2008年03月06日
no ROMAnticism, we want REALism
UEFA Champions League Knockout Round 2nd leg、Real Madrid vs ROMAの試合がサンチャゴ・ベルナベウにて行われた。ローマが1st legを制していたとはいえ、レアルがホームで無難に勝ってベスト8に勝ち進むのではないかと思われた。しかしローマが前半は勝ちにこだわった「現実的な」戦い方を進めペースを握る。後半にローマ待望の先制点。レアルもすぐに追いつくが、CBペペの退場によりレアルDFが崩壊。追加点を許し1-2。2勝でローマがベスト8に駒を進めた。 ■プレビュー ホームのレアルは、絶対的ストライカーのルート・ファン・ニステルローイ、1st legで左サイドを我が物顔で闊歩したアリエン・ロッベンというオランダ・デュオが怪我で欠場。ウェスレイ・スナイデルも欠場。加えて右SBのセルヒオ・ラモスをカード累積で出場停止という苦しい台所事情。 GK イケル・カシージャス DF ミチェル・サルガド ペペ ファビオ・カンナヴァロ ガブリエル・エインセ MF ガゴ ジュリオ・バティスタ マハマドゥ・ディアッラ グティ FW ロビーニョ ラウール・ゴンザレス 対するローマはローテーションが機能しコンディションも上々。 GK ドニ DF マックス・トネット フアン フィリップ・メクセス シシーニョ MF ダニエレ・デ・ロッシ アルベルト・アクィラーニ マンシーニ シモーネ・ペロッタ ホドリゴ・タッデイ FW フランチェスコ・トッティ 1st legは2-1でローマが勝利。アウェーゴールを考えると、1-0でレアルが勝てば進出できる。どのような試合展開を選択するか。 ■前半 ロマン主義(スペクタクル) < 現実主義(リアル) 「0-0でも構わない」まるでそう語るかのように序盤は引いて守ってきたローマ。中盤からプレスに行くでもなく、スペースを潰しにかかる。高さとフィジカルを持つニステルローイがいない今、ロビーニョとラウルの抜け出しを警戒し、スペースを潰していた。またエインセとサルガドという両SBの上がりも許さない。 16分、レアルはPAエリア手前でFKを得る。蹴るのは「野獣」バティスタ。壁ごと吹き飛ばすかのようにシュートを放つとアクィラーニに当たって軌道変更。しかしローマGKドニは横っ飛びでセーブした。この守護神の安定感は増すばかりだ。 17分ローマもお返し。右サイド遠い位置からだったが、アクィラーニがシュートを狙う。速度を上げてGKカシージャスの手をすり抜けるが、バーに当たってしまう。こぼれ球にトネットが飛びつき、中央へ。またもアクィラーニがシュートを放つが、ここはカシージャスがCKに逃れる。ブラジル代表とスペイン代表のGK、お互いに極上のセーブを見せた。 今日のポイントとも言えたのが「主審」だった。ギリシャのキリス・ヴァサラスさん。実況の倉敷保雄氏によれば、「新聞で“ホーム寄りの笛を吹きすぎる”と批判されたようです」とのこと。この試合を見てると前半はレアルに対して厳しくとっているように見えた。もちろん試合が激しさを増した、というところもあるがファウルを細かくとる傾向が顕著になり、最終的にはレアルのファウル数が30、カードが4枚。ローマのファウル数が28、カードが6枚と荒れた試合展開になった。当然、序盤にとったファウル基準で進めると、同じようにファウル・カードを出すというのが鉄則にはなると思う。 前半は引き気味のローマに対して、何度かFKなどのチャンスを得るも攻撃の形を作れないレアル。ローマは勝ちにこだわり無理に攻めない。しかしカウンターではトネットが易々とクロスをあげシュートに持ち込むという場面があった。これらはやはり、攻撃の柱ニステルローイ、守備の要セルヒオ・ラモスの欠場が大きく響いている。 ■後半 ハンムラビ的展開 再び倉敷氏からの引用。 「“目には目を、歯に歯を”のハンムラビ法典の元々の意味は、”同じだけやり返せ”という意味なんですよね」 この日のローマは正にレアルに仕掛けられたら、同じ分やり返す。しかし基本的には守る、というスタイルだった。 48分にまたもやバティスタがFK。今度は左上のコーナー部分に直撃。2分後にはローマがお返しとばかりに攻撃。中央のタッデイから右のシシーニョに流す。クロスがDFに当たったところにペロッタがつめるも、カシージャスがさわる。そのこぼれ球はカンナヴァロがオーバーヘッドでクリアして難を逃れた。 後半開始から60分まではレアルが押し込む展開。しかし最終ラインの集中、ディアッラのミドルをドニがセーブなど守りきる。1点が欲しいレアルのシュスター監督はディアッラに代えてロイストン・ドレンテを投入。しかしここで誤算が。サルガドが怪我をしてしまい交代を要求。ミゲル・トーレスが入る。右SBがさらに不安定になるかと思われた。 策士スパレッティがここを突かないわけがない。疲れの見えるマンシーニに代えてミルコ・ヴチニッチを投入。65分にローマにチャンスが生まれた。ヴチニッチとトネットがポジショニングがかぶったが、すっと抜け出してボールを受けたトネットは中央へクロス。エリア内にいたアクィラーニが左足を振りぬくもバーを直撃!今日5本近くシュートを放ったアクィラーニ、レアル守備陣を脅かし続けた。 ここで試合の分岐点ともなる場面が。 左サイドに入って自由に動き続けたヴチニッチ。若いミゲル・トーレスでは止めることができず、左サイドのエンドラインとペナルティエリアラインの交差地点付近で、ヴチニッチがCBペペと1対1。ライン際をうまく利用して抜きにかかったヴチニッチをペペは押してしまった。前半にももらっていたイエローカード、ここでペペは退場となってしまう。突破されたら得点につながる場面だったので仕方なかったのかもしれないが。 そして72分、ローマの攻撃。右からデ・ロッシがアーリークロスを出すも大きく超えて左サイドに流れる。ブチニッチがこれをキープ、後ろのトネットに戻した。するとトネットがすぐに中央へパスを送り込む。「待つ」姿勢のエインセの死角からタッデイが飛び込み、ヘディングで叩き込んだ!0-1! この場面を見ると上記の一連の展開で、中央に固まっていた最終ラインが横に伸びスペースができた。特にカンナヴァロがトッティをマンマークしており、そのトッティが左に流れたためつり出されていた。ペペがいないため手薄になりエインセやガゴでは対応しきれなかったということだろう。 大きな先制点を挙げたローマ。トッティがカウンターで持ち込むが、ローマ攻撃陣は無理に押し上げをしない。トッティがボールを奪われてレアルが持ち込むが、ローマ陣営は大半が自陣に残っていた。しかしスピードに乗ってボールを持ち込み、ロビーニョのスルーパスにラウルが反応。右隅に流し込んだ。1-1!リプレイでは完全にオフサイドだった。主審は厳しめだったが、線審は甘かったようだ。 1-1でもトータル3-2で逃げ切れる。ローマはペロッタを下げてダヴィド・ピサーロ、シシーニョに代えてクリスティアン・パヌッチを投入。レアルでも歓喜を味わったベテランDFだ。レアルもバティスタに代えてロベルト・ソルダードを。FWを増やして点を取りに行く。 しかしレアル最終ラインは疲労の色を滲ませ、集中力を欠いていた。86分左サイドからローマのFK。トッティが大きくファーサイドに蹴り、タッデイが胸で落としてデ・ロッシが詰めたが届かずゴールキックに。レアル守備陣はオフサイドを主張することもなく、まるで他人事のようにプレイに戻った。 ロスタイムは4分とられた。1点さえとれれば延長に持ち込めるが、ここでローマが右サイドの浅い位置からFK。入ったばかりのパヌッチが狙いすまして中央に。カンナヴァロが振り切られ、ヴチニッチがヘッドで押し込んだ。1-2。完全に集中力が切れていたレアルだった。 ■総括 光るスパレッティ采配 優勝候補の一角に上げられていたレアル。評価の低かったローマ。しかしこの2試合では内容・結果共にローマが勝ったように思う。1st legではトッティがチャンスを作り出しスペクタクルなサッカーを見せてくれた。2nd legでは勝負に徹して、序盤は守備を固めて鋭い毒針のように反撃を見せた。今日のように決して「トッティ頼み」ではなく、全員でサッカーをしていた印象にある。しかしレアルは相棒・ニステルローイを失ったラウールに今季の輝きが見られなかった。 レアルは怪我人が多く、控えに期待ができなかった。逆にローマは投入した選手が得点に絡む(ヴチニッチ、パヌッチ)という最高の試合展開。これはもちろんスパレッティの好采配によるものだ。 ローマはセリエAの厳しい日程も乗り越え、ベスト8に進んだ。CLに必要な経験も摘んできている。今年はトッティのビッグイヤーを掲げる姿を是非見たい。
posted by batistuta |10:25 |
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