかファウルか、それともカードか…。この序盤の見極め時間で、「今のでファウル?」という不可解なものが続いた。

 ■中山と千代反田の競り合い
 そして9分、右サイドのスペースに大きくボールを出した京都。京都の中山と新潟の千代反田が競った。ボールは千代反田が処理を誤り、ゴールラインを割ってしまった。すると中山に激しい接触をされたわけでもないのに、悶絶する千代反田。「目の前の」線審は即座にフラッグをコーナーに指す。コーナーキックだ。しかし、センターサークル付近にいた佐藤主審は「中山のファウル」を宣告したのだ。線審は苦笑いしていた。

  ■シジクレイの場合
 まず最初の34分のファウルシーン。パスを受けるアレッサンドロの後ろから足を出してインターセプトを狙うが、悪質なものではない。あの程度の接触ならばJリーグで日常茶飯事にあるレベルだ。しかし少しの当たりで一回転したアレッサンドロを見てかイエローカードを提示する佐藤主審。回転もリプレイで見れば後付けのようだ。
 そして41分、スルーパスに競り合うシジクレイと矢野。シジクレイが半歩か一歩先にいた状態で、コースを保持するために右手を上げた。「故意にヒジを出したもの」ではない。腕は曲がっていない。
 これもまるで「後付け」のように、急に痛がり出す矢野。スローモーションで見れば一目瞭然である。ここも線審に確認することもなく、シジクレイに注意することもなく、即座にイエローカードを提示。あの腕もダメだというなら、それこそ加藤監督が試合後にコメントを出した「手錠をかけて戦うしかない」ということになる。

 ■田原の場合
 50分、新潟ゴール前まで持ち込んだ田原がスライディング。明らかにボールに先に足が届いているのは田原。ここも9分の中山と競り合った千代反田が足を痛めるポーズ。線審の視界内だが、主審判断でイエローカード。当然、田原は不満の表情。

 ■増嶋の場合
 1回目の競り合い、2回目の競り合いともに、前半13分などで見せた矢野との競り合いとそう変わるものではない。ファウルは取られても、カードレベルではない。ただ1回目は、増嶋は地面を叩いて抗議の意を示したため、これにカードを出されたと言える。
 このレベルの競り合いでカードを出されているようでは、国際舞台で戦う時に一体どうするつもりなのか?「日本にフィジカルはいらない」と鎖国でもするつもりだろうか?
 
 危険なプレーの場合は即、イエローカードやレッドカードで退場すべきである。選手生命を守るためだ。しかしこの日の京都のプレーはいつもと変わらない。むしろ水曜にあったナビスコの浦和戦の方が激しかったくらいだ。

 岡田氏は著書でこう語る。
 実際に審判にミスがあったかどうかは別にして、このように審判がファンの話題になるのはあまりほめられたことではない。正しい判断をして当たり前なのが、審判の世界なのである。だから、試合後に話題になるほうがおかしいといえる。
 (P226より抜粋)

 海外サッカー番組には、不当ジャッジを討論する番組がある。日本もこれくらいやれ、とまでは言わないが、せめて専門誌レベルなら取り上げてほしいことではある。エル・ゴラッソには失望した。
 逆にスカパー!の「Jリーグ アフターゲームショー」と、野々村芳和氏には敬意を表したい。「正しいものは正しい、おかしいものはおかしい」と言える状況でないと、どう考えても健全じゃないし、今後のサッカーの発展にも関わることだ。野々村氏が司会を外されるような事態にならないことを祈る。
 週刊サッカーマガジンや週刊サッカーダイジェストの動向にも注目し、「オブザーバー」役となろうと考えている。取材には「取材申請」というものが必要で、ヘタなことを書くと申請が下りなくなる、ということもある。
 日本代表で提灯記事があるのも(今季無得点の高原が招集されてもどのメディアも異論を唱えない)、そのためだ。フランスみたいに「叩きっぱなし」もどうかとは思うが、自由闊達に意見交換できる状態であってほしい。

 Jリーグに意見したいとも思ったが、Jリーグオフィシャルに問い合わせの番号やメールアドレスは載っていない。
 他はどうなってるのか調べてみると、

 ホームページに問い合わせメールアドレス有り
 ・日本野球機構(NPB)
 ・セリエA
 ・リーガ・エスパニョーラ
 ・ガゼッタ・デッロ・スポルト

 ホームページに問い合わせメールアドレス無し
 ・プレミアリーグ(The FA含め)
 ・エル・ゴラッソ


 試合を壊されて誰が得しただろうか?雨の中、今季初勝利を願って駆けつけた新潟サポーターに、試合後に笑顔はなかった。むしろその8人相手に無様な試合をした選手に怒るサポーターもいたと聞く。
 京都からだと片道で10000円かかる。それだけのお金をかけてやってきたサポーターにこの試合を見せて、Jリーグや主審は恥ずかしいと思わないのだろうか?
 「イレブンミリオンプロジェクト」と称して、過去最高の集客を目指すJリーグ。もちろん広告やイベントを打つのは当然のこと。しかし内容も伴う必要がある。選手や試合だけでなく、主審もそうだ。
 今は名古屋が面白い。面白い、魅力的なサッカーをやっているからだ。

 新潟vs京都戦のように、主審が試合を壊すことがあってはならない。
 無効試合とか再試合にしろとは言わない。
 せめて佐藤氏とJリーグに誤審を認めてもらって、再発防止を心がけて欲しい。
 そして面白いサッカーをやって、イレブンミリオンを達成してほしい。

 終わりに、参考サイトをのリンクを貼っておく。
 メディアを鵜呑みにする危険性を感じてほしい。記者によって、そしてJリーグ本体の書き方でこんなにも印象が変わるのだ。
 色々と見た上で、考えて判断してほしいと思う。私は自分の主張はするが、押し付けたくはない。

 コメントお待ちしております。

 サンガオフィシャル
 http://www.sanga-fc.jp/game/score/20080419.html
 ニッカン
 http://www.nikkansports.com/soccer/news/p-sc-tp0-20080420-350399.html
 サンスポ
 http://www.sanspo.com/soccer/top/st200804/st2008042009.html
 デイリー
 http://www.daily.co.jp/soccer/2008/04/20/0000960706.shtml
 報知
 http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/jleague/news/20080420-OHT1T00028.htm
 中坊コラム
 http://www.geocities.jp/j1koramu/08/nono.html
 J's Goal
 http://www.jsgoal.jp/game/2008/20080100010420080419.html
 カード配布ランキング(第7節はまだ更新されず)
 http://www.geocities.jp/trinitadatahouse/sinpan2008.html


 追記
 当方、サンガファンですが、公平を期した記事作りをしたつもりです。
 家本氏については、京都サンガの職員であった事実は知っております。
 家本氏が京都の試合を吹かないことを得と思いませんし、現在研修中ということなので、今後ピッチに立った場合、正当なジャッジをされることを望みます。

posted by batistuta |15:15 | 京都サンガ | コメント(6) | トラックバック(0)
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