2008年06月17日
まるでラグビーのやうに オーストリアvsドイツ
EURO2008の第3戦、グループB・オーストリアvsドイツの試合がエルンスト・ハッペル・シュタディオンにて行われた。 引き分け以上で決勝トーナメント確定という「自力進出」を目指し、ドイツがオーストリアを攻め立てる。キックオフ直後の4分、クローゼのクロスにゴール前でフリーのゴメスに渡るがトラップミス、好機を逃す。 その後は一進一退の攻防。オーストリアが危うさを見せながらも踏ん張り続ける。そして前半終了間際、熱くなった両監督が退席処分。 後半の48分、ラームがドリブル突破を仕掛けてFKを獲得、これをバラックが決めた。このゴールが、今大会初の直接FKゴールだった。 この後は総合力の差が出て、オーストリアに得点を決める地力がなかった。1-0でドイツが勝利、ポーランドvsクロアチアの結果を待つことなく、決勝トーナメント進出を決めた。 ■プレビュー オーストリアは、1978年ワールドカップ・アルゼンチン大会での「コルドバの奇跡」の再現を期待している。グループリーグ第3戦でオーストリアは3-2でドイツに勝利、ドイツのグループリーグ突破を阻止した。ヨゼフ・ヒッケルスベルガー監督はMFとして「その時」を経験している。 しかし現在のオーストリアの得点力不足は深刻で、本大会では第2戦のイヴィツァ・ヴァスティッチのPKでの1得点のみである。 オーストリアは、今年の2月6日にドイツと親善試合で対戦している。オーストリアは前半3バックでドイツの2トップを封じて善戦。しかし後半に崩れて3失点、ドイツが3-0と圧勝している。本大会ではまだ起用がなかった左サイドMFクリスティアン・フフスがその親善試合で好調だったため、この試合ではスタメン起用された。 オーストリアは3-3-1-3の布陣。 一方のドイツ、第2戦でクロアチアに敗れてしまったため、グループリーグ突破を第3戦に持ち越した。 2試合とも右SBでスタメンだったマルセル・ヤンゼンが負傷のため欠場。バスティアン・シュヴァインシュタイガーは第2戦の終了間際にレッドカードをもらい、出場停止に。 GK イェンス・レーマン DF フィリップ・ラーム クリストフ・メッツェルダー ペア・メルテザッカー アルネ・フリードリッヒ MF ルカス・ポドルスキ ミヒャエル・バラック トルステン・フリンクス クレメンス・フリッツ FW ミロスラフ・クローゼ マリオ・ゴメス ■前半 「一つでも勝てば私としては成功だ」――開幕前に語っていたオーストリアのヒッケルスベルガー監督。クロアチア、ポーランドと負け・引き分けでドイツに勝てるとは思えない。 「コルドバの奇跡」、そしてEURO2大会連続グループリーグ敗退中と嫌なジンクスがあるドイツ。しかもEURO2004ではグループリーグ第2戦のラトビア戦でスコアレスドロー。地元開催国のオーストリア相手で、何が起こるか分からない。前日のトルコvsチェコの試合結果が、緊張感をさらに増幅させていただろう。 キックオフ直後、早速ドイツにチャンスが。右サイドをドリブルで突破したクローゼ、巧みにDFをかわしてクロスを送ると、ゴメスがゴール前で完全フリーの状態。しかしゴメスはこれをトラップミス、DFにクリアされてしまう。ゴメスはドイツ代表になって初めての大舞台。ドイツイレブンで最もプレッシャーがかかっていたかもしれない。 オーストリアは3バック+SBというギリシャに近い超守備的な布陣。しかしギリシャとは比べるレベルにはもちろんなく、少しバラけると突破を許す場面が見られた。 それでもオーストリアは果敢に攻める。右サイドから組み立て、ドイツが上げた最終ラインの裏をハルニックが見事なダイアゴナル(斜め)・パス。ホッファーが抜け出したがトラップが大きくなり、GKレーマンがキャッチング。千載一遇のチャンスを失う。このあたりが残念ながら、スイスやトルコとの違いなのだろう。 オーストリアはアウフハイザー、ドイツはポドルスキがミドルを果敢に狙っていくが、両GKが冷静にセービング。 ドイツは圧力をかけ、CKを得ていく。クローゼのゴール前のジャンプは本当に高い。相棒のゴメスのあだ名が「スーパー・マリオ」なら、クローゼはルイージか。オーストリアDFより頭一つ抜け出す高さに脱帽だ。 一進一退の攻防に熱くなったレヴ、ヒッケルスベルガー両監督は、テクニカルエリアを越えてピッチを鼓舞。しかしこれが主審の目に留まり、両者退席処分を受けてしまった。2人ともスタンド席へ行き、まるでラグビーの監督のように。 レヴ監督は、出場停止のシュヴァインシュタイガー、そして背広姿のオリヴァー・“ゴールデン・ボーイ”・ビアホフの間で座っての観戦となる。 ■後半 後半開始直後、ドイツ最終ラインのメルテザッカーがトラップミス。ホファーが奪って一気にカウンターに持ち込むも、シュートに持っていくことができない。 ピンチをしのいだドイツ、ラームがハーフラインから加速し、ドリブルで一気に攻め込んだため、イヴァンシッツがたまらずファール。 遠すぎず近すぎず。最高のポジションのFK、最悪のポジションの壁。名手バラックが確実にこれを沈めた。意外なことに、これが今大会初の「直接FKゴール」。新ボール「EURO PASS」が何か関係しているだろうか。 オーストリアはこの後にライトゲプ、サウメル、キーナストと入れていくが、得点に結びつくことはない。英雄ヴァスティッチを入れて代表最後のプレー、とも行かなかった。 ドイツは調子が上がらないゴメスを下げ、2月の親善試合で先制点を挙げたヒツルスペルガーを投入。左サイドハーフに入っていたポドルスキをFWに上げる。そして終了10分前にはベテランのノイヴィルを入れて試合を落ち着かせた。 オーストリア、イヴァンシッツのドリブルでの中央突破や、ホッファーのエリア内での振り向き様のシュートなどもあったが得点ならず。 結局、1-0でドイツが勝利し、決勝トーナメント進出が決まった。 ■総括 この日のドイツの相手は、確かに格下ではあった。強敵は「自身へのプレッシャー」だったのだろう。人によっては「4つの中で最もラクなグループ」と見る人もいただろう。ドイツは、とあるブックメーカーの優勝候補で一番のオッズだった。 そして第3戦では「引き分けでもOK」という状況が、必死さを出せなくなっていたのかもしれない。グループリーグではあまり強さを見せなかったドイツだが、決勝トーナメントに行けば、後はやるだけ。 ヤンゼンはいなかったが、第2戦の後半同様、ラームが本職の左SBで躍動感溢れるプレーを見せている。右SBはドイツW杯でスタメンを務めていたフリードリッヒ、決勝トーナメントではこの両SBで行くかもしれない。 ドイツは結局グループリーグ2位通過で、準々決勝の相手はポルトガル。2006年ドイツW杯での対戦は、3位決定戦かつドイツの地元というお祭りムードだった。参考にはならないだろう。
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posted by batistuta |11:24 |
EURO2008 |
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