2008年03月12日
バイオリズムの入替わり Intel vs Liverpool
UEFA Champions League Knockout Round 2nd leg、インテル対リバプールの試合がジュゼッペ・メアッツァで行われた。試合は、50分にインテルのブルディッソが2枚目のイエローカードをもらい退場。手薄になった最終ラインをついたフェルナンド・トーレスが得点。この時点で4点が必要になったインテルだったが、その後もリバプールがしっかりと試合をコントロールして1-0で勝利した。 これでプレミアリーグの4強のチームがベスト8に全て進出した。準々決勝の組み合わせ抽選は14日にニヨン(スイス)で行われる。 ■プレビュー 前節の戦いで守備の要イヴァン・コルドバと攻撃的SBマクスウェルが怪我をした。マルコ・マテラッツィはカード2枚で退場、この日も出場停止。サネッティが最終ラインに入るかと思われたが、リーグ戦4試合出場にとどまっているリバス・ロペスをCBに起用し、サネッティを左SHに置いた。 GK ジュリオ・セーザル DF マイコン リバス・ロペス クリスティアン・キヴ ニコラス・ブルディッソ MF エステバン・カンビアッソ パトリック・ビエラ ハビエル・サネッティ デヤン・スタンコビッチ FW フリオ・クルス ズラタン・イブラヒモビッチ アウェーのリバプールは、デンマーク代表CBのダニエル・アッガーが間に合うかに注目が集まったが登録メンバーを外れた。スティーブ・フィナンも怪我で欠場。またシャビ・アロンソは「妻の妊娠により」欠場。 GK ホセ・レイナ DF ファビオ・アウレリオ サミ・ヒーピア マルティン・シュクルテル ジェイミー・キャラガー MF ハビエル・マスチェラーノ ルーカス・レイバ ライアン・バベル スティーブン・ジェラード ディルク・カイト FW フェルナンド・トーレス 前節のインテル戦を含め目下5連勝中。 ■前半 点を奪うしかないインテル 2-0。インテルに厳しくのしかかるビハインド。1点取られれば負けに近い状況。前半で何としても1点をとっておきたいところだ。 8分にクルスがペナルティエリア外から、低く鋭いシュートを左隅に放つも守護神レイナがストップ。怖ろしいほどの冷静さを保ったGKは終始安定していた守備だけでなく、精度の高いロングフィードで攻撃も支えていた。パントキックを蹴るその姿、というか下半身は揺るぎ無い砲台に見える。 インテルのプレースキックはキヴとイブラヒモビッチが担当。しかし得点する雰囲気はほとんどなかった。他のチームのプレイスキッカーと比べて明らかに見劣りする印象がある。 23分、リバプールのカウンター。アウレリオがロングフィード。抜け出したバベルが追いついた先には、絶妙のタイミングで飛び出したGKセーザルが待っていた。足下に来た難しいボールを吸い付くように収めて攻守を入れ替える。27分に、カンビアッソが自陣ペナルティエリアで滑ってボールを失い、トーレスに持ち込まれた際にもGKセーザルは落ち着いて対応した。 29分、インテルにチャンス。クルスがイブラヒモビッチにボール預ける。DFに囲まれながらもイブラヒモビッチは足裏でボールをコントロール、クルスの飛び出しがオフサイドにならないギリギリまでためてスルーパス!ボールを受けたクルスがゴール右隅に流し込んだ…がわずかに右に外れる。中央ではスタンコビッチが「オレが空いているだろう!」と頭を抱えた。 これに動揺したのか、3分後にイブラからお膳立てのパスをもらったクルス、右足から効き足の左へ持ち替えている間にDFにコースに入られてしまう。42分にはマイコンが右サイドを突破、ショートパスにニアのクルスがヒールで後ろへ流したがGKレイナに止められる。中央にはカンビアッソが詰めてきていただけに、勿体なかった。 0-0のまま前半が終了。FWのクルス、今日は「当たり」の日ではないようだ。決定機に絡むも得点までには至らなかった。リバプールは、インテルのプレースキックの際には前線のトーレスが戻るくらいしっかりと守り、またカウンターでトーレスに裏を狙わせる手堅い作戦。また中盤、特にジェラードの精度の高いサイド展開のパスで、バベル・カイトが左右サイドを崩した。 ■後半 またもインテルに退場者 47分、インテルの攻撃。右サイドに出たイブラがヒールでカンビアッソへ。カンビアッソはくさびになり、後ろから飛び出してきたビエラへパス。フリーになったビエラのミドルシュートかと思われたが、何を思ったか敵陣内へドリブルで突っ込み自滅。前節に続き、攻守の貢献よりミスが断然目立つ。 50分、またもインテルに悪夢が訪れた。ルーズボールを取りに行ったレイバに少し遅れてブルディッソが飛び込んだ。左胸ポケットに手を入れる主審。イエローだ。前半34分にもイエローを既にもらっていたブルディッソ、ここで退場となってしまった。 2点ビハインドの状況で、またも一人失ってしまったインテル。しかし57分には好機が訪れる。シュクルテルのパスミスをイブラがインターセプト、そのまま左サイドへ持ち込みシュートを放つも外してしまった。中央にはクルスが詰めていたが。いつものインテルなら周りをよく見ていて決定的なラストパスを出せているが、今日は周りを生かす余裕がなかったようだ。 左SBのブルディッソが抜けたことで、サネッティが左サイドでバランスを取り守備をする。しかし点を取りに前がかりになると、フォーメーションが間延びしてしまう。正にそんな状況になってしまったのが64分。左サイドのセンターライン近くでボールを奪ったアウレリオが一気にドリブルで持ち込む。中央のトーレスへ。スペースだらけの最終ライン。キヴがマークについたが抜かれるのを警戒してか、間合いを保つため距離をとってしまった。しかしこの距離が、トーレスの反転しやすい状況を作ってしまう。落ち着いて左隅を射抜いたトーレス。0-1!絶望の淵へ落とされたインテル。3点取ってもアウェーゴールで負け、残り30分弱で4点を取らなければならなくなった。 交代選手で迷っていたマンチーニ、この失点から10分ほどで得点できないと見ると諦めの姿勢を見せた。ビエラに代えて若いペレを投入。イブラに代えてスアソ。経験を積ませるための哀しい交代。逆にリバプールはカード累積を避けるための交代。 席を立つインテルのサポーターたち。無理に攻める必要がなくなったリバプールがパス回しをする度に「ゥオーイ!」と声をあげるリバプールサポーター。スペイン人監督にスペイン人ストライカー、スペイン人GK。「リーガプール」とも揶揄されるチームに「闘牛風の声援」か。 ロスタイムは3分あったが、2分で切り上げた。0-1、リバプールがベスト8進出。一つの国のリーグがベスト8に4チーム進むのは史上初だという。 ■マンチーニ監督、辞意を表明 契約が4年残っているが、試合後に辞任を表明。モウリーニョやリッピなど後任の噂は絶えず出ており、前々から決めていたのだろう。年齢も距離も選手に近いプレイングマネージャーのようだったマンチーニ、次はどのような監督が来るのか。この我が強い個性派集団をまとめられるのか。 今季残りは指揮をとる。リーグ2位のローマはCLで勝ち残っており、インテルはスクデットに集中できる状況になった。 ■総括 バイオリズム 戦前は、断然インテル有利の「はず」だった。リバプールはプレミア4位も危なかった。FAカップでは弱小のバーンズリーに敗れる。しかしCLでは1st legから完全にペースを握ったのはリバプール。試合終了まで残り5分で2点をあげて勝利。そしてこの試合から5連勝、今日勝って6連勝だ。 インテルはセリエA首位を独走、3連覇が現実的に。しかし1st legに負けてから1勝2分「1敗」。下位のナポリに今季初めて土をつけられた。怪我人が続出した不運もあるが、1試合2点3点当たり前だった攻撃陣が急に不調をきたした。個人技に頼る単調な攻めに終始してしまった。 またホームであるはずのピッチが敵になった。明らかにインテルのプレイヤーの方が滑っており、リバプールにチャンスを与えていた。CLのために張り替えられたということだが、こういうところも味方にしていかないことには欧州では勝ち抜けないのではないだろうか(もちろんミランとの共同保有だが。しかしそのミランも滑りに滑って負けた) 上り調子に入ったリバプールと、下り調子になってしまったインテル。正にバイオリズムが入替わるタイミングでの対戦になってしまった。 この試合を見て、ドイツワールドカップのフランス代表と今のリバプールに重なるものを感じた。グループリーグ絶不調のフランス、最終戦で韓国がスイスに負けてくれたおかげでギリギリで2位通過。優勝なんて無理だろう、というのが世間の評価。しかも決勝トーナメントの1回戦はグループリーグ全勝で意気上がる“無敵艦隊”スペイン。しかしフランスは3-1で下した。その後はブラジル、ポルトガルを下し決勝まで進んだ。リバプールもグループリーグは苦しみ、もがき、何とか2位で通過した。 「強さがあったが、Wカップ優勝経験のない」スペイン。そして「国内無敵だが、CL優勝経験のない」インテル。共通点のようなものを感じた。 皮肉にも4人の選手(トーレス、アロンソ、レイナ、アルベロア)とベニテス監督はそのスペイン出身だ。 今週金曜日にはベスト8の抽選会が行われる。アーセナルのベンゲル監督は「プレミア勢同士では面白くないので分けてほしい」と言ったが、確か戦績でシードが決まるはず。プレミアのベスト4独占というのはないと思われるが、昨年は3チーム残った。今年も3チーム残っても不思議ではない。
posted by batistuta |10:45 |
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