2008年03月20日

ローマ炎上~ ラツィオ、ローマダービーに勝利

 灼熱のローマ・デルビー(ダービー)、セリエA第29節のラツィオ対ローマ戦。ラツィオがローマとの点の奪い合いを制して3-2。ロスタイムにラツィオのベーラミが決勝点を挙げ勝利した。首位インテルがジェノア相手に引き分けたとはいえ、勝ち点差「7」、ローマの逆転優勝は一段と厳しいものとなってしまった。

 ■プレビュー
 ローマデルビーの戦績はラツィオの44勝57敗60分。
 10/31、第10節のデルビーでは3-2でホームのローマが勝利している。TV解説の原博美氏は「ガチガチになるか、点の取り合いになるだろうね」と戦前予想。

 ホームのラツィオ、昨季3位で今季チャンピオンズリーグ(以下CL)のグループリーグ(以下GL)でレアル・マドリーを苦しめたりしたがGL敗退。国内リーグでも11位と不振にあえいでいる。しかし冬の移籍市場で、マンチェスター・シティから獲得したローランド・ビアンキが徐々にフィットしてきている。デリオ・ロッシ監督はロッキ・パンデフと併用してビアンキを起用。
 GK マルコ・バッロッタ
 DF アレクサンダー・コラロフ
    クリバーリ
    セバスティアーノ・シヴィーリア
    ロレンツォ・デ・シルヴェストリ
 MF ヴァロン・ベーラミ
    クリスティアン・レデスマ
    オスマン・ダボ
 FW ゴラン・パンデフ
    ローランド・ビアンキ
    トンマーゾ・ロッキ

 ローマは公式戦ここ5試合で5勝と、波に乗っている。地元メディアでのスタメン発表ではマンシーニが左サイドだったが、ヴュチニッチが入った。何かトラブルがあったのだろうか。マンシーニは昨季に引き続き、契約更新でフロントと揉めているようだ。大事な時期だけにトラブルだけは避けてほしい。
 GK ドニ
 DF マルコ・カッセッティ
    フィリップ・メクセス
    フアン
    シシーニョ
 MF ダニエレ・デ・ロッシ
    アルベルト・アクイラーニ
    ホドリゴ・タッデイ
    シモーネ・ペロッタ
    ミルコ・ヴュチニッチ
 FW フランチェスコ・トッティ

 ■前半 スパレッティの実験? ラツィオは序盤から気迫を見せる
 ローマはCLベスト8でマンチェスター・ユナイテッドとの1戦を迎える。トネット、カッセッティ、シシーニョ、ヴュチニッチ、ぺロッタ、デ・ロッシの6選手が「イエローカードあと1枚」で累積出場停止となる。組織攻撃サッカーのローマには「SBの押し上げ、攻撃参加」がキーになる。
 ローマのスパレッティ監督はこの試合で「シシーニョを左で」起用してきた。カッセッティは元々両方こなせる。しかし普段右サイドのシシーニョには、今季初かは定かではないが珍しいポジションではある。トネットが出場停止になった場合を考えてのテストかもしれない。

 しかしデルビーで実験をするのは、いささか危険だったかもしれない。デルビーに順位は関係ない。2/26のユヴェントス対トリノ戦もそうだった。歴然たる戦力差、当時の順位ではユーヴェ優勢だったが、トリノGKセレーニの再三のファインセーブによりスコアレスドロー、しかも苛立ったネドヴェドが後半ロスタイムに退場、その後も出場停止を食らうなど「タダでは終われない」のだ。
 この試合もローマはベストメンバーを組むべきだったか。それは終わってからでは「結果論」にすぎないが…。

 前振りが長くなってしまった。オリンピコでお馴染みの「大砲」が打ち鳴らされ、戦いの火蓋は切って落とされた。序盤からラツィオは気迫で前に前に攻めていく。右サイド浅い位置でFKを得るとコラロフが狙う。GKドニが飛び出したが、目測を誤り下がって何とか触りバーに当てた。

 ローマは、注目の左サイドのシシーニョが敵陣深くまで上がる。原博美氏は「いいんじゃない」と評価を与えたが、自分の見方では逆だ。シシーニョは右利きのため持ち替えていた。その間にラツィオDFは態勢を立て直し…と悪い方向に行った。もちろん経験・慣れが必要だとは思うが、やはりトネットの大きさを感じる。クロスの質に関してもチャンスメイキングでも、トネットの左足は信頼に足るものだからだ。
 シシーニョと同じ右利きだが、ヴュチニッチは左サイドをモノにしている。トッティの代わりにFWに入ることもあるが、ヴュチニッチは元々左サイドの選手。ライン際を制しているし、中へ切れ込みチャンスメイクもできる。前半30分はそんなシーンだった。シシーニョからパスをもらい、リターンすると見せかけヴュチニッチは自分で中央へドリブル突破。ペロッタを使ってワンツーを試みる。しかしラツィオのベーラミにクリアされた…と思いきやそのクリアボールがタッデイにクリーンヒット。跳ね返ったボールはラツィオゴールに吸い込まれていった。ラッキーとも言えたが、ヴュチニッチの突破としっかり前に詰めていたタッデイの働きのおかげだろう。0-1でローマ先制。

 しかしラツィオも動きのキレは良かった。43分、ビアンキがポストプレーでボールを懐に収めると横のベーラミに、前のロッキに、と流れるようなパス回しを展開。さらにコラロフが左サイドを急襲し、ロッキからパスをもらうと深くエグった位置からクロス。GKドニがさわるものの、パンデフが逃さず押し込んだ。1-1!スペースに選手が走りこみ、パスした後には前線へ走りこむというお手本のようなパスサッカーでローマ守備陣を振り回した。
 
 前半は1-1で終了。両軍の選手・審判がロッカールームに戻る間際に言い合い。「デルビーには負けられない」という気迫が伝わってくる。

 ■後半 スコア・ラッシュは終わらない
 CLでのカード累積でもそうだが、ローマは少しカードが多い。この日の試合もメクセス・アクイラーニがカードを受け、次節のエンポリ戦での出場停止が確定。
 フアンが自陣エリア内でビアンキと競った際に倒してしまう。イエローカードをもらい、PKを献上してしまった。左サイドのコラロフから鋭いクロス、巧みにウラをとってきたビアンキに後手になってしまったフアンが押し倒してしまった。
 PKはキャプテン・ロッキ。GKドニはコースを読み右に飛んだが、その少し上をボールは流れていった。観客席に走りラツィオサポーターの元へ駆け寄るラツィオイレブン。声を荒げポストを蹴るドニ。ドニはローマダービーがセリエAデビュー戦だそうだ。気持ちが入るのも分かる。

 しかし5分後の60分、すぐさまローマは反撃した。自陣右サイドからカッセッティがロングボール。中央ペナルティエリア前でラツィオDF2人と競り合いながら、何とか頭でボールを落としたヴュチニッチ。詰めたトッティが優しく右へ流し、そこに弾丸のように飛び込んできたのはペロッタ!飛び込むスピードとは裏腹に、落ち着いて右隅へ流し込んだ。2-2!
 前回対戦で3-2、今回もドローじゃ終わらないだろうという雰囲気があった。ここで両監督が動いた。ラツィオのデリオ・ロッシはデ・シルヴェストリを下げてムタレッリを投入。中盤にいたベーラミを右SBに下げて攻撃的にシフト。良い動きをしていたFWビアンキを下げ、ステーファノ・マウリをピッチに送り出す。マウリと監督間で衝突があったようで、マウリが謝罪し和解したとのこと。

 ローマもタッデイに代えジュリ、ヴュチニッチに代えマンシーニを投入した。最近ことごとく当たるスパレッティ交代策。しかしさすがに「毎回」はないようだ。ジュリもマンシーニも輝きを見せられない。ローマの選手は前半でのぶつかり合い・走りあいからスタミナを消耗し、ドリブル突破をするとボールがついていかない。気持ちだけが前に行ってしまい、うまくボールコントロールができなくなっていた。

 ロスタイム、リスクを恐れたローマは足やボールが止まりだす。「このままドローで…」という気持ちが出てしまった。しかしラツィオは違った。91分、右サイドに通った縦パスにパンデフが食らいつく。ドリブルで下がりながらフワリとファーサイドにクロスを上げた。マウリが飛びついてボレーシュート!しかしミートせず、ローマゴール右に流れてしまう。フアンが「これで終わりだ」と"ボールウォッチャー"になってしまった。そこをしっかりと詰めていたベーラミ、火がついたように走り出す。GKドニとフアンがそれに気づくも時既に遅し、ローマゴールネットは揺れていた。
 3-2でラツィオが逆転勝利を果たし、今季の対戦成績を五分にした。

 ■総括 デルビーの怖さ ローマの今後
 一瞬も気を抜いてはいけなかった。そしてこの試合で実験をする必要があったのか。ラツィオの方が試合全般を通して、気迫を前面に押し出していた。当然の結果だったかもしれない。

 個人的に注目したのは、ラツィオ左SBのアレクサンダー・コラロフ。U-23セルビア代表で、攻撃性からロベルト・カルロスに例えられる。しかし今日3本ほど見せたFKは、地元の英雄シニシャ・ミハイロビッチを彷彿とさせるものであった。

 インテルがジェノア相手に引き分けたもののローマとの勝ち点差は7ポイント差。インテルはユーベ戦、フィオレンティーナ戦、そしてミラノ・デルビーを残している。ローマは上位チームとの対戦がないのが救いか。
 「三兎を追うものは一兎をも得ず」か。デ・ロッシやスパレッティは「スクデット、チャンピオンズリーグ、コッパイタリアの三冠」を狙うが、トッティは冷静に「CLを狙いたい」と絞っているようだ。
 残るは9試合。まだまだ目が離せない。

posted by batistuta |14:47 | セリエA | コメント(2) | トラックバック(0)
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