2008年05月08日

屈辱のクラシコ レアルvsバルサ

 
 156回目となるレアル・マドリーとバルセロナのダービー、”エル・クラシコ”が行われた。
 レアルは4日のオサスナ戦でリーガ2連覇を決めており、「消化試合」に近いものになる可能性もあると見られていた。しかしレアルの今季を振り返るようなゲーム、良いところばかりが目立つ展開となり、4-1とレアルが圧勝した。
 ビジャレアルが勝利して勝ち点7差をつけたために、バルサの3位以下が確定。

 
 ■プレビュー
 レアル・マドリーは31度目の優勝を達成。オサスナ戦で退場処分になってしまったDFファビオ・カンナヴァーロがこの日も出場停止。
 右足首骨膜炎のために、2月24日のヘタフェ戦出場を最後に戦列を離れていたFWルート・ファン・ニステルローイがベンチに戻ったのは朗報だ。今季残り試合は少ないが、笑顔でシーズンを終わらせたいところ。

 GK イケル・カシージャス
 DF セルヒオ・ラモス
    ペペ
    ガブリエル・エインセ
    マルセーロ
 MF マアマドゥ・ディアラ
    フェルナンド・ガーゴ
    アルイェン・ロッベン
    グティ
    ウェスレイ・スネイデル
 FW ラウール・ゴンザーレス


 アウェーのバルサは、CBガブリエル・ミリートが右ひざの手術に入ったため今季は終了。サミュエル・エトオとデコがカード累積のため出場停止。イニエスタ、ロナジーニョがケガで戦列を離れている。

 GK ビクトール・バルデス
 DF ジャンルーカ・ザンブロッタ
    ラファエル・マルケス
    カルラス・プジョル
    エリック・アビダル
 MF トゥレ・ヤヤ
    チャビ
    エイドゥル・グジョンセン
 FW ティエリ・アンリ
    ボージャン・クルキック
    リオネル・メッシ

 
 ■祝勝会
  決してマドリーに近くはないオサスナで優勝を決めたレアルは、そのまま凱旋して祝勝パーティーをシベレス広場で行った。到着したのは午前2時50分。おそらく夜が明けるまで騒いだだろう。そのためこの日のコンディションであるとか、モチベーションが心配されていた。

 
 ■屈辱の始まり 
 「ヴィクトリーロード(勝者の花道)!?やりたくないけど、スポーツマンとしては、チャンピオンチームを認めなければいけない」
 戦前の記者会見でこう語ったカピタン(キャプテン)、プジョル。永遠のライバルであるレアルに対して、レアルのホームのサンティアゴ・ベルナベウで優勝を祝う――しかもバルサは崖っぷち。日本人には想像もできないような屈辱が全身を流れていたに違いない。
 しかしこの屈辱が90分以上続くとは、バルサイレブンは予想していなかっただろう。

 試合の入りは大人しいものだったが、デコやイニエスタといった中盤のパス回しの要の選手を欠くバルサはポゼッションを保てない。そしていきなり試合は動いた。
 12分、レアルは弾むようなパスでバルサ陣内をかき回す。グティから後ろのスネイデルに戻すと、再びグティへ。バルサDFが少し触ったかに見えたボールが中途半端なところに残った。ラウールがそれを見逃さず、後ずさりのような体勢ではあったが左足でしっかりとミートし、バルサゴールを破った。1-0、レアルが先制点を挙げた!
 1位のダニエル・グイーサの25得点に遠く及ばないものの、18ゴール目を挙げて3位につけたラウール。この2人のスペイン人FWを、ルイス・アラゴネス代表監督はEURO2008本大会に向け追加招集することはありうるのか。

 この後も左SBのマルセーロがカットインして、ザンブロッタがファウルでストップ。
 そして19分には右SBのS・ラモスがアビダルに仕掛けてファウルをもらい、FKを獲得。リプレイを見ると、S・ラモスが自分から当たりに行っているようにしか見えないが…。抗議したトゥレにイエローカードが提示される。
 右45℃の位置からのFK。一度ショートキックでのリスタートを狙ってロッベンが走りこむが、主審がまだ早いと笛。ズッコけるロッベン。笑いが起こるサンティアゴ・ベルナベウ、苦笑いするロッベンだが、勝者の余裕だろう。
 しかしロッベンが集団に合流し、グティのFKに合わせてヘディングで叩き込んだ!2-0、レアルが突き放す!マークが外れており、完全にフリーとなっていた。

 何の働きも見せることができなかったグジョンセンが、ここでジオバニ・ドス・サントスと交代した。

 この後もバルサがGKカシージャスを脅かす場面はほとんどなかった。アンリが左WGのポジションで何度かパスを受け取ったが、利き足の右足でコントロールしている間に、DFに体勢を整えられているような印象があった。やはりセンターフォワードが本職というところか。イニエスタの方がそのウィングポジションに向いているようだ。

 あと気になったのが今日の主審。レアル2点目もそうだったが、この後にボージャンがドリブルでつっかけた際に、自分でピッチを蹴ってしまい転んでいるのにレアルのファウルをとっている場面があった。
 49分にもアンリとペペが競り合い、ペペが自分で足を捻っていたのにも関わらず、接触が少なかったアンリにイエローカードが出された。
 2点のビハインドを背負ったバルサは、マルケスに代えてシウヴィーニョを投入。早速左サイドを駆け上がりゴール前へクロスを送るが、ボージャンがミートしきれずDFに当たってゴールラインを割った。しかし線審の判断はゴールキック。
 少し不可解なジャッジが多い審判団だった。


 ■流れを変えられないバルサ
 後半もレアルペース。56分、バルサ最終ライン上を斜めに併走したグティに向けて、左のマルセーロがスルーパス。ドリブルで左へ流れるグティの後ろを抜けて、中央へ走りこむマルセーロ。グティが折り返して追加点かと思われたが、シウヴィーニョの的確なボールタックルで難を逃れた。しかしその代償は高く、負傷退場へ追い込まれてしまった。後半スタートから入ったばかりのシウヴィーニョだったが、エジミウソンと交代。

 60分、前節で優勝ゴールとなる2点目を決めたゴンサーロ・イグアインが入る。同じく前節で、同点弾を決めたロッベンと交代。暖かい拍手がスタジアムを包む。
 するとその直後に歓喜が再び。ディアラが右サイドを深くえぐると、併走していたニアのイグアインへパス。巧みなトラップと冷静さでGKバルデスをかわすシュート。3-0、レアルがダメ押しゴール。

 この後もグティに代えてロビーニョ、ラウールに代えてルート・ファン・ニステルローイをピッチ送り出すシュスター監督。3点差がついたからといって、手加減するわけでもない。何点でも取りに行く姿勢。そして今シーズンの功労者にピッチに立たせたい――そんな気持ちだろうか。

 入ったロビーニョがペナルティエリア左のところからクロスを上げると、何とプジョルの顔のところに行き、プジョルは思わず手を出してしまった。ハンド。PKスポットを指す主審。
 ラウールが去り、PKキッカーは当然ファン・ニステルローイ。思わぬ形で復帰祝いをもらえた形だ。ゴール右隅を突く素晴らしいシュートで4-0。

 絶望の淵にあるバルサにあって、メッシは一人気を吐く。
 81分、中央からドリブルで上がると、右のドス・サントスを使ってワンツー・リターン。ペナルティエリアライン上からシュートを放ったが、これはGKカシージャスが右手のワンハンドセーブ!この後もメッシが一人で持ち込むがシュートまで持っていけない。

 この後、メッシの斜めのスルーパスに反応したアンリがゴールサイドネットを揺らす「アンリらしい」シュートで一矢を報いるが、当然バルサ陣営に笑顔はない。
 シャビがイエロー2枚をもらい退場、バルサにとっては良いところが何一つない試合だった。

 レアルが4-1で圧勝。12月の23日のクリスマス・クラシコに続き、今季の直接対決を2勝した。


 ■総括
 レアルが文句のつけようがない勝利を果たしたエル・クラシコではあったが、ベストメンバーでもないバルサ相手だった。2位ビジャレアルに勝ち点10差をつけての優勝とはいえ、補強費の少ないビジャレアル、自滅したバルサ・アトレティコ・セビージャ・バレンシアに救われた感があり、最後まで優勝を競り合わなかったリーガ・エスパニョーラに盛り上がりが欠けるような雰囲気さえある。
 それにレアルは、チャンピオンズリーグ4年連続ベスト16に終わっている事実から目を背けることはできない。国内の地盤は固めた。次はどのような手を打ってくるか。まずは今夏の移籍市場で明らかになる。


 「ダービーでは現時点の成績と異なる戦いになる」――そんな定石もなく、惨敗したバルサ。主力があれほど欠けては当然かもしれない。
 検査で異常がないとの噂もあるロナウジーニョは欠場を続けている。夏の移籍は既定路線との声もあるが、ミランやインテルが「高額なため」手を引くという話もある。今の状態でバルサに残留したところで、モチベーションやコミュニケーションを保てるのかというところもある。

 リヴァプールのフェルナンド・トーレスが、プレミアの初年度であれほどの好成績を出してしまっただけに、「環境に適応できない」は今後言い訳にならないかもしれない。何せ数十億円の移籍金など大金を出資してのこと、結果が出なければ意味がない。
 ティエリ・アンリには今後も激しいプレッシャーがのしかかるだろう。ユヴェントス時代にあった「左WGでの起用」は失敗に終わっているが、それを繰り返している感が強い。
 ライカールトは4-3-3を頑なに崩さず、センターフォワードにはエトオやボージャンがいるため左になってしまうアンリ。ジュゼッペ・グァルディオラが新監督になるという噂だが、「選手ありきのシステム」か、「システムありきの選手」を用いるか。

 また以前の全盛期のバルサだったら「パス回しでスペースを崩して得点、”あるいは”メッシのドリブルの崩し」というオプション的なものだった気がするが、最近はメッシが一人で突っかける攻撃ありき、が多い。
 その意図が読まれ、囲まれて自滅するパターンが多い気がする。
 
 そんな全盛期のバルサを彷彿させるパス回しを展開したのはレアルだった。スネイデル、グティもさることながら、中でもピボーテのガーゴの展開力は見事だった。
 
 2位のビジャレアルが勝利したため、チャンピオンズリーグの予備予選からスタートになるバルサ。4位のアトレティコ・マドリー、セビージャとは勝ち点6差。得失点差でバルサが優位に立つも、アトレティコが今日試合を行うため、バルサが4位に転落する可能性も。おそらく4位以内は保持できそうだが。

 チャンピオンズリーグをストレートインできず、EUROがあるにも関わらず予備予選を戦うことになりそうなバルサ。夏の補強策にも大きく影響が出そうだ。

posted by batistuta |13:15 | リーガ・エスパニョーラ | コメント(4) | トラックバック(0)
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