2008年03月28日

無敵艦隊は甦るか スペイン、ビジャのスーパーゴールでイタリアに勝利

 
 3月26日スペインのマルチネス・バレーロ・スタジアムにて、スペイン対イタリアの国際親善試合が行われた。両チームのGKカシージャスとブッフォンが鉄壁の守備を見せ、得点が動かなかった。しかし77分にイタリアCBカンナヴァーロがクリアしたボールをダイレクトに蹴りこんだビジャのスーパーゴールが決まり、スペインが1-0でイタリアに勝利した。
 スペインは、2月のフランス戦に続いてイタリアというワールドカップ優勝国に勝利。これが続きEURO2008で好成績を収めるのか、それとも「いつもの」無敵艦隊に終わってしまうのか。

 
 ■プレビュー
 まずはメンバーを。
 GK イケル・カシージャス
 DF ホアン・カプデビーラ
    カルロス・マルチェーナ
    カルラス・プジョル
    セルヒオ・ラモス
 MF ダビド・シルバ
    チャビ・エルナンデス
    マルコス・セナ
    フランセスク・ファブレガス
    アンドレス・イニエスタ
 FW フェルナンド・トーレス
 注目すべきはやはり「若さ」じゃないだろうか。20代前半の選手が多い。といっても経験がないわけではなく、早くにトップ・リーグでデビューして活躍している選手ばかりである。28歳のチャビも最早10年選手である。

 アウェーのイタリア、こちらは老若バランス良い印象。EURO予選突破に大きな印象を残したパヌッチは御歳34歳である。ローマの選手が増えたな…という印象も(控えにはアクイラーニも)。
 GK ジャンルイージ・ブッフォン
 DF ファビオ・グロッソ
    マルコ・マテラッツィ
    ファビオ・カンナヴァーロ
    クリスティアン・パヌッチ
 MF アンドレア・ピルロ
    ダニエレ・デ・ロッシ
    アントニオ・ディ・ナターレ
    シモーネ・ペロッタ
    マウロ・カモラネージ
 FW ルーカ・トーニ

 
 ■前半
 序盤は両チーム探りあいの展開。ピルロが攻撃を組み立てるイタリア。「1秒持つな」というルールがあるかのような早いパス回しのスペイン。
 12分にいきなり試合が動いた。イタリアが、ペナルティエリア左角の近くでFKを得た。ピルロが巻くように曲がるボールをゴール前に上げて、トーニがヘッドで完璧に合わせた。先制か!…と思いきやファーサイドで選手を倒したことでイタリアにファウルが与えられた。
 得点取消に気落ちするイタリアイレブンを見て、GKカシージャスが出し抜く。早いリスタートを促し、あれよあれよという間にボールは前線へ。トーレスが受けて左サイドを猛然とドリブル突破した。クロスを中央へ送り、シルバがニアで合わせたがゴール左へ転がっていった。

 25分にマテラッツィがトーレスにファウル、イエローカードをもらう。どこかで見た光景だ。プレミアトップで揉まれたトーレスは明らかな成長の跡を見せた。デ・ロッシ・パヌッチに囲まれても、ドリブルで強引に抜きにかかる。
 36分にはセンターサークル付近でチャビが前方をルックアップ。フワリとパスを前線に送ると、シルバが頭でトーレスに落とした。トーレスが左足を振りぬくも、ブッフォンが反応した。
 スペインの攻撃的な姿勢を、中盤のアンカーの位置に入るセナがどっかりと支える。チャビ、セスクが自由にゲームメイクをし、イニエスタは右サイドから中央へ切れ込み、そのスペースをセルヒオ・ラモスが何度も突く。セスクはアーセナルで自信を得たか、シュートをガンガン放っていく。クラブでの活躍がうまく反映されているようだ。

 イタリアはピルロの前線への侵出が見られる。これはスペイン勢とは逆に、ミランでは最近見られなくなってしまっている彼の動きだ。


 ■後半
 ハーフタイムの間に選手を代えてきた。
 スペイン トーレスout ビージャin
 イタリア ピルロout → イヴァン・ガットゥーゾin
      トーニout → マルコ・ボリエッロin
      マテラッツィout → アンドレア・バルツァーリin
 怪我で欠場の噂もあったトーレスがここで下がる。そんな噂も吹き飛ばす動きのキレがあったが、無理はさせられまい。
 ピルロを敢えて下げたのは、彼が不在の時の攻撃の組み立てを考えてのことだろう。そして現在セリエA得点王のボリエッロ、ネスタから後継者の指名を受けた若手のDF筆頭株のバルツァーリが入る。

 後半はイタリアがいきなり先制パンチ。カンナヴァロが同じレアル。マドリーの同僚セルヒオ・ラモスから容赦なくボールを奪うと前線へ向かうグロッソへ。グロッソは左サイドを駆け上がり、中央へ切れ込んできたボリエッロ…ではなくその後ろに来たカモラネージへ精確なクロス!カモラネージはフリーでもらい左足で合わせた。しかしバーを直撃。
 「バーの跳ね返り」という速い弾道だったが、背中を向けていたFWボリエッロはこれに反応。左足を振り抜いたが、目の前にいたラウール・アルビオル(前半に負傷交代のプジョルと交代)の顔面を直撃した。倒れこむアルビオル。
 プレーは一時中断。再開し、スペインはボールをイタリア陣内へ送る。しかしイタリアはこのボールを再びスペイン陣内へ。親善試合であることもあるが、故意ではないが怪我させそうになったのだからとボールを返したのだろう。地味だが、こういうフェアプレーには拍手を送りたい。

 59分には左サイド角度のないところで、イタリアがFKを得る。キッカーのデ・ロッシからファーサイドへ。パヌッチが頭で合わせたが、浮かせてしまった。EURO予選のスコットランド戦のゴールシーンを思い出させる。
 
 66分にはイニエスタがロビング(浮き気味)のボールをゴール前に送るとセスクが合わせてシュート!しかしGKブッフォンがセーブ。76分にはカモラネージが中央で、デ・ロッシを使ってワンツーパスでスペインゴールに迫るも、GKカシージャスが立ちはだかる。欧州、いや世界屈指の2人のGKが得点を許さない。

 しかし均衡を破ったのはスペインだった。またもイニエスタからロビングパス。カンナヴァーロがクリアするも浅い。ペナルティエリアライン上に落ちてきたボールを、FWビージャが狙いすまして蹴りこんだ!ドライブがかかったようなボールがイタリアゴールが左上に突き刺さった。さしものブッフォンもこれは止めれらない。1-0!スペインがゴールを挙げた。

 87分にもまたもイニエスタが右サイドからダイアゴナル(斜め)にパスを送り、ビージャが抜け出すも、今度はさせじとブッフォンがコースを切った。

 試合は1-0のまま。スペインが終了した。


 ■総括
 結果を見ればスペイン勝利、だ。しかしイタリアも動きは良く、メンバーのテストもしっかりこなせていた。EURO本戦に向け着々と準備が進んでいることを窺わせた。1失点も「あのゴールを決められたら仕方ない」というもので、本番はしっかり修正してくるはずだ。
 対するスペインは、またもクラブでは絶好調のラウール・ゴンサレス不在。しかし解説の早野宏史氏も言っていたように、今のスペインの選手・システム・戦術では居場所がないのではないか、というのは同意できるところだ。
 得点感覚に益々磨きがかかっているFWトーレスはアンタッチャブルな存在になりつつあるし、チャビ、イニエスタ、セスクのパスセンス、戦術眼がトーレスと益々シンクロすれば恐ろしいものになるだろう。現実的に考えれば、今回のEUROをステップとして南アフリカワールドカップを狙えることも十分可能だ。ビージャ、シルバもクラブのゴタゴタがなければ、もっと精神的に落ち着いて戦えるだろう(ビージャは得点したが)。
 しかしそういう「無敵艦隊ぶり」は昔から。それを払拭するには、本戦での勝利・栄光が必要だ。

posted by batistuta |22:34 | EURO2008 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年03月28日

テストか連携強化か U23日本、アンゴラ相手に引き分けに持ち込む

 
 国立競技場にてU23日本代表とフル代表のアンゴラとの親善試合が行われた。
 53分に長友のクロスを豊田が決めて先制。しかし85分にマヌーチョに決められ1-1で終了した。8/7の北京五輪開幕に向けて選手選考がまだまだ続く。

 ■プレビュー
 北京五輪前のテストマッチ、反町監督たっての希望の相手ということらしい。若い日本代表に、ドイツワールドカップ出場、アフリカネーションズカップベスト8のチームを引っ張ってきた。当然、親善試合だからあちらはガツガツ来ない。しかも昨日の昼に来日したというから、時差ボケを全く気にしていないだろう。やはりアンゴラ代表の身体のキレは良くなかったと思う。

 今回、反町監督の起用に関して注目が集まった。J1もしくはJ2でレギュラー、もしくはそれに準ずるポジションにいるコンディションの良い選手を召集した。その最たる例はJ2モンテディオ山形の豊田陽平。逆に召集されなかったのは五輪予選チーム得点王の平山相太。海外組も、反町監督が「優遇しない」ことで召集外。VVVの本田圭佑、セルティックの水野晃樹、カターニアの森本貴幸らだ。
 
 アンゴラは、マヌーチョが将来を嘱望された人材のようだ。マンUのファーガソン監督に見初められるも、労働ビザのためレンタル移籍することに。14のクラブが獲得争奪をしたとも言われ、注目度は高いようだ。結局ギリシアのパナシナイコスへ行っている。
 また宗主国がポルトガルのため(ドイツWカップ時は同じグループリーグだった)、ポルトガルリーグで活躍している選手も多いようだ。

 ■試合
 日本が押し気味に試合を進めた。日本のプレーも良いことは良いが、アンゴラがそこまで力を出していないというのもあっただろう。アンゴラは前半3本シュートを放つも、確か全て枠外。長い手足と躍動的な動きを生かした…と言いたいところだが、いかんせん動きが重い。

 この試合で注目したのは右サイド、FC東京の長友佑都。SBもこなすが今日は3バックのために、前めでプレイ。しかし豊富な運動量で右サイドを往復。心臓が血液を送り出すかのように激しいものだった。攻撃でも貢献したが、守備でもしっかり最終ライン近くまで戻り対応した。
 後半になってその長友が得点に絡む。53分、右サイドのスローインを受けた長友、中央をルックアップ出来る姿勢に行きやすい巧みなボールのもらい方。そしてDFの股を抜いてクロスを供給した。中央にいたFW豊田も秀逸だった。一度ウラへ抜けるフェイントを仕掛けて、アンゴラDFアイホーザを油断させる。「9番はファーに行ったから楽にクリアだ!」とボールへ対応しようとしたところを、豊田は切り返してアイホーザの前にスッと入り込む。豊田は左足で合わせ、ゴールの上ネットへ突き刺した。1-0、日本が先制した。

 その後、アンゴラは選手をどんどん代えてくる。世代交代の時期にあるため、こちらもテスト要素が強いようだ。
 日本は、良い仕事を見せた豊田と梅崎(2列目をタフに動き回りチャンスメイクした)を下げて、興梠慎三と香川真司を投入。興梠はスペースへの侵入、香川は巧みなドリブルでチャンスを作り出した。
 87分の場面が面白かった。左サイドをドリブルで突っかける香川。前方ペナルティエリアライン付近でFW李 忠成が、興梠とクロスしてポジションチェンジした。ボールを受けた李はヒールパスで興梠へ。興梠は丁寧にゴール左上を狙ったが、バーの上へ浮かせてしまった。残念ながら得点はならなかったが、良い崩しだった。

 緊急招集された京都サンガの中山博貴も魅せた。交代直後、左サイドでパスカットした中山は前方をルックアップ。斜めに定規で線を引くようにパスを出した。残念ながらその引いた線は、ピッチという紙面をはみ出してしまった。長友が追いつくことができなかったが、「GKが飛び出せない位置」という絶妙なところへパスを出せた。

 今日のアンゴラの出来では図りかねるかもしれないが、守備陣がキャプテン伊野波雅彦を中心として守れていた。チャレンジ&カヴァーリングがしっかりしていて、前半しっかりと守れていた。85分の失点はそのカヴァーリングがちょうど裏目に出てしまったところか。アンゴラのゴールキック、バックヘッドですらしてマヌーチョが反応し、ドリブルで左サイドを突破。そこをカヴァーしたところで、ジャンジをフリーにしてしまった。ここは修正ポイントだろう。


 ■試合総括
 何度も書くが、おそらくアンゴラは本調子ではなかった。しかしこの若き日本代表は良くやったと思う。前日の不甲斐ないA代表の後だから余計良く見えたのかもしれないが…。5月はツーロン国際、欧州遠征が控えている。ガチンコでやって経験を積んでほしい。そして北京五輪は時差が少ない有利な状況なので、一つでも多く勝ち進んでほしい。今回は特に南米勢のブラジルとアルゼンチンはとても「オイしい」相手だ。何点差で負けようが、是非とも対戦して、良い糧にしてほしい。


 ■オーバーエイジ
 あとはオーバーエイジ(以下OA)をどうするのか。試合後に梅崎司も「(OA枠は)勝つためには必要」とコメントしているように、準備は早めにしなければならない。「今の連携が壊れる」という危惧は、全世界共通だ。オーバーエイジを使わない国というのは基本的にないので、反町監督の判断が待たれる。
 起用選手をテストもいいが、ある程度固めて連携を築く期間も必要だろう。そして欧州組はどうなるか?オーバーエイジは?

 イタリアではデル・ピエロやインザーギを使うという話もある。前回アテネ五輪ではDFマッテオ・フェラーリ、MFアンドレア・ピルロ、GKイヴァン・ペリッツォーリと、バランス良くOAを配置し3位に。
 優勝したアルゼンチンはDFファビアン・アジャラ、Dfガブリエル・エインセ、MFキリ・ゴンザレスという守備寄りのOA配置。(OAではないが)大会得点王に輝いたカルロス・テベスは現在マンチェスター・ユナイテッドで活躍中だ。

 前回の日本はどうだったか?GK曽我端準、MF小野伸二、FW高原直泰をチョイスしたが、高原が怪我で離脱してしまった。今日の試合ではGK西川、DF伊野波の出来が安定していた。さてどこにどういうOA選手を配置するのか。

 強豪国は、例えばアルゼンチンではメッシ、ブラジルはパトという「オーバーエイジでない世代が強力な国」が脅威だ。欧州はあまり五輪に力を入れないが、南米勢は優勝を狙ってくる。前回優勝のアルゼンチンを面白く思っていないブラジルが、つっかけてきたら面白い。OA枠もあっと驚く人選があるかもしれない。

posted by batistuta |00:35 | 日本代表 | コメント(2) | トラックバック(0)
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