2007年11月09日
なぜリバプールは不調に陥ってしまったのか?
シーズン序盤の好調ムードから一転、最近は内容も良くなく、結果も出ていないリバプール。リーグではなんとか無敗を維持しているものの、アンフィールドではわずかに1勝。CLに至ってはすでに2敗と、“らしくない”状況が続いています。ではなぜ、彼らは調子を落としてしまったのでしょうか。 リバプールが調子を落とした要因の一つに、アシスタントコーチのパコ・アジェスタランの辞任が挙げられます。パコがフロントに辞任の意思を伝えたのが8月31日。翌日のホーム、ダービー戦では6-0で大勝していますが、この直後からチームにパコ辞任の影響が見られるようになります。 代表戦を挟んで迎えたバーミンガム戦をスコアレスで終えると、直後のCLポルト戦では不甲斐ないパフォーマンスに終始。リーグカップではレディングに勝ち、週末のウィガン戦ではベナユンの個人技でなんとか勝利を飾ったものの、4日後のCLマルセイユ戦ではまさかの敗戦を喫してしまいました。中でもマルセイユ戦のパフォーマンスはひどく、普段はどんなに劣勢でも大声を出してサポートするアンフィールドのファンが、試合中に続々と帰ってしまうほどでした。 パコ辞任の理由は、ベニテスとの確執だと言われています。きっかけは、パコが組むトレーニングプログラムが厳し過ぎるとベニテスが注意したことだとも。この一件は、選手に大きな喪失感を与えました。選手の間では最もパコと親しかったと見られるシャビ・アロンソは、意気消沈してこう話したそうです。 「彼がいなくなるということは受け入れ難い。トレーニングも変わってしまったし、新しい状況に慣れるには時間がかかると思う。彼とはいつも一緒にトレーニングをしていたんだからね」 フィジカルトレーナーとして才能を発揮し、11年にもわたってベニテスを陰から支えてきたパコ・アジェスタラン。リバプールでも、フィジカル系の管理はすべて彼が担っていたと言われます。やはりチームにとっては大打撃と言うべきでしょう。また、彼は愛嬌のある人間で、選手たちとは非常に良い関係を築いていました。それはアロンソのコメントを見れば一目瞭然です。 先ほど、パコが職を離れてからリバプールが不調に陥ったと書きましたが、それは数字も証明しています。パコが去る以前は5試合で4勝1分、去ってからは13試合で5勝6分2敗です。 リバプール不調の原因は、個人的には「フィジカルコンディションの低下」と「ベニテス采配の迷い」にあると思っています。そしてこの2点は、まさにパコの存在と関係のとても強い事項。もし不調の要因がその2点にあるとすれば、パコの辞任が大きく影響したと考えてもおかしくないはずです。 「フィジカルコンディションの低下」についてですが、ベニテスはこの問題を「代表戦が原因」と言い切りました。確かにリバプールは各国A代表選手を16、7人抱えるチームですが、それはユナイテッドもチェルシーも、アーセナルも同じ。言い訳にはなりません。 そして「ベニテス采配の迷い」については、ケニー・ダルグリッシュが今月3日のブラックバーン戦後(0-0)、TV局『セタンタスポーツ』にこう話しています。 「今日は終盤チャンスがあったが、毎試合終盤まで0-0で入る訳にはいかない。今リバプールがやらなくてはならないのは、今日の終盤のようなプレーを試合開始からやることだ。早い時間に仕掛けて得点を取り、それから引く。リバプールをサポートしている人々が慣れ親しんできたのは、こういうプレーだ」 「ラファはここで成功しているが、今は少し自信をなくしているように見える」 リバプールは本来、退屈なカウンターサッカーのチームではありません。ダイレクトのパスと豊富な運動量で、スピーディな攻撃を展開するチームです。それはベニテス就任後、一層鮮明になった攻撃のスタイルでもあります。ですが、今のリバプールにその理想のサッカーができるかと聞かれれば、答えは恐らく「NO」です。では、なぜ「NO」なのか。 その答えがパコ・アジェスタランだと僕は思っています。 パコの辞意を聞いた際、ベニテスは彼がチームに残ってくれることを望んでいましたが、そうはいかなかった。ベニテスもパコ不在がもたらす影響を十分に理解していたのでしょう。リバプールの理想とするサッカーは、フィジカルコンディションの維持なくして成り立たないものなのです。フロントはベニテス支持を公言していますが、周囲の状況は不安定。ポルトガルからは、「モウリーニョがリバプール監督就任に興味」という噂も。 然るべき結果を出して、雑音を吹き飛ばしてほしいものです。結果が出れば、采配の曇りも晴れていくでしょう。 ……と、これを書いた数時間後、リバプールはCLベシクタシュ戦で大会記録となる8-0という大勝を収めてしまいました。この勝利は間違いなくチームにとって追い風となるでしょうが、この1試合に勝っただけでチームが不安を解消できたとは思いません。弛緩したムードにならないことを祈るばかりです。 最後に、パコ・アジェスタランの話を少し。パコは今季終了後までリバプールとの契約を残していますので、他のクラブで仕事をすることができません。しかし、ビルバオに始まり、ユナイテッド、チェルシー、最近ではバレンシア、ウェストハムがパコの引き抜きを画策していると言われています。貴重な戦力をライバルに取られてはならない。ベニテスの苦悩は続きます。
posted by 宇佐美裕之 |12:09 |
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