2008年06月17日

諸刃の剣 ポーランドvsクロアチア

  
 EURO2008の第3戦、グループB・ポーランドvsクロアチアの試合がヴェルターゼー・シュタディオンにて行われた。
 グループリーグ首位通過を決めているクロアチアは、グループAのポルトガル同様、主力を温存してポーランドと戦う。控えとはいえ、高い戦術意識と組織力を持ったクロアチアは、試合のほとんどを支配した。左SBのプラニッチが何度もオーバーラップしてチャンスメイク、53分にはアシストを記録し、クラスニッチのゴールをお膳立てした。
 ポーランドも途中交代で入ったスモラレクが輝きを見せるが、得点には至らず。1-0でクロアチアがグループBを全勝で首位通過した。


 ■プレビュー
 ポーランドは勝利したとしても、他会場のドイツが引き分け以上ならば敗退。主将のマチエイ・ズラウスキは引き続き欠場、スモラレクがなぜかベンチスタート。

 クロアチアのビリッチ監督は「リザーブチームはない。チームには選手が23人いる。ファーストチーム、セカンドチームやリザーブチームなどの区別はない。どのメンバーを起用しても、ポーランドに勝てる自信がある。私はポーランドに対し敬意を持っているが、選手を信じている」 と語るが、当然主力の温存、そして警告を受けている選手を下げた布陣。

 GK ヴェドラン・ルニェ
 DF ダニエル・プラニッチ
    ダリオ・クネゼヴィッチ
    フルヴォイェ・ヴェイッチ
    ダリオ・シミッチ
 MF イヴァン・ラキティッチ
    ニコラ・ポクリヴァッツ
    オグニェン・ヴコイェヴィッチ
    イェルコ・レコ
 FW ムラデン・ペトリッチ
    イヴァン・クラスニッチ


 ■「左SB」プラニッチは諸刃の剣か?
 この試合のMan Of the Matchと言ってもよい活躍をしたダニエル・プラニッチ。オランダのヘーレンフェーンでシーズン12アシストもする位の「攻撃的MF」である。ビリッチ監督は、3月のスコットランド戦から「左SBプラニッチ」を実行し続けた。エドゥアルド不在の攻撃力補完のためである。
 しかし守備に難があるのは当然ではあった。グループリーグ第1戦のオーストリア戦ではプラニッチの裏をとことん突かれて、左サイドのMFクラニツァールやモドリッチらもカヴァーリングに追われた。そして今日はラキティッチが守る場面もあった。
 8分にはプラニッチが上がった左、ポーランドの右サイドに広大なスペースが出来て、ロボジンスキがクロス。クジノヴェクがダイビングヘッドで飛び込むところを、GKルニェがパンチングでクリア。
 ゴールは守ったが、クネゼヴィッチを失ってしまう。GKとの交錯で負傷交代となってしまったのだ。

 しかし。この後の展開は、ほとんどの好機にプラニッチのオーバーラップが絡んでいたと言って過言ではない。
 クロアチアのカウンター、ラキティッチがドリブルで上がる。繋いで、縦パスでライン裏へ送る。オフサイドポジションにいたクラスニッチは、プレーに関与しない頭脳プレーを見せる。そしてスルーされたボールに追いついたのはプラニッチ。シュートはアウト回転がかかり、ゴール右へ逸れる。

 34分、センター付近でボールを奪ったクロアチア。上がったプラニッチを経由して、エリアに侵入したラキティッチへ。シュートはGKボルツの極上の飛び出しでセービング。
 37分にはプラニッチがオーバーラップしてシュート、これもGKボルツセーブ。

 そして後半の得点シーンである。
 53分のクロアチアの攻撃時に、エリア内でクラスニッチが相手DFと競りあって転倒。ノーホイッスルだったが、ポーランドDFたちの足が止まる。左に流れたボールをすかさず拾ったのは勿論プラニッチ。するとクラスニッチと競り合っていたDFがプラニッチにつく。すると当然クラスニッチはフリー。体勢を立て直してプラニッチからボールをもらうと、しっかりとGKボルツのさわれないコースへ蹴り込みゴール!
 2度の腎臓移植手術を乗り越えた男のゴールに、EURO会場はいつものBGMではなく(「いつもの」がタイトルが分からないが)、ロッキーのテーマが流れたのだった。原題は「Gonna Fly Now」。クラスニッチ、今また飛翔の時。

 そしてプラニッチはというと、66分にも最終ラインのパスミスを奪ってそのまま強烈なシュート。主力が温存される中、いつまでも元気に左サイドを上下動するプラニッチであった。
 思い出せば、ドイツ戦での1点目、スルナへのピンポイントクロスはプラニッチからだった。


 ■ラキティッチ
 プラニッチの次にインパクトを与えたのは、間違いなくラキティッチであろう。
 第1戦は出番がなかったが、第2戦のドイツ戦で存在感を見せつけ、EURO後の移籍市場を騒がせるのでは、と早くも噂されているようだ。
 クラニツァール、モドリッチという技巧派MFが温存されているこの試合では、プレースキックのほとんどが、才能溢れる20歳の右足に委ねられた。
 鋭い球足でGKやDFがさわれない絶妙なところに蹴り込み、「スリルに満ちた」クロスを前線に供給していた。


 ■高い組織力
 「チーム最大の武器は組織力」――クロアチアの選手が口を揃えるこの言葉に偽りはない。優秀な監督、高い戦術意識が浸透すれば、例え「控え組」に変わったところで戦力が落ちたり、戦い方が変わるわけではない。
 前日のスイスvsポルトガル戦でも、首位通過を決めているポルトガルがスタメン8人を入れ替えた布陣で臨んでいたが、クロアチアの各選手を上回るであろう「個人能力」で戦っていた印象があった。
 この日のクロアチアの動き出しや連携は、正にチームとして機能し、高い組織力を感じさせる。


 ■総括
 1分け2敗で大会を去ることになったポーランド。GKボルツのファインセーブ連発は大いに楽しませてもらった(夏の移籍はどうなる?)。
 ポーランドは2012年EUROを、ウクライナと共催することが決定済み。ウクライナ、その時は36歳になるアンドリー・シェフチェンコが、しっかり現役でいられるか心配だが。

 さてグループAとBが出揃った。各所で議論になっている決勝トーナメントの組み合わせにより、「A1位vsB2位」「B1位vsA2位」が準々決勝、そしてこの勝者同士が準決勝を戦うことになっている。スケジュールによって日程差が生まれて不公平感が出ないように、ということらしいが…。

 B1位のクロアチアの相手はトルコ。

 心配だ。

 ドイツW杯のグループリーグ。初戦のブラジルを善戦したと思いきや、日本とスコアレスドロー、ヒディンクオーストラリアには2度リードを奪うも追いつかれてドロー。
 EURO2004ではスイスに勝ちきれないと思ったら、フランスと2-2の点の取り合い。
 日韓W杯ではイタリアに勝ったと思ったら、メキシコとエクアドルに負ける。

 と歴史を遡って行き着いた1998年のフランスW杯。
 ビリッチ監督がDFとして中山雅史をマークし、ダヴォール・シューケルが6得点で得点王、最終的に世界3位に輝いたクロアチア。
 
 現在の代表スタッフにはスラヴェン・ビリッチの他にも、アリョーシャ・アサノヴィッチ、ロベルト・プロシネツキという「世界3位」を知る男たちがおり、現在の代表を全面サポートしている。そして「勝者のメンタリティー」を注入しているはずだ。
 2002~2006年のようなポカはないかもしれない。すると狙うは3位――いや優勝を狙ってもおかしくない。今や、誰もクロアチアをダークホース扱いしていないだろう。

 それにしても、今回のクロアチア代表の青のユニフォームのカッコよさは反則な気がするのは自分だけだろうか。


posted by batistuta |11:40 | EURO2008 | コメント(2) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
諸刃の剣 ポーランドvsクロアチア

スポーツナビ+に載ってるlink、間違ってるよ

posted by おせっかい | 2008-06-17 11:51

Re:

おせっかいさん<
丁寧にありがとうございます。
編集の都合で、一回削除してアップしたら少しおかしくなってしまいました。

posted by 管理人 | 2008-06-17 11:59

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