2008年06月23日

籤引 スペインvsイタリア

  
 EURO2008の準々決勝第4試合、スペイン(D組1位)vsイタリア(C組2位)の試合がエルンスト・ハッペル・シュタディオンにて行われた。
 イタリアはピルロが警告累積により出場停止。司令塔を欠き、攻め手を欠く。その一方でキエッリーニが奮起し、スペインの攻撃を耐え凌いだ。
 EURO準々決勝の4試合で3試合目の延長戦、そして2試合目のPK戦となった。世界最高峰のGK同士の対決、ブッフォンが1人を止めたがカシージャスが2人をストップして、スペインがPK戦を制した。


 ■プレビュー
 スペインはグループリーグ第2戦のスウェーデン戦と同じ布陣。

 GK イケル・カシージャス
 DF ホアン・カプデビーラ
    カルロス・マルチェーナ
    カルラス・プジョル
    セルヒオ・ラモス
 MF アンドレス・イニエスタ
    チャビ
    マルコス・センナ
    ダビド・シルバ
 FW ダビド・ビージャ
    フェルナンド・トーレス


 イタリアはアンドレア・ピルロ、ジェンナーロ・ガットゥーゾが警告累積のため出場停止。DFアンドレア・バルツァーリがケガのため出場不可。
 グループリーグ第3戦のフランス戦でのシステム、4-3-1-2をデフォルトに。

 GK ジャンルイージ・ブッフォン
 DF ファビオ・グロッソ
    ジョルジョ・キエッリーニ
    クリスティアン・パヌッチ
    ジャンルーカ・ザンブロッタ
 MF マッシモ・アンブロジーニ
    ダニエレ・デ・ロッシ
    アルベルト・アクイラーニ
    シモーネ・ペロッタ
 FW ルーカ・トーニ
    アントニオ・カッサーノ


 ■前半
 前半のスタッツ。スペインのシュート数は10、枠内2。イタリアは2、枠内1。ピルロを欠くイタリア、いやピルロがいた時ですら攻撃のバリエーションが少なかったのが現実。ルーマニア戦でのCKからパヌッチのゴール、フランス戦のPKとデ・ロッシのFKのコースチェンジによるゴールの3点のみ。
 可能性としてはフランス戦のように、トーニにボールが集まることだったが前線にボールが行かず、渡ったとしてもプジョルとマルチェーナのCBコンビがしっかりとトーニに寄せてシュートに持って行かせなかった。

 スペインは今まで左サイドのシルバ、右サイドのイニエスタといった配置だったが、この試合はポジション交換していた。ザンブロッタ・グロッソというイタリアSBとの相性を考えていたのかもしれない。
 シルバはこの試合で最もシュート意識が強く、何度もイタリアゴールを脅かしたがGKブッフォンが立ちはだかった。「そこから打って、入るはずもない」と言わんばかりに、次々にシュートをストップしていく。


 ■リスクを犯さなかったイタリア
 「勝つ時は1-0で良い」――イタリアの美学であり、0-0でPK戦を選ぶのも辞さないだろう。
 ピルロほど攻撃の組み立てを効果的にできていなかったデ・ロッシとアクイラーニの中盤。ペロッタはローマでトップ下にいることが多いが、あくまで「トッティありき」のシステムでの役割。今回のEUROでの「4-3-3」「4-2-3-1」「4-3-2-1」のどれであっても、あまりペロッタが持ち味を出せるポジション・周りとの連携がなかったように思える。
 アンブロジーニの運動量は目立つほどではない。セットプレー、CKやFKでのフィジカルの強さを生かした絡みに期待をかけるとはいっても、120分でイタリアが得たCKはたったの1本。
 攻撃の手詰まり感は拭えず、両SBのグロッソ・ザンブロッタの効果的な上がりは見られない。2トップではトーニが前線に張るが、ボールが来ないカッサーノは下がってもらいに来る。しかしカッサーノがセンターライン近くでボールを受けたところで、前線をルックアップしても出すところがない。

 「4-4-2」のスペイン、中盤真ん中のチャビが上がりがちになった時には「4-1-3-2」に近くなる。イタリアがもし1点を取りに行くのならば「4-2-3-1」の形にして、センナにプレッシャーをかけることもできた。ただその場合は、失点のリスクももちろん上がる。

 交代カードを先に切ったのはイタリア。ペロッタを下げてカモラネージを投入。これで「4-3-1-2」から「4-3-2-1」というトーニのワントップに、カッサーノとカモラネージの2シャドーという形に近くなった。この後にはカッサーノに代えてアントニオ・ディ・ナターレを入れて「4-3-2-1」をキープしていたようだった。

 この「クリスマスツリー」が機能するのは、前線に「個で局面を打破するプレーヤー」が必要な気がする。昨年のチャンピオンズリーグ王者のミランのカカがそうであり、今季のアレッシャンドレ・パトでもある(パトの加入がシーズン最初からだと、ミランの成績は全く違っていたはず)。カッサーノは少々持ちすぎるし、トーニも独力突破型ではないのはバイエルンでのプレーを見て明らか。

 
 ■崩せなかったスペイン
 ただイタリアで最も良かったのはキエッリーニである。高さのないスペインFWにあって、平面的な勝負強さを持ちウラを取る能力に長けたビージャ・トーレスという2人に対しては、間違いなくファビオ・カンナヴァーロが相性が良かった。そのカンナヴァーロを大会前に負傷させてしまったのがキエッリーニである。
 そのキエッリーニが最も活躍したのは皮肉な話だ。責任感もあったのかもしれない。シュートコース、パスコースなど「コースを消す動き」が素晴らしく、地味ながらスペインの得点機を潰していった。パヌッチらと協力し、積極的なライン上げでオフサイドも多く取った。

 スペインの得点機の一つであった延長前半3分の場面。
 左サイドをドリブルで上がったビージャがクロス、ファーサイドでグイーサが折り返して、セスクがシュートもキエッリーニのクリアにあう。浅いクリアボールにシルバが食らいつきシュートまで持ち込むが、この時もシュートコースを消していたのはキエッリーニだ。ブッフォンと並んで、スペイン完封に貢献したといえる。

 後半終わってから表示されたスタッツは、スペインがシュート数18、枠内5本、CK7本。イタリアはシュート7本、枠内2本、CKは1本。スペインが幾度となくシュートを放ったが、巧みにスペースを消してイージーなシュートを打たせなかったイタリアだった。


 ■PK戦
 イタリアが守りきった。しかし得点はできない。スコアレスドローは当然の帰結だったかもしれない。クロアチアのビリッチ監督の言葉のように「PK戦はくじ引きのようなもの」である。世界最高峰のGK2人の対決、どう転んでもおかしくない。

 結果論かもしれないが、PKのキッカーやシチュエーションを軽く分析する。

 スペインの1stキッカーはビージャ。PK職人として有名である。そして2人目のカソルラ、4人目のグイサ、5人目のセスクと、交代選手をしっかり使った(グイーサはストップされた)
 対するイタリアは、ドイツW杯のフランスとの決勝戦で最後に決めたグロッソが1stキッカー、しっかりと沈めた。

 しかし外してしまったイタリアの2人。
 2番目はマンチェスター・ユナイテッドとのチャンピオンズリーグ準々決勝でPKを外したことが記憶に新しいデ・ロッシ。4人目は、延長後半に接触プレーで倒れこみ、観客から大ブーイングを受けてのプレーを続けることになったディ・ナターレ。
 何となくデ・ロッシとディ・ナターレが外した状況も納得が行く。

 そしてコイントスによる「スペインサポーターをバックにしたPK戦」。クロアチアvsトルコ戦でも、味方サポーターをバックにしたトルコが、PK戦を勝利している。


 ■今後のスペイン
 スペインの良かった点といえば、内容はどうあれ、何とか勝ち抜けたこと。
 他の準々決勝のブロック、ポルトガル・クロアチア・オランダは1位通過をグループリーグ第2戦で決め第3戦で主力温存し、準々決勝では途端に動きが悪くなり敗れ去った。スペインも決して動きが良くはなかったが、何とか乗り切った。これは大きい。

 準決勝の相手はロシア。グループリーグ第1戦で4-1と完勝したが、その第1戦不在だったアンドレイ・アルシャヴィンが第3戦、準々決勝と輝き続けている。試合を経ることで、ヒディンクのスペイン対策材料が蓄積されているだろうし、前回対戦の課題を修正してくるはず。
 今大会最強とも見られたオランダを、(オランダの動きが悪かったとはいえ)内容を伴う圧勝劇。勢いは間違いなくロシアにある。


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posted by batistuta |17:26 | EURO2008 | コメント(5) | トラックバック(0)
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籤引 スペインvsイタリア

コメント投稿者ID :

キエッリーニがカンナバーロを「破壊した」という表現はどうかと思いますが・・・

posted by buffon | 2008-06-23 20:04

籤引 スペインvsイタリア

コメント投稿者ID :

PK戦はくじ引きのようなものだというのは負けたチームの言い訳に聞こえるんですけど。トルコにしてもよく追いついたし、PK戦でなくとも勝利に値すると思います。キーパーの読みや、キッカーのシュート技術、なにより精神力も大事だし、運にまとめるのもどうかと。

posted by スペイン | 2008-06-23 21:49

Re:

コメント投稿者ID :

書き込みありがとうございます。

buffonさん<
確かに適切でない表現なので修正しました。

スペインさん<
この試合を見てスペインが勝って(まさって)いたとは思いませんし、勝利に値しないとも思っていません。
今季のチャンピオンズリーグ決勝にしても、チェルシーが劣っていたとも思っていません。
本文を読んでもらえれば「コイントスに勝利したこと」「イタリアのキッカーの選択」など問題があったことを書いています。もしタイトルだけ読んで判断されたなら「運だけでまとめた」と思われるかもしれませんが。

posted by 管理人 | 2008-06-23 22:30

籤引 スペインvsイタリア

コメント投稿者ID :

>オランダ×ロシアのコメントどうもです。
 数日間ご無沙汰でした。

 僭越ながら・・
 >02日韓WC 韓国を率いて3位
 →こちらはヒディングコリアはトルコに破れて4位ですよ。
 あげ足とるようでスミマセンッ。

 やはりヒディングはベスト4で消えましたね。
 ロシアの選手の「もう充分ここまで来た!」という試合内容が
 伝わってきたと思いました。

 ここからはうろ覚えの記憶ですが
 1987-88年の当時のチャンピオンズカップの優勝PSV、監督・ ヒディング@会場シュッツトガルト・ドイツ
 88年のEUROドイツ大会 決勝・ミュンヘン
 今はサッカーを開催していないオリンピアシュタディオン
 決勝カードは旧ソ連(ロシア)×オランダ
 決勝ゴールは今大会で退任が決定している
 ファン・バステン。

 20年の月日を経て、同じドイツ語圏のスイス・オーストリアの地にて、監督経験では明らかにファンバステンより優っている
 ヒディングにファン・バステのオランダが延長後半に虐殺されてしまうというのも妙な縁を感じました。
 ロシアにはEUROでは2度(選手では負けたが、監督としては )勝たせないよ、
 とも言わんばかりなのは個人的なこじ付けかもしれませんが
 「妙さ」を覚えました。

 イタリア×スペインですが
 この試合でイタリアが勝利してしまうと、グループリーグの1位が全て消えてしまうのはいかがなものかと思いましたので
 どちらの国もさほど思い入れはないのですが、スペインには
 がんばってほしいと思っておりました。

posted by pirosi | 2008-07-02 21:44

Re:

コメント投稿者ID :

ご指摘ありがとうございました。
コメント欄なので、修正せずに置いておきます。次から自分が書く時に間違えないようにします。

因縁というものは調べれば色々出てきて面白いものですね。

>イタリア×スペイン
<「勝負ごと」に陥ると、途端に分が悪くなっていた感のある今までのスペインが、ここで勝ったことが優勝に繋がったといっても過言ではないのかもしれませんね。

posted by 管理人 | 2008-07-03 22:47

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