2007年07月27日
夏なので……
シーズンオフのお祭り、今年は地球の裏側でコパ・アメリカ(現在発売中のロビーニョ表紙号で大会総括を掲載しています)が終わり、アジアカップでの日本の3連覇は叶わなかった。個人的には小さい頃の記憶からプロ野球オールスター。秋山のバック転、門田の一本足……、当時はきっと、パ・リーグの猛者たちをTV画面で見られる貴重な時間だった。もう、そんな季節か。額に滲む汗に夏を感じる。 唐突だが、今回はシーズンオフの脱力感そのままに、こんな季節に聴いて良し、そしてサッカーの奥深さも感じられる一枚を。ジャケットにはレゲエの神様、ボブ・マーリーがサッカーをプレーする勇姿。『on the pitch』と『off the pitch』。ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズが世界的に有名になる71年のメジャー1stアルバム『Catch a Fire』以前の音源で構成された2枚のコンピレーション盤だ。「俺はサッカーを好きになる前から音楽が好きだった。もし最初にサッカーが好きだったら危なかったよ」。彼がサッカーをこよなく愛したことは有名だ。自らのチームを持ち、ツアーの先々でもサッカーに親しんだとのこと。パリツアーの最中にはフランスのトップチームと試合をして、足の爪が剥がれるケガをしたというエピソードもある。 このジャケット写真には思い出すことがある。3年ほど前にヨーロッパを旅行した際、旅先の地でたびたび目にしたのがこの写真だった。今もってクラシカルなルーツ・レゲエを支持するファンが多い欧州諸国。特に人権問題に関してリベラルなフランスやドイツ、オランダなどは、非英語圏であるのにもかかわらずルーツ・レゲエ、そしてボブ・マーリー人気はいまだ絶大だ。ここにはレゲエという音楽が持つメッセージ性や神秘性、社会性といったものが絡んでくる。一過性の軽薄な若者文化などではなく、グローバルで、45年もの歴史を持つこの大衆音楽の歴史については、ガイド本などを参照していただきたい。 話を戻すと、アフリカ系移民の多い欧州諸国にはレゲエに親しむ文化が色濃く残り、街なかの一角にはレゲエを鳴らす(基本は爆音!)レストランやバー、レゲエ専門のレコード店なんかが並んでいたりする訳だ。そして、そんな店でよく見かけるのがこのボブのポスター。ラスタファリズムの思想にはアフリカ回帰という側面があり、現在のアフリカ諸国でも当然、レゲエは最も親しまれている音楽の一つである。そして、カリブ海の一民族音楽の枠を越え世界に広まったこれに同じく、そこにボールがあればすぐにゲームが始まるサッカーは、アフリカそして欧州で最も楽しまれているスポーツ。ボブがサッカーに興じるこの写真は、そんな双方の側面を象徴しており、アフリカの人々にとって特別な存在にあると言えるようだ。 本作はそのタイトル通り、サッカーを快適にプレーするというコンセプトのもとに構成されたもの。世界へ旅立つ直前のボブ・マーリーが、母国ジャマイカへの視点のみで創り上げたオリジナル音源という意味でもその価値は大きく、サウンドにはモータウンやジェイムズ・ブラウン風ファンク、アメリカのポップソングをパクったものから、ドゥーワップを取り入れたコーラスまで、初期に影響を受けた音楽の一端をも窺い知ることができる。コンピレーションということで、曲によってそのメッセージ性は様々だが、アルバム全体に漂う心地良いリズムは個人的に、祭りの後のちょっとした「off」と、感傷に浸る間もなく目の前に迫る新シーズン開幕&暑さへの抵抗を表す「on」にピッタリはまっている。そして今日もオン、まずは各国の移籍動向をチェックして一日が始まった。『on the pitch』『off the pitch』 ともに¥2,310(フレイヴァー・オブ・サウンド)
posted by 『footballista』編集部・赤荻 悠 |16:33 |
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『on the pitch』『off the pitch』
ともに¥2,310(フレイヴァー・オブ・サウンド)

