2008年06月16日
スイスの中のトルコ人 スイスvsポルトガル
EURO2008の第3戦、グループA・スイスvsポルトガルの試合がザンクト・ヤーコブ・パルクにて行われた。 既にグループリーグ首位通過を決めているポルトガルは主力を温存。スイスは開催国として、地元ファンに初勝利を捧げるべく戦った。 前半は一進一退の攻防。ポルトガルはスタメンを3人残しということで、多少連携に不安が見られて個人技が目立つ。 後半にスイスがファンの後押しを受け、徐々にペースを掴む。そして71分にハカン・ヤキンが抜け出してゴールを挙げた。さらに83分にもスイスがPKを得て、ハカン・ヤキンがゴール。 2010年ワールドカップに向けて、スイスが新たな船出の時。 ■プレビュー スイスの第1戦 スイスの第2戦 スイスはGKにツベルビューラーを配す。EURO2004、ドイツW杯とスイスの堅守を支えてきた36歳のベテランに最後の花道。 GK パスカル・ツベルビューラー DF リュドヴィク・マニャン パトリック・ミュラー フィリップ・センデロス ステファン・リヒトシュタイナー MF ヨハン・フォンランテン ギョクハン・インレル ジェウソン・フェルナンデス ヴァロン・ベーラミ FW エレン・デルディヨク ハカン・ヤキン ポルトガルの第1戦 ポルトガルの第2戦 ポルトガルはP・フェレイラ、ペペ、リカルド以外を総替え。決勝トーナメントに向けて主力を温存、控え組にはアピールのチャンス。 GK リカルド DF パウロ・フェレイラ ブルーノ・アウヴェス ペペ ミゲウ MF ミゲウ・ヴェローゾ フェルナンド・メイラ(CAP) ラウール・メイレーレス FW ナーニ エウデル・ポスチーガ リカルド・クアレスマ ■ポルトガルの面々 ポルトガルの控え組はこの試合でアピールして、決勝トーナメントの舞台に立ちたい。 まずはクアレスマ、左サイドからラボーナでクロスを送るプレーで魅せる。 ラボーナとは、軸足の後ろから蹴り足を出し、足を交差させて軸足の外側にあるボールを体とは逆方向に蹴るキック。 ミゲウは豪快なオーバーラップを見せることはなく、最終ラインでパスミスをする場面があった。しばらくはボシングワが安泰だろう。 M・ヴェローゾは中盤で奮闘したが、競争相手のモウチーニョと交代させられてしまった。 ナーニは前線からしっかりと守備をしていたが、GKとの1vs1の場面では狙いすぎて外してしまった。 そして常にポルトガル代表の「アキレス腱」と呼ばれるセンターフォワード。この日はポスチーガが入ったが、残念ながらチャンスを決め切れなかった。クロスボールに合わせるヘディングはほとんど枠を捉えられず。ただ、35分のクアレスマのスルーパスに抜け出してゴールネットを揺らしたシーンは、オフサイドか微妙ではあったが…。 ■スイスの中のトルコ人 一方、スイスのフォワードのH・ヤキンは好調だった。プレースキッカーも務め、エリア内でもボールの来るところに顔を出していた印象。31分には左CKからのボールを、H・ヤキンはヘディングでしっかりとゴール隅を捉えていたが、ここはGKリカルドの好セーブにあう。 後半から徐々にペースを掴んできたスイス。64分にインレルがバルネッタとワンツーパス交換。左サイドから絞って入ってきたバルネッタがいたスペースに、左SBのマニャンが侵入。インレルが見逃さずスルーパス。ベーラミらが何度もシュートを狙い、弾かれ、最後はインレルが遠いところからシュートを狙っていった。これは惜しくも左のポストに当たってしまう。 しかしこの猛攻にスイスサポーターがスタンディングオベーション、スイスイレブンを後押しする。 71分、スイスが攻め寄り弾かれたボールを、もう一度縦に放り込む。するとデルディヨクがうまく落として、H・ヤキンが完全に抜け出した。GKリカルドとの1vs1、プレッシャーがかかる場面だったが、冷静にリカルドの股を抜くシュート。さらに火に油を注ぐがごとく、スタジアムが盛り上がる。 さらに83分、フェルナンデスがエリア内にショートパスを送ると、受けたバルネッタがB・アウヴェスと交錯して転倒。際どいプレーだったがホームアドヴァンテージか、主審はPKスポットを指差す。 そしてキッカーはH・ヤキン、PKストッパーのリカルドにコースは読まれたものの、その上を行く弾道を蹴り込みゴール。 インレル、H・ヤキン、デルディヨク。トルコの血を引く3人が、スイスを勝利に導いた。 ロスタイム、スタジアム中に歓喜の歌声がこだまし、試合終了と共に笑顔が弾ける。 「Merci Kobi」――退任が決まっているヤコブ・クーン監督へ、労いの言葉を書いた横断幕を選手たちが広げて感謝した。 ■総括 勝ち抜けが決まっているポルトガル、大幅な入替では攻撃の組み立てもしづらかったかもしれない。改めてデコの存在感を思い知らされる。少しクロスバーに嫌われた感もあった。スイスサポーターの念が邪魔をしたのだろう。 しかしポルトガルはしっかり休養を取り、おそらくは2位で抜けてくるであろうドイツとの死闘に備えることができた。 スイスは第1戦の前半、とても素晴らしかった印象があった。DFとMFの4×2の、美しい2ラインディフェンスに感動すら覚えたほどだ。しかし前半終了間際に、得点でスイスを引っ張っていくと思われていたアレクサンダー・フライが負傷離脱。スイスの精密時計は、大きな衝撃で大きく狂ってしまったようだった。 さらに親善試合ここ12試合でチーム得点王だったFWマルコ・シュトレラーの離脱。スイス攻撃陣の危機かと思われたが、H・ヤキンとデルディヨクという(元)トルコ人2トップが良い働きをした。インレルも精度の高いミドルシュートを放つなど、今後の飛躍に期待を窺わせる。 大会前にリヴァプール移籍が決まっていた右SBフィリップ・デゲンに注目していたが、残念ながら出番なし。クラブでの活躍と、ベーラミとの激しいポジション争いに期待したい。 司令塔・バルネッタもまだまだこれからの23歳。ヨハン・フォンランテンはミスが多かった今大会だが、リヴェンジを期待したい。 ベテランの域にある左SBのキャプテン・マニャンは29歳、守備の要ミュラーは30歳、フレイも28歳。2年は大丈夫だ。 大会で勝ち進むには強固な守備が必要、スイスはそれを持っている。さらに経験を得た時、世界に驚きを与えることができるだろう。 そんなチームに、バイエルンで指揮を執っていたオットマー・ヒッツフェルトが、2010年W杯に向けてスイス代表監督就任。チャンピオンズリーグ優勝経験を持ち、スイス方言を話す(ユース時代、スイスで生活。現在の実家もスイス)名将が、絶好のタイミングでやってくる。 これからのスイスに、期待しないわけにはいかないだろう。
posted by batistuta |10:24 |
EURO2008 |
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