2007年10月30日
MBLワールドシリーズは4連勝でレッドソックスがロッキーズをスィープした。
アメリカンリーグの第7戦までの盛り上がりを見ると、4戦のみで終わってしまったのは残念。
点差がついた試合もあったが、それ以上に試合内容はとても面白いものとなった。
日本シリーズも同時進行していて、野球ファンとしては「まだまだ続く!」と思っているが、少々寂しくなるところも正直なところ。
気持ちを日本シリーズに向けるため、4戦通して感じたこと、気づいたことを書き連ねてみたいと思う。
・レッドソックスの強さ
レッドソックスはプレイオフを通じて成長してきた唯一のチームではないか。
高校野球、高校サッカーなど、まだ大人になりきっていないチームでは、トーナメントを戦うごとに成長することは多々ある。
最近でいえば、夏の甲子園で優勝した佐賀北を思い出せばうなずく方も多いはずだ。
レッドソックスは3番オルティース、4番ラミレスを中心とした打線のよいチームだ。
しかし、このシリーズは日々入れ替わりでヒーローが出た。
後半ラミレスの調子が悪かったが、他の選手が変わって打つ。
上位打線で作ったチャンスを下位打線がつなげる。
一旦繋がると、それは一本の太い線となって続く、まさに「打線」。
レッドソックスのイメージは(古くて申し訳ないが)乗りのいいチーム、勢いに乗ると怖いチームと認識していた。
その分、淡白な面があり勝負弱い、そのイメージが残っていた。
今年は違う。
レッドソックスを見ていると、そのつながりの強さを感じる。
野球は「○○ナイン」という呼び方をするが、レッドソックスの場合は「ファミリー」という言葉まで昇華しているのではないか。
グランパ(フランコーナ監督)の下、打線ではしっかりもののパパ(オルティーズ)。
マイペースのママ(ラミレス)に、ガッツのある人気者の半そでおじさん(ユーキリス)。
しっかりものの長男(ローウェル)に、大家族をまとめるその奥さん(バリテック)。
しっかりものの次男(ドリュー)、全力で動き回り、家族の笑顔の元の三男(ペドロイア)。
走り回って用をこなす四男(エルスブリー)、ハラハラさせる末っ子(ルーゴ)
投手陣もそうだろう。
奥さん(バリテック)、経験豊富でたよりになるおじさん(シリング)を中心とした家族。
おじさんの家の大黒柱(ベケット)と、日本から来た養子(松坂)が同じ年で切磋琢磨する。
同じく日本から来た養子(岡島)とやんちゃな息子(パペルポン)。
同じくおじさんが(ウェィクフィールド)人とは違う技術でうならせる。
ロッキーズ「ナイン」とレッドソックス「ファミリー」。
おのずと結束の差が出てしまったように感じる。
レッドソックスは「覇者」のチームイメージである。
ヤンキース「王者」に対する「覇者」。
このケミストリーが続くようであれば、新王朝としてレッドソックスが君臨することになるだろう。
・ベケットの恫喝(エースの条件)
展開予想でも書いたことだが、ベケットの「エース」としてのチームの貢献は想像以上だった。
変化球1球のみの全球ストレート、三者三振。
感覚が空いたロッキーズの勢いをさらにそぐには十分だった。
ロッキーズがいまいち波に乗れなかった、4連勝した一番大きな要因であったろうと僕は思う。
6割、いや7割はこれで決まった。
悪くたとえるなら風邪明けで調子がいまいちの病人に、ステーキ、てんぷら、お好み焼きを無理やり食わせたものだろう。
日本シリーズ第1戦のダルビッシュはエースの投球をしていた。
それは間違いない。
しかし、あくまで現段階では「大」エースへの途中段階だろう。
「大」エースは、チームへの勝利だけではなく、相手チームに長くダメージ、恐怖を与えねばならない。
野球を見始めて長くたつが、今までで一番の衝撃を受けた。
「大エース」と呼ぶ以外見当たらない投手をはじめてみた。
「エース」ではなく、「ジョーカー」という言葉でもおかしくはない。
シリーズを決める大きな大きな初回の投球だった。
・野球の基本
プロ野球でも、僕達がする草野球でも変わらない共通のものがある。
それは「相手のミス(エラー、四球)から点が入る」ということだ。
草野球のほうが多いであろうが、程度の差はあれ、それは変わらない野球の基本。
そしてそれは「相手のミスにつけこむチームは強い」といもいえる。
レッドソックスはそのチャンスにつけこみ、それを打線という「線」に変え、勢いをつけた。
ロッキーズもチャンスにきっちり点を取っていたが、「ミス」という点では数を多く与えられていた。
やはり、チャンスの回数が多いほど、得点のチャンスも多い。
レッドソックスの勝利は、その点で言えば基本どおり、ルールどおりだったのだろう。
・松坂の強運
松坂は、シーズンのもやもやを最後に(ほぼ)吹き消した。
インディアンスとのプレイオフ第7戦、ワールドシリーズの第3戦をともに勝利した。
特に、第3戦では、自らのフィールディングでピンチを脱し、自らの打撃で追加点を奪う。
ピッチングだけではなく、野球の基本動作である「打って、守って、投げて(走るはさすがに入っていないが)」を実践した。
まさに高校時代、エースであり打撃の中心でもある、という「俺はできるんだ!」という気持ちでプレーしていたのではないだろうか?
1年間を通して、松坂はアジャストすることに熱中して縮こまっていた印象がある。
アジャストではなく、「自らできること」は何か?
それを突き詰め、出た行動が第3戦での、バリテックとのベンチでの話し合いであり、サインに首を振った行動に出ていたように思う。
「自らできること」それは岡島がずっと続けていたことである。
1年目、慣れない環境という言い訳は、岡島も同じ条件だ。
少なからず触発されたことは間違いないだろう。
松坂は強運の持ち主だ。
大事な場面でまわってくる、それは自らの努力によるものが大きいが、それでも場面場面、今までやってきたことを振り返ると、明らかに松坂につ
いている星はひときわ輝いている。
「もっと!もっと!」という声の中、プレッシャー・期待は大きくなっていくだろう。
才能あるものの義務として受け入れなければならないことなのか。
しかし、それに今後も答えてくれる松坂であろう。
ちなみに、ワールドシリーズでの投手での2打点は、過去二人しかいなく、ベーブ・ルースとサイ・ヤングだそうだ。
その中に名を残す松坂・・・恐ろしい。
・岡島のピッチング
シリーズは打たれてしまったが、それでも岡島の輝きは消えることはないだろう。
第2戦でのピッチングは、その試合のMVPだった。
そして、シーズンを通しても、MVP級の活躍をしていたのは間違いない。
ドジャースの斉藤もそうだが、MLBの水があっているのか、ピッチングに凄みが出ている。
見ていて楽しい投手、日本を飛び越え、すでに世界の「岡島」である。
「ヒデキ」は今まで松井となっていたが、今年は完全に「岡島」の名前である。
・松井の不運
松井の調子は悪くは無かった。
特に第3戦は3安打。
立派にリードオフマンとしての仕事をきっちり果たした。
セフティーバント、果敢な盗塁でチームに流れをよびこもうと、自らできることをきっちりやっていた。
しかし、後続が倒れ、それが生きることは少なかった。
去年までのマリナーズ・イチローのように孤軍奮闘ぶりと、どうしてもオーバーラップしてしまう。
ロッキーズが先制点をとった試合が1試合では・・・。
ワールドシリーズの松井は、精悍な顔つきをしていた。
野球ができる楽しさを感じながらプレーをしていた。
勝ちたいという気迫を出し、全力でプレーをしていた。
それは届くことがなかったが・・・。
優勝が決まった後、ベンチで、はしゃぐレッドソックスの選手達を見る松井の目。
それは、うつろではなく、しっかり目にやきつけようとする鋭い目だった。
チームメイトに肩をたたかれ、チームメイトはベンチ裏に去っていく。
しかし、松井はちらっとチームメイトを見ると、視線はまたグラウンドに戻っていった。
松井のあの目があれば、来年も活躍が期待できる。
松井はコロラドで復活した。
いや、生まれ変わったのか。
来年もやってくれるのであろう。
解説者のコメント、観客の応援なども試合を楽しみが増えた1つでもある。
4戦で終わってしまうのが名残惜しい。
それでも・・・いつかは終わるワールドシリーズ。
毎年続けられるこの思い。
あぁ、楽しかったな~。
振り返るのはこれくらいにして、明日からは日本シリーズだ!
日本シリーズで、まだまだ野球を見る喜びが続く、日本人である僕は幸せ者だろう。
posted by ballgame |01:12 |
MLB |
コメント(2) |
トラックバック(1)
2007年10月30日
MLBワールドシリーズ第4戦、ロッキーズ対レッドソックスが行われた。
ロッキーズの先発はクック。レッドソックスの先発はレスターと、ともになじみの無い投手。
世界一の称号を賭ける試合で、両投手とも比較的無名の投手に運命を賭けるのは面白いと思った。
1回表、レッドソックスの攻撃。
先発のクックは8月以来の登板、久しぶりの登板がこの大舞台。
少なからず影響があったのか、先頭打者にツーベースを許す。
これもバントを警戒し、サードが前に来ていた脇を抜けた。
守備のいいといわれていたロッキーズだが、このシリーズは目に見えないミス、不運が続く。
1アウト3塁となり、3番オルティーズは初球をライト前ヒット。
あっさりといっていいほど、レッドソックスが先制点を奪った。
オルティーズの場面では、1回で珍しい前進守備を引くが、その采配が裏目に出る。
ロッキーズにとっては、ぜひとも先制点を!と思っていた試合、そのチャンス(打席が回ることなく)を迎えぬままの失点は、「またか・・・」という暗い気持ちにさせる展開。
レッドソックスの先発レスターは重いストレートを投げる左腕。
先制点を取った後、きっちり三人で討ち取る。
右バッターの内角にくいこむクロスの球が打ちづらそうである。
2回裏、ロッキーズのチャンス。
先頭バッターが二塁打で出塁。
クアーズ・フィールドは広い球場のため、外野の前に落ちても二塁打となる。
人工芝メインの日本では考えられない二塁打だが、ランナーの判断、外野の守備との駆け引きが出る、観客も目を離せないところである。
あぁ、ぜひ天然芝の球場(神戸グリーンスタジアム)で草野球をやって経験したいものだ。
僕は、マリンスタジアム・横浜スタジアムでプレイした経験があるが、人工芝は打球が死なない。
特に内野を守っていると、打球がバットから離れた瞬間のスピードで守備位置まで来る。
土のグラウンドの感覚で守っていると、あれよという間にグローブの脇を抜けてしまう。
話がそれた。。。
ノーアウト二塁のチャンスだが、次打者はショートゴロ。
第3戦でいいプレイをしたルーゴだが、ファーストへの送球はワンバウンド。
なれないファーストのオルティースがうまくさばく。
その後、3塁までランナーが行くが、チャンスを生かせない。
先制点を取られ、肩に重くプレッシャーがのしかかっているように点が取れない。
2回以降、レスターは2シームを駆使し、3者凡退を重ね、味方の反撃を待つ。
ロッキーズは3回にも松井が変化球をうまくすくいあげるツーベースでチャンスを迎えるが、得点ならず。
テンポのいい投手戦となるが、回を重ねるごとに重い、もどかしい雰囲気が球場を覆う。
次の1点は、レッドソックス。
欲しいところでの得点は、この4戦を通してすべてレッドソックスのものだ。
5番ローウェルのツーベースの後、7番バリテックのライト前ヒットでローウェルは果敢にホームへ。
ライトは肩が良くないが、当たりも浅い。
タイミングはアウトだが、ローウェルはキャッチャーの脇をヘッドスライディング。
体は右打席後方を滑りながら、左手を横に伸ばし、ホームに触れる。
ナイスプレー!まさに野球の醍醐味。
うまいランニングで追加点を奪う。
ロッキーズにとっては、重すぎる追加点。
ワールドシリーズ前の8日の間以上、8月以来の先発クックを責めるのは酷であろう。
6回裏、ツーアウトから四球を出したところで先発ローウェルを降板させる。
第3戦と同様、早めの継投を見せる。
短期決戦さながらではあるが、少々あせりを感じる。
だが、無難に押さえ、この回も無失点。
7回表、先頭の5番ローウェルがレフトスタンドへホームラン。
3番オルティース、4番ラミレスと勝負しなければならないのは、彼がチャンスで確実に打つからだ。
3対0。すっかり球場は静かになる。
ホームの投手が2ストライクに追い込んでも静かだ。
あきらめ、絶望の重い雰囲気。
幕間のような、映画の始まり前に席に座っているようなざわざわした様子に近い。
ホームの声援がすごいアメリカの球技、3対0という大差でもない展開での、このスタンドの静けさは珍しい。
数年前、悲観的といえばボストンのファンの心理を表すものだったが、このシリーズに関してはコロラドファンの心にへばりついている。
7回表が終わり、恒例の「God bless America」「Take me out the ball game」が流れる。
ロッキーズにとってはいい間である。
盛り下がったファンが立ち上がり歌う。
その行動か、はたまた野球の神様のいたずらか。
おそらくは、ロッキーズの実力なのだろう。
ここから試合はかすかに動き出す。
7回裏、先頭バッターがライトへの文句無しのホームラン!
1アウト後、ヒットで松井に回る。
昨日は3安打。惜しむらくはランナーがいなかったところ。
絶好のチャンスだったが、なんとかみ合わせの悪いことか。
松井は空振三振。後続も倒れ、1点を返す。
予想できなかったが、これが松井のワールドシリーズ最後の打席となった。
8回表、レッドソックスはとどめとばかりの、ソロホームランで4対1。
ロッキーズは抑えのコルパスをつぎ込み、なんとか必死の抵抗を図る。
ホームランの場面で、盛り上がっていたのはボストンからのファンが多く来ていることを裏付ける。
運のいいファンだと思うとともに、その熱狂にうらやましさも覚える。
8回裏、最後の試合であろうというこの展開に出てくるのは、この二人しかいない。
そう、岡島だ。
珍しく、ブルペンから走ってマウンドへ。
投球練習後、マウンド後方でしゃがみこむ。
少し息が切れているが、いつものように帽子のつばに目をやり、最初の打者に備える。
この時点では、試合を決めるために登板したが、野球の神様はきっとシーズン通してレッドソックスを支えてきた彼へのご褒美なのだろう、粋なことをするものだ、と感じていた。
いつもランナーを背負って投げる岡島。
今日は違う。3点差、ランナー無し。
野球の神様はいる、と。
確かに野球の神様はいた。
ただ、岡島の登板の意味は違ったものとなった。
野球の神様は意地悪だった。
1アウトを簡単に取った後、4番ヘルトンを追い込む。
しかし、追い込んだ後、討ち取れない。
高めのストレートをレフト前に運ばれる。
1アウト1塁。
5番アトキンスには1-3。
岡島のスプリットは、重力に逆らうように落ちない。
真ん中に・・・そしてバットの反発を利用して、レフトスタンドへ・・・。
神様は茶目っ気がある。
岡島にそんな役目を渡すとは。。。
1点差。
盛り上がる球場。
すでに、オルティース、ラミレスを下げているレッドソックスは追いつかれると厳しい。
ここで守護神パペルポン登場。
2人を討ち取り、1点を守りきる。
そして9回。
つまったセカンドゴロで1アウト。
そして、次打者も簡単に追い込み、渾身のストレートは真ん中に。
打球はレフトへ・・・打った瞬間、行ったと思った。同点だと。
しかし、打球は急速に勢いが衰え、フェンス2m程前でグローブの中へと入った。
マウンドで気合をいれ、手をたたき納得いかない顔をするパペルポン。
気迫を前面に出す、自らの炎で相手打線の息の根を止める守護神。
この日は、その炎を制御することができていない。
2人の打者への2ストライク後の球は甘いものだった。
女房役のバリテックは落ち着いていた。
変化球を交え、最後は高めストレート・・・空振り三振。
マウンドで、飛び上がるパペルポン。
羽が生えたような高さだ。
マウンドに集まるレッドソックスの選手。
今年のチャンピオンはレッドソックスに決まった。
4戦とも、点差以上に試合内容が面白く、見ごたえのあったゲームだった。
ロッキーズは勢いだけのチームではなかったのは、プレーを見ていた方はお分かりだろう。
最後は息切れしたが、最後まで喰らいつくロッキーズ。
迫力のある追い上げ。
決して勢いで、フロックでここまで勝ち上がってきたチームではないことを、この戦いで証明した。
お互いの実力の差はわずかだったと思う。
だが、その1歩は大きな1歩だった。
まるで巨人と間違えられたガリバーの1歩のように。
四球、エラーなど相手からもらったチャンスを確実に取るチームは強い。
そして、そのチャンスを途切れることなく自らのものとする。
レッドソックスは強かった。
「覇者」ではなく「王者」。
このシリーズに関しては、ヤンキースからその立場を奪ったのは間違いないだろう。
レッドソックスが横綱、ロッキーズが大関。
そんなたとえがぴったりくるような4戦だった。
土俵際まで追い詰め、場内は盛り上がる。
もろ差し、出し投げ、足を取る。
さまざまな手を使いながら、横綱を追い詰める大関。
ただ、その横綱は屈指の横綱だった。
慌てることなく受け止め、つかれたところで決めに出る。
千代の富士、全盛期の朝青龍のように強かった。
おめでとう、レッドソックス!
面白い戦いを見せてくれてありがとう、ロッキーズ!
初めて通して見たワールドシリーズは想像以上のものだった。
posted by ballgame |00:01 |
MLB |
コメント(0) |
トラックバック(1)