2008年10月14日

1勝以上に得たもの(レイズ対レッドソックス第2戦)

誰が言ったか知らないが、こんな言葉を聞いた事があるはずだ。
「野球は8-7が面白い」
取ったり取られたりで、この位の点数の取り合いが面白いということだろう。
もちろん、0-0の息がつまるような投手戦も見ごたえがあるのは言うまでもない。

レイズ対レッドソックス第2戦はそれを上回る9-8、しかも延長サヨナラという見る側からすると文句なしの面白い試合でレイズがタイに持ち込んだ。
点を取ったら取り返す、逆転すると次の回はまた逆転されるという逆転した回数が5回、両チームとも残り投手が1人しかいないという総力戦だった。
第1戦は投手戦、第2戦は打撃戦という見るものをひきつけてやまないアリーグ優勝決定戦。
1日おくれになったが、簡単に振り返りたい。

レイズの先発はカズミアー、レッドソックスの先発はベケットで始まった第2戦。
初戦も気になっていたが、レイズの球団が配っているのか、はたまた観客が購入しているのか、MLBにしては鐘の音がうるさくて気になっていたが、試合をみていると、観客が持っているのはカウベルのようなもの。
レッドソックスの打者が2ストライクに追い込まれると、一斉に鳴らすカウベル。
NFLでのクラウドノイズは有名だが、それに匹敵するうるささだった。
ホームの後押しはブーイングと大きな声援だけだと思っていたが、こんな方法もあるのだなぁと感心してしまった。
ドームなので余計にこもるだろう。

カズミアー、ベケットともフライアウトが多い。
やはり両投手とも速球を武器にしているだけある。
しかし、この試合に関しては、両投手の出来が余りよくなかった。
投手ばかりを責めるのはかわいそうかもしれない。
第2戦で温まってきた両打線がこの日は爆発した。

カズミアー:4回1/3でホームラン3本、自責点5点。
ベケット :4回1/3でホームラン3本、自責点8点。

両投手とも似たような成績で5回を持たずに降板した。
フライアウトも多かったが、いつもなら詰まらせる打球が伸びてスタンドに入ってしまっていた。

特にベケットは故障明けで調子が上がってこない。
去年のマウンドで、2M以上にも見えるような圧倒的な存在感はこの日は影を潜めた。
とにかく、リズムが悪い。
松坂は四球で守備のリズムを狂わせるときがあるが、それとは別のリズムの悪さ。
松坂はテンポの問題、ベケットは故障明けからなのだろうか、単純に体の動きが鈍かった。
まるで、日ごろ運動していない人が、休日張り切って草野球をした次の日(またはその翌日)のような感じだ。
プロ野球を見ているかのように、間合いが長く、何度も審判にタイムをかけられていたのが印象に残った。
この時期、100%の体調で出ている選手などいないだろうが、それにしても絶対的エースのベケットの不調は気になる。

点数を取られるのは調子の波でしかたないところがある。
しかし、点数以上にエースとしてと罪がこの日はあった。
その罪はレイズの3~5番に打たれたことだ。
松坂は初戦、3~5番を完璧に押さえ込んでいた。
もし、2戦目も同じように沈黙させていたら、レイズはかなり苦しくなっていただろう。
この罪はあまりにも大きい。

去年のワールドシリーズは第1戦のベケットの初回の投球ですべてが決まったといっても過言ではない。
手も足もでない、そんなことばがしっくり来るほどの投球だった。
次の登板は、第6戦になるだろうが、何とか調子を戻して、本来のピッチングを期待したい。
ゆるやかなフォームから放たれる速球は、スピード以上に速さを感じる。
この日も、何球かは見られた投球。
それが見たい。

この日を決めたのは、クリーンアップの出来がすべてといえよう。
レイズ    :8安打(6打点)
レッドソックス:6安打(5打点)

数字を比べると、そう大差はないようだが、レッドソックスのオルティースはこの試合無安打に終わっている。
絶好調といっていい、ユーキリス、ベイの前で、一瞬途切れてしまうのが惜しい。
そうでなければ、レッドソックスが勝てていた試合だったように思う。

4回を終わって1点ビハインドのレッドソックスの攻撃。
この回、ペドロイア、ユーキリス、ベイと3本の本塁打を打ったときは、レッドソックスの勝ちだろうと感じた。
特に、ベイの本塁打は、レイズのホームにもかかわらず、レフトスタンドにいたレッドソックスファンがキャッチしたのだ。
この試合を象徴するような場面と思ってしまったのも致し方ない。

しかし、この試合はそう甘くはない。
レイズの底力がでた5回、打線が繋がり、一挙3得点で再逆転。
8対6となった。
レイズの打線のつながりのよさが出た場面だったが、それだけではない。
レイズにもいえることだが、レッドソックスの大エースといえば、ベケットである。
そのエースを5回で変えることなどはできなかったのであろう。
それがエースの宿命なのだ。
回の頭から変えるのが理想だが、エースの復活に期待する。
監督やコーチはベケットに託したのだと思う。
そして、この試合はそれが裏目に出た。

5回を終わり、8対6。
あー、レイズがタイに持ち込んだか・・・と思っていたが、またまたシーソーは揺れ動く。
6回のタイムリー、8回のワイルドピッチでレッドソックスが同点に追いつく。
シーソーは揺れ動き、勝利の女神は相当意地悪く微笑む。

試合に落ち着きを与えたのは岡島だった。
7回から登板し、ヒットを与えることなく、レイズ打線を抑える。
前半あれほど活発だった打線が、岡島の投げるボールがぬれているように、火を消されてしまった。
大舞台で強い岡島。
これからも、レッドソックスファンには胸の痛くなるような場面を、あのポーカーフェイスで切り抜けてくれるだろう。

結局試合が決まったのは、連続四球からだった。
判定におかしなところがあり、抗議をしたレッドソックス投手コーチが退場になった画面もあった。
首をひねる場面は2つあったが、そのうちの1つはストライクでもいいんじゃない?というようなコース。
大事な場面だったので、抗議、退場もしかたないだろう。
この時点で試合開始から5時間あまり、現地時間では1時近くになっていた。
8回以降、点数の動くような気配がなく、見ていたこちらも少々くたびれるようなこの試合、審判も早く帰りたかったのだろうかとも思い、少しにやけてしまった。

レイズが勝ったこの1戦、レイズのクリーンアップに調子が戻ったこと、そして予想以上にレッドソックスの外野守備の弱さが露呈されたことが大きいと思う。
本塁でのクロスプレーは3つあったが、そのうち1つはアウトになってもおかしくないタイミングだったように思う。
試合内容も含めて、この1戦はレイズにとって、1勝以上の価値があったように思う。
逆にレッドソックスにとっては痛い1敗。
救いは、中1日空き、ホームに戻ってこれることだ。
気持ちを切り替えることができる。
そして、先発は好調のレスターである。
今年は、レスターの感動的なノーヒッターもなぜか旅行先で見ることができた。
それに負けない投球を期待したい。

試合開始は5:30からだが、BSでは8時15分から録画で行われる。
どちらが再びリードするか、楽しみにしたい。

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2008年10月11日

それぞれの今後を決める戦い(レイズ対レッドソックス第1戦)

連休初日となる今日は、暖かいお出かけ日和。
ドライブに、旅行に、運動会(は最近この季節なのかな?)にとっては最適な一日となった。
しかし、野球ファンにとってはテレビの前に釘付けになったのではないか。
チャンネルも変えずに、ずっと野球を見続ける幸せ。
MLBアリーグ優勝戦、プロ野球パリーグCS戦、そしてMLBナリーグ優勝戦。
野球好きにとってはたまらない一日となったはずだ。
出かけるのもいいが、この時期そうもいってられない。

今、MLBではワールドシリーズの切符をかけて4チームがしのぎを削って、見ごたえのある試合を見せてくれる。
しかも、その4チームに日本人選手が所属しているのであれば、これはテレビの前に釘付けになっても、奥さんに、子供に出かけようと尻をつかれても、動くに動けないというもの。
日本代表ではないが、誰にでも「譲れない戦い」というものがある(笑)

ひいきにしているチーム、見所はそれぞれあるだろうが、面白い試合の中でも、日本人が活躍しているのを見ると、見る側にもアクセントをつけてくれる。
同じ日本人として、遠く海を渡り、果敢なチャレンジをしている日本人選手達には鼻が高くなる。
去年に引き続き、プレイオフでの日本人選手の活躍はもはや欠かすことのできないものといってもよいのではないか。
トップクラスの選手がMBCに挑戦していることを差し引いても、日本の野球の質の高さを証明しているようではないか。

今日から始まるアリーグ優勝決定戦第1戦、レイズ対レッドソックス。
同じ地区の対決となるこの戦いは、この地区のレベルの高さを表していると同時に、プレイオフが始まる前からある程度予想されていた戦い。
そして、野球ファンも望んでいた戦いであるといえる。

去年最下位から、今年は見違えるような強さのレイズ。
シーズン終盤の勢いにのるホワイトソックスを打ち破り、強さに疑問を持っていた人達を黙らせたレイズ。
去年のミラクルチームといえば、ロッキーズだったが、今年は文句なしにレイズだ。
レイズが見せ付ける強さ(巧さとも言えるかもしれない)そのままにワールドシリーズに出場できるか。

そして、そのレイズにシーズンでは遅れを取ったレッドソックス。
レッドソックスは去年に引き続きの連覇を狙っている。
96年のヤンキース以来、連覇したチームはないが、その中でも04年、07年と優勝をしているレッドソックス。
去年は「覇者」としての強さを発揮したが、今年は「王者」としての戦いを挑んでいる。
MLBに君臨することができるかどうか、この戦いが重要であるのは間違いない。
もし敗れることがあれば、MLBはまた戦国時代に逆戻りしてしまうだろう。
この戦いはお互いのチームの今度の立場を決めるという大きな意味を持つ戦いとなる。

その注目の第1戦、レイズの本拠地のトロピカーナ・フィールドで行われた。
レイズの先発はシールズ、レッドソックスの先発は松坂。
初回、レッドソックスはペドロイア四球の後、ユーキリスがライト戦へのヒットを放つ。
フルカウントでランナーが走っていたため、先取点と思いきや、打球はスタンドに入ってしまい、エンタイトルツーベースとなってしまった。
ドジャースのマニー・ラミレスの一見ホームランと思える当たりもそうだが、各球場の形態によって、試合の流れが変わってしまうのが、日本にはない面白さがある。
結局、初回は無失点に終わる。
レッドソックスの攻撃の時、MLBには珍しい鐘のような音がドーム内に響いた。

カウベルというか、シンバルというか、中国のお祭りに流れるような鐘の音。
MLBを見た後、日本の試合を見るとうるさく試合に集中できなくなるように感じることがあるが、MLBで感じたのは初めてかもしれない。
MLBでの観客の声援、ブーイングは有機的な感じがして、ジャズのウッドベースのようになくてはならないものだ。

松坂の立ち上がり、先頭打者は岩村。
過去からタイムスリップした人がみるとプロ野球を見ているように思うかもしれない。
シーズン中も見ていた光景だが、最高のチームを決めるこの緊迫感のある戦いで、両者が自然に対峙している。
そう思うと、ぶるっと体が震えた。

松坂は岩村に四球を与える。
直球が指に引っかかっているようなイメージだ。
2番ペーニャを打ち取った後、3番にはスライダーが高く四球。
4番ロンゴリアは内角カットボールで三振に取るが、5番を歩かせる。
スライダーの制球が悪い。
2死満塁のピンチ。
しかし、6番フロイドはスライダーを引っ掛け、セカンドゴロに打ち取る。
この回だけで27球。
5回無失点、後はブルペンにお任せ・・・シーズン中の松坂。
プレイオフのエンゼルス戦に引き続き、この日も松坂らしい松坂になるのか。
見ている者の心臓に悪い。

1回のレイズの攻撃に比べ、レッドソックスの攻撃は淡白だ。
レッドソックスの打線というより、シールズの出来がよいように思う。
ストレートは早くないが、フォームからわからない緩急をつけ、あっさり2回が終わる。

あまりにあっさりした攻撃の後の2回。
この日も不安定な松坂なのだろうか。
その心の声がきこえたのだろうか、松坂は躍動し始める。
高めの直球で先頭打者を三球三振、続いての打者をチェンジアップで三振。
この回を三者凡退にしとめる。

3回の先頭打者は岩村。
スライダーを上手く打ったが、ライトライナーに終わる。
岩村は球が見えている。
その後四球を出すが、2者をストレートで三振に取る。
松坂のフォームに、踏み出す足に突っ張った感じがなく、自然と投げているような感じがする。
直球の走りがいい。

4回、先頭打者をストレートで見逃し三振。
やはり、松坂の軸はストレートである。
スライダーの切れは勿論すごいが、やはりそれもストレートがなければ、狙いを絞られてしまう。
エンゼルス戦に続き、ストレートは切れている。
それとは別にこの日は、意識しているのか、シュート系のツーシームがよく決まる。
左打者には外角へ、右打者には外から低めに入ってくる。
あまりシーズン中は見たことのない球だ。
次の打者はチェンジアップで三振。
これもやはり、ストレートありきだ。
テンポが、球が、松坂の体がリズムを刻み、レイズの打線も心地よく刻んでいく。
この回も三者凡退に討ち取る。

試合が動いたのは5回だった。
先頭のベイが四球、コッツェイが止めたバットに当たった球は、ふらふらっとサードの頭を超える二塁打になる。
まるでテニスのロブのような打球。
レッドソックスにはラッキーな、レイズには不運な一打となった。
無死二、三塁でローリーのライトフライでレッドソックスが先制点を挙げた。
一死三塁とチャンスは続く。
バリテックの強い当たりは全身守備の岩村へ。
しかし、ここは岩村が上手く抑えた。
結局この回は1点で終わった。

先制点をもらった松坂。
エンゼルス戦では、点をもらうと、日本人の律儀さとばかり四球を与え、点を奪われていた。
しかし、この日の松坂は違う。
二者を簡単に討ち取り、打者は岩村。
これも追い込まれながら、スライダーを上手くさばいたが、これもいい当たりのライトフライ。
岩村の状態もよいのだろうが、松坂には相性もいいのだろう。
球がよく見えている。

6回も3者凡退に討ち取り、7回のレッドソックスの攻撃。
ヒットが続き、無死一、二塁。
ここでコッツェイはまたも止めたバットに当て、先ほどのような打球はセカンドベースの後方にふらふらと上がる。
後ろ向きの打球を追い、岩村が背面キャッチでこのピンチをしのいだ。
岩村は打撃に、守備にチームを引っ張っている。
しかし、このコッツェイは狙ってやっているのだろうか。
そうだとしたら、イチローよりすごいかもしれない(笑)

7回の恒例の「私を野球に連れてって」を聞きながら、展開の速い試合にこちらもほっと息をつく。
気がつくと、松坂はノーヒットではないか。
プレイオフでノーヒットが続いたら、8回、9回はどうなるのだろう。
そんなわくわくを感じながら、試合が始まる。
わくわくは数秒で終わった。
先頭打者にヒットを打たれ、次打者にも連続ヒット。
無死一、三塁のピンチである。

わくわくが消え、どきどきが始まる。
同じ心臓の鼓動の速さでも、急降下する感情。
チャンスの後のピンチ。
よみがえるエンゼルス戦。
松坂はやはり松坂なのか・・・そう、よくも悪くも松坂は松坂だった。
このピンチを浅いレフトフライ、三振、ショートゴロに打ち取ったのだ。
脚本家としても一流になるのではないかとも思わせる。

チャンス、ピンチ、チャンス。
野球は数十年、アメリカでは百年近く続いているが、歴史同様、法則も変わらず、繰り返す。
8回表、この日好調のユーキリスがタイムリーを放ち、2点差になる。

松坂も変わらない。
チャンス、ピンチ、チャンス、ピンチ。
先頭の岩村が、ヒットを放つと、ワイルドピッチの間に二塁に進む。
内野安打で、無死一、二塁。
ここで松坂は降板した。
変わる投手は岡島だ。
去年のワールドシリーズの大車輪の活躍がよみがえる。
完全な日本人リレーで勝ったのは、たしかドジャースの黒田-斉藤が始めてだったと思うが、こちらは去年からの長い付き合い、方程式だ。
今年も活躍はしているにせよ、去年ほどの圧倒的な存在感が薄れている岡島。
この日もカウントを0-3としてしまう。
しかし、松坂が松坂なら、岡島も岡島だった。
0-3からのストレートでライトフライに打ち取ったのだ。
そうだ、去年も今年も岡島はカウントを悪くすることがあったではないか。
大舞台に強い岡島、今日も岡島らしさを発揮した。

試合はこのまま終わり、2-0でレッドソックスが勝利した。
先発のシールズ、松坂とも好調で、エラーもなく、強者同士の面白い試合内容だった。
レッドソックスのメンバーを見ると、去年の大家族と見間違うような役割分担で、圧倒的な力を発揮したメンバーから様変わりしている。
しかし、強さは変わらない。
これはある意味、本当のチーム力といえるのではないだろうか。
マニー、ローウェル、ルーゴ(守備に不安があるのでこれは問題ないのではないかと思うが・・・)と去年のスターティングメンバーの3人がでていない。
勝負強いマニーが抜けても、代わりに来たベイがプレイオフでも大活躍をしている。
トレードで、両チームとも成功した例は珍しいのではないだろうか。
(日本でもこういったトレードが見てみたい)
ローウェルの怪我は大きいと思ったが、代わりのコッツェイの止めたバットでのヒット。
穴が空けば埋まり、そして4番を打つユーキリスの好調。
レッドソックスは強い。

しかし、レイズも強い(というより野球を知っている)。
ミラクルではなく、これが普通なのだと感じさせるような強さ。
やはりチーム力の土台がしっかりしているのだろう。
勢いだけではない。
スイープとは簡単にはいかないだろう。
松坂の出番はもう一度あるはずだ。

最後に松坂、岩村を振り返りたい。
以前のブログで、松坂にはエースとしての存在証明をしてもらいたいと書いた。
ベケットが怪我明けの今、レッドソックスのエースとしてではなく、MLBのエースとしてレッドソックスを引っ張ってもらいたいと。
その能力はあるし、できると思っている。
しかし、どうやらそれは少し違っていたようだ。
松坂はやはり松坂、ベケットはベケットなのだろう。
第1戦先発について、「順番でそうなっただけ」とコメントしたのも、なにか物足りない。
定食屋で頼んで、食べ終わった後、もう少し食べたいが、もうひとつ定食を頼むのもなぁ、という感じである。
もちろん、言葉にはしないが、これからの1戦1戦の重要さは松坂自身が一番しっているであろう。

力で相手をねじ伏せるような大エースではなく、試合に勝つという意味でのエース。
知らぬ間に、いつの間にか回が進み、0点に抑えている。
逆に言うと、これはすごいことなのかもしれない。
エースとしての考えを変えなければならないかもしれない。
短期決戦では、勝つことがすべてだ。
はらはらさせながらでも、監督に「綱渡りのようだ」といわれても、勝ちは勝ち。
バリテックのサインに首を振る場面も何度も見られ、いい意味で我を張っているようなところもいい。
試合内容よりも、絶対に勝つんだという強い意志を感じる。
それが今の松坂なのだろう。

松坂をけなしているわけではない。
エンゼルス戦は打たれてしまったが、今日もストレートは伸びていた。
三振を奪っていたし、ストレートはほとんど詰まらせていた。
今日のピッチングでよく見た、シュート系のツーシームは今後も使えるだろう。
やはり松坂のピッチングはストレートがかぎである。
ストレートにより、スライダー、チェンジアップも生きてくる。
今日のような気がつけば、6回までノーヒット。
自分の想像とは違う形で、チームのエースとしての証明、チームを引っ張っていく松坂の次の登板にも期待したい。

岩村は、シーズン中にもまして、チームを引っ張るリードオフマンとして活躍している。
今日の試合にも、打つだけではなく、守備においてもチームの柱として、いなくてはならない存在だろう。
ファンはもちろん、チーム内にまでモヒカンがはやっているというのは、技術だけではなく、精神的な支えになっているのがわかる。
状態もよいのであろうが、プレイオフはすべてヒットを放っている。
残念ながら、今回は得点に繋がらなかっただけだろう。

先日のプレイオフで、アナウンサーが行っていた言葉である。
「イチローと比べてどうか」と聞かれたところ、岩村はこう答えたそうである。
「イチローと比較しても僕のほうがいいリードオフマン」であると。
正確な言葉ではないかもしれないが、こんなニュアンスの言葉だった。
選手としての技量はさておき、この言葉には大多数の方がうなずかれるだろう。
自分もイチローは尊敬する素晴らしい選手で、殿堂入りする可能性のある選手だと思うが、この言葉にはうなずかざるを終えない。
チーム成績がすべてを物語っている。
それよりも注目したいのは、岩村の自分に対する自信である。
自分を信じることで、チームにも大きな影響を与え続けているのだろうと思うと、頼もしく思える。

レイズ、レッドソックス両チームはもちろん、松坂、岡島、岩村にとっても、このシリーズはワールドシリーズ出場だけではなく、今後数年の立場を決める大きな戦いになるだろう。
紅葉のコントラストもきれいだが、青対赤のコントラストも熱く見逃せない。
明日からの試合も楽しみだ。

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2008年10月02日

赤か青か、はたまた・・・(MLBプレイオフ開幕)

レギュラーシーズンが終わるやいなや、早くもプレイオフが始まるMLB。
日本と違い、レギュラーシーズンからプレイオフ、そしてワールドシリーズまでの間隔が短いことが選手にとってもモチベーションをそのままに、ファンにとっても、熱狂が醒めることなく試合を見続けることがうらやましいところだ。
秋も深まる季節、広いアメリカでも季節の差こそあれ、そろそろ寒くなってくるところだが、野球ファンには当てはまらない。
そして、TVを通してだが、広い太平洋をはさんだ自分達日本人にも1プレー1プレーを通して、熱気が伝わることだろう。

去年はレッドソックスがMLBの頂点を真っ赤に染めたのが記憶に新しい。
ロッキーズの勢い、松井対松坂の対決、岡島の冷静な投球、ベケットのこれぞエース!という前にいるものすべてねじ伏せる力強い投球、パペルポンのダンス。
そして、家族的雰囲気を感じさせるレッドソックスの歓喜のパレード。
たったいま、DVDをみたかのように強烈に映像として残っている。

今年の組み合わせはこうなった。

エンゼルス対レッドソックス
レイズ対ホワイトソックス
カブス対ドジャース
フィリーズ対ブルワーズ

半分の4チーム(レッドソックス、レイズ、カブス、ドジャース)に日本人選手が所属しているのは、うれしいことであり、誇り高い気持ちになれる。
野茂に始まり、その後も主力として活躍している日本人選手。
彼らのおかげで、毎日のように、MLBの試合を楽しむことができることに、そしてその中から、野球の楽しさを新たに味わうことができることに感謝したい。

さて、プレイオフを勝ち残り、ワールドシリーズ制覇をするチームはどこになるのだろうか。
ひいきのチームはいろいろあるだろうが、やはり同じ日本人として、日本人選手のいるチームを応援したくなる。
観戦している試合が偏っているが、日本人選手を中心として、予想してみたい。

松坂、岡島がいるレッドソックスはエンゼルスとの戦い。
去年も対戦したこの両チーム。
エンゼルスは去年にもまして、手堅くそつのない戦いをしている。
野球を知っているチームと見て良いだろう。
去年ほどの力が感じられないレッドソックスの原因は、去年銀河系の中心に位置する太陽のような強い輝きを放ったベケットの故障(不調)だろう。
去年は難なく勝ち進んだレッドソックス。
ことしはタフな試合になるであろう。

松坂は今年18勝をあげた。
2年目の今年、MLBによくアジャストすることができ、速球の切れも増してきたように見える。
プレイオフ進出を支えたのは、投手陣ではレスターと松坂であろう。
しかし、MLBでも一目置かれるようなエースとしてみとめられるかどうかは、これからの試合できまる。
しかし、そこまでたどり着くには容易ではない。
レッドソックスファンはもちろん、MLBファンは知っている。
エースとは何かを。
去年の手も足も出さなかったベケットのエースとして投球がすべてだ。
ベケットが本調子じゃない今季、その役割を担うのは松坂であろう。
ファンも望んでるし、日本での経歴を知っている自分達はできると信じている。

松坂は第2戦先発だと聞いている。
元西武の森監督だったか、楽天の野村監督だろうか。
「日本シリーズは第2戦が重要だ」
3戦勝利で勝ち抜けだが、第2戦が重要であることは間違いない。
去年のワールドシリーズでの、アジャストを捨て、一見わがままにみえるかのように、力を見せ付け、勢いのある球を投げ込む松坂。
それを期待したい。

岩村のいるレイズはホワイトソックスと。
1ヶ月程前、アリーグ西地区で優勝したチームは次に進めるだろうと思っていた。
エンゼルスは強いと感じたからだ。
いつ落ちてくるかといわれ続けたレイズは、結局優勝を決めた。
大躍進を果たしたレイズ、チームワークがきっちりしたレイズは、今年のミラクルチームとしてアリーグ決勝までいけるだろうと思っていた。
しかし、ここでとんでもないチームが現れた。
ホワイトソックスである。
8連勝で首位に追いつき、地区優勝戦でも勢いそのままにツインズを下したホワイトソックス。
去年のロッキーズのように、台風の目になるのではないかとひそかに注目している。
岩村がチームを大きく牽引している一人といっていいレイズに勝ち進んで欲しいが。。。
レイズの終盤の戦い、ホワイトソックスの勢いを考えると、レイズに分がわるいのではと不安である。

福留のいるカブスは黒田、斉藤のいるドジャースと対戦。
これは日本人からするともったいないところである(笑)
福留はここ数ヶ月調子を崩し、プレイオフでは先発落ちの可能性も残っている。
しかし、スタートダッシュの点火人としての福留の活躍に文句を言う方はいまい。
そのまま、すんなりと力を見せ付けるような形で優勝したカブス。
ヤギの呪いが解けるのか、非常に興味深いところではある。

カブス有利ではあろうが・・・、しかし、個人的にここはドジャースを応援したい。
昔から好きなチームだが、それだけではなく、大好きな選手の斉藤がいるからである。
怪我が回復し、プレイオフでは抑えではなく、中継ぎとして活躍が期待される斉藤。
去年見せた重力に逆らうようなストレートの切れ、スライダーの変化はピンポン球を使っているようだ。
怪我明けでそこまでの威力を望むのは酷だが、去年の岡島で、中継ぎの重要性を再認識できた今、キーマンの一人であるのは間違いない。
同じく、広島時代から好きだった黒田は第3戦の先発予定。
防御率はまずまずながら、なかなか勝ちきれなかった黒田。
広島時代同様、打線の援護がもらえない日々が続いていたが、レッドソックスからラミレスを獲得したことで、打線に厚みができた。
広島時代、果たすことができなかった優勝をMLB1年目で経験する。
皆が望むような夢ではないか。

田口、井口のいるフィリーズはブルワーズと。
ここはあまり試合を見ていないので情報が少ない。
田口は試合に出ていなくても、チームを鼓舞しているのだろう。
毎年プレイオフに進出するようなチームの一員になっている。
田口の持っているものを信じて、フィリーズに勝ち進んで欲しい。
(井口はプレイオフ権利がない)

こう書き連ねていく間にも、窓から入る風が冷たい。
耳をよーくすませば、気の早い人は冬の足音が聞こえるかもしれない。
しかし、今年も後3ヶ月と振り返るのはまだ早い。
1日1日大切な試合が続く毎日、極上のプレーがまだまだ今年のメインは残ってるぞ、と訴えかけるだろう。
日本以上に感じるホームゲームの有利さ。
球場に来たからにはすべてプレーを目に焼き付けようとする観客。
鳴り物こそならないが、むしろそれが、1球がこれほど大事だという感覚を画面越しにも与えてくれるブーイングや歓声、そして大事な場面のつばを飲み込む音さえ聞こえそうな静寂で、球場にいるような気持ちになれる。
暖かくなるのに熱燗やワイン、暖かい料理はいらない。
この試合さえあれば・・・そんな試合を必ず見ることができる。

さて、頂点に立つのはどのチームか。
ワールドシリーズの予想は、個人的好みを多分に含みながら、レッドソックス対ドジャース。
連覇か、初優勝か、はたまた古豪復活なるか。
去年のようなこれぞ野球!という試合を期待したい。
そして、今年も日本人の活躍で、その指に光るチャンピオンリングを見たいものである。
がんばれ、日本人選手!

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2008年09月24日

イチローの次は、あっさりの後は・・・

首を長くする必要はなかった。
先日ブログで書いた歴史的瞬間はあっという間に訪れた。
ぼてぼてのゴロ、イチローの足、ホームランのような華々しさはないが、これぞ野球の面白いところというプレーで、その時はあっさりきた。

毎試合1本ずつというペースから、週末には達成するのでは・・・と予想していたが、これはイチローに失礼な話だったのかもしれない。
11試合を残しての200本安打、それも8年連続。
その記録をあっさりというのには、正反対の大記録である。
しかし、イチローにはこの記録もやはり「あっさり」という言葉のほうが似合うような気がする。
周りの期待も、そう表現できるのではないだろうか。

もちろん、本人にとって、周りの「やってくれるだろう」という期待は重く、不調の際は、「ほっといてくれ!」という気持ちもあるだろう。
しかし、イチローが毎年唯一公言する目標だけあって、必ず成し遂げるという強い決意によって、周囲の声を気にすることはあまりなかったはずである。

何年後、ずっと先の話になるだろう。
ひょっとすると、40歳を超えてからの話かもしれない。
最終試合が終わり、200本安打を達成できなかった。
そのときのイチローの言葉は、
「ファンに対して申し訳ない」と謝る言葉ではなく、
「自分自身が一番がっかりです」と応えるはずだ。
そう思えるような強い意志、イチローを一番期待しているのは自分自身だと思わせるものをイチローは持っている。

プロ野球選手になること。
日本での200本安打。
海を渡ってMLB挑戦。
MLB記録の262安打。
そのたびに、イチローは高い目標を上げ、どれも達成してきた。
目標を達成することは、イチローにとってはごく自然なこと、当たり前のことなのかもしれない。
もちろん、それを達成するための、毎日のトレーニング、高い技術力、怪我をしない体作りなど、誰も及ぶものはない努力の結晶であるだろう。

昔、オリオールズにカル・リプケンjrという素晴らしい選手がいた。
2,632試合連続出場を果たし、圧倒的な得票率で資格を得た1年目で、殿堂入りを果たした名選手である。
なぜ彼がそこまで、愛される選手だったのか。
毎試合出場し、硬い守備、堅実なバッティングで、チームを支え、ファンに喜びを与えた。
それを16年も1試合も休むことなく、プレーを見る喜びを毎試合ファンに与えてき続けたからではないか。
プレースタイルの違いで、休養をはさむほうが、より活躍できるかもしれない。
しかし、年に一度の球場観戦で、パパとつないだ手を離さずに、ポップコーン片手にわくわくして乗り込む子供。
試合開始にはちょっと間に合わなかったが、そこにはお気に入りの選手が毎試合変わらず出てくれている。
選手にとっては162試合のうちの1試合だが、その子供にとっては、大切な思い出となる試合。
ひょっとすると、その影響で未来の名選手になるかもしれないきっかけのひとつ。
こういった夢を与えてくれる選手だから愛され、尊敬されるのであろう。

ワールドシリーズでの1本のホームラン、ひとつのエラーで強烈に印象に残る選手もいる。
しかし、イチローはカル・リプケンjrのようなタイプの選手ではないだろうか。
大げさな言い方になるかもしれないが、今回イチローが達成したMLBタイ記録の8年連続200本は、連続試合出場記録にも、通算ホームラン記録よりも、不滅の記録である56試合連続安打にも劣らない輝きをはなっている。
(56試合連続安打の更新も期待してしまう)

8年間、怪我することなく、世界最高の野球環境の中で、トップクラスの力を維持しているイチローはやはりとてつもない選手だ。
張本がもっている記録はもちろん偉大だが、イチローの眼中にはあまりないだろう。
200本安打が内野安打だったので、その記録を抜くときは、ひょっとすると、開幕戦初球のホームランだったりするかも・・・これは狙いすぎですね(笑)
来年はとうとう、長いMLBでも誰も歩んだことのない道を切り開くことになる。
それでも、楽天的に考えられる日本のファンは、幸せでもあり、そしてやはりそう思わせるのはイチローのすごさなのだ。
これからも怪我なく、守備に、足に、打撃にプロの見所満載のイチローを応援していきたい。
そして、皆さんも思っているであろうチームの牽引も・・・となるとよくばりすぎか。。。

イチローの記録が(自分が感じるだけかもしれないが)あっさり達成した後、次に日本人として注目していきたいのは、ワールドシリーズの行方だろう。
あっさりしたものの後には、こってりしたものが食べたくなるもの。
こちらも期待にそぐわず、熱い戦いが続いている。
個人記録の次は、チーム戦である。
去年は、レッドソックス対ロッキーズ、松坂・岡島対松井稼の対決で、MLBの、野球の楽しさを存分に実感できた。
今年はというと、去年以上にわくわくできるチームがしのぎを削っている。

可能性からいうと、
レイズ:岩村
レッドソックス:松坂、岡島
カブス:福留
ドジャース:黒田、斉藤
フィリーズ:田口(井口は出場資格がない)

と盛りだくさんである。
同じ日本人として、鼻が高くなるのはうれしいが、一体どのチームを応援するしていいか、贅沢な悩みも出る。
勢いに乗っているレイズや安定した力を持つレッドソックス、やぎの呪いをとけるかカブスなどが面白いが、個人的に応援しているのはドジャースである。

去年のロッキーズのように、終盤勢いに乗ったチームは怖い。
まだ、プレイオフに向けて安心できる差ではないが、今のドジャースの勢いは面白い。
野茂が最初に所属したチームでもあり、そのときから親近感をもって応援してしまうチームでもあるのだ。
そして一番の理由は、日本人選手の中でも大好きな斉藤がいることである。
怪我をして一時期戦列を離れていたが、先日中継ぎで復活を果たした。
去年の大活躍、画面で見る速球は、早いなんてもんじゃない。
スピードと切れ、先発と抑えという役割が違うが、松坂の投球よりも威力があるのではないだろうか。
なにより小気味いい。
三枚刃のかみそりよりも球の切れを感じる。
まさにそりのこし、いや取りこぼしがない。

去年はレッドソックスが優勝したが、岡島の力が大きかったのはいうまでもない。
動じない岡島、そしてチームカラーは赤。
斉藤は熱くマウンドで跳ねる、そしてチームカラーは青。
そんな対比も面白いと思う。
どんな理由でも、ひいきのチームや選手がいると、応援にも熱が入る。
さて、あなたの応援するチーム(選手)は?

残り試合もあとわずかだが、熱いこってりした戦いは毎試合続き、そしてワールドシリーズへ。
その舞台へ上がる日本人選手が活躍するさま、そして去年も経験した思わず声を出してしまうような好ゲームが今年も見れるのは間違いない。
ますます目が離せないMLB。
がんばれ、日本人選手!おめでとう、イチロー!

posted by ballgame |22:58 | MLB | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年09月18日

季節とうらはらに・・・(イチローM3)

今年の夏は4年に一度の五輪でスポーツ満載。
普段あまり見ることのないスポーツの面白さを存分に味わえた。
人は水の中をあんなに早く泳げるものか、人はタイミングよく宙に投げられると時間がスローに見えるものか、人はどこまで早く走れるのだろう。。。
いろいろな驚き、感動、悔しさなどを感じることができた。
まさに人の可能性は無限大にある。
そう感じた今年の夏。
これも五輪という4年に一度のイベントが普段より感受性を豊かにするのであろうか。

その余韻に浸っている間にもう9月。
中秋の名月を眺めながら、虫の音を聞いていると、そこにはスポーツとは程遠いような心の静けさを覚えてしまう。
夏バテならぬ五輪バテ(?)からやっと抜け出れたようなこのごろ、季節とは裏腹に、スポーツが面白い。
サッカーCLやアメフトの開幕、プロ野球も近年不調だった広島、オリックスが両リーグを盛り上げている。

しかし、やっぱりなんといってもMLBであろう。
前のブログでも書いたが、五輪に注目がいってる中、堅実に調子を上げたイチロー。
今日の試合でもヒットを重ねて、8年連続200本安打まであと3本に迫っている。
もはや記録達成は間違いないであろう。
MLBタイ記録となるこの記録、イチロー本人が毎年唯一目標にあげているであろうこの記録は、「不滅」という言葉がしっくりくるのではないだろうか。

この時期になると、リーグ優勝やワイルドカードの可能性のあるチームの戦いぶりを毎日のニュースやMLBダイジェストで見ることが多いだろう。
日本人でいえば、岩村しかり、松坂、岡島、福留、黒田、そして斉藤だ。
ダイジェストでもその選手に注目が集まるが、それだけではない。
ちょっとスポーツの中身を、MLBを伝えようとするダイジェストでは、感じた人も多いのではないか。

そのチーム全体の選手の目の輝きが違う。
試合内容が違う。
一球一球の重みが違う。
それを、応援しているチームのチャンスの時は身を乗り出し、ピンチの時は頭を抱え、祈るように手を握る観客が見守るのだ。
だからこそ何十万部も売れた小説や、アカデミー賞の映画のように、信じられないような逆転や好ゲームが生まれるのだろう。

そういった球場全体が、日焼けしすぎた夜のようにぴりぴりとする球場で、大好きな野球を、家族よりも長くいるチームメイトとひとつの目標に向かう幸せ。
そういった中でプレーできる強いチームの選手は幸せだ。

イチローは違う。
(去年はさておき)イチローの所属するマリナーズはここ数年、この季節になると観客も人数分の盛り上がりすら見せない球場で、目標の見えない戦いを行うのがきまりごとのようになっている。
ややもすると、好きな野球でさえ、なんのために戦っているのか、と疑問が出てくる選手もいるだろう。
勿論、プロであるから、来年のメジャー定着に向けてなど、そういった疑問をもつ選手はいないのかもしれない。
「穴ほりジョー」の話ではないが、目標がわからないと、同じ作業でもつらく感じるものである。

かたや、プレイオフ、そしてチャンピオンリングに向けて、幸せで充実した1試合1試合をこなす選手。
かたや、孤独感すら漂うイチロー。
その中での、年間200本安打を達成し続けるイチロー。
それは己に課した目標のためかもしれない。
強烈なプロ意識のあらわれかもしれない。

しかし、一番大きなものは、リズムの大切さ、積み重ねることの大切さをイチローは誰よりも知っているからではないであろうか。
やるべきときにやる。
自分にできることは真剣に取り組む。
それはチームが何連敗していようが、ダントツの下位であろうが関係ない。
そうしなければ、常に明日の自分に、来年の自分に、40才になった自分によいわけがない。

イチローを見るとある映画を思い出す。
「ショーシャンクの空に」という自分の好きな映画だが、みなさんもごらんになった方が多いと思う。
自分のできることをやっている、という自分へのひたむきさがイチローからは感じることができるし、その大切さを結果で見せてくれている。

イチローに対して「自分勝手な選手だ」と感じる方もいるであろう。
確かに自分も、チームを引っ張る中心選手として、物足りないと感じることがある。
(自分の場合は、イチローにはもっともっとできるはず!という欲の目がある)
極論になるが、イチローが嫌いという方は、その強烈なプロ意識を、または自分に欠けている努力を見せつけられるのが怖いという自分では気づかない心の奥底の恐れもあるのではないかと思ってしまう。
スターといわれる選手、または有名人でもいい。
「カリスマ性」を持っている人は、その人に対する好嫌が半々なように思う。
「いい人」は印象に残らない。
そう思うと、イチローはやっぱりすごい選手なのだ。

だいぶ話がそれたが、200本安打まであと3本。
週末には達成するであろうそのニュースを首を長くして待ちたい。
張本の記録まで・・・とあるが、イチロー本人はあまり気にしていないのではないか。
あくまでおまけであり、通過点にしか過ぎないと、本人は思っていながら、軽々と今年で達成してしまうかもしれない。
そして、あの片方の口を上げ、いたずらっぽく笑い。。。

イチローの毎年更新し続ける記録と五輪は似ているかもしれない。
かたや毎年塗り替えていく記録だが、五輪は4年に一度。
しかし、その4年の大会に出場するために、結果を残すためには、毎日のトレーニングが欠かすことができない。
そう思うと、五輪での日本人選手の活躍や世界新達成の感動には及ばないかもしれないが、イチローの200本安打も今まで以上にわくわくしませんか?
私達はひょっとするとすごい場面に立ち会っているのかもしれない。

その日を心待ちにして・・・がんばれ、イチロー!

posted by ballgame |00:09 | MLB | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年08月11日

鬼のいぬ間に・・・(イチロー好調!)

TVをつければ、北京五輪、高校野球とスポーツ好きにはたまらない毎日が続いている。
北京五輪では、日本人選手がいまいち波に乗り切れない状態が続いている。
すべてはなでしこJAPANの予想外の引き分けから始まったようなもやもやする日々。
柔道内柴の金メダルでいい流れに乗れればいいのだが。。。

4年に一度の大きな大会(夏・冬だと2年)、松坂・黒田と先発したが、さすがにMLBの放送も押されっぱなしである。
そんな中、貯金と借金の数がほぼ同じチームの対戦、マリナーズ対レイズ戦でイチローがやってくれた。
6打数4安打で歴代マリナーズ選手の通算安打数で、あのケン・グリフィーのヒット数(1,743本)を一気に抜いてしまったのだ。

前回書いたブログでも書いたのだが、毎度マスコミの探究心の強さというか、読者へのサービス心というものは、頭が下がる。
イチローのこれから行く道は、過去の(long time ago・・・などと表現できるような僕達が生まれていない昔の)記録との戦いとは避けられないものであろう。
イチローが意識している記録(例えばシーズン200本安打、56試合連続安打など)から言われなければ気づかない記録まで。。。
イチローが日ごろから気にかけているであろう「自分のできること、小さなことをこつこつやるのみ」ということと、毎日の積み重ねであるヒット数とは相性がいい。

1本1本が積み重ねとなり、大きな山になり、道を切り開く。
毎日の変わらない念入りなストレッチや道具に対する愛情などが、1本のヒット、そして野球を見るものに、野球のいろいろな楽しさを味あわせてくれるようなイチローのプレーに繋がっているのではないか。
(イチローが打った後、バットを立てて置くようにして走るのも、なんとなく愛情を感じる)

日米通算3,000安打もすばらしい記録である。
しかし、今回の記録のほうが自分としては、より価値があるように感じる。
MLBのみでの記録でもあるし、ましてやそれを1チームのみで達成したというところに、マリナーズファンに愛される選手だというのを感じる。
最近で思い出されるのは、カル・リプケンjrくらいであろうか。

この記録も、イチローにとってはおまけのような記録であろうが、マリナーズ歴代トップはエドガー・マルティネスの2,247本だそうだ。
ケン・グリフィー、イチロー、エドガー・マルティネス。
名前を並べただけでも、すごい選手の一員として、輝きは劣ることがないことを感じる。

さて、タイトルにある「鬼のいぬ間に」。
3,000安打の日本のマスコミの加熱報道ぶりに、少なくともイチローのためにはならないような取材に、眉をひそめていた。
その後のイチローの調子に響かなければいいと思っていたが、とんだ杞憂だったようだ。
その後も、毎試合ヒットを続け、現在では15試合連続ヒットを続けている。
ヒットは出るが、なかなか爆発することがない今シーズン、この間もヒット1本の試合が多かった。

気になるのはやはり、MLB記録に並ぶ8年連続の200本安打である。
イチロー自身も毎年狙っている記録であり、日々の積み重ねや衰えない実力を示す記録でもある。
素晴らしく価値の高い記録であるともいえよう。
前記したヒット1本の日々でやきもきしていた日々が続き、このブログをかこうと思った今日、4安打とやってくれました。

イチローの好調の秘訣は、本人のたえまない努力や才能の表れはもちろんだが、このことも関係しているのではないだろうか。
8日に北京でのすばらしい開会式(出だしの太鼓や文字の動きなどすごかったが、長くも感じた・・・)で世界中はもちろん、日本のマスコミも五輪に大注目の今、多くの野球ファンにも、MLBは、五輪・高校野球に次ぐ存在となっているように感じる。
もちろん、熱心なファンは毎日追いかけているであろうが、その数も大多数ではないとしたら、やはりマスコミは、現在最も注目される競技、出来事に集中する。

うがった見方かも知れないが、これはイチローにとってチャンスである。
自分の活躍をファンに伝えてくれるマスコミは大事であろうが、度を過ぎると毒にもなる。
良薬も取りすぎれば、体に悪い。
一向に良くならないチーム(最近は接戦も多く、なかなか面白い・・・が、それでもまけることが多い)成績に、足を引っ張られることもあるだろうに、それに輪をかけて、マスコミの熱狂的報道とタッグを組まれると。。。さすがのイチローもいつかは敗北してしまうのではないかという、悲観的な見方も出てきてしまう。

現在、イチローは117試合を終えて、151安打。
残り45試合で49安打と、一時期の厳しかった状況からすると、かなり現実的な数字になってきた。
北京五輪が続くこれからの2週間、シーズンも終盤に入ってきて、疲労も増すであろうが、「○○のいぬ間に・・・」ヒットを稼いでもらいたいものである。
五輪柔道の緊迫した試合を、手に汗握りながら観戦するのもよいが、イチローの記録は、余裕を持って達成できれば、観る者の北京で弱ってくる心臓に負担をかけないですむのだが(笑)

ひょっとしたら、イチローもチャンスとほくそ笑んでいるかもしれない。
イチローならありえる。。。ことはないかなぁ。
暖かいファンの声援だけをパワーにかえて。
イチローの輝ける記録のためなら、放送がなくても、我慢しよう。
北京五輪に全神経を集中しながら・・・。
がんばれ、イチロー!

posted by ballgame |00:07 | MLB | コメント(0) | トラックバック(1)
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2008年08月01日

野茂のすごさ

先日、BSで野茂の引退をうけての特別番組が流れていた。
内容は野茂のMLBでの野球人生を振り返りながら、節目となる試合を当時放送していたベース(ワンストライク、ワンボールなど投球の流れを切らず)でじっくり見ることができた。
初勝利、先発投手としてのオールスター出場、地区優勝、2度のノーヒッター、17奪三振、そして日米通算200勝などがピックアップされていた。
硬派なつくりで、余計なゲストやコメントがなく、合間にナレーターの短い言葉だけという非常に見ごたえのある2時間だった。

ドジャースのまぶしい白と青のユニフォームを着て、MLBのマウンドに立つ野茂。
そこには誇らしい顔などなく、表情を変えずに淡々と自分の信じるボールを投げ込む野茂。
現地の解説者も野茂の投球を始めてみたときは、苦笑いのような声を出していた。
最近、バレーや野球、サッカーなどでニックネームをつけるのがはやっているが、「わざわざそこまでしなくても・・・」などと首をひねることが少なくない。
しかし、野茂の「トルネード投法」はまさにぴったりのキャッチコピーだ。
まさに台風のごとく、威力のあるボールを投げ込み、打者も小さなつむじ風ののようにバットがくるくる回っていた。
躍動感のある投球フォーム(下半身が強くなければ続かないであろう)、目の前で消えるフォーク、伸びのあるストレート、まさにMLBに旋風を巻き起こした。
画面からでも、ちょっと前髪が動くように感じるほどのダイナミックさ。
結果は知っていても、何度みても色あせない投球を食い入るように見ていた。
野茂は実力でも視覚の面でも、スターだったといえよう。

野茂のこのすごさはなんなんだろう。
ストライキ後の野球ばなれしかけたファンをとりもどしたこと?
2度のノーヒットノーラン?
日米での200勝?
それを支えたストレート、フォーク、そしてトルネード投法?
奪三振数?
現在では当たり前のように感じるMLBでの日本人活躍のパイオニア?
日本人初のホームラン?

他にもいろいろ出てくると思うが、どれも野茂のすごさをあらわすものに間違いない。
しかし、本当に野茂がすごいのは「自分のやりたいことをやりぬいたこと」ではないだろうか。
自分の魂の奥深くからこみ上げるもの、それに正直に耳を傾け、心を配り、その奥底の声にしたがってきた野茂。

近鉄からMLBへの挑戦はいろいろもめたこともあり、一部の解説者や心無いファンからは、非難や不満の声しか聞こえてこなかったように思う。
(野茂のマスコミの前ではあまり語らないところも影響していたと思うが)
それどころか、「失敗すればいいのに・・・」のようなニュアンスの記事も見たことがある。
もちろん、すべてがこういったマイナスばかりではなく、多くのファンは「がんばれ!」と応援していたであろう。
そんな賛否両論の中、MLBに挑戦した野茂は、ただひたすら自分の魂の声にしたがって、投げ続けた。
それは、もっと良い環境で、もっと高いレベルで、そして自分の好きな野球を続けていきたいという声だったのではないか。
これはイチローにも感じるところである。
ひたすら「自分に正直に・・・」

野茂のMLBで成功を収めることができたが、たとえ成功していなかったとしても、たとえ1勝もできなかったとしても、野茂は自分のやりたいことを貫き通し、満足していたのではないのだろうか。
自らの内なる声にしたがってきたのだから。。。
か弱い声は耳を澄ませば誰にでも聞こえるが、大半は聞こえぬふりをするだろうその声に従い、険しくだれもいない孤独な道を。。。
成績、スター性よりも、その姿勢にもっとも心を打ち取られたように感じる。


ドジャース-メッツ-カブス-ブルワーズ-タイガース-レッドソックス-ドジャース-デビルレイズ-ヤンキース-ホワイトソックス-ロイヤルズ

書き出していてびっくりするぐらい、各球団を渡り歩きながら、野茂は自分を信じ、才能を活かし、野球を愛して、現役を続けてきた。
引退発表は残念だが、野茂の言葉がまた素敵だ。
「自分の中ではまだまだやりたい気持ちが強いが、自分の気持ちだけで中途半端にしていても周りに迷惑をかけるだけだと思った」
正直、2度目のノーヒッターや200勝達成の試合はストレートも明らかに落ちており、引退はしょうがないのかもしれない。
桑田同様、好きなピッチャーである野茂には、日本での凱旋投球もみてみたいところ(好きな楽天あたりで?)だが。。。
心行くまで休み、これからも野球界にかかわっていってください。
お疲れ様でした!


余談になるが、この放送が野茂の成績を超える期待をこめて、松坂が見ていたらいいなぁと思った。
放送前半の野茂は三振をバッタバッタと取っていた。
イメージではフォークでの三振という感じがしていたが、ストレートでの三振とほぼ同じぐらいの割合があった。
松坂も野茂もタイプが似ていると思う。
変化球の種類は違うが、基本的にはストレートでぐいぐい押していくタイプだろう。
スピードではなく、切れのある伸びるストレート。
変化球に頼るのはまだ早い。
日本のピッチング、そして野茂のストレートを思い出して、バッターをきりきりまいさせる松坂が見てみたい。
勝利もいいだろうが、気持ちの良いくらいの魅せるピッチングを期待したい。
ドジャース時代、野茂は完投が年間2~3試合あった。
四球が多いのにもかかわらずである。
時代の変化で球数制限がルーズだったこともあろうし、監督の信頼もあるだろう。
5回途中、無失点降板・・・いい内容だろうが物足りない。
もっとできるはずだ、期待が高いだけに厳しく長くなってしまった。
がんばれ、松坂!
そしてすべての日本人選手!

posted by ballgame |23:40 | MLB | コメント(3) | トラックバック(0)
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2008年07月31日

想いは変わり・・・(イチロー3,000本安打達成!)

ものたりないほどあっけない。
変な表現だが、1回表初球のストレートはバットに押し出されるようにして、ポトリとレフト前に落ちた。
「ホームランを狙っていた」というコメントがイチローらしければ、一打席目の初球のヒット、図ったように誰も居ないところに落ちる打球もすべてイチローらしかった。

会見では笑顔を見せていたが、ヒットを打った後の一塁ベース上、ヘルメットを申し訳なさそうに挙げたイチローの顔は満面の笑みではなかった。
日米通算3,000本安打はすごいことだ。
日本での1本1本、そして太平洋を渡ってからの毎日の積み重ねで勝ち取った記録である。
「小さなことでもこつこつと」おばあちゃんのぽたぽた焼きに書かれているような言葉だが、1日1日を大切にすることの重要性を改めて感じる記録でもある。

おそらく日本中の野球ファンが望んでいたこの記録に限らず、さまざまな記録を探し出してくるマスコミには、頭が下がる思いだ。
しかし、あえてこの1週間のイチローの成績や達成後の表情(試合中だったことも大きく関係しよう)を見て、少しばかりの疑問を感じるのも正直なところ。

イチローもコメントしていたが、いつかは達成する記録である。
今、イチローが活躍する場はMLBである。
日米通算記録がこれほどまでの報道フィーバーになることがあるのだろうか。
もちろん、日本で応援しているファンにこの記録達成の様子やコメントを伝えることは大事であろう。
個人的に思うのは、日米通算記録よりもMLBシーズン262本や連続200本安打のほうが、今イチローが戦っているフィールドでの物差しとして、そしてイチロー本人にも価値のある記録なのではないか。
MLBだけの安打数にこそ、より価値を見出したくなるのはうがった見方だろうか。
MLBでの3,000本(怪我さえなければ達成できるのではないか)、そして日本人初の殿堂入りを目指しての通過点。
そんな旅の途中といったある意味軽い感じでこの報道を見たいと思ってしまった。
ひょっとするつイチロー本人は、ここまで大きなことではなく、家に帰り喜びにほほを緩ませるような感じなのかもしれない。

もちろん、記録をけなしているわけではない。
この1週間ばかりは、イチローも人の子、やはりプレッシャーを感じていた。
マスコミ報道が過熱したばかりに、記録達成まで苦しんだ。
マスコミの想い、ファンの想いが「重い」に変わり、期待が「苦しい」に変わっていたように思う。
今年は連続200本安打のMLB記録もかかっている。
ここでのちょっとした低迷(とはいえ毎試合ヒットは出ているが)が、のちのちの記録の足を引っ張らなければ良いのだが・・・これも杞憂に終わるだろう。

魅せることで成り立っている野球、そしてプレイヤー。
それにかかわるマスコミ。
そして期待するファン。
イチローの素晴らしい記録を見て、ふとそんなことを思った。
力にもなり、そして逆にもなる。
切っても切れない関係である。
難しく考えると難しくなり、簡単に考えればがんばる姿を応援するというシンプルなものかもしれない。

チームはサヨナラ負けを喫し、なかなか浮上のきっかけがつかめない中、イチローの明るい話題が、夏の日の打ち水のように少しだけ心爽やかに感じた。
おめでとう、イチロー!
そして次は200本安打!
がんばれ、イチロー!

posted by ballgame |00:32 | MLB | コメント(2) | トラックバック(1)
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2008年07月01日

イチロー、マリナーズの良い折返し

MLBは162試合。
マリナーズは今日行われた試合が81試合目とちょうど半分を終えたことになる。
目を覆うばかりの成績から、今シーズンのプレイオフ出場はほぼ絶望的となっているマリナーズ。
GM、監督も変わり、チームのよどんだ悪い流れを何とかしようともがいているところである。
また、来シーズン(あるいはもっと先)を見据えて、無駄な試合は1試合もないであろう。

今日はパドレスに勝ち、今季初の同一カード3連勝を飾った。
この時期に初めてということで、今までのチーム事情がうかがい知れるだろう。
同一カード3連敗は今季何回あったことか・・・。
と、過去を嘆いても仕方がない。
今日は打線もつながり、投手陣も1点に抑えるなど、折返しとして絶好の試合運びとなった。
GM、監督ともに解任という思い切った賭けは、今のところいいカンフル剤になっているのだろうと思うと、ほっとする思いがする。

イチローは今年7年連続200本安打という大記録(MLBタイ記録)に挑戦している。
数年前からの(去年は違うが)チームの不振の中、「自分の仕事」に徹してきたイチローが今年は苦しんでいる。
年々成長していっているイチローだが、それは気持ちの面でも大きく変化しているのではないか。
去年のチーム成績から、今年は久しぶりに自分以外に(チームに)期待していたはず。
それが「こんなはずじゃなかった・・・」という気持ちが例年より大きく、イチロー自身の成績にも普段より影響してしまったように思う。

ひねくれた見方をすれば、自分勝手に見えてしまうイチロー。
そうでなければ、いつでも自分の力、パフォーマンスを最大限発揮できるイチロー。
バッティングについては、シーズン中は多くを語らないイチローだが、少なからずチームにひきづられた影響は否めない。
いや、否めな"かった"・・・と言い換えたほうが良いのかもしれない。
少なくとも、今日に関してはすでに過去形にした方が無難である。

今日のイチローは、右、中、中、左、中ときれいに打ち分け、5打数5安打の堅め打ち!
イチローのスイングがきれいにボールの軌道と重なり、図ったように外野手の前に落ちていた。
まるでバットがボールに当たる際にテニスラケットに変わったかのように、狙ったところに打球を運んでいた。
インパクトの瞬間、ほほを膨らませるイチローは、バットに息を吹き込んで、太くしているかのようにも感じる。
ため息が出るほどのバッティングだ。

テニスのプロにもなると、サーブで相手コートに立てた缶を倒すのは容易と聞く。
イチローは向かってくるボールをやはり狙っているのではないか。
昔、「レジー」という野球漫画で各ベースに当てるという場面を見たことがあるが、まさにそれである。

不調で最後まで苦しみながら200本安打を達成した05年には、80試合で100本に到達した。
今年は、80試合目、つまり昨日の時点で95本だった。
数字だけ見ると、05年以上の不調といえるだろう。
しかし・・・そのことに反発するかのように、5安打の堅め打ちで、きっちり100本に到達した。
残り81試合で100本。
普段のイチローにとっては難しいことではないかもしれない。
(ごく限られた才能の選手のみ達成できることなので、さらっとこういわせる実力を見せるイチローはやはりとてつもなくすごい選手なのだ)

オールスターファン投票の中間発表でも、3位をキープしているイチロー。
応援する日本人は勿論、野球好きのアメリカ人でも、オールスターになくてはならない選手なのであろう。
イチローのすごさは、バッティングや守備、走塁といった野球の基本能力の高さにあることはご存知の通りだが、それより一番すごいといえるのは、怪我の少なさにあるといえるのではないか。
オリックスの最終2年以外は、長距離移動や試合時間がまちまちなところにもかかわらず、ほぼ全試合出場し続けていることが、イチローの魅力ではないだろうか。

今年は例年より日本人選手が多く出場している。
松坂や両松井、岩村や黒田がチームを牽引しているが、惜しむらくは怪我があったことだ。
もちろん、怪我をしようと思う選手はいないだろうから、選手を責めることはできない。
今まで見てきた中で一番好きなアスリート、皆さんもご存知のNBAのM・ジョーダンも2年目の骨折以外は、ほぼ全試合出場をしていたように思う。
能力のある選手はたくさんいる。
が、やはり、怪我なく毎試合出場し、コンスタントに実力を発揮できる選手こそファンは見たいものではないか。


1週間、おやつを削り、仕事を調整し、あのチームのあの選手が1年に1度やってくる「あの日」に向けて、家族分のチケットを取る。
子供は目を輝かせて、あの選手のユニフォームやチームの帽子をかぶって、車の中からシートベルトを引っ張りながらはしゃいでいる。
いつもこんなにしゃべらない子なのに。
天気は快晴、ちょっと汗をかくくらいの気温だが、心地よい風と高揚感であまり気にならない。
チケットの半券を受け取り、子供は一直線に走り出そうとし、自然と親の足取りも軽く速くなっていく。
キャッチボールの音、打球の乾いた音、自然と顔がほころぶ。
そんな中、スコアボードを見るとあの選手の名前がない。。。


大げさな例え話ではあるが、雨天中止よりも悲しいことかもしれない。
実力がなければ試合には出続けられない。
実力があっても怪我では試合に出られない。
絶え間ない努力で、試合に出続けていることはやっぱりすごい選手だと思う。

マリナーズは3連勝。
イチローは5打数5安打。
ちょうど折返し地点を曲がった今日、いい後半戦を切れるだろうか。
マラソンでも折返し地点を回ると、同じコースなのに、景色が随分違うように感じる。
この勢いで残りのシーズン、がんばれマリナーズ!がんばれイチロー!
期待が高まる1ゲームでした。

posted by ballgame |00:27 | MLB | コメント(1) | トラックバック(0)
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2008年06月19日

マリナーズのGMバベシ解雇でどうなる?

今週16日にマリナーズのGMバベジが解雇された。
前々からうわさされてはいたが、心境はとうとうというかやっとというか。
03年に就任してから4年ちょっと、ここ1、2年は特に首をかしげるチーム構成(トレードやFA選手の獲得など)が続いていただけに、解任は致し方ないところであろう。

メジャー球団の中でも、豊潤な資金力を持つマリナーズだが、チーム構成が上手くいかなければ、選手が活躍しなければお金の価値は下がるばかりだ。
活躍しない選手への長期契約で苦しめられているのは、長年なかなか思うように勝てないNBAのNYニックスを思い出す。

大金をかけて獲得した選手が期待はずれの活躍しかできなかったとき、その契約は「アホウドリ」契約と呼ばれるそうだ。

(NumbarWeb 李啓充さんのコラムより)
http://number.goo.ne.jp/baseball/mlb/column/20080619-1-1.html

MLBを違った観点で見るこのコラムは、いつも関心をもってみているが、今回も面白い内容だった。
マリナーズの「アホウドリ」選手はデータによると、スターティングメンバー9人中5人、先発5人中3人が当てはまるという。
マリナーズに入団すると、前の年まで活躍していた選手も不調になり、逆に他のチームで生き生きと活躍する選手を見て、何度悔しがったことだろう。
まるでマリナーズのユニフォームが布に見えて、実は鉄でできているのかのように。。。

日本と違い、チームの骨格を作るのはGMの役割である。
GMは強い権限を持つ代わりに、ある意味監督や選手以上に責任を負わなければならない立場である。
「マネーボール」で有名なアスレチックスGMのビリー・ビーンのように、与えられた予算で、毎年上手くやりくりしているチームもあるのだから、より豊かな予算を与えられているバベジは、不運なところもあっただろうが、よいGMとはいえなかっただろう。

目を背けたくなるほどの今年のマリナーズの混乱ぶり。
勝率は3割半ばほどでナ・リーグの首位打者にも劣る負けっぷりである。
シーズン半ばでのGM解任で、すべては上手くいくか。
残念ながらそうは思えない。

野球は9人でやるもの。
もっと視野を広くすると、ベンチプレーヤーやコーチ陣、その他もろもろでやるものではある。
1人が悪いからといって、チーム全体が悪くなるものでもない。
かといって、1人が良くなったからといって、チーム全体が良くなるものでもない。
チームの骨格を作るGMの責任が重いとはいえ、1人を変えただけで、急に結果が出るものではないであろう。
GMだけが悪いのではない、選手も悪ければ、監督・コーチも悪い。
短期決戦では個人のミスによる敗戦はあろうが、シーズンを通してみると、やはり全体責任であろう。

マリナーズはいま不調のどん底にいる。
下水溝に落ち葉が詰まって、流れをせき止めているような雰囲気すら感じる。
そういう状態で、なんとか良くしようという試み、それはその詰まりを打破する

ひとつのきっかけにはなるのではないか。
できることから始めていく。
いわばショック療法のようなものではあるが、これ以上の底はないと信じたいマリナーズ、選手1人1人が自分の仕事をきっちり行い、全員でチームを押し上げてもらいたいと期待している。

佐々木、イチローがいて、優勝争いをしていたころは、球場も満員だった。
それが選手の奮起や活気につながり、いい環境はいい流れをよんでいた。
今は・・・球場も空席が目立ち、選手にもどことなく覇気が感じられない(負けているからか)、衛星での中継も減っている(日本人選手が増えたことが大きいが(笑))、チームが勝てないと選手達は個人成績に走ってしまう。。。
悪い環境がさらに悪循環を生んでいるように思う。

シーズン途中の解任で、後任も見つけづらいであろう。
後任が決まらなければ、来期に向けての今季の戦いもできない。
つらいシーズンが続くであろう。
だが、自分が期待する抑え(中継ぎ)のモローや、フェリックスのエースとしての成長、ジェフ・クレメントのファースト(指名打者)起用など、まったく光がないわけではない。

*余談になるが、城島がファーストの練習をしているそうだ。
打棒を買うなら、まずはクレメントを指名打者(あるいはファースト)にしたほうがよいのではと、贔屓目には思ってしまう。
日本で培ったリード術を使えば・・・とは贔屓し過ぎかも?
打撃がいいイメージがありますが、守備力もいいんですかね~。

一人がチームを悪くすることはない。
ただ、その一人ひとりがなにかやらなきゃチームは変わらない。
自分の仕事をやり、全体を押し上げる。
案外こつこつとしたその小さなことが、良くなっていく近道ではないだろうか。
きっかけはできた。
あとは変わるだけである。

そして・・・何より、真剣な中にもどこか楽しそうにプレーして欲しいと思う。
今の表情は暗すぎる。
MLBの魅力は、観客も含め、球場全体が「PLAY」を「ENJOY」しているところにあると思うから。
選手も楽しまなきゃ。
がんばれ、マリナーズ!

posted by ballgame |23:47 | MLB | コメント(10) | トラックバック(0)
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