2009年11月30日
今年もあと一か月あまり。
寒い日が多くなってきた季節、人肌恋しくなる季節でもある。
ゴルフの女王は、ゴルフシーズンが終わる冬に向けて、今年のパートナーを選んだ。
それは強引ともいえる展開で、「モノにした」とも言える。
恋した女王、勝利の(ゴルフの)女神は狙ったターゲットにはえこひいきとさえとれるような恩寵を与える。
女子プロゴルフ最終戦、LPGAツアー選手権リコーカップは横峯さくらが5打差を逆転して優勝を勝ち取り、賞金女王の座も手に入れた。
勝ち取った、手に入れたというよりも、与えられたといってもいいような展開。
初孫に、おもちゃやお菓子など買い与えるおじいちゃんやおばあちゃんを想像してしまう。
勝った横峯さくら。
14番、グリーン左手前からのチップインバーディ。
強すぎる程のランニングアプローチは、意志を持っているかのようにピンに当たってすっぽりとカップに入った。
15番、セカンドはショートするもグリーン手前ラフで信じられないラッキーバウンド。
そのままラインに乗り、あわやイーグルかと思わせる入ってもおかしくない、カップを覗く位置に止まるショットとなった。
サッカーに例えるとまるで誰かがトラップして、シュートしやすいようにお膳立てしたような。
普通のラフなのに、まるで意志をもっているかのような柔らかいバウンド、そのあとのボールの転がりだった。
最終18番は長いバーディパットをショート。
1m強の微妙な距離のパーパットが残る。
これまでの横峯だったらプレッシャーに負け、ショートしていたことだろう。
だが、これを強い意志の力でねじ込んだ。
これ以上の寵愛はいらぬとさえ感じる力強さ。
だれしもが震える展開でのパット、まさに技術ではなく「入れ!」という意志でねじ込んだと言っていい。
横峯が強くなった証であり、最終日届かなかった有村との差を感じる。
負けた諸見里。
16番の3、4mはあろうかというパーパット。
17番のこれも3mはある下りの難しいフックライン、バーディパット。
どちらもねじ込む。
ショートなど考えられないといったところ、入るラインしか見えないという断固たる決意を感じた。
リーディングボードで横峯のスコアは確認していただろうか。
いや、どちらでもよい。
諸見里は自分さえよいスコアが出れば、という思いでいっぱいだった。
最終18番は距離のあるバーディパット。
これを決めれば横峯に並ぶ。
出だしからラインを読み違えたパットは、カップ左にほんの少しショート。
惜しくもバーディパットを外してしまった。
最後に打ち切れなかったパット、かすかではあるが、賞金女王に届かないなにかを感じた。
それは実力ではなく、あるタイミング、時期だけなのかもしれない。
去年に引き続き、この大会で大きなドラマが生まれた賞金王争い。
去年も劇的だったが、今年もそれに劣らず紆余曲折があった。
みんなの声に押されてずるずると落ちた飯島茜。
16番、17番での連続ボギーは、残酷なシナリオ通りとさえいえる。
横峯、諸見里はその声援を力に変えて、またそれ以上に自分の強い意志によって賞金女王を手にするんだという強い思いが画面上ではっきり伝わってきた。
それは気迫という普段は目に見えないものでも、最終日にはプレーに実際に表れていた。
解説の小林も言っていたが、今回出場25人で20代が18人。
そして、今の若手は目標をはっきり決め(または宣言し)それに向かって本当に突き進み、実際に手に入れるところがすばらしい。
横峯は賞金女王、諸見里はグランドスラムと。
うれし涙を流した横峯。
「プレッシャーに強い人、弱い人がいると思う。わたしは弱い人なんです」
確かにそうであろう。
今までもそうだったし、完全に克服したわけでもない。
だが、この最終日、上がりの3ホールは強固な意志でそのプレッシャーを乗り越えた。
不安定さを感じながら、王座に就いた横峯。
完璧な実力ではなく、まだまだもろさを見せる女王もまたいいではないか。
欠点があるということはまだまだ強くなる証拠である。
それよりも、最後にゴルフの女神に愛想を尽かされた諸見里に目が行く。
悔し涙で目を真っ赤にしながらも、しっかりインタビューに答えていた諸見里。
「涙が出るくらい本気でプレーできた証拠。横峯さんも悔しい思いをして賞金女王になったので私もこの経験を活かし来年は取る」
「いままでで一番成長出来た年」
力強い言葉もそうだが、インタビューを拒否することなくしっかり自分の言葉で受け答えしていた諸見里は、来年もっともっと強くなる。
必ず糧になることは間違いない。
諸見里が横峯を後ろから肩を抱き、二人で抱き合っている姿が印象に残る。
百花繚乱という言葉がふさわしい今の女子ゴルフ界。
すばらしい幕切れで、これ以上ないしめくくりを見せた。
「神懸かってないとできない。絶対に実力だけじゃできなかった」
横峯の言葉はそのとおりだ。
女王が、今年を共に過ごしたいと思った順番が今回は横峯だったということだ。
自分達の解らないところで、少しだけ横峯の方がゴルフの女神の好みにあったということだろう。
今までの苦労、そして諸見里にはもっともっと強くなってもらいたいという思いも込めて。
運を手繰り寄せることが出来るのは、あきらめない人だけ。
強いまなざしを持つ諸見里、そして強さともろさが同居した有村もきっと順番が回ってくる。
余談になるが、放送最後には女子プロが2列に並んで、「今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いします」とPRしたところもしっかりしているなぁと感じた。
来年以降も期待でき、楽しみでもある。
今年は優勝できなかった不動らのベテラン(という年でもないが)の盛り返しも楽しみだ。
そして、きっと新星も続々と登場するだろう。
韓国勢に代表するの海外選手もわくわくする。
冬を経て、来年はどんな花が咲き乱れるだろう。
力強く咲く花、可憐な花、新しい花、きっと今年以上に数多くの花、すばらしい光景になることは間違いない。
それを楽しみに来年を待とう。
おめでとう、横峯さくら!
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2009年11月10日
先週上海で行われたHSBCチャンピオンズ、石川遼は17位、池田勇太は51位。
男子ゴルフの賞金王争いは、依然池田勇太が首位だがその差は60万とほぼ無きに等しい差となった。
国内大会が残り4戦といよいよ本当の終盤に入り、ますます熱くなる賞金王争いだ。
本人達は大変だろうが、見ているファンとしてはいよいよ面白くなってきた展開に胸がわくわくする。
追いかける石川遼は先週の大会で13週連続出場と、かなりタフなスケジュールをこなしている。
いくら若いとは言え、タイトなスケジュールでゴルフが雑になるかと思いきや、そこは単なる一流の選手ではない。
1試合1試合を糧にして確実に成長をしているのは、安定した成績を見れば明らか。
「無事是名馬なり」と馬に例えるのは失礼だが、ゴルフに限らず超一流と言われる選手は、えてして体が丈夫である。
自分の体を知り尽くしており、また体のケアを大切にする意識が高い。
イチローしかり、自分が思い浮かべる最高のアスリートであるM・ジョーダンしかり(例えが古くて申し訳ないが)。
何事にもチャレンジする舞台に立つことが、まずは名選手としての第一歩である。
その点では、予想をはるかに上回る意識の高さで石川遼はここまで乗り越えてきた。
いや、乗り越えてきたという受け身的な表現ではなく、喜びとともにスキップ交りで歩んできたと言っていいだろう。
喜びは自分の成長に、そして新たな能力の発見とともに、積み重ねてきた足跡を振り返り、やってきたことが正しかったという成績での証明とともに。
ファンはもちろん、石川遼自身が予想していたものよりはるかに成長をしているのだろう。
メジャー大会ではないにせよ、海外最高順位はそれを物語っている。
「日本で練習を積み重ねてきた自信を持って立ち向かおうと思っていた。これまでの海外の試合はよそいきだったけど、今回はそれができた」
そう語る石川遼は、さわやかさというよりたくましさ、世界で戦える戦士と成長を遂げているのは、精悍な顔つきでわかる。
賞金王については「まだ心構えはできてないけど意識しちゃいけないものではない。自然体に任せて戦えればいい」と語る石川遼。
数か月前とほぼ話す内容は変わっていないはずだが、行間から漂う自信は隠しきれない。
一方、それに対抗するは池田勇太。
試合後は、「賞金王になったって、来年試合に出られなかったら意味ないでしょ」と今後の大会の欠場を示唆した。
外見も、内から発する言葉も強気強気の彼にしては、考えられない言葉。
よほど右手首の状態が悪いようだ。
その後、今週行われる太平マスターズの参加を発表し、ほっと一安心といったところだ。
池田勇太には、そうそう欠場してほしくはない。
ゴルフファンとして、最後まで面白い戦いを見たいという単純な願いもある。
そして、石川遼の壁となり、それを跳ね返すくらいの力強さを見たいという、石川遼のさらなる成長を図るライバルとしての存在。
今、日本で石川遼に対抗心を明らかにしているのは、残念ながら池田勇太しかいない。
ライバルという存在が、お互いを大きくし、世界でも遜色のない選手として日本のゴルフ界をしょってたってほしい。
そういう思いもある。
そして、石川遼以上に池田勇太の大ファンである自分としては、池田勇太の言葉に物足りなさを感じたのも正直な気持ちである。
「賞金王になったって…」とあるが、取れるときに取っておきたいタイトルである。
チャンスがあるならば、死に物狂いで取りに行くべきだ。
池田勇太の怪我の状況もわからず、無責任な発言であるのは承知している。
だが、それでも痛めた体に鞭打って取ったタイトルは、記録として永遠に残る。
タイトルを取ることで、それにふさわしい選手になろうと自然と箔がつく。
タイトルにふさわしい風格が出てくるし、周りの目も変わってくる。
称号以上に、池田勇太にさらなる成長を促せることは間違いない。
無理を承知で言わせてもらえれば、腕がちぎれても、どんな手を使っても取りに行くべきものである。
とはいえ、野球のタイトル争いのように、チームの援護も無いし、休むことで獲得できるものでもない個人競技のゴルフである。
自分自身と1年間真摯に向き合い続け、結果を残した者だけが手に入れられる称号。
野球のタイトルよりも燦然と輝く、その年の王者としての証。
チャンスはいつ来るかわからない。
来年の事は来年考える、今出来ることをしっかり行い、栄えある栄誉を勝ち取ってほしい。
それが、未来につながることはMLBの松井であったり、イチローが証明している。
2人の出場が決まりひと安心と言ったところである。
池田勇太の怪我も(ひどい状況だとは思うが)、出場するならばいいプレーが出来ると信じたい。
高い次元での二人の争いに期待したい。
週末にかけ、あいにく天気は良くない予報がでているが、それに負けない素晴らしい戦いを期待したい。
球技好きには、野球に変わりバレーボールも始まり、この晩秋も楽しみである。
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2009年11月04日
先週行われた女子ゴルフ、IDC大塚家具レディースは全美貞が13アンダーで優勝した。
2位には1打及ばず、ベテラン(という年でもないが)の大場美智恵、そして有村智恵が入った。
どの大会も、ベテランや若手、有望な新人の活躍など華やかなイメージが強い女子ゴルフ。
だが、この大会に限っては、女子ゴルフには珍しい耐え忍ぶ風景が見られた。
特に最終の3ホールは、見ていてせつなくなるような葛藤をまざまざと見せつけられた。
ベテランは踏ん切りがつかなかった。
2001年以降、勝利から遠ざかっているためか。
良く言えば堅実に、悪く言えば思い切りが欠けていた。
16番、17番ともにピンを狙わず、グリーンに確実にのせることを考えていた。
冒険はせず、回ってきたチャンスのみ確実に活かそうというプレーは、前半5ホールからここまでパーをセーブしてきた内容でわかる。
狙うは18番のパー5。
2オンを狙ったショットは、全美貞が打ちこんだグリーン左手前のバンカーに入った。
一足先に上がった全美貞は、同じバンカーからぴったり1メートルにつけたアプローチ。
ベテランのショットはサイドスピンがかかり、ピンから逃げるように転がった。
残り3メートル程のバーディパット。
バーディパットも打ち切れず。
長年勝っていないというのは、いわば呪縛のように勢いをも失わせてしまう。
ぎしぎし悲鳴を上げる機械のように、勝負どころで油をさしていないような状態になってしまうのだろうか。
21歳の可憐な乙女。
あどけなさの残るかわいい面立ちだが、いざプレーに入ると目に力がこもり、勝負師の顔となる。
普通の21歳ではない。
そして、その乙女は優勝することで強くなった自分を再確認したかった。
去年の同じ大会、最終ホールでまさかのダブルボギーを叩き、優勝がするすると手のひらからこぼれ落ちた。
乙女は悔し涙を糧にして、今年4勝を上げ、明らかに成長の後を見せていた。
だが、本人が自らの強さをはっきり確認するのはこの大会でと固く決意していた。
その決意が本物だということは、15番で首位の全美貞に並んだことでもなく、ホールを消化するごとに鋭くなっていく瞳がよく表していた。
自らが去年まとったトラウマという衣を脱ぎ捨てるに絶好の機会が訪れた。
16番、ピンそば50センチのナイスショット。
オーケーバーディの距離につけた。
これで単独首位…誰しもそう思ったはずだ。
だが、1年経っても、4勝した今年になっても悲劇は繰り返した。
強気過ぎるパットはカップの右縁に蹴られてしまう。
17番、50センチのパーパット。
今度は左縁に蹴られてのボギーパット。
だれしもが信じられなかった。
ベテランと違い、乙女は強すぎる意識のためにトラウマを乗り越えることが出来なかった。
1打差で迎えた18番、バーディパットはやさしくない距離を残した。
だが、自ら一段階上に上がった証明をしなければならない乙女にとっては格好の状況だ。
距離がある方が、迷わず打てる。
だが、トラウマにくるまられた乙女はこのバーディパットをショートしてしまう。
なんということだ。
放心したように天を仰ぐ乙女。
乙女に涙は無くても、全身に悲しさが押し寄せていて、見ていられない。
全美貞にもプレッシャーがかかっていた。
3週間前のSANKYOレディース、人々の記憶の中では宮里藍の逆転優勝といううれしさしか残っていないかもしれない。
その陰に、全美貞の17番、18番の連続ダブルボギーという信じられないプレーがあったことは、記憶の片隅にもないかもしれない。
だが、全美貞は忘れようとしても忘れられない苦い記憶となった。
吐き気すら催すほどのこみ上げてくる苦しさ。
それは18番でのプレーにはっきり出ていた。
安全に、安全にというプレーが危険を呼ぶ。
18番パー5、刻んだセカンドショットがバンカーに入る。
そしてサードショットもミスし、グリーン左手前のバンカーに再び入れてしまう。
笑顔が素敵な全美貞の声なき声が、苦しさが押し寄せてくる。
だが、全美貞はそこから逃げることは無かった。
技術は裏切らない。
鮮やかなバンカーショットで、4打目を1メートルにつけた全美貞。
なんとかパーを死守し、逃げ切りに成功した。
最終ホールのパー5、この3人が回る以前の組では半数がなんなくバーディを取っていた。
まさにゴルフは、メンタルのスポーツであることをまざまざと見せられた試合だった。
ベテランのはかなさ、乙女のせつなさ、異国の地で頑張る全美貞のトラウマ。
三者三様の、ギャラリーの前で、他人の目を気にせず胸の内をすべてさらけ出すような戦いに、今までと一味違う戦いを見ることが出来た。
華やかさばかりが目立っている女子ゴルフだが、このような戦いこそ女性らしい戦い、これぞプロゴルフと言えるかもしれない。
華麗な戦い、高い技術もいい。
だが、それだけでなく、メジャー大会に見られるような胸の内、メンタル面の強さを含めた総合力が問われる戦いも心打つものがある。
優勝インタビューでの全美貞の涙、ホールアウト後の有村智恵の悔しさを消化しようと努めるけなげな顔、ベテラン大場美智恵の達観したような顔。
あなた達の豊かな表情、どれも素晴らしく美しい。
今週はミズノクラシックが行われる。
日本で行われる唯一の全米女子プロゴルフ協会の大会だ。
出場者も全米賞金王を目指す申智愛、宮里藍を始め、日本での賞金王争いをしている諸見里、横峯さくら、それにオチョア、上田桃子など多彩な顔ぶれだ。
もちろん、全美貞、有村智恵も出場する。
IDC大塚家具レディースのような戦いもいいが、今週は女子ゴルフらしく華がある大会になるだろう。
寒くなる中で、咲き誇る花々。
非常に見どころが多く、楽しみである。
個人的には、先週の大会で一皮むけたであろう全美貞、有村智恵に頑張ってもらいたい。
球技は野球だけではない。
今週末は、野球に変えてゴルフも注目だ。
posted by ballgame |23:47 |
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2009年10月26日
先日行われた男子ゴルフ、ブリジストン・オープンは最終日7アンダーを叩きだした池田勇太が逆転優勝を果たした。
2週間前から右手の甲を痛めていてテーピングを巻いていたが、痛がるそぶりをみじんも見せず、ウィニングパットを鎮めると穏やかにほほ笑んだ。
貫録というのだろうか、それともほっとしたのだろうか。
歓喜を爆発させるわけでもなく、ただ穏やかに。
湖面を染める紅葉のように、その存在は鮮やかで、当然とばかりにいなくてはならない存在になってきた。
これで池田勇太は今季4勝目、賞金王争いでも石川遼を抜いてトップに立った。
ジャンボ尾崎にあこがれ、同じメーカーであるブリジストンと提携している池田。
この大会のホストでもあり、このコースは自宅から20分。
ゴルフを教えてもらった祖父と初めて観戦したプロツアーだったそうだ。
想像してほしい。
子供の頃の強烈な印象で、今時点の職業を選んでいる人もいるだろう。
あるいは夢に向かっている人も。
その印象は決して色あせることのないもので、もしかすると年々強くなっていくものかもしれない。
そのあこがれの場所(あるいは人だったり)で、子供の頃の夢がかなう。
「人生意気に感ず」ではないが、これこそ生きている証であろう。
太く上向きの眉、力強い光を放つ瞳がなければ、田舎の田んぼにもいそうな愛きょうを感じるキャラクターである。
腰が重いというか、粘り腰というか、重心が低いイメージ。
数十年前のゴルフファンにとっては、当たり前のファッション、ぶっきらぼうな口調。
決して口数は多くないが、その言葉にウソはなく、有言実行の男。
東北生まれの自分からすると、どこかしら懐かしいにおいがする。
彼は余りにも普通の口調で言った。
「トップに立つことはやはり気持ちいい。今年いっぱい、この位置を守れるように頑張ります」
絶叫でもなく、上ずってもなく、リップサービスでもなく。
あくまで自然な口調であるがゆえに、その決意が感じられる。
池田勇太は今季4勝。
今大会も含めて、最終日にビックスコアを出し優勝している点が頼もしい。
メジャー大会で活躍する強豪は、必ず最終日にその本領を発揮し、猛チャージをかける。
真価が問われるのは、最終日、狙って攻められるか、スコアを伸ばせるかというところである。
石川遼にも通じるこの猛チャージ、たくましさを感じないだろうか。
一つの夢がかなっても、愛すべき我らが池田勇太は歩みを止めることはない。
石川遼18歳、池田勇太もまだ23歳である。
まるで対照的な2人であり、ファン層もおそらく違うであろう。
清廉された石川遼に、荒々しい魅力の池田勇太。
池田勇太には、浪花節的な感じもする。
きっと長年のゴルフファンは、石川遼に素晴らしい可能性を感じながら、親近感は池田勇太にあるのではないのだろうか。
だがこの2人、負けず嫌いはどちらも相当なものであろう。
爆発した時の力も、お互い他の日本選手に感じないわくわく感がある。
どちらが賞金王をとっても、最年少での賞金王となる。
自分は石川遼のファンでもあるが、彼にそう簡単に賞金王を取らせてはいけない。
空気を吸っても成長する石川遼には、王道を歩きながら数多くの試練があればある程その土台はしっかりとしてくるのである。
お互い意識したままの残り6戦、プロ野球やMLBのプレイオフに負けないような、季節に合わない熱い戦いを期待したい。
いや、自然にそうなるに違いない。
ゴルフファンであり、野球ファンでもある多くの方は、温暖化とはまた違った冬の訪れの遅さを感じるであろう。
そこで心配なのが、現在賞金王3位の片山晋呉だ。
この大会では、こんなことを言っていた。
「ファイトがわいてこないのは確か。ボギー取って悔しいとか、バーディーでうれしいとかがないのよ」
「あの2人(石川、池田)の感覚とかも分からない。全然刺激にならないし、“どうぞ”って感じ」
本来、この若い二人を跳ね返す役目を果たすべき実力者がこの状態である。
新しいモチベーションを見つけられないというから、大問題である。
片山は、ゴルフを仕事と捉えて惰性的に行うことはできない。
むしろ、なにかしらの障害やチャレンジすべきものがあればある程燃えるタイプである。
今までは、難コースであったり、海外のメジャー大会であったりしたのだ。
まだ36歳、燃え尽きるような歳ではないと思うのだが。。。
ゴルフはメンタルのスポーツ、「いじわるなおじさん」としてモチベーションを上げて対抗してほしいものだ。
posted by ballgame |23:41 |
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2009年10月18日
みなさんにとってご馳走といえば、何を想像するだろう。
高級店で食べるお寿司やステーキ、目でも楽しめるフランス料理だろうか。
近所の定食屋で食べるラーメンだろうか。
それよりも奥さんの作った料理…という方は幸せな方だ。
今は遠く離れている母親の作ってくれたみそ汁だろうか。
一番おいしかった記憶は、子供の頃に食べた料理かもしれない。
どこの店で食べたかも覚えていないし、何を食べたかもわからないが、周りの笑顔やおいしそうな湯気が立っている様子だけは覚えている。
あれはおいしかったなぁ、と思いだす方も少なくないのではないか。
本題に入ろう。
今週18日まで行われていた男子ゴルフの日本オープン。
6アンダーで並んだ3人で行われたプレイオフ、2ホールの濃密なプレーこそがゴルフファンにとって、至福のご馳走だともいえる。
それほど素晴らしいプレーを見ることができ、またゴルフはメンタル部分が恐ろしく大きな影響を与えると改めてわかった。
賞金王争いで、自分が注目している池田の猛追で女子に負けずに盛り上がってきた男子ゴルフ界に、またぴりりと効いたスパイスが入ったようだ。
そのご馳走の中心は、やはり石川遼。
西日があたる彼の顔は、ほほが心なしかこけ、その柔らかな日差しに照らされて、逆に精悍さを増したようにも感じる。
まだ18歳。
一般の男子(女子ももちろん)でさえ、その成長の早さに驚かされることが多くあるだろう。
「男子三日会わざれば刮目して見よ」という言葉もある。
高い目標を持つ石川遼ならなおさらだろう。
立派な戦士の顔になってきたのを頼もしく感じるし、ほんの少し寂しくもある。
もうちやほやされる石川遼ではない。
18番、石川遼のバーディパットはカップ左をなめ、17番に続くバーディで、逆転優勝という最高の締めくくりとはいかなかった。
だが、これで小田、今野と3人のプレイオフになる。
プレイオフ1H目。
セカンドを打った3人は共にグリーンに乗らず、アプローチ勝負となった。
今野はマウンドを超えるピッチエンドラン、石川遼はロブショットでOKパーの位置につける。
一番距離の近かった小田は、ラフが深くアプローチミス。
5Mのパーパットを残し脱落かと思われた。
もう入れるしかない状況で、逆に気持ちが楽になる。
ショートすることはない。
小田は真ん中からがっつりパーをとった。
こうなると一度は死んだ身。
リラックスして体の力が抜けているのを見ていても感じる。
プレイオフ2H目、ティーショットを石川遼に負けないくらいの飛距離を持つ小田は、フェアウェイからセカンドを、ピン2Mにつけるナイスショット。
今野はグリーンオンするも、ロングパットを残している。
石川遼のセカンドショットは、ピンにまっしぐら…だが球は止まらずグリーン奥のカラーに止まった。
今野がバーディパットを外し、石川のバーディパット。
これを入れなければ…という状況で、石川遼に迷いはなかった。
海外で強い気持ちを得た彼にとって、この場面でショートするということは、ダブルボギーを叩く以上に屈辱的なことだ。
強く打ったパットはスライスラインに乗り、入ったかと思われたが無情にも今度はカップ右にけられ、またもやバーディを逃す。
カップの右と左、2度も嫌われてしまった。
この18番、石川遼にとって珍しく厳しい顔を見せていたホールだ。
プレッシャーのかかる時点で小田はバーディをとり、初優勝が日本オープンという素晴らしい記録を残した。
ここまですべて夢をかなえてきた、塗り替えられる記録をほぼ塗り替えてきたといっていい石川遼にとって、日本オープン最年少優勝も達成したかったことだろう。
だが、本人にとってこの結果は、一番良かったのではないだろうか。
プレジデントカップに参加した石川は、世界のトッププロから刺激を受け、技術を盗み、同じ空気を吸った。
石川遼にとって海外挑戦は、高く険しい山に登るような、厳しい体験をする場面である。
いわば参加するだけで、経験値が上がるような状況だ。
それに比べて、日本での最近の大会では優勝や好成績を残すことが当たり前となってきた。
もちろん、石川遼の急成長という部分が大きいだろう。
だが、失礼な言い方になるが、他のプロが不甲斐ないとも言えるのではないだろうか。
まるで既成事実のように、石川遼が勝つことを半ばあきらめのような気持ちで見ているように。
石川遼の通る王道という道をせっせと整備しているかのように。
もちろん、そんな気持ちで戦っているプロはいない。
だが、海外に比べればどこかしら緩い雰囲気がなかったとはいえないだろう。
今日は違っていた。
カメラは捉えていた。
プレイオフ1H目、石川遼のアプローチを見た今野の表情を。
「うまい」と感じながら、首を振っていたその姿には、「自分が優勝する」という強い気持ちがこもっていた。
なぜそんなプレーをするんだ。
失敗しろ。
表現は悪いが、そんな「勝ちたい」という執念を感じた。
それは優勝した小田からもである。
石川遼にとって、初のプレイオフ。
今まで体験したことのないほど、プロの執念を叩きつけられた試合。
自分を戦う相手として認めてくれたこと。
それが、石川遼にとって賞金王よりも、日本オープン優勝よりもなによりもご馳走になるのは間違いない。
おそらく、自分が思ったより早く賞金「王」としてゴルフをすることになったことは、若干の戸惑いもあろう。
それは禅譲ではなく、戦って奪いたいものに違いない。
王道を歩んでいる石川遼にとっても、チャレンジは何よりのご馳走だ。
海外では当たり前に経験できたコースや人との戦いを、今回の大会で、相手からのチャレンジをも感じれたこと。
このどんなにいい食材で、最高の料理人が作った素晴らしい料理よりもおいしいご馳走を、心行くまで堪能した石川遼はさらに大きくなるだろう。
今までに感じたことのないわくわくを持って、これからの石川遼、そして佳境に入る男子ゴルフ界を追い続けたい。
女子も負けていない。
自分もゴルフクラブを握りたくなる、そんなプレイオフを続けて見れた幸せでいっぱいだ。
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2009年10月06日
優勝者に送られる真っ赤なブレザーがよく映える。
真っ赤なズボン、真っ赤なサンバイザーに相まって、何か予定されていたことのようにも感じてしまう。
ひと足早い紅葉が、自らの意思を持って緑のゴルフ場に強烈に存在感を示した。
先週行われた男子ゴルフツアー、コカ・コーラ東海クラシックは、石川遼が最終ホールのバーディーで優勝をもぎ取った。
これを劇的と呼ばずしてなにを劇的というのだろう。
最終ホール、セカンドは池越えの難しいショット。
同じスコアで回っていた池田は、池に打ち込んでいる。
同じく同スコアの梶川は、フェアウェイから安全にグリーンに乗せている状況。
ラフからの、石川遼のセカンドは池近く、グリーン右側に切られたピンへ転がっていった。
ピンそば50cm。
これで優勝は決まった。
以前から石川遼について書かせてもらっているが、そこでは手放しの賛美というよりはむしろ、周りの選手からの刺激だったり、加熱する人気に危惧を感じることが多かった。
石川遼の実力は、直線ではなく曲線的にぐんぐん伸びているのは間違いない。
決して、自分も石川遼の実力を軽んじてみているわけではない。
ただ、世界で戦うだけの力はあと数年かかるだろうし、本人も「まだまだ実力が…」と言っているのも謙遜ばかりではないだろう。
世界でトップに立つという途方もない夢を感じさせてくれるからこそ、厳しい目が必要なのではないかと感じたりもする。
話が少しそれてしまった。
今回の優勝で思ったことがある。
石川遼は、自らが追いかける、チャレンジャーの立場にならなければ力を発揮できないのではないだろうかということである。
うがった見方であろうが、そう考えると今回の展開も面白いものだった。
前半9ホールで単独首位に立ったが、そこからダブルボギーを二つ叩き、2打差になる。
これであっという間に挑戦者の立場だ。
挑戦者というよりもむしろ、逆転の、試合に惹きつけるための起承転結の「転」の部分かもしれない。
そして、15番のイーグル、18番のバーディ。。。
石川遼は、これまでも多くの才能を見せてきた。
夢を現実化するために、素直な吸収力だったり、信じられない強運だったり。
当然根底には、努力を惜しまないという部分があり、自分を徹底的に信じられるということもある。
今回で新たに気付いたこと、それは「ナチュラルな脚本家」であることだ。
石川遼本人は「こんなシナリオ誰にも書けない」と言っていたが、確かに意識して書くことは誰にも出来ないだろう。
意識すれば、昼のメロドラマばりにくどくなってしまう。
ただ、自然に、天然に、無意識にだったらどうだろう。
根底にある、優勝するという強い決意が、こんな信じられないシナリオを書かせたとしたら。。。
そのシナリオは本人がほぼ無意識に書いているのかもしれないし、ひょっとするとゴルフの神様が書いているのかもしれない。
ひょっとすると、石川遼はゴルフクラブを巧みに操ること以外に、用途を変えて筆代わりにできるのではないだろうか。
解説の岡本綾子は「宇宙人」と評していたそうだ。
自分は、「無類のストーリーテラー」と評したい。
ブレザーを着て、全身真っ赤な石川遼を見ると、ゴルフファンなら頭に思い浮かべる選手がいる。
そう、それはタイガー・ウッズだろう。
今時点では、まだまだ…といったところだろうが、今回の戦いで「持っているもの」については負けていないのではないかと感じる。
ただ、そういった夢を見せてくれる選手であることは間違いない。
成長の過程がこれほどはっきりとわかる選手も珍しいし、その過程を追っていけることで、なにか嬉しくなってしまう。
初孫ができたらこんな感じなのだろうか。
これで石川遼は賞金を追加し、2位との差をさらに広げた。
石川遼が、チャレンジスピリットを持っているのはもうご承知の通りだ。
タイガーと比べても、爆発力については似たようなものを感じて、期待感が増す。
ただ、比較すると、タイガーは2、3日目でトップに立ち、そのまま逃げ切るような展開が多いような気がする。
今の石川遼には、その安定感は感じられない。
結果的に優勝も、うがった別の見方をすれば、一か八かがうまくいったともいえる。
もちろん、運を引き寄せることは、ある意味一番重要な能力かもしれないが。
だが、今は安定感など感じなくてもいいのだろう。
現時点で完成している選手よりも、ぼこぼこした原石の魅力がたっぷりだ。
今はたくさん試合に出て、経験を積むことが第一である。
石川遼が天の理、地の理を活かしているなぁと感じることがある。
それは、今シーズン優勝した3試合、すべて翌週の大会は海外であるということだ。
優勝で、ひょっとすると高くなりがちな鼻が、これ以上伸びないようにというゴルフの神様の送り物なのかもしれない。
さらに今週は、米国選抜と世界選抜が戦うプレジデンツ・カップに参加する。
空気を吸っても成長しているであろう石川遼が、タイガー・ウッズやフィル・ミケルソンらがいる米国代表とのマッチプレーでどれだけ経験が積めるか。
楽しみで仕方がない。
最後に、個人的に大好きな池田勇太。
去年に続き、最終ホールで池に入れてしまったが、それでも結果は3位。
他の選手のコメントがさばさばしている中、彼の言葉には闘志を感じる。
「しようがない。自分があそこに打ったんだからへたくそなんだよ。チャンス到来だと思ったんだけどね」
石川遼と対極的な印象を受ける池田とともに、2人で高みに登っていってほしいと思う。
真っ赤に映える紅葉もぽつんとしては面白くない。
2か所、3か所、そして男子ゴルフ界という山全体が真っ赤に染まっていくような晩秋が楽しみだ。
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2009年09月25日
ようやく言ってくれる人が現れた。
昔、近所に一人はいた、小うるさい頑固爺のように、存在が疎ましくありながら、いなければ寂しい存在。
例えはうまくないが、男子ゴルフ界にも、とうとうはっきりとモノ申してくれる選手が現れた。
先週行われた男子ゴルフ、ANAオープンは、谷口徹が優勝した。
彼は41歳、昨年は未勝利に終わり、復活をかける今年も開幕前の交通事故の影響で出遅れていた。
久しぶりの優勝だが、02年、07年と2度賞金王を取った男だ。
「これからの目標は、そりゃ遼くんでしょ。まだまだそんな簡単には賞金王は獲らせない」
なんと頼もしいではないか。
今のゴルフ界は、石川遼が優勝してもしょうがないような雰囲気が流れているように思う。
それだけ期待されている選手でもあるし、ある意味期待以上の活躍を見せている。
ただ、それでいいのだろうか。
今回の谷口のように、闘志むき出しの言葉をどれだけ待ち望んでいたことか。
これが石川遼の同世代や若手がいっても面白くない。
谷口のように実力があるベテランが言ってこそ、味があるというものだ。
同年代、若手はなにするものぞ、という気持ちが無ければ、この先の男子プロゴルフ界はお先真っ暗だ。
むしろそういう気持ちを持って当然なのだ。
ただ、ベテランは違う。
石川遼様々で、勝たれてもしょうがないというあきらめの空気を出していては、石川遼のためにもならない。
石川遼に期待している。
それはファンはもちろん、選手も言葉にしているから間違いない。
なにかほんわかしたような、既成事実のように賞金トップについているような感じがする。
まだ、早いのではないか。
まだまだ、闘志をもって、全力をもって他の選手ははねつけるべきではないか。
それによって、石川遼の成長も加速度を増すはずである。
自分も大の石川遼のファンである。
だが、いくらメジャー大会でいい経験をしても、いい方は悪いが温かい雰囲気のぬるま湯的な日本ツアーでは、将来得るものも少ないのではないだろうか。
もちろん、石川遼は自分で課題を見つけ、竹のようにぐんぐん成長している。
たくさんの熱いギャラリーからの歓声を、自分の力につけるすべも身につけている。
これも、石川遼のいく王道なのだろう。
周りが自然と道を作る、作ってあげたくなるような存在。
ゆくゆくはそうなるだろうが、それは今からでいいのだろうか。
ふと疑問に思ってしまう。
谷口はこれで賞金ランキング8位に浮上した。
しかし、まだ賞金額は5,000万以上も離れている状態だ。
常識的には…と思われるかもしれないが、仮に取れなくても、谷口のようなこの気持ちは、今の日本の男子プロゴルフ界に必要なものだ。
絶賛ばかりされている石川遼だが、このような「明るく叩き潰す宣言」は望むところだろう。
いじめのような陰険さが無く、それでいてむきになって戦ってくれる選手がいる。
今までも石川遼は、ものすごい吸収力で伸びてきたが、それはすべて自分対コースで吸収したものに違いない。
これに、対人という意識が日本でも加わったら…考えるだけで面白い。
自分も石川遼のファンだが、ゴルフファンでもある。
今回の谷口の発言は素晴らしいものだと思う。
谷口の性格が言わせたこともあろう。
口に出さなくても、悔しさ・対抗心を持っている選手も多くいるだろう。
それは性格の問題でもあるからだ。
無言実行の良さを、自分の性格を知っているからこそ言葉に出さない選手も少なくない。
ただ、こうやってゴルフ界を盛り上げようとする行動・発言はもっと今の男子プロには必要なのではないだろうか。
若手が盛り上がり、ベテランも盛り返す。
群雄割拠の中で、本当に実力があるものが突き抜ける。
そうならなければ、女子プロのような盛況な状態にはならない。
果たして、谷口の言葉は真実になるのか。
はたまた、発奮した他のベテラン選手が乗ってくるのか。
賞金王争いとともに、男子プロゴルフ界はこれからますます盛り上がりそうである。
こういうことを言ってくれる存在を待っていた。
求む、さらなる頑固爺。
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2009年09月02日
女子ゴルフは見ていて面白い。
そんな声をよく聞くし、自分もそう感じる。
それにはさまざなな理由があるだろう(以前のブログでも書かせていただいた理由もそのひとつだと思う)。
一番大きいのは、ここ数年、新しい才能がとどまることなく開花し続けていることではないだろうか。
トップを争う諸見里や横峯さくら、有村や古閑といった個性あふれる面々に、先日圧倒的な大差で優勝した全美貞を始めとする韓国勢。
アメリカに渡り、自己を磨く宮里(藍に美香)、上田桃子に大山もいる。
ベテランも不動に福島など負けていない。
その上、優勝まで届いていないかもしれないが、大会ごとにニューヒロインが上位に食い込む、まさに百花繚乱。
ゴルフ場には、素晴らしい花々が咲き乱れているのだ。
これで面白くないわけがない。
それに比べると、男子は勢いが感じられないのも仕方がない。
あまりゴルフを見ない方は、石川遼一人が輝いているような印象を受けるのではないか。
今年の4大メジャーを見ていただいた方はわかる通り、ゴルフの面白みは何ひとつ減ってないのだ。
全英でのトム・ワトソンの復活で涙した方、全米プロでのまさかのタイガーの逆転負けなどは、瞼を閉じると顔がどうしても変化してしまうものばかり。
ただ、日本ゴルフ界に再び目を向けると、大きなひまわりといった石川遼の輝きばかりが目立つ。
その輝きがあまりにも強すぎるのだろうか。
そんな中、先週行われたVanaH杯KBCオーガスタで、以前から注目していた選手が優勝した。
全英でも期待していた一人だったが、あえなく予選落ち。
その不甲斐ない成績にがっかりしてしまったが、全英挑戦後に肉離れを発症したとのことで、今考えるとその影響もあったのだろう。
その名は、池田勇太。
力強い顎ばった顔に、強気な部分がくっきり浮かんでいる。
太くきりっとした眉、細いつくりだが、強い光を放つ瞳。
田舎が似合いそうな24歳である。
彼を以前から注目していた理由、それは最近復活したゴルフの実力はもちろん、その強烈な個性にある。
ぶっきらぼうな言葉遣い、派手なアクションに、インタビューでのため口。
憎たらしいと思う前にほほ笑んでしまう。
それが許されるキャラクターなのだ。
あこがれのキャラクターはジャンボ尾崎。
なるほどと思えるほど、しぐさ・態度を引き継いでいるように思う。
この大会でのバーディ数は31個(プレイオフの1個含む)。
彼のコメントを聞いてほしい。
「勝てたねって感じ。いけるもへったくれも、いつの間にか優勝争いしていたよ」
キャディバックにつるされた木札には「主役は俺だ!」
そして、あのなんとも言えぬ雰囲気。
洗練されてきつつある石川遼とは、間逆の存在と言っていいかもしれない。
それほど愛らしく、それでいて強さを持ち、期待できる雰囲気を持っている選手なのだ。
池田勇太に、なぜこんなにも惹かれるのか、なぜこんなに興味深いのか。
その魅力は、やはりゴルフの実力があってこそだろう。
そしてその奥には、彼の「ぶれない姿勢」がある。
自分を信用している、自分の力を信じている者が醸し出す、無骨に感じるほどの強さを感じる。
(これには、世界ジュニア優勝後、大学進学後の苦い経験(不調だったころ)のことが、多少なりとも影響しているようだ。)
それは、周りから認められた強さではない分、形は悪いかもしれないが、大自然の風雨に鍛えられた、大きな自然の奇石のようなものかもしれない。
しっかり芯が、背骨が通っているようなイメージだ。
王道ではなく、自ら道を切り開く者。
そういう選手は強い、なにがあってもぶれない。
そこに、そこはかとない魅力を感じるのだ。
これで今季2勝目、賞金ランキングトップに立った。
そのことを聞かれてのコメント。
「まだ年間の半分終わっただけじゃ分かんねえべよ!すぐに抜かれるよ」
にやっとしてしまう。
2位は石川遼(700万円差)、3位はほとんど差がなく片山晋呉。
片山晋呉がまだ未勝利なのも驚きだが、それでいて3位につけているのもすごい。
現代のゴルフ界の英知を集めたような理想的な選手になりつつある石川遼。
それとは間逆の存在に映る、愛すべき池田勇太。
女子と比べて、試合数も少なく注目度も劣るといっていい男子ゴルフだが、面白い選手はいるものだ。
女子の試合が、乱れ咲く花畑のようなら、例えは悪いが池田はさつまいものようなものかもしれない。
それでもふかせば甘く、女子も男子も虜になる。
そこには、女子にも負けない個性がある。
野武士のような、ジャンボの系譜ともいえる池田勇太に注目したい。
女子も男子もゴルフ界はこれからが面白い。
posted by ballgame |08:33 |
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2009年08月20日
先週行われた全米プロ選手権は、圧倒的な先行逃げ切りの強さを誇ったタイガーが、まさかの逆転負け。
優勝は、18番のバーディパットの映像が印象に残るY・E・ヤン。
映像に、パットを打つヤンと、それを見つめるタイガーの対照的な表情が素晴らしくとらえられていた。
あれこそ、まさにプロのカメラワークだった。
日本人最高順位を収めた石川遼。
とはいえ、その順位は56位と低いもの。
本人も、最高順位という意識はまったくないだろう。
石川遼はなにかを持っている。
これはみなさんも感じているだろう。
輝く星の下に生まれたのか、人気先行かと思わせる低調な成績を収めたと思いきや、劇的な優勝を飾ったりする。
まさに、これからの日本をしょってたつ、しょってたたねばならない存在である。
その石川遼は、全米プロ選手権で、今年のメジャー大会挑戦は3試合となる。
マスターズ、全英オープンは予選落ちしたが、この大会では予選をぎりぎりで通過した。
今の石川遼には、厳しい条件の中で、またメジャーという独特の雰囲気、空気を味わえるだけで成長できる吸収力を持っている。
それは本人の資質でもあり、年齢的にも一番の成長期であることも大きい。
おそらくこの大会も、予選通過が最大目標だったはずである。
今回も(今年は)厳しいと思っていたが、その予想を嬉しい方向に裏切ってくれた。
おそらく、石川遼の今後に期待してみているファンよりも、はるかに早いスピードで成長しているのだろう。
今年のうちに、メジャーの3、4日目を経験できたのは大きい。
石川遼の成長の階段を一歩登らせることとなる。
それだけではない。
予選通過した石川遼へ、ゴルフの神様の粋なプレゼント。
最終日には、あのフィル・ミケルソンと同組になるというチャンスが回ってきた。
フィル・ミケルソンは、母親、そして奥さんの病気で欠場していたということもあるが、普段では考えられないくらい悪いポジションから、最終日をスタートした。
彼と同スコアになる偶然、そして同組で回れる奇跡。
ここまで来ると、将来のため、「こういう経験もさせよう」となにかの力が働いていると思ったほうが自然だろう。
スコアを気にしなければ、石川遼の将来、メジャー大会での優勝争いをしながらの最終組として、こういう場面がきっと出てくるはずだ。
そう思うと、ぶるっと鳥肌がたつ。
その時、解説者はこのシーンを思い出して語ってくれるのだろうか。
たとえ忘れたとしても、自分は忘れないだろう。
石川遼の小さなころの(多分小学生時代だったと思うが)作文で、「20歳でマスターズを優勝する」とあった。
フィル・ミケルソンと回ったことで、その予行演習となったことは、4日間回ることができたこと以上に、実は大きいのかもしれない。
彼は、やはりなにかを持っている。
しかし、石川遼の強運は無尽蔵なのだろうか。
そう思わせるほど、自らを成長させる機会をしっかり掴んでいる。
天に愛されているのは間違いないだろう。
彼には、自分を照らす大きな星が見えているのだろうか。
きっと、確信ではないにしろ、感づいているところはあるのだろう。
石川遼は、9月に18歳となる。
つまり、まだ17歳だということだ。
改めて、驚くべき若さだ。
それでいて、今季2勝を挙げ、現在賞金王を片山と争っている。
先ほど挙げた作文では、他に日本アマ優勝、プロの大会で優勝など、目標の年齢とともに書いてあった。
今のところ、石川の夢は着実に実現している。
見えない力が後押ししているのは確かだが、それを実現する努力も大きいのだろう。
石川遼を見ていると、ひまわりを思い出す。
この日差しの強い夏にぴったりだ。
これから、つきない泉のように湧きでる強運で、周りが勝つような状況を作っていく選手になるだろう。
すんなりタイガーがメジャーに勝っていた時代のように。
ひまわりは太陽に花を合わせ動くが、石川遼の花は、観ている周りを動かす。
ひょっとすると、もうひまわりではなく、自ら輝く太陽のほうがあっているのかもしれない。
人気は十分、実力はこれからといったところ。
これからの試合で、経験を積んで、このまま真っすぐ育ってほしい。
そうすれば、周りの状況が自然と正しい方向に導いてくれる。
本人も言っている通り、まだまだ真の実力をつける時期である。
といいつつも、賞金王争いも楽しみにしてしまう。
今シーズン、最後まで盛り上げてくれることは間違いない。
なになに、男子プロも女子プロに負けていない。
posted by ballgame |00:05 |
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2009年08月10日
現在のゴルフ界。
男子は太陽のように大きなヒマワリがどんと一輪咲いている。
しかし、女子は色とりどりの薔薇が香りも豊かに、日々咲き乱れている。
昔からの銘柄もあるが、それに負けずに新しい色、形を持った花が次々と競うように出てくる。
新しい花は注目され、やがて有名なブランドとして、安定した注目を浴びる。
韓国の薔薇は、トゲもするどく、野性味を残した力強さが魅力だ。
戦国時代といっては、撫子達に合わないであろう。
内面はそうであれ、華麗な戦いを続けている女子ゴルフは、ここ数年、とても面白く、見どころがある。
ビンテージもののワインのように、将来豊作だったと振り返ることもあるだろう。
しかし、今時点で彼女たちの活躍をリアルに感じられる幸せ。
これは、ワインと違い、熟成させる必要もないし、将来も楽しむことができるという贅沢さがある。
宮里藍の優勝、そして全英女子オープンで復活を確信できた女子ゴルフ界。
もともと注目度が低くないが、やはり海外での日本人選手の活躍は、一気に注目を集める。
そして注目は宮里だけではなく、女子ゴルフ界全体に視線が注がれる。
日本で頑張っている古閑や横峯さくら、そしてぐんぐん実力を伸ばしている有村、三塚、諸見里、ベテランの福島や韓国勢の戦いも注目された先週のアクサ・レディース。
大混戦のまま、最終日に突入したが、その混戦から抜け出す選手も出ず、結局3名のプレイオフとなった。
上田桃子、有村智恵、李知姫で争われたプレイオフは、1ホール目で有村が脱落。
2ホール目で上田桃子がピンに当たり、わずか10センチに止めるショットを放つ。
このショットが決め手となり、上田桃子が今季初となる、約1年ぶりの優勝を飾った。
この優勝で、上田はほっとしたことだろう。
「精神的に落ち着いていたのが大きかった。プレーオフになっても焦らずにできました」
と語った彼女。
普段通りの力を発揮すれば、優勝できる力は十分持っていることを証明した。
アメリカ挑戦前の強さを考えれば、久しぶりの優勝とはいえ、技術的には一枚上、勝つのは当然ともいえるかもしれない。
力は抜けているといったところだろう。
太平洋を渡り、大きなチャレンジが始まってから2年が経つ上田。
ややもすると、ビックマウスにとらえられがちな有言実行をモットーとする彼女。
挑戦当初は好成績を残していたが、徐々に成績は低下していった。
大きな舞台へ挑戦する人は大体強い気持ちを持つが、上田はそれに輪をかけて、強烈な自我を持っている。
その強気な部分は、成績が低下するとマイナス面が目立ってくる。
安定しない気持ち、それに伴うショット、パットのぶれ。
一番大きいのは、試合をコントロールできないもどかしさだろう。
全英オープンでも、キャディーとの会話がうまくいかず、意見の相違があったままプレーを続けていたと、記事で読んだ記憶がある。
そういった状態では、ストレスもたまり、100%の力を発揮することはできない。
イライラが、少なからずたまった状態でのプレーが続いていたのだろう。
輝きは徐々に落ちていった。
しかし、今回の優勝でもわかる通り、上田桃子の内面では、輝きは以前の変わらず、むしろ光を増していたのだ。
なぜ、光り輝くことが、力を発揮することができなかったのだろう。
それは、その輝きを遮るなにかがあったからだ。
おしくも引退してしまったソレンスタムのキャディをしており、現在、上田の専属キャディを務めるマクナマラは、全英オープンを終えた後、こう語っていた。
「どんな選手だって苦しむ時期はある。(宮里)藍だって何年か苦しんだあとに初優勝できたんだからね。桃子が僕の言ったことを理解していないときもあるし、コミュニケーションが十分に取れていないのは事実。・・・桃子はものすごい才能を持った選手だけど、今はその使い方を知らないだけ」
宮里の全英オープンでは、同組の選手とフェアウェイを歩きながら、楽しげに会話していたシーンが数多くみられた。
それは、イギリスであろうと、日本で回っているような精神状態を表している証だ。
リラックスできている状態といってもよい。
メリハリ、オンオフのスイッチがはっきりしていて、集中力が増す。
それと同じことが、日本でプレーした上田にも起こったのだ。
宮里も極度のスランプに陥った。
それは技術面よりも、精神的な部分が大きかった。
心に余裕ができ、自分のプレーができるようになって、アメリカでの優勝、そしてメジャーでの好成績につながったのだ。
英語力が向上したことも、環境になれた部分も非常に大きい。
MLBに挑戦する日本人(特に投手)も、アジャストするのに時間がかかることが多くみられる。
もともと持っている力は十分通用するのに、その力を発揮できない。
体と心のバランスが大事だというが、トッププロを見ると、まさにその通りだと、うなずく方は多いだろう。
いや、むしろ、心は体よりも大きな存在だと感じてしまう。
心がすっぽりと、体を覆っている感じだ。
心が萎縮してしまえば、もともと持っている実力は発揮できず、内面の輝きも、くすんだ色になってしまうだろう。
昔のランプのように、すすが周りについて、中の光を通しづらくしているようなイメージだろうか。
筋肉のようになかなか見えないものだけに、鍛えづらく、大切さも忘れがちだ。
上田桃子の優勝は、やはりコミュニケーションが一番だろう。
今回、日本でのプレーで、会話に困ることはなかった。
精神的にも落ち着いてプレーできたことが、本人のコメントからもわかる。
ストレスを感じない状況であれば、実力は開かれる。
宮里藍の最近の活躍に刺激された部分も大きいだろうが、コメントにもあった通り、精神面での気付きが一番の収穫だろう。
メジャーでの不甲斐ない成績や、ルールの問題などでバッシングもあっただろうが、それ以上に期待している、応援している人達は多い。
そのことに、足を止めて、ふと見渡し、気付く余裕ができたなら、来週の大会だけでなく、今後のアメリカでの戦いも期待できるものとなろう。
宮里藍でさえ、もがき苦しんだ道だ。
苦しみ、そして抜け出した過程を同じフィールドで見てきた上田桃子だからこそ、この状況から向けだすヒントは得ているだろう。
夏を過ぎてからの、女子プロゴルフ全体、賞金女王争いにも注目だが、これからの上田桃子からも目が離せない。
甲子園の延期からもわかる通り、梅雨が伸び、なかなか太陽に恵まれない今年の夏だが、女子プロゴルフ界に咲く花は、それぞれ細い太陽の光でさえ、栄養にしているようだ。
今週は宮里藍も参加を予定している。
次はどんな花が咲くのだろうか、非常に楽しみである。
posted by ballgame |23:59 |
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