2009年07月31日

モリーニョの粋なひと言(監督の資質)

少し古い話になるが、バルセロナとインテルでエトーとイブラヒモビッチのトレードが行われた。
バルセロナは、4600万ユーロの移籍金をインテルに支払うという条件だ。
(フレブの期限付き移籍もあったが、シュツットガルトへの移籍が決まった)

両選手とも素晴らしい選手だが、一見するとインテルがかなり得をしたような印象を受ける。
イブラヒモビッチは、移籍したかったチームなだけにモチベーションは高いだろう。
しかし、心配なのはエトーだ。
移籍の経緯が経緯なだけに、本人が納得していないと、いくらスター選手とはいえ100%のパフォーマンスは望めない。

今、インテルの監督はモリーニョだ。
以前、モリーニョに関するコラムがスポーツナビに掲載された時も感じたことだが、今回もさすがと思わせるコメントを出している。

「エトーの獲得は、1億ユーロ(約135億円)級の驚くべき取引に値するだろう。
今オフの目玉は、6800万ユーロ(約93億円)でのカカの移籍や、8000万ポンド(約129億)での
クリスティアーノ・ロナウドの移籍だと言われているようだが、わたしにとってはエトーの移籍もそれに匹敵する」

「イブラヒモビッチを失って幸せを感じるようであれば、それは愚かな監督だ。
一方、エトーを戦力に加えて幸せを感じないようであれば、それも愚かな監督だ。
わたしはエトーがイブラヒモビッチより劣るとは思っていない」

これはトレードがほぼ決まったという時点でのコメントになる。
独特の言い回しではあるが、それがモリーニョらしさ、彼しかできないようなコメントの深さに出ている。
単純なコメントより、よほど効果がある。
前日本代表の監督であるオシムもそうだが、彼らは自分の言葉を持っている。
そして、えてして比喩やたとえ話がうまい。
表現にインテリジェンスを感じ、またストレートに表現しないことで、聞いたものに考えさせるきっかけを与えてくれる。
そして何よりぶれない自分を感じさせ、聴くものに安心感を与える。

モリーニョは当然、エトーの移籍に関するごたごたは承知の上。
入団会見もしていないこの時期に、こうした言葉をかけるということで、エトーのモチベーションは上がるはずである。
しかも直接声をかけたのでないというところがミソだ。
粋なひと言ではないか。

こうした言葉の端はしから、選手の心をがっちりつかみ、チームとしてまとめあげる能力が感じられる。
サッカー監督の資質はいろいろあるだろうが、一番大事なのは、いかにして選手のモチベーションを高い位置で保つことができるかということだろう。
どうやったら、選手の100%の能力を発揮させることができるかということだ。
監督の資質には、戦術や選手交代のタイミング、選手の起用方法なども必要だろう。
しかし、監督は「モチベーター」であることが第一条件だと思う。

このモリーニョの言葉を聞いて、名監督の条件が思い浮かぶ。
そして、やはり心は日本代表に行く。
現日本代表監督は、口下手というか、言葉のチョイスが下手だなぁとずっと思っていた。
しかし、最近になり(コメントの部分を切り取られたという経緯もあろうが)「世界を驚かせる」「ベスト4」などという言葉を出す監督には、正直驚いた。
逆に策士なのではないかとも思えるほどだ。
ひねった表現ではなくストレートな表現ではあるが、これも考えてみれば粋なひと言といえるだろうか。
しかし、問題は選手がどう思うかである。
教科書や哲学書、名言集などにのっている素晴らしい言葉を出しても、選手に響かなければ何にもならない。
今の日本代表の選手に届いているだろうか。
クラブチームと国の代表では、監督に与えられる時間も違うのだが。。。

エトーは好きな選手なだけに、セリエAのピッチでも縦横無尽の活躍を期待したい。
彼のモチベーションは心配ないだろう。
バルセロナ・インテルにとって、「Win-Win」となるトレードとなるだろうか。
そうであったほうが、面白い。
注目はやはり、CLだろう。
二人の対決が見れるかどうか、楽しみである。

posted by ballgame |23:53 | サッカー | コメント(9) | トラックバック(0)
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2009年07月30日

受難続きの投手陣(今できること)

日本人投手の受難が続いている。
ご存知の通り、上原は怪我でDL入り。
松坂もDL入りだが、これは調整のため。
しかし、首脳陣との調整方法の話し合いがマスコミに漏れ、それが首脳陣批判だとバッシングを受ける始末。
(直接フランコナ監督に謝罪したことで解決の道へ)
数日前の写真で、別人のようにすっきりした顔立ちの松坂、そして調整方法について「よい話し合いができた」と話していただけに、とんだ災難と言えるだろう。

今日は(30日)は、ブレーブスの川上が先発し、相手投手に3ランを打たれるなど、4回2/3を3本塁打を含む7安打6失点を喫し、早くも8敗目(5勝)となった。
8回には、情熱を失わない監督のコックスが審判への抗議で退場になるおまけつき。
以前のブログにも書いたが、6月下旬の交流戦で、レッドソックス、ヤンキースと立て続けに対戦し、日本時代の投球を思い出したかに見えた川上。
しかし、その後は好投するも味方打線の援護はなく、今日を含めて3連敗だ。

先日(29日)は、岡島が7回途中での登板で1失点を喫し、相手打線に勢いを与え、レッドソックスは逆転負け。
ここ数日は、MLB所属の日本人投手の苦悩ばかりが目立つ。
本格的にお祓いが必要と思えるほどに。
まさか全員が厄年という年齢でもないであろうに。
今シーズンを通しても、ほとんどの投手がDL入りしている。
一つの原因ではないだろうが、日本人投手全体の「運」というオカルトな部分も信じてみたくなってしまう。

さて、その中で自分が注目しているレッドソックスの斎藤。
先日(29日)11回に登板し、自責点はつかないがタイムリーヒットを打たれた。
そして今日(30日)、8回の負けている場面での登板で、今シーズン3度目となる連投となったが、1回を無失点に抑えた。
試合後のインタビューでは、
「連投は大丈夫。チャンスをもらえることを喜んで、マウンドに上がっている」
と答えている。

今シーズン、斎藤はレッドソックスに移籍して、セーブのつく場面での登板よりもむしろ大差勝ち、大差負けの試合に投げることが多い。
気持ちの面で難しい登板が続く。
7月上旬には、登板する試合で失点する試合が続き、心配したが、このコメントを聞く限り、大丈夫だろう。
インタビューにもあるように、斎藤は与えられた場面で、自分の投球を出しつくすしかない。
そして、「チャンスをもらえることを喜んで」投球することで、一球一球の大事さを思い出すのではないだろうか。
昨シーズンより、登板する場面の予想が難しくなったことで、斎藤自身のモチベーションは、高いところで維持しているとは言えないだろう。
しかし、今日の登板をきっかけに、またMLBという舞台で投げることのできる楽しさを思い出して、魂のこもった勢いのある球を投げてほしい。
ドジャース時代の、これで引退してもいい、とボールそのものがほえるようなストレート、そしてスライダーの切れ。
自分のやるべきことをシンプルに考え、その過程を楽しめば、きっと順番は回ってくる。
そう願っているし、これからのプレイオフをかける試合で、救援陣に疲れがでてくる頃の救世主となれるだろう。

受難と思えるようなこの時期、この状況。
はたして、どう乗り切ればいいのだろうか。
3Aでのメッツの高橋やヤンキースの井川を見ればわかる。
やることは決まっている。
今の状況を受け入れ、自分のやるべきこと、得意な投球を見せつけ、チャンスを待つ。
チャンスは必ず来ると、自分を信じることだ。
先週、米ツアーで初優勝を果たした宮里藍のように。
受難は耐えれるもののところにのみ訪れる。
だから、頑張れるのだろう。
それができている2人は、今素晴らしい成績を残している。
今のところ、チャンスは巡ってこないが、きっと将来につながっている。
最短の道につながっていることを、彼らは知っている。

自分たちファンには、それを後押しできるよう願うしかないだろう。
海を越えて、声が届くように、祈るように。
斎藤をはじめ、プレイオフに出場し、チームを頂点に導くような投球ができる投手を、沢山みれるよう期待している。
WBCで見せたように、日本の投手陣は素晴らしいというところを見せてもらいたい。
優勝を決める場面で、マウンドに立っているのは…想像すると楽しくなる。

posted by ballgame |23:58 | MLB | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年07月29日

"残らない"記録(イチローの意外な初記録)

記録とは、
「競技などで、数値として表された成績や結果。また、その最高数値。レコード」
と辞書にもある通り、ずっと残っていくものである。
例えばMLBの記録。
これはMLBが続く限り、大げさにいえば野球がこの世から消えてなくならない限り、未来永劫残り続ける。
もちろん、ずっと前のデータとして保存されていないものは別だ。
自分たちが小さいころから記憶している、または今現在眼にしている記録に関しては、今後もどこかに残る。

しかし、記録には語り継がれるような大記録もあれば、"残らない"記録もある。
厳密にいうと"残らない"記録などないが、そう表現したくなるような記録だ。
すべての記録は残るものだが、例えば今年イチローが挑戦している年間200本安打の連続記録。
これはとてつもなく偉大な数字、記録として残り続けるだろう。
9年連続のMLB記録を目指しているイチローは、9年間変わりなく、自分のやるべきことをやってきた証である。
変わりゆく対戦相手、気候、チーム、そして自分の肉体と技術。
そして変わらない自分のルーティン、プロとしてやるべきこと。

考えてみてほしい。
9年間というと、MLB挑戦した年に生まれた子供はもう小学3年生だ。
(失礼ながら)サルみたいな顔をしていた赤ん坊が、夏休みの今、外を駆け回り、真っ黒になってたくましく遊んでいる。
その年月を想像すると、夏にも関らず鳥肌が立ってしまう。

話がそれてしまった。
上記した記録や、シーズン最多安打は記録とともに、人々の記憶にも残る記録と言えるだろう。
ここでいう"残らない"記録とは、ほとんど人々の記憶にないものだ。
数字のみで、ひっそり消え去る記録のことをこう呼びたい。
(表現が悪いかもしれないが)価値のない記録などないが、価値の低い記録ともいえるかもしれない。

今日行われたマリナーズ対ブルージェイス戦。
初回に先制点、6回に追加点を加え、3点をリードしたマリナーズだが、7・8回に失点し、同点に追いつかれる。
連敗中のマリナーズ、いやな雰囲気が漂うが、9回2死満塁で打席はイチロー。
外角のカーブに、お得意のほっぺを膨らませながら、球をセンターに運び、サヨナラヒットを放つ。

イチローは、MLBで1,953本打ったヒットを打った中で、初めてのサヨナラ打。
イチローにしては、珍しい種類の記録だ。
2,000本近くのヒットを放ちながら、サヨナラ打が初めてとは、正直驚いた。
だが、驚いたのは一瞬で、近年のチーム状況が浮かぶような記録に、苦笑いも浮かぶ。
もちろん、巡り合わせもあるだろうし、チャンスの場面で敬遠される場面も多いので、一概には言えない。
この状況で、ここ数年のマリナーズの不調ぶりを思い浮かべるのは、弱い時代のレッドソックスファンのようにペシミストだろうか。

イチローは試合後、「それだったら最後まで出なくても…」と言っていた。
ここ数日のひねくれてるようにとらえられる言葉だが、声のトーンが違っていた。
イチローの(MLB)初のサヨナラ打ということで記録に残るが、これこそ"残らない"記録と言えるのではないだろうか。
数年後、覚えている人は正直少ないだろう。
「イチローが初のサヨナラ打打ったのは?」
とは、かなりカルトな質問となること間違いない。

いわばこの"残らない"記録、しかしマリナーズファンにとっては大きい1本だった。
大敗続きといっていい4連敗、今日の試合の流れから、まさか…と思ったファンは少なくないだろう。
最近のマリナーズの投手陣は、相手にビックイニングを許してしまう。
連敗はチーム全体の責任だが、今回は投手陣の責任が大きい。
とはいえ、責任のなすりあいをしても仕方がない。
期待を持って臨んだ後半戦も、この連敗で、いつの間にかエンゼルスとは7.5ゲーム差。
これ以上行くと、近年の二の舞になってしまうところでの踏ん張りは大きい。

イチローにとっては、初のサヨナラ打という「記録」だが、ファンにとっては記録ではなく、これはうれしい「記憶」である。
しかも、生涯残るような記憶ではなく。
2試合連続3安打という記録も尋常ではないが、それさえ当然と思えるような活躍。
しかし、それより嬉しいことがある。
チームが勝ったことが一番だが、8回まで3度出塁しての2得点だ。
イチローの得点で、マリナーズが勝つ。
これはどんな記録よりもうれしく感じる。

年間200本安打達成の心配は、今のところ少ない。
怖いのは怪我だけだが、イチローのプロ意識の高さから、ちょっとした油断からの怪我というのは考えられない。
イチローに期待したいのは、"残らない"記録ではなく、もっともっと"記憶"に残ってほしいということだ。
その記憶は、1日2日といった短いスパンでいい。
チームに貢献した記憶、逆転を阻止した送球、投手にプレッシャーをかける走塁。
そういった記憶にも、たくさん出てきてほしい。

自分の時代ではないが、「記録の王、記憶の長島」と言われていた。
最近の記憶というと、やはり引退した清原あたりだろうか。
皆、素晴らしい記録を残しているが、勝負強さが記憶に残るといわれているゆえんであろう。

イチローは、今まで常識とされていた記録を打ち破り、新たな記録を作り続けている。
その点で異論のある人はいないだろう。
だが、この後半戦は記憶にも残るようなイチローにも期待したい。
(しばらく開けてなかった引き出しから出てきたような)"残らない"記録"ではなく、"残る"記憶として。。。
そんな期待は欲張りすぎだろうか。

もちろん、イチロー一人では勝てるわけがない。
チーム全体として、ここからの踏ん張りを期待したい。
そして寒さを忘れる10月にしてほしい。
がんばれ、マリナーズ、イチロー!

*あえて"残らない"記録としたが、イチロー自身は狙ってやっている訳ではない。むしろそういう記録を見つけるマスコミが新たな気づきを与えてくれる場合もあるだろう。

posted by ballgame |23:57 | MLB | コメント(6) | トラックバック(0)
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2009年07月28日

百花繚乱の中で…(盛り上がった名古屋場所)

関東では梅雨明け宣言をしたが、それでもまだ全国的にぐずぐずな天気が続いている。
梅雨といえば、紫陽花がきれいに生え、じめっとした気持ちに花を咲かせる。
からっとした夏がくれば…南国に咲くような色とりどりの花が待っている。

そんなイメージに負けなかったのが、大相撲名古屋場所だ。
大相撲名古屋場所は、白鵬が千秋楽で朝青龍を下手投げで破り、14勝1敗で11度目の優勝を飾った。
今年に入り、白鵬は安定した成績を収めているが、優勝はまだ2度目。
高次元で安定した成績の割には、優勝が少なく感じる。
それは期待の裏返しだろうか、それともあまりの安定度からくる錯覚だろうか。
白鵬はより下半身が安定し、盤石の態勢を築きつつある。
本人の目標は双葉山と言っているだけあり、その可能性は十分ある。
年齢も24歳と若い中、あの落ち着きは恐ろしくもある。

しかし、その「木鶏」となるべく精進している白鵬の落ち着きぶりが目立つのは、やはりもう一人の横綱、朝青龍の存在があるからだ。
白鵬が「水」なら、朝青龍は「火」。
白鵬が「山」なら、朝青龍は「風」。
横綱の模範とも思える白鵬が「王道」ならば、朝青龍は自ら険しい道を切り開く「覇道」だ。
もちろん、その険しい道を歩いているのは、本人の激しすぎる性格ゆえの、周りとの軋轢のせいでもある。
それにしても、最近の朝青龍バッシングは、あまりにひどすぎると思うのだが。。。

朝青龍もまだ28歳だ。
最近のけいこ不足さえなくなれば、まだまだ白鵬には譲らないような力を持っているはず。
今場所に限らず、最近の場所は、怪我のため激しいけいこができないせいもあろうが、過去の遺産、反射神経で相撲をとっているといってもいい。
それでいて、今年の初場所に優勝するのだから、力は全力士で随一と言えるのではないだろうか。
しっかり怪我を治す、そして本人のやる気が燃えるような何かがあればいいのだが。。。
朝青龍は周りから言われても、自分で気持ちが盛り上がらなければ、やる気が起きないだろう。
親方でも無理だ。
どうしても、善玉=白鵬、悪玉=朝青龍、としたほうが報道もしやすいのだろう。
しかし、人気はどうして朝青龍のファンだという声も少なくない。
感情を表にだす、稀勢の里や朝青龍のようなタイプは好き嫌いが分かれる。
憎たらしいなぁ、と思う時もあるが、こんなガキ大将みたいな力士もいなければ相撲は盛り上がらない。
もし引退してしまったらと思うと、何割楽しさがなくなってしまうだろう。
面白くなくなるでしょ?
ぜひ大鵬の32回の優勝記録とまではいかなくても、30回は行ってほしいと願っている。
現在23回、白鵬の成長があるので難しいかもしれないが。。。

今回、綱取りを狙った日馬富士の成績は残念だった。
現在強さを発揮している白鵬も、綱取りのチャンスを1度ならず逃している。
焦る必要はない。
しっかり地力をつける時だろう。
そして来年の今頃には、横綱としての日馬富士を見てみたい。

琴欧州の強さも光った。
前日のコラムにも書いたので詳しくは書かないが、もともと恵まれた体、力は大関にはとどまらない。
今場所見せたハートが本物なら…来場所、来来場所が楽しみになる。

こう書くと、上位が外国人ばかりだなぁ、と嘆く方がいるかもしれない。
案じることはないと思う。
日本人の活躍は確かに見たいが、これが今の大相撲なのだ。
想像してみてほしい。
白鵬、朝青龍、琴欧州、日馬富士がいなかったらと。
とてもつまらない場所になるだろう。
強いものが集まり、強いものがだれか決める戦い。
地震をも止めるという横綱には、やはりどの国も関係ない強者が座るべきだろう。
わざわざ日本まで来ていただいているのだ。
嬉しいことではないか。
地元の琴光喜も12勝を挙げた。
まさに戦国時代、百花繚乱ではないか。
場所が終わったばかりだが、もう続きが見たくなる大相撲。
今度は、どんな華が、どんな色が舞うのだろう。
楽しみだ。

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posted by ballgame |07:56 | 相撲 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2009年07月27日

やさしさの奥に潜むもの(琴欧州の瞳)

大相撲名古屋場所、千秋楽。
琴欧州対日馬富士。
この対戦に負けると、結びの一番の前に白鵬の優勝が決まってしまう。
いつものじりじりするような、のんびりした琴欧州の立会い。
多少息は合わなかったが、勢いよくぶつかる日馬富士。
ぶつかった瞬間、琴欧州は左の前みつに指をかける。
つく日馬富士。
耐える琴欧州。
指がかかっただけの左の前みつをぐっと引きよせ、その瞬間勝負は決まった。
日馬富士は、引き寄せられ、体を入れ替えられ、後はあっさり寄り切られた。
琴欧州の完勝だ。
強い。

たまりで結びの一番を見上げる琴欧州。
これが、あの精神的にもろいといわれていた琴欧州だろうか。
親方に「横綱になりたいか」と問われ、「はい」と答えた琴欧州。
それだけで別人だとわかるエピソード。
いや、別人ではない。

停滞していたように感じたのは、琴欧州というグラスに水を入れている最中だったのだろう。
そのグラスは透明ではなく、中は見えない。
変化がないと思っていたのは、見かけだけで、その大きな体にあうだけの容量を埋めるのは時間がかかった。
やっとあふれだす水とともに、周りも彼の強さを感じた。
そして成長した姿に気づいた。

白鵬対朝青龍は、素早い巻き替えが続き、熱戦となったが、白鵬の下手投げが決まり、優勝決定戦とはならなかった。
下手投げで土俵下に転がった二人は、ちょうど琴欧州の左わきだった。
その時の琴欧州の目を忘れない。
あの優しそうな青い瞳の色は変わらない。
しかしその瞳の奥には、いた。
獣のように感じるなにか異質なものだ。
一瞬ではあるが、隣に転がっている朝青龍を見る目は、軽蔑さえ感じられる冷たい眼だった。
そこには、野生が確かに存在した。
見間違いだったらどんなにいいことか。
そう思わせるような瞬間だった。

悔しさを表情に表すわけではなく、あっさりと支度部屋に戻った琴欧州。
白鵬がどっしりと腰を下ろしてインタビューを受ける姿をテレビで見て「自分が代わりに座りたかった」と悔しさをにじませたそうだ。
婚約者のご当地ということで勝ちたかったところもあるだろう。
しかし、それより自分の力に自信があったからこその悔しさではないだろうか。
あの瞳の奥にいたもの、これが間違いでなければ…うまく飼い慣らせれば…来場所の優勝候補は琴欧州だろう。

左上手をがっちり引き、相手に何もさせないような力強い取り口をものにした今場所。
もともと大きな体、その力強さは大関にはおさまらない力を持っている。
そして、横綱への願望を口にしたこと、精神面の成長もうかがえる。
心技体の「体」だけだった印象が、「心」「技(左上手)」がやっと追い付いてきたように感じる。
そしてあの瞳。。。
やさしさの中に強さが潜む琴欧州。
今までにない落ち着きを感じたのは、一本芯の通ったやさしさになったからではないだろうか。
強くなろうと決断したからではないだろうか。

決定戦になっていたら…と思うと悔しいが、楽しみは来場所に取っておこう。
来場所の琴欧州から目が離せない。

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posted by ballgame |08:22 | 相撲 | コメント(0) | トラックバック(1)
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2009年07月26日

もう一度行ってみたい球場(東京ドーム)

今年のオールスターは札幌と広島で行われた。
かたや大逆転、かたや本塁打が飛び出すなど派手な試合だった。
外野では、テーブルにヤシの実の下で、家族連れが食事をしながら、試合を見ている。
きっと、大人になって素敵な思い出として懐かしく感じるだろう。
そんなきれいな芝生が生える広島マツダスタジアムを見ていて、思ったことがある。

日本のプロ野球は12球団。
当然本拠地は、その球団数と同じ12か所ということになる。
(日ハムが北海道に移動する前は、東京ドームを併用していたが)

自分は関東に住んでいたことから、東京ドーム、横浜スタジアム、神宮球場、千葉マリンスタジアムには足を運んだことがある。
東京ドームには、中学時代の修学旅行が初めて。
ふーっとする空気圧が驚きだった。
観戦時間が決まっていたその夜の試合は、確か日ハム対近鉄の一戦だったと思う。
当時、東北での中学生だった時の修学旅行だ。
豪勢に巨人戦とはいかないだろう。
しかし、住んでいた土地柄、なかなか生でプロ野球の試合など見ることがなかった。
渋い対戦相手であろうと、その球場の雰囲気、応援の音の大きさ、そして実際に見る球の速さなど、目を輝かせてみていた。
例えそれが内野の2階席であろうと、学帽をグローブ代わりにして打球を待っていた。

その試合は投手戦、なかなか点が入らず、試合展開は早かった。
小さな子どもだったら、退屈な試合だろう。
乱打戦がお気に入りに決まっている。
ただ、昔からそんな試合展開も嫌いじゃなかった自分は興奮しっぱなしだった。

それにも関らず、観戦時間の終了が迫っていた。
ナイター、そして中学生だったこともあり、旅館に帰る時間が早いのは仕方がない。
自分はただ、残念で仕方がなかった。
投手戦にも限らずだ。
そして、それは普段野球をあまり見ることのない他の友人や生徒たちも同じ気持ちだった。
時間はそう、8時半くらい、回は7回あたりまで進んでいただろうか。
そこまで、日ハムの投手が相手打線をノーヒットに抑えていたのだった。
ルールをあまり知らない子たちも、球場のざわめきでなにか特別なことが起こっているとわかる。

次第にざわめきが強くなっていく球場。
帰りたくない生徒たち。
先生も残念そうな顔もあれば、時計とにらめっこしている先生もいる。
仕方なく、宿へ向かった。

止まる部屋にはテレビもない。
恒例のまくら投げやひそひそ話でもしたのだろう。
時間は11時を回っていた。
どたどたどた。
廊下を走ってくる音が聞こえる。
友人のAがひゃーという奇声を発しながら、ふすまを勢いよく明けた。
「先生きちゃうだろ!」
そんな声など聞こえず、みんなをテレビのある大広間へ連れて行った。
まだ、当時あったプロ野球ニュース。
なんと、自分達が見たその試合で、日ハムの投手はノーヒットノーランを達成したのだった。
なんという奇跡だろうか。
たまたま東京にいったその日の、たまたま観戦したその試合でノーヒットノーランなんて。
最後まで見ていたかったという残念さよりも、いい試合見れたね、という喜びしか感じなかった。
投手の名前も覚えていない。
ただ、ノーヒッターという記憶だけが鮮明に残っているから、名前なんてどうでもいいのかもしれない。

そんな印象が強く残っている東京ドーム。
大学時代に1度行ったきりで、足が遠のいている。
大学時代の友人が、応援団のトランペットを吹いているとかいう話を聞いたことがあるが、それでも足を運んでいない。
何年ぶりになるだろうか。
今度行った時には、またなにかすばらしいことが起こってくれるだろうかと期待して、その時を待っている。
もう一度行ってみたい球場、東京ドームでした。

posted by ballgame |23:55 | プロ野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年07月25日

松井稼の運、不運(2,000本安打まで19本)

前回、松井秀のことを書いたので、同じ名字つながりで…という安直な考えではないが(笑)
先日、自打球を右ひざに当てて途中交代した松井稼。
状態を心配したが、次の試合は元気に先発出場し、4打数2安打。
日米通算2,000安打まで、あと19本とした。
個人的には、この日米通算という記録はあまり好きではないのだが、これは松井稼が長年の野球人生で積み重ねたもの。
日米をまたがったものだからこそ、より立派な記録と言えるのかもしれない。

MLBに移籍して、今年で6年目となるが、ここまでかかるとは意外だった。
日本での記録は、1,433本。
松井稼の実力ならば去年、達成していてもおかしくない記録である。
これは、ここまでのMLB生活が決して順調ではなかった証であろう。

メッツ時代の大不振、ロッキーズ、アストロズに移籍しても怪我が多く、試合を欠場するのが決して珍しくなくなってしまった。
今シーズンも5月下旬から6月中旬まで、DL入り。
日本時代のタフさを考えると、別人かと思うくらいである。
MLBでのシーズンでの最多出場試合は114試合。
平均すると、95試合程度になる。

これだけ見ると、松井稼はついてない、不運な選手にも見える。
はたしてそうだろうか。
怪我は、プレー中の仕方ない部分もあろう。
しかし、イチローのように常に体をいたわり、試合に出場し続けている選手もいる。
腰痛という持病もあろうが、その部分では不運とはいえないかもしれない。

それよりも、逆に松井稼は運のある選手なのではないだろうか。
そして、数字上あまり目立った成績を残していないが、はたしてそれほどひどい成績だろうかと思ってしまう。
活躍が印象に残るシーンが多いのだ。
もしくはその印象が強いかだ。
やはり、2年前の「ミラクルロッキーズ」の快進撃(その核弾頭としての働き)、そしてレッドソックスとの頂上決戦、岡島とのしびれる対決。
そしてメッツ時代の開幕、初打席初本塁打などがあったからだろうか。

これだけの(本人の実力を考えると、これしかともいえる)成績にも関わらず、ワールドシリーズにも出場を果たしている。
そして、今季の成績も.253(7/23時点)とは思えないくらい、いいところでの活躍が目立つような気がするのだ。
BSでの観戦が主になるファンにとって、なかなか一試合を通しての松井稼の活躍は見ることはできない。
せいぜい、ダイジェストでの活躍だ。
しかし、そのダイジェストでの印象がより強く見える。
イチローのように動きながら軽快にはじき返すというバッティングではなく、下半身を沈め、あまり力を入れてないように見えるスイング。
右打席ではその打球がぐんぐん伸び、左打席ではシュアに外野に運ぶ。
力まないという点でいえば、理想のバッティングの形のひとつではないかと思う。

怪我で常時試合に出れてない。
ナ・リーグのため、あまり注目されない。
松井稼は不運だろうか。
小さくとらえれば、不運だろう。
しかし、ここまでのMLB生活は、それほど悪くないといえるのではないだろうか。
「ベスト」とはいかないが、「ベター」ぐらいには。

松井稼、なかなか評価の難しい選手だ。
彼本来の実力から考えれば、もっともっと活躍してもおかしくはないし、もっとできるとファンは信じている。
レイズの岩村が怪我している中、日本人野手の内野手として、アグレッシブにチームを引っ張っていってほしい。
ちょうど、2,000本安打までカウントダウンが始まった。
マスコミの注目も集まる。
もう少し、注目されてもいい選手が注目を浴びるようになれば、こんなにうれしいことはない。
日々記事が増えていくであろう松井稼の活躍に期待したい。
チームもまだまだトップを狙える位置にいる。
とにかく、怪我なく、後半戦を乗り切り、2年前の興奮を再び!
2,000安打の達成する年に花を添えてほしい。

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2009年07月24日

彼が勝ちとったもの(好調なヤンキースと松井秀)

先日、ヤンキースの松井秀は、オリオールズ戦、同点の9回にサヨナラ本塁打を放った。
MLBでのサヨナラ打は今回で5度目。
前回は4年前の05年7月30日のエンゼルス戦までさかのぼる。
この数字だけで、明確に述べるのは乱暴だろうが、ここ数年の松井秀の苦闘が表れているようにも見える。

ヤンキースは後半戦負けなし、レッドソックスの連敗もあるが、一気に単独首位に立った。
好調の要因の一つに、先に挙げた松井秀の好調なバッティングも関係しているだろう。
しかし、そのサヨナラ本塁打を打った翌日、スタメンに松井秀の名前はなかった。
DHのポジションが大きく影響している。
もちろん、ヤンキースの主軸の高年齢化(A・ロッド、ポサダなど)により、彼らをDHのポジションで休ませたいというチーム事情も大きい。

DHのみでの出場。
ヤンキースの守備の時は、ベンチで戦況を見つめる松井秀。
日本時代でのタフな松井秀、そしてセ・リーグに所属していたということで、まだなんとなく慣れない自分もいる。
返す返すも、左手首骨折、そして両膝の故障が立て続けに起きたことに、悔しさを覚える。
「しっかり守備ができていれば…」
「怪我さえなければ…」
「出場回数が増えればもっと打点が多くなるのに…」

イチローのタフさ、そして最近増えてきた盗塁(走塁面)、本塁打性のあたりをジャンピングキャッチした守備(4つ目のエラーを記録したが(笑))を当然のように見ているファンからすると、どうしても物足りなく感じてしまうのは仕方ないところ。
しかし、もう少し別の角度で見てみると、松井のすごさが表れるのだと思う。
考えてみてほしい。
MLBでの日本人野手に求められているもの、それは打つことだけを求められて、チームと契約した選手は少ないということである。
イチローしかり、岩村しかり、松井稼しかり、福留しかり。
走好守3拍子揃っているとまではいかなくても、そこそこ守れ、そこそこ走れる選手が求められていたのだ。
打つだけの選手ならば、わざわざ日本から、MLBで何の実績もない選手を大きなお金をかけて契約するリスクよりは、MLBで現に活躍している選手、または、アメリカ出身(カナダや南米でもいい)のルーキーに任せたほうがいい。
あまりDHだけで長く活躍した選手というのも聞かないだろう。
マリナーズのE・マルティネスくらいだろうか。

松井秀と契約したヤンキースも、イチローとまでは当然いかないまでも、外野手の一角として長く活躍してもらいたいという期待から契約したのだと思う。
もちろん、一番の期待はその打撃であろう。
その期待にたがわず、初めの数年はクラッチヒッターとして打点を稼ぎだし、チームに貢献してきた。
MLBへ移籍してからの打撃は、長距離砲というよりは、中距離打者としての活躍に、自らをチーム事情に合わせた。
日本のファンはその大きな本塁打を期待していたが、結果的にはチームの貢献度は、打点だけでなく、その勝ち星に表れ、NYのファンに迎えられた。

その松井秀が怪我をしてしまったため、守備に不安を感じさせるからということで、DHに座っている。
「DHしかできない」と考えるのではなく、「DHを勝ち取った」と考えればどうだろう。
もともと、DHをさせるために、わざわざ太平洋を渡って選手をとることはない。
松井の場合は状況は違うだろうが、もう日本人という枠ではなく、松井秀本人の打撃、チャンスに打ってくれる強さによって、勝ち取った地位なのである。
多少出場機会が減るのは仕方がない。
DHよりは、やはり守備もすべて、試合全体で躍動する姿を見てみたいのはファン心理である。
しかし、松井が今の状況で、力を出して奪い取った、9人目の打者としての地位。
不満をいうどころか、松井秀の力を表しているというところで、たたえるべきではないのだろうか。
もちろん、少しは物足りなさは感じるが、その分、期待が増す打席のみでの結果を求められ、期待にこたえている彼は、イチローとは違い、すごい選手なのである、と改めて認識した。

現地のマスコミからは、「今年度が最後の雄姿となるだろう」とも書かれているらしい。
正直、来年のことはどうなるか分からない。
膝の状況が今より良くなり、多少なりとも守備につくことができれば、ヤンキースとの契約を交わすだろう。
他のチームでも、大活躍、中核を任せられる選手であることは間違いない。
今シーズン終了後、あわてて契約を結びなおすヤンキースが見れる。
そう信じて、活躍を期待したい。

posted by ballgame |08:26 | MLB | コメント(19) | トラックバック(0)
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2009年07月21日

未知と無知(全英、石川遼の挑戦)

例年素晴らしい戦いを見せてくれる全英オープン。
今年はいつも以上に興奮し、落胆もした大会だった。
全英オープンはその歴史からか、「イリアス」「オデュッセイア」などの叙事詩のように、ストーリーが感じられる。
解説者の巧みな解説のせいかもしれないが、そのコースの歴史、その選手の歴史が感じられ、ゴルフを極上の映画のようにとらえてしまう瞬間がある。
自然そのままといったコース、直角に近い小さなバンカー、どこまでも転がっていきそうな傾斜、ラフではなく近所の荒れた空き地並みの草むら(フェスキュー)。
そして強風に、寒さ、雨。
パットがショートするとまばらな拍手しかおこらないギャラリー(チャレンジしていないから)。
代々の名勝負もあるが、やはりコースや自然の条件、目の肥えたギャラリーなど、歴史を感じずにはいられない、メジャー大会でも一番好きな大会である。

今年は、日本から7名が挑戦し、残念ながら5名が予選落ち。
予選通過は久保谷健一と今田竜二の2名。
久保谷は2日目トップに躍り出たが、最終的には27位タイ。
これが今年の日本人最高成績となった。

さて、全英直前のミズノオープンで奇跡的な優勝をし、出場権をもぎ取った石川遼。
マスコミの注目度はものすごいもので、大会前にも関わらず、スポーツ新聞では連日1ページ丸ごとどころか、裏一面にさえなっていた。
石川遼を応援するファンは沢山いたが、過熱気味の報道を楽しんではいたが、それに引きずられることなく、冷静に石川遼の応援をしていた方が多いのではないだろうか。
つまり、「予選突破して4日間みれればいいな」というようなものだ。

マスコミの要望も多分にあっただろうが、2日間タイガー、(最後まで優勝争いした)ウェストウッドと一緒に回る機会を得た。
これは、石川本人の力ではどうしようもない他力な部分である。
しかし、そういう状況を周りが作ってあげたいと思わせる力は、石川遼自身の特筆すべきところである。
その人気に押しつぶされることなく、うまくコントロールして、自分の成長の糧となる状況を最大限利用する石川遼は、やはり何かを持っている。
もちろん、利用といっても、悪い顔をしてなにかたくらむというわけではない。
自然とそういう道ができているとでもいうのだろうか。
自分で切り開き、周りもその道を認め、太く、舗装していく。
そんなイメージをするとわかりやすい。

予選通過だけでなく、プレーぶりも注目することとなった、初日からの2日間。
タイガーと回るということで、日本人だけでなく、他の国も「Who is 石川遼?」から、具体的にどんなプレイヤーなのか認識される大事な2日間。
注目するポイントは2日目、9Hごろからだった。
初日は風があまり強くなかったが、この9Hごろから、ピンが折れるくらいに強風が吹き始めた。
叩きつける風と表現したほうがいいのかもしれない。
風、そして寒さ。
石川遼はキャディの後ろに隠れ、北国でもあまりお目にかかれないごつい手袋をしていた。
解説の青木功はいう。
雨、風、寒さで一番いやなのは寒さだ、と。
全英らしさが石川遼を襲う。

襲われたのは石川遼だけではない。
同じくタイガーも餌食になってしまった。
10Hで牙を剥く風、寒さ、そしてコース。
タイガーのティーショットは右に大きく曲げてロストボール。
暫定球を打ち直す。
今までタイガーのプレーを数多く見てきたが、これほど雑なプレーをするタイガーを見るのは初めてだ。
目の焦点もぼんやりして、ティーアップすると、さっさとドライバーで打つ。
心がここにあらずといった感じだった。
その後も、見つかったと思ったボールが他人のものだったことが2度。
それも暫定球を打とうとしたときだったからタイミングが悪い。
前回のメジャー大会である全米オープンでの雨の祟られ方といい、今年のタイガーはメジャー大会にはまってないように感じる。
あれだけ、展開に愛されていたといっていいタイガーでもこんなことが起こるんだと、唖然としてしまった。
結局、10番のホールアウトは10分以上(15分ほどだろうか)かかっていた。
それも自分たちのような、アマチュアゴルフなら何回もあるだろうが、テレビ中継でこんなに時間がかかったのは、初めてだ。

さて、このホール石川もティーショットを右に打ち込み、深い草むら(ラフという表現は似合わない)から打った2打目は、なんとバンカー中央のこれまた深い草むら。
結局ボールはあるにも関わらず、打てずにアンプレアブル。
このホールは結局ダブルボギーをたたいた。
この後、タイガー、石川遼ともにずるずると(というよりもなんとなくと言ったほうがよいだろうか)スコアを崩し、予選落ちしてしまった。
後半9H残してイーブンだっただけに、一度歯車が狂いだすと、止めようがないこの全英。
予選通過は期待していただけに、タイガーとともに回るという重要な経験に加えて、あと二日回ることができたらと思うと残念だ。
前回のブログでも書いた通り、石川遼のキャディーや大会委員長の言葉通り、「予選通過のチャンスはある」という、今時点での実力がそのままでたということだろう。

彼のプレーで一番注目なのは、大会前からも言っていた、自分のスタイルを変えずに挑んだというところだ。
ある記事では、「状況に合わせてクラブ選択をしていれば…」と書いてあった。
予選通過のためには、そのゴルフ解説者のいう通りなのだろう。

しかし、石川遼はあえて自分のスタイルを貫いた。
コースの「無知」でそうしたわけではない。
わからずドライバーで高い球を打ったわけではない。
(確かに一緒に回る2人に比べ、TVカメラがティーショットのボールの追いかけ方が、一人だけ違っていた)
事前の練習でもわかっていたことだ。
わかっていながら、どこまで通用するか。
それを石川遼は知りたかったのだ。
「無知」と「未知」。
無知は蛮勇、うまくいったらいいなぁというスタンスだ。
これでは先にはあまりつながらない。
未知はわくわく、どういうものかなんとなく知っている。
後は実際に経験してみよう、試してみよう。
そのスタイルの違いは大きいと思う。

「20歳でマスターズ優勝」とは、小さいころからの目標。
今は、そのための、強固な土台づくりの最中だ。
どんな風が吹こうが、雨が降ろうが、どんな厳しい状況だろうが、今経験していくことで、崩れない土台を作る。
17歳という年齢、そして石川遼のどん欲なまでのゴルフがうまくなりたいという強烈な決意で、今は呼吸をしても成長できる時だろう。
小手先の技でたとえ今回予選通過しても、真っすぐ自分の持っている実力をぶつけ、自分に足りないものが明確になった今回のような戦いのほうが、今の石川遼にはプラスになるだろう。
予選通過しなかったことで悔しさを表した石川遼。
もちろん目標達成できなかっただろうから、悔しいだろうが、案外割り切っているところもあるのだと思う。
土台を作り、確かな根を作る。
その意味では戦い方は好感が持てる。

昨日の記事では「タイガーの(歩く)姿勢が素晴らしかった」とあった。
詰まらないことを、というなかれ。
どん欲なまでに、いいところを取り入れよう。
そして何より、そんなささいなところも見逃さない観察力に、石川遼のすごさを改めて感じた。

全英オープンでは、歴史を感じることができた。
そして、新たな歴史を築いている、新たな扉を開けようとしている石川遼とのギャップが印象的だったこの大会。
イタリアのアマチュアで、16歳のマナセロがトップと3打差の位置につけていることも、新しい人たちの足音なのだろうか。
新たなスターの活躍、そしてまだまだあきらめちゃいけないよと、トム・ワトソンの戦い。
夏休みに入り、期末試験など思い出したくもないだろうが、そんな時期に、やけに歴史を勉強したくなる、歴史を意識させる大会だった全英オープン。

日本人最高位の久保谷は言う。
「全英ならなんとかやっていけそう。パワーは必要じゃないから」
これは予想だが、(忍耐さえあれば)という言葉がつながるのではないだろうか。
そうすると、日本人の特性を生かせる大会ともいえる。

注目する選手がたくさん出たこの大会。
石川遼はもちろん、これからの各選手に注目したい。

posted by ballgame |23:42 | ゴルフ | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年07月20日

世界がため息に包まれた(トム・ワトソンのストーリー)

2メートルほどのパーパットが力なく転がり、明らかにカップに届かないとわかった時、止まっていた呼吸はため息に変わった。
日本では深夜2時ごろ、世界中の様々な時間帯で、この瞬間にため息という突風が吹いた。
おそらく、ほとんどの人が望んだであろうストーリー、あこがれのフィナーレ、見たいと思うゴールは訪れることはなかった。

ターンベリーで行われた全英オープン、2日目から吹く強風が全英オープンらしさを感じさせたこの大会は、最終日上位が軒並みスコアを崩す大混戦となった。
「残りホールが少ないほうがいい」おそらく1打程リードを許していても、ホールアウトしていれば。
いわば、消去法とでもいうようなゴルフ、他の大会ではめったに見られないような忍耐力が必要とされる全英オープン。
フィッシャーが1、2番連続バーディで5アンダーまで飛び出すが、そのあとボギー、ダブルパー(パー4で8打)をたたき、一気に崩れる。
その後も、トップが目まぐるしく動くが、トップに立った選手には、実際の風とは別の、プレッシャーという強風が吹き付けていたようだ。
メジャー大会、普段の大会とは比べるべくもないが、それにしてもここまで顕著に、何人の選手にも襲ってきているプレッシャーを目で確認できたのも珍しい。
そこで耐えきれないものは、あっという間に連続ボギーを叩き、圏外に消えていった。

そんな中、最終日が始まる前から、そして順位に限らず徐々に注目を集めていたのが、59歳のトム・ワトソンだ。
勝たせたい選手はそれぞれいる。
以前から追いかけている選手、そしてその大会で発見した好みのプレーをする選手、自国の選手などだが、後半になると、そういったものを越えて、彼のプレーに注目が集まっていた。

好々爺といった風貌。
太陽がまぶしいといったように目を細め、顎がすこし出ている。
背筋がしっかり伸びている。
ティーグラウンドで待っている時に、背中に手を回して、やさしい顔でプレーを見ているその様子は、厳しい戦いをしているようには見えない。
まるで、経験を積んだ優しそうな校長先生だ。
そのやさしげな顔は、一度もゆがむことはなく、すべてを受け入れているような懐の深さを感じる。

クラブを抜いてからの決断が速い。
ティーショットはほとんどぶれず、打った後クラブを左肩に乗せ、打球の行き先を追いかける。
その変わらない様子から、これまでの経験が、しっかりしたプレーが想像できた。
実際、3日目までのティーショットの飛距離は296ヤード程、フェアウェイキープ率は73%と高い数字に表れている。

なんとか勝たせてあげたい。
勝ってくれたらすごいな。
こんな気持ちで見ていたギャラリーは、ホールが進むにつれ、それが現実への道となる過程を興奮しながら、見ていた。
えらいところに遭遇した。
そんな驚きと、喜びに満ちながら。

トム・ワトソンは、爆発的なスコアで伸ばしてきたのではない。
むしろ、この難コースを、なるべく平坦なところを歩いているように見えた。
「ある程度のボギーの数は計算に入れている」
彼はこう語っていたし、最終日も序盤にスコアを崩したものの、そのあとはバーディ、ボギーを少しはさみながら、序盤からの2アンダーをキープしていた。
まさにこれまでの経験を生かしながらのプレー。
そして、17番のロングホールでバーディ。
ここで3アンダーとして、ついに単独トップに立った。

中継では、何度も出ていたが、1977年の二クラウスとの真昼の決闘と呼ばれているプレーを制して優勝(3位は10打差ついた)。
そして、全英は5回も制している得意の大会。
その二クラウスは自宅のテレビの前で感極まって泣いていたそうだ。
「優勝しなくても彼はすでに快挙を成し遂げている。
どんな選手もミスを犯すが、彼はその対処方法を知り尽くしている」
トップ中のさらにトップの、しかも一部の人間しか見ることのない高みでの戦いをし尽くした二人だからこそ、通じ合うところがあるのだろう。
こういった関係を果たして持っているだろうか。
ちょっぴりのうらやましさを感じながら、素晴らしいこのエールに感動してしまう。

ティーショットはユーティリティで完璧なショット。
一打差で追いかける前の組のウェストウッドも勝負をかけ、長いバーディパットを果敢に狙うが、惜しくも外れる。
(初日、2日目をウッズ、石川遼と回り、注目度は半端じゃなかっただろうが、トップ争いをする彼のプレーも称賛ものだった)
深夜、寝転がってテレビを見ていたものも、むくりと起きだす。
応援の気持ちが高まる。
セカンドショット、左肩に神主のようにクラブを掲げる得意のポーズ。
本人が満足している証だ。
完璧な当たりだった。
完璧なショット、そして最終ホールのアドレナリン、ボールはピンに向かって真っすぐ飛び、固いグリーンに止まらず、奥のラフに飛びこむ。

まだ、寄せてパーさえとれば。
選んだクラブはパター。
ラフにかかっているが、自分の納得するクラブで打つ。
下り傾斜に転がり、2メートルほどオーバー。
そして、運命のパーパット。
すべては大円団で終わるはずだった。
喜びで終わるはずだった。
それがため息に…。

青木は言っていた。
「アプローチは打たされてしまい、パーパットは合わせてしまった」
ショートしてはいけないと思い、オーバーしては危ないと思った。
最終ホールでのこの結果、かくもゴルフは厳しいのか。

プレイオフ、最初に5Hについたのはトム・ワトソンだった。
彼はポケットに手を入れて、笑顔で周りを眺めていた。
まるで、彼が大会運営者のように。
それほどリラックスしていた。
しかし、ここにきての4ホールトータルのプレイオフ。
大声援を力に変えても、トム・ワトソンの中には元となるエネルギーは残っていなかった。

「Old fogey almost did it(時代遅れがほぼやり遂げた)」
トム・ワトソンが言った言葉だ。
確かに彼はやり遂げた。
そして、自分たちは夢を見せてもらった彼に感謝以外なにもない。
うれしいのは、トム・ワトソンが「とても失望している」と語ったことだ。
満足していない彼を見て、そしてちょっぴり残念に思っている自分たちも、次への楽しみができたと思う。
素晴らしい物語を読みおわり、「ひょっとするとこの物語には続きがあるんじゃないか?」とわくわくできるのは、いいことではないだろうか。

最終ホールのセカンドショットは決してミスショットではない。
リズムはいままでと一緒の、むしろ完璧といっていいショットだった。
敗因は、あのショットといわれるが、それでは短絡すぎる。
なにより、それは試合をぶつ切りにしか見ていない人にしか言えないことだ。
クラブの選択ミスでもなんでもない。
ここより、もっと素晴らしいところにゴールはあるよ、と気まぐれな女神がいっていたからに違いない。

142年ぶりの最年長記録の更新の期待。
プレイオフでの最終ホール、勝敗はほぼ決している中での、ギャラリーが総立ちとなっての温かい拍手と歓声。
トム・ワトソンを思う青木の涙。
正直にいえば、この結果は残念ではなるが、それに替わるとまでいかなくとも、負けないような素晴らしい光景を目にできた。
大会の歴史、トム・ワトソンの歩んできた歴史。
確実に歴史の1ページとなる大会を観戦できたということは、のちのち自分達の誇りになる。

最後にスチュアート・シンクのメジャー初優勝をお祝いしたい。
最終ホールでの長いバーディパットは、あきらめず、自分のプレーに徹したからこそつかんだものだ。
バーディパットだけではないが、その積み重ねが今回の優勝につながったのだろう。
プレッシャーを感じない最終組から少し離れた(確か2組ほど)位置だったのも好影響だった。
小さいころテレビで見ていたという、トム・ワトソンを破っての優勝。
初優勝と同じくらい、うれしさを感じることだろう。
おめでとう、シンク。
ありがとう、ワトソン。
ふう、今日が休みでよかった。。。

posted by ballgame |23:55 | ゴルフ | コメント(5) | トラックバック(1)
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