2008年03月05日

ノーガードの打ち合い~フェネルがPK戦でセビージャを下す

 UEFA Champions League Knockout Round 2nd leg、セビージャ vs フェネルバフチェ(以下フェネル)の試合がセビージャホーム、ラモン・サンチェス・ピズファンにて行われた。
 1st legは3-2でフェネルが勝利、この日は5分、9分とセビージャが立て続けに得点したために一気に試合が決まるかと思われたが、後半はフェネルが試合の流れを握った。前後半終了時に2-3でトータル5-5。延長30分でも決着はつかずPK戦に。フェネルのGKヴォルカンが3人を止め、見事ベスト8に駒を進めた。

 ■プレビュー 1st legに続き、今季絶望のJ・ナヴァーロを除いてはベストメンバーを組めた。GKはパロップ、DFはアドリアーノ、ドラグティノビッチ、エスキュデ、D・アウベス。MFはD・カペル、ポウルセン、ケイタ、J・ナバス、FWはカヌーテとL・ファビアーノの2トップ。
 対するアウェーのフェネルは、ロベルト・カルロスがスネを痛めて欠場。GKヴォルカン、DFはヴェデルソン、エドゥ、ルガノ、ギョハン。MFはM・アウレリオ、セルチェク、ウール・ボラル、アレックス、ディビッジ、FWはケズマン。アレックスが流動的に動き、ディビッジが中央と右に顔を出すシステム。

 ■前半 ノーガードの打ち合い もちろんお互いに守備はしている。しかし攻撃偏重の両チームがぶつかったらこうなる、という好ゲームを見せてくれた。

 開始5分でいきなり試合が動いた。30m前後か、そう近くない距離でセビージャがFKを得ると、蹴るのはダニエル・アウベス。思い切り足を振りぬき、その弾道はGKヴォルカンの手を弾きゴールに突き刺さった。1-0!
 1分後にはまたもFKを得てD・アウベスは狙うもゴール上。しかし9分、少し及び腰になったフェネルDF、エリア前のスペースをぽっかりと空けてしまった。そこに飛び込んだセビージャの中盤のケイタが躊躇いなく左足。無回転気味のボールがゴール左上に突き刺さる。2-0!神に祈るケイタ。
 そして前節では途中出場だったD・カペルが、左サイドをドリブルで再三つっかけた。ファウルをもらいチャンスを作り出す。

 フェネルも負けてはいない。19分、浅い位置からのクロスにケズマンが頭で合わせた…かに見えたが惜しくも届かず。前節の1stゴールを想起させた。そして20分の左サイドのCK、ニアに来たボールをM・アウレリオが中央へすらす。そこにディビッジが右足でシュート!フェネル攻撃陣が残っていたが、針の糸を通すようにセビージャゴール右隅に決めてみせた。1-2!

 以降もセビージャが押し気味に試合を進める。ケイタのミドルシュート、オフサイドだったがL・ファビアーノの抜け出しなど再三フェネルゴールに迫る。そして41分、中央右寄りの浅いところからD・アウベスが、PAエリア内のカヌーテにフワリとしたパスを供給。カヌーテはそのボールを柔らかく胸トラップし、そのまま右足でゴール右にシュートした。カヌーテらしいエレガントなゴールだった。これで3-1。熱心なイスラム教徒の彼は、ケイタ同様神に祈りを捧げた。

 前半ロスタイム、セビージャゴールの前で混戦に陥る。アレックスのFKをクリア、CKになりこぼれ球をシュートされるもゴール隅に陣取っていたポウルセンが何とかしのいだ。

 ■後半 まるで別チーム、セビージャに乱れ 前半終了して、トータルは5-4。このまま逃げ切れば…というところだが、解説の後藤健生氏も言っていたように「お互い逃げ切るような器用なチームじゃないでしょ」確かにイタリアや南米勢のようなしたたかさは持ち合わせていないように見える。
 そして後半立ち上がり、何やらヘンな雰囲気になっている。セビージャのパス回しがうまく繋がらず、攻撃を組み立てられない。前半戦に勝っていたボールポゼッション率がみるみる変わっていく。

 とにかくトータル5-5に持っていかなければ話にならないフェネル、ジーコ監督が中盤のセルチェクに代えてFWセミヒを投入。前節で決勝ゴールを決めた男でFWの枚数を増やす。そして左サイドのウール・ボラルの突破が徐々に増える。対面のSB、D・アウベスが前がかりになっているため効果的だ。
 逆にセビージャのD・カペルがドリブルで仕掛ける場面は減った。それでも他の選手が相手陣内でファウルをもらい、FKは何度も得ていた。しかしこれらを決めきることができない。77分、この時間で逃げ切りを考えたかFWのL・ファビアーノに代えて中盤の選手、レナトを入れた。しかしこれが誤算を生む。

 78分、フェネルがFKのチャンスを生かした。かなり遠い位置からではあったが、アレックスがセビージャGKとDFラインの間に落とす絶妙なパスを入れた。おそらく味方に合わせると踏んでいたGKバロップの意表をついた格好か。ボールを弾いてしまい、そこをディビッジに詰められてしまった。これで2-3、トータルスコア5-5に並んだ!
 
 その後もアレックスのFKはセビージャDFに緊張感を与え続けた。スコアは2-3から動かずロスタイムに突入する。91分、左SBアドリアーノが浅い位置から絶妙なアーリークロスを前線に送った。おそらく敵ばかりでなく味方の意表もついてしまったようだ。パスを受けたレナトはファンブル、ワンタッチで入れられるような場面だったが、準備できていなかったかのように見えた。「これがL・ファビアーノだったら…?」と思わせた場面だった。

 ■延長 ペースを取り戻せないセビージャ ポウルセンに代えてマレスカ、J・ナバスに代えてA・コネを投入するもほとんど試合の流れを変えられないセビージャ。フェネルはウール・ボラルとアレックスを下げてきた。攻撃の柱二人を下げたということはPK戦まで持ち込むジーコ監督の戦略に見えた。レフェリーの足すらもつってしまう激闘、延長30分では決着がつかずPK戦に突入した。

 ■PK戦
 先攻はセビージャ、後攻フェネル。

 1.
 カヌーテが一番手を務める。GKの逆をつき左にながしこんだ。
 対するはヴェデルソン。GKバロップは読んだが止めきれず。
 1-1。

 2.
 CBのエスキュデ。右に蹴るもヴォルカンに読まれた。
 同じくCBエドゥ。オウンゴールの汚名を晴らしたいところ。しかしバロップに読みきられ止められる。
 1-1。

 3.
 ドラグティノビッチ。右上に鋭いシュート放ち突き刺さった。
 アウレリオ。GKの逆をついて落ち着いて左へ。
 2-2。

 4.
 マレスカ。勢い良く蹴りこんだが反応が遅れたGKに正面で当たってしまった。
 ケジュマン。上方へ力強く叩き込んだ。
 2-3。

 5.
 外したら負けの場面でキャプテン、ダニエル・アウベス。ヴォルカンが読みきりストップ。


 ■総括
 この瞬間、フェネルバフチェのクラブ史上初のベスト8進出が決まった。悲嘆に暮れるセビージャホームの観客。リーガでは7位と来季CLには遠いが、またこの舞台で戦ってほしい。
 意地の悪い言い方をすれば、ミランvsアーセナル戦に比べて大味な打ち合いとも取れる試合だったが、CLトーナメント初出場チームらしくフレッシュな2試合だった。フェネルの今後の試合にも期待したい。

posted by batistuta |11:29 | UCL・UEFA CUP | コメント(0) | トラックバック(1)
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2008年03月05日

ガナーズ、王者を破りベスト8へ

 UEFA Champions League Knockout Round 2nd leg、ACミラン vs アーセナルの試合がサン・シーロで行われた。終始美しい攻撃と激しいプレッシングで圧倒し続けたアーセナルが最後の最後で試合を決めた。83分と92分という終盤で2ゴール。「熟練のミラン」と「若さのアーセナル」という構図だったが、世代交代が見えたゲームであった。


 ■プレビュー 
 「派手ではないが、攻撃のキーマン」とも言えるメンバーが両チームとも欠けてしまった。
 ミランのメンバーは、GKカラッチ、DFはマルディーニ、カラーゼ、ネスタ、オッド。MFはアンブロジーニ、ピルロ、ガットゥーゾ、カカ、FWはパト、インザギ。セードルフが残念ながら怪我で欠場となってしまった。CLの酸いも甘いも知る男、こういう2nd legでは経験を生かしたかったが…。あと私の予想を裏切り、インザギがスタメンで登場した。

 アーセナルはGKアルムニア、DFはクリシー、センデロス、ギャラス、サニャ。MFはフラミニ、セスク、ディアビ、フレブ、エブエ、FWはアデバイヨルの1トップ。周知の通り、シルバがプレミアで大怪我を負って今季絶望。トゥレも前節のミラン戦で負傷してこの日欠場となった。

 ■前半 ミラン→アーセナル この試合をもしクォーター制にしたら?前半23分とそれ以降で分けたとして、ペースが完全に天秤のように傾いていた。「前半の前半」はミランペース。立て続けに攻め続け、アーセナルゴールを脅かす。CKを何度も得るが得点には結びつかない。トゥレがいないことで、ギャラスとセンデロスのCBコンビだった。そこでインザギを起用してパトと2人で裏を狙う形は良かった。しかしアーセナルの守備陣はしっかりと集中して防ぎきった。

 「前半の後半」はアーセナルペース。1トップのアデバイヨルだったが、守備に難のあるミラン右SBのオッドに近いところでポジションを取り、何度も抜いていった。ネスタがそこをカヴァーリングする形が何度も見られた。33分、正にこの形でアーセナルはチャンスを得る。ワンツーで左サイドに抜け出したアデバイヨル、独特のリズムのドリブルでネスタも抜き去り、中央へパス。PAエリア手前で待っていたセスク・ファブレガスが狙いすましてシュート。しかしクロスバーを直撃!

 前半はスコアレスで終了。アーセナルは攻撃の形を作れていたが、GK正面やバー・ポストなど不運なところも多く見られた。しかしプレッシングも良く効いており、カカ・パトがセンターライン付近でボールをもらっても、ファウル覚悟で止めに行きカウンターの目を摘んでいた。


 ■後半 またも運のないアーセナルかと思われたが… 後半開始直後に左サイドからのCKを得たアーセナル。ファーサイドに送りセンデロスがフリーで受ける。シュートを放つもGKカラッチの正面に。1st legから何度もこういう場面が見受けられた。全くもって運がない。5分後にも右サイドでエブエがフリーになるも決めきれなかった。
 1st legでほとんど攻撃の形を作れなかったミラン。さすがに今回は幾度か作れてはいたが、持ち味は消されていた。不調のカカはドリブル突破を試みても潰され、ピルロの組み立てもうまくいっていなかった。決定機を作れないインザギを下げてジラルディーノを投入。一方のアーセナルはエブエに代えてウォルコットを入れた。そのウォルコット、74分に右サイドエリア内でフリーでボールを受けるチャンス。カラッチにコースに入られていたので中央への折り返しを選択した。この辺りからも「今日のアーセナルには運がないのか…?」と思わせた。
 焦るミラン。1点先制した方が勝ちという時間帯に入ってきた。78分にアンブロジーニが大きく左から右へサイドチェンジ。パトに渡りエリアの少し外からシュートを放つも左に外れた。その後にカカとサニャがボールを競り合う。サニャの足に当たったかに見えたがアーセナルボール。判定に納得のいかないカカが珍しく感情を露わにした。ボールを思い切り下に叩きつけたのだ。これにはイエローカードが出された。

 83分、攻め続けたアーセナルに遂にゴールが生まれた。中央からセスクがドリブル突破。かつての輝きを失ったガットゥーゾを完全に抜き去り、ゴールから30mくらいだろうか、右足を振り抜いた。低い弾道のボールはワンバウンドをして、ミランゴールに吸い込まれていった。カラッチは反応が完全に遅れたように見えた。0-1。前年王者にのしかかる重いアウェーゴール。
 ロスタイムは4分。焦るミランにアーセナルがカウンターを仕掛ける。ロングパスにスライディングでクリアを試みたカラーゼ。しかし憶測を誤った。そんなカラーゼを尻目に、ウォルコットが崩れた体勢を持ち直して中央へクロスを送った。完全にフリーになっていたアデバイヨルはそれを押し込むだけだった。0-2。試合が決した。

 ■総括 世代交代
 やはり最初の得点シーン、セスクがガットゥーゾを完全に抜いたシーンに尽きる。闘犬のごとくピッチを駆け回り、昨年はC・ロナウドを封じた男は今日は迫力がなかった。インザギもラインを破れず、マルディーニ・ネスタも奮闘はしていたものの、1st leg・2nd legで振り切られるシーンが何度も見られた。オッドも守備では完全にアデバイヨルに振り回され、クロスも精度を欠いた。カカは不調にあえぎ仕事をさせてもらえなかった。

 対するアーセナルはセスク・フラミニの2人が光った。このダブルボランチは、ミランの攻撃の芽を摘み取った。守備面では特にフラミニが少ないファウルでボール奪取した。セスクは守備ももちろんゲームをコントロールし、得点も挙げた。アデバイヨルもようやくCLで得点できたことで肩の力が抜けたはず。今後得点の量産もありうる。

 個人的な感情ではミランに肩入れしていたが、「前年王者はベスト16以上に進めない」というジンクスを破れなかった。攻守ともにアーセナルが良いサッカーをしていたし、美しいサッカーが先に進むべきだろう。ミランはこれでセリエに集中できるので、CL出場権をしっかり確保して来季の捲土重来を期待したい。しかし老朽化してしまった選手層をどう改善していくか…。夏に大ナタが振るわれるのかもしれない。

posted by batistuta |05:39 | UCL・UEFA CUP | コメント(9) | トラックバック(1)
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