2007年07月17日

U-20W杯の魅力と危険

本誌でも2号連続で特集しているU-20W杯が、いよいよ佳境に入った。ベスト4が出揃い、残すところ4試合である。この大会の魅力は、何と言っても未知の才能をいち早く発見できることにある。位置づけとしては競馬のペーパーオーナーゲーム(デビュー前の馬がどれだけ活躍するか予想するゲーム)の楽しみに似ているかもしれない。

だが、若手の発掘を楽しむことは危険もはらんでいる。よく指摘される批判は以下の通りだ。

1.周囲がチヤホヤすることで若手をスポイルしてしまう危険がある
2.サッカーは実力がすべてであり、年齢は関係ない
3.未熟な若手同士のサッカーでは本当の実力は測れない

1については、その通りだと思う。U-20W杯に限らず、若手が大舞台で活躍し、突然脚光を浴びた場合、周囲の大人たちが注意を払う必要がある。若手の祭典は魅力あるエンターテインメント・コンテンツだが、伝える側の心構えとしても安易なスターシステムにより、前途有望な若手をスポイルしてしまうことがないように、気をつけたいと思う。

一方、2は一見正論だが、事実に反している。おそらく批判している人は、1と2が混ざってしまっているのだろう。サッカーにおいて若さは武器である。より直接的な言い方をすれば「若さは金になる」。06年オフにインディペンデェンテからアトレティコ・マドリーに加入したアグエロの移籍金は、2300万ユーロ(約37億円)、07年オフにスポルティングからマンチェスターUに加入したナニの移籍金は、2550万ユーロ(約41億円)。これらの数字からも、それは明らかだ。1と2は分けて考える必要がある。

3は当てはまる部分もあるが、これだけではやや乱暴な言い分だ。試合を見ていれば、飛び抜けた能力を持つ選手は明白だからだ。03年のアルゼンチン大会ではフランスのシセとブラジルのアドリアーノがすでに怪物と騒がれていたし、05年のオランダ大会ではアルゼンチンのメッシやナイジェリアのミケルとタイウォがそうだ。彼らのその後の活躍は周知の通りである。

だが、前回大会で輝いたオランダのクインシーのように、飛び抜けた才能を持ちながら素行不良や独善的なプレースタイルの影響でくすぶるケースもある。組織面で甘さがあるU-20年代では個人の力のみで何とかできても、大人のサッカーでそれは通用しない。身体的な資質に恵まれていても、視野の広さや、味方を使ううまさなどのインテリジェンスがなければ、成功の確率は低くなる。要はそれを見分けられるかどうかが問題で、逆に言えばそれさえ意識すれば若手の将来性も自ずと見えてくるはずだ。

今回のU-20W杯でもメキシコのドス・サントスやブラジルのアレシャンドレ・パトなど魅力的な選手が揃っている。皆さんの目には彼らの将来性はどう映っただろうか?

※
7月25日(水)発売の本誌ではU-20W杯の決勝、3位決定戦、準決勝を速報レポート。その他、大会期間中のドス・サントスを直撃したインタビュー、U-20日本代表の敗因分析を掲載予定です。ぜひご覧になってください。

posted by 『footballista』編集部・浅野賀一 |14:57 | トラックバック(0)
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