2008年10月11日

それぞれの今後を決める戦い(レイズ対レッドソックス第1戦)

連休初日となる今日は、暖かいお出かけ日和。
ドライブに、旅行に、運動会(は最近この季節なのかな?)にとっては最適な一日となった。
しかし、野球ファンにとってはテレビの前に釘付けになったのではないか。
チャンネルも変えずに、ずっと野球を見続ける幸せ。
MLBアリーグ優勝戦、プロ野球パリーグCS戦、そしてMLBナリーグ優勝戦。
野球好きにとってはたまらない一日となったはずだ。
出かけるのもいいが、この時期そうもいってられない。

今、MLBではワールドシリーズの切符をかけて4チームがしのぎを削って、見ごたえのある試合を見せてくれる。
しかも、その4チームに日本人選手が所属しているのであれば、これはテレビの前に釘付けになっても、奥さんに、子供に出かけようと尻をつかれても、動くに動けないというもの。
日本代表ではないが、誰にでも「譲れない戦い」というものがある(笑)

ひいきにしているチーム、見所はそれぞれあるだろうが、面白い試合の中でも、日本人が活躍しているのを見ると、見る側にもアクセントをつけてくれる。
同じ日本人として、遠く海を渡り、果敢なチャレンジをしている日本人選手達には鼻が高くなる。
去年に引き続き、プレイオフでの日本人選手の活躍はもはや欠かすことのできないものといってもよいのではないか。
トップクラスの選手がMBCに挑戦していることを差し引いても、日本の野球の質の高さを証明しているようではないか。

今日から始まるアリーグ優勝決定戦第1戦、レイズ対レッドソックス。
同じ地区の対決となるこの戦いは、この地区のレベルの高さを表していると同時に、プレイオフが始まる前からある程度予想されていた戦い。
そして、野球ファンも望んでいた戦いであるといえる。

去年最下位から、今年は見違えるような強さのレイズ。
シーズン終盤の勢いにのるホワイトソックスを打ち破り、強さに疑問を持っていた人達を黙らせたレイズ。
去年のミラクルチームといえば、ロッキーズだったが、今年は文句なしにレイズだ。
レイズが見せ付ける強さ(巧さとも言えるかもしれない)そのままにワールドシリーズに出場できるか。

そして、そのレイズにシーズンでは遅れを取ったレッドソックス。
レッドソックスは去年に引き続きの連覇を狙っている。
96年のヤンキース以来、連覇したチームはないが、その中でも04年、07年と優勝をしているレッドソックス。
去年は「覇者」としての強さを発揮したが、今年は「王者」としての戦いを挑んでいる。
MLBに君臨することができるかどうか、この戦いが重要であるのは間違いない。
もし敗れることがあれば、MLBはまた戦国時代に逆戻りしてしまうだろう。
この戦いはお互いのチームの今度の立場を決めるという大きな意味を持つ戦いとなる。

その注目の第1戦、レイズの本拠地のトロピカーナ・フィールドで行われた。
レイズの先発はシールズ、レッドソックスの先発は松坂。
初回、レッドソックスはペドロイア四球の後、ユーキリスがライト戦へのヒットを放つ。
フルカウントでランナーが走っていたため、先取点と思いきや、打球はスタンドに入ってしまい、エンタイトルツーベースとなってしまった。
ドジャースのマニー・ラミレスの一見ホームランと思える当たりもそうだが、各球場の形態によって、試合の流れが変わってしまうのが、日本にはない面白さがある。
結局、初回は無失点に終わる。
レッドソックスの攻撃の時、MLBには珍しい鐘のような音がドーム内に響いた。

カウベルというか、シンバルというか、中国のお祭りに流れるような鐘の音。
MLBを見た後、日本の試合を見るとうるさく試合に集中できなくなるように感じることがあるが、MLBで感じたのは初めてかもしれない。
MLBでの観客の声援、ブーイングは有機的な感じがして、ジャズのウッドベースのようになくてはならないものだ。

松坂の立ち上がり、先頭打者は岩村。
過去からタイムスリップした人がみるとプロ野球を見ているように思うかもしれない。
シーズン中も見ていた光景だが、最高のチームを決めるこの緊迫感のある戦いで、両者が自然に対峙している。
そう思うと、ぶるっと体が震えた。

松坂は岩村に四球を与える。
直球が指に引っかかっているようなイメージだ。
2番ペーニャを打ち取った後、3番にはスライダーが高く四球。
4番ロンゴリアは内角カットボールで三振に取るが、5番を歩かせる。
スライダーの制球が悪い。
2死満塁のピンチ。
しかし、6番フロイドはスライダーを引っ掛け、セカンドゴロに打ち取る。
この回だけで27球。
5回無失点、後はブルペンにお任せ・・・シーズン中の松坂。
プレイオフのエンゼルス戦に引き続き、この日も松坂らしい松坂になるのか。
見ている者の心臓に悪い。

1回のレイズの攻撃に比べ、レッドソックスの攻撃は淡白だ。
レッドソックスの打線というより、シールズの出来がよいように思う。
ストレートは早くないが、フォームからわからない緩急をつけ、あっさり2回が終わる。

あまりにあっさりした攻撃の後の2回。
この日も不安定な松坂なのだろうか。
その心の声がきこえたのだろうか、松坂は躍動し始める。
高めの直球で先頭打者を三球三振、続いての打者をチェンジアップで三振。
この回を三者凡退にしとめる。

3回の先頭打者は岩村。
スライダーを上手く打ったが、ライトライナーに終わる。
岩村は球が見えている。
その後四球を出すが、2者をストレートで三振に取る。
松坂のフォームに、踏み出す足に突っ張った感じがなく、自然と投げているような感じがする。
直球の走りがいい。

4回、先頭打者をストレートで見逃し三振。
やはり、松坂の軸はストレートである。
スライダーの切れは勿論すごいが、やはりそれもストレートがなければ、狙いを絞られてしまう。
エンゼルス戦に続き、ストレートは切れている。
それとは別にこの日は、意識しているのか、シュート系のツーシームがよく決まる。
左打者には外角へ、右打者には外から低めに入ってくる。
あまりシーズン中は見たことのない球だ。
次の打者はチェンジアップで三振。
これもやはり、ストレートありきだ。
テンポが、球が、松坂の体がリズムを刻み、レイズの打線も心地よく刻んでいく。
この回も三者凡退に討ち取る。

試合が動いたのは5回だった。
先頭のベイが四球、コッツェイが止めたバットに当たった球は、ふらふらっとサードの頭を超える二塁打になる。
まるでテニスのロブのような打球。
レッドソックスにはラッキーな、レイズには不運な一打となった。
無死二、三塁でローリーのライトフライでレッドソックスが先制点を挙げた。
一死三塁とチャンスは続く。
バリテックの強い当たりは全身守備の岩村へ。
しかし、ここは岩村が上手く抑えた。
結局この回は1点で終わった。

先制点をもらった松坂。
エンゼルス戦では、点をもらうと、日本人の律儀さとばかり四球を与え、点を奪われていた。
しかし、この日の松坂は違う。
二者を簡単に討ち取り、打者は岩村。
これも追い込まれながら、スライダーを上手くさばいたが、これもいい当たりのライトフライ。
岩村の状態もよいのだろうが、松坂には相性もいいのだろう。
球がよく見えている。

6回も3者凡退に討ち取り、7回のレッドソックスの攻撃。
ヒットが続き、無死一、二塁。
ここでコッツェイはまたも止めたバットに当て、先ほどのような打球はセカンドベースの後方にふらふらと上がる。
後ろ向きの打球を追い、岩村が背面キャッチでこのピンチをしのいだ。
岩村は打撃に、守備にチームを引っ張っている。
しかし、このコッツェイは狙ってやっているのだろうか。
そうだとしたら、イチローよりすごいかもしれない(笑)

7回の恒例の「私を野球に連れてって」を聞きながら、展開の速い試合にこちらもほっと息をつく。
気がつくと、松坂はノーヒットではないか。
プレイオフでノーヒットが続いたら、8回、9回はどうなるのだろう。
そんなわくわくを感じながら、試合が始まる。
わくわくは数秒で終わった。
先頭打者にヒットを打たれ、次打者にも連続ヒット。
無死一、三塁のピンチである。

わくわくが消え、どきどきが始まる。
同じ心臓の鼓動の速さでも、急降下する感情。
チャンスの後のピンチ。
よみがえるエンゼルス戦。
松坂はやはり松坂なのか・・・そう、よくも悪くも松坂は松坂だった。
このピンチを浅いレフトフライ、三振、ショートゴロに打ち取ったのだ。
脚本家としても一流になるのではないかとも思わせる。

チャンス、ピンチ、チャンス。
野球は数十年、アメリカでは百年近く続いているが、歴史同様、法則も変わらず、繰り返す。
8回表、この日好調のユーキリスがタイムリーを放ち、2点差になる。

松坂も変わらない。
チャンス、ピンチ、チャンス、ピンチ。
先頭の岩村が、ヒットを放つと、ワイルドピッチの間に二塁に進む。
内野安打で、無死一、二塁。
ここで松坂は降板した。
変わる投手は岡島だ。
去年のワールドシリーズの大車輪の活躍がよみがえる。
完全な日本人リレーで勝ったのは、たしかドジャースの黒田-斉藤が始めてだったと思うが、こちらは去年からの長い付き合い、方程式だ。
今年も活躍はしているにせよ、去年ほどの圧倒的な存在感が薄れている岡島。
この日もカウントを0-3としてしまう。
しかし、松坂が松坂なら、岡島も岡島だった。
0-3からのストレートでライトフライに打ち取ったのだ。
そうだ、去年も今年も岡島はカウントを悪くすることがあったではないか。
大舞台に強い岡島、今日も岡島らしさを発揮した。

試合はこのまま終わり、2-0でレッドソックスが勝利した。
先発のシールズ、松坂とも好調で、エラーもなく、強者同士の面白い試合内容だった。
レッドソックスのメンバーを見ると、去年の大家族と見間違うような役割分担で、圧倒的な力を発揮したメンバーから様変わりしている。
しかし、強さは変わらない。
これはある意味、本当のチーム力といえるのではないだろうか。
マニー、ローウェル、ルーゴ(守備に不安があるのでこれは問題ないのではないかと思うが・・・)と去年のスターティングメンバーの3人がでていない。
勝負強いマニーが抜けても、代わりに来たベイがプレイオフでも大活躍をしている。
トレードで、両チームとも成功した例は珍しいのではないだろうか。
(日本でもこういったトレードが見てみたい)
ローウェルの怪我は大きいと思ったが、代わりのコッツェイの止めたバットでのヒット。
穴が空けば埋まり、そして4番を打つユーキリスの好調。
レッドソックスは強い。

しかし、レイズも強い(というより野球を知っている)。
ミラクルではなく、これが普通なのだと感じさせるような強さ。
やはりチーム力の土台がしっかりしているのだろう。
勢いだけではない。
スイープとは簡単にはいかないだろう。
松坂の出番はもう一度あるはずだ。

最後に松坂、岩村を振り返りたい。
以前のブログで、松坂にはエースとしての存在証明をしてもらいたいと書いた。
ベケットが怪我明けの今、レッドソックスのエースとしてではなく、MLBのエースとしてレッドソックスを引っ張ってもらいたいと。
その能力はあるし、できると思っている。
しかし、どうやらそれは少し違っていたようだ。
松坂はやはり松坂、ベケットはベケットなのだろう。
第1戦先発について、「順番でそうなっただけ」とコメントしたのも、なにか物足りない。
定食屋で頼んで、食べ終わった後、もう少し食べたいが、もうひとつ定食を頼むのもなぁ、という感じである。
もちろん、言葉にはしないが、これからの1戦1戦の重要さは松坂自身が一番しっているであろう。

力で相手をねじ伏せるような大エースではなく、試合に勝つという意味でのエース。
知らぬ間に、いつの間にか回が進み、0点に抑えている。
逆に言うと、これはすごいことなのかもしれない。
エースとしての考えを変えなければならないかもしれない。
短期決戦では、勝つことがすべてだ。
はらはらさせながらでも、監督に「綱渡りのようだ」といわれても、勝ちは勝ち。
バリテックのサインに首を振る場面も何度も見られ、いい意味で我を張っているようなところもいい。
試合内容よりも、絶対に勝つんだという強い意志を感じる。
それが今の松坂なのだろう。

松坂をけなしているわけではない。
エンゼルス戦は打たれてしまったが、今日もストレートは伸びていた。
三振を奪っていたし、ストレートはほとんど詰まらせていた。
今日のピッチングでよく見た、シュート系のツーシームは今後も使えるだろう。
やはり松坂のピッチングはストレートがかぎである。
ストレートにより、スライダー、チェンジアップも生きてくる。
今日のような気がつけば、6回までノーヒット。
自分の想像とは違う形で、チームのエースとしての証明、チームを引っ張っていく松坂の次の登板にも期待したい。

岩村は、シーズン中にもまして、チームを引っ張るリードオフマンとして活躍している。
今日の試合にも、打つだけではなく、守備においてもチームの柱として、いなくてはならない存在だろう。
ファンはもちろん、チーム内にまでモヒカンがはやっているというのは、技術だけではなく、精神的な支えになっているのがわかる。
状態もよいのであろうが、プレイオフはすべてヒットを放っている。
残念ながら、今回は得点に繋がらなかっただけだろう。

先日のプレイオフで、アナウンサーが行っていた言葉である。
「イチローと比べてどうか」と聞かれたところ、岩村はこう答えたそうである。
「イチローと比較しても僕のほうがいいリードオフマン」であると。
正確な言葉ではないかもしれないが、こんなニュアンスの言葉だった。
選手としての技量はさておき、この言葉には大多数の方がうなずかれるだろう。
自分もイチローは尊敬する素晴らしい選手で、殿堂入りする可能性のある選手だと思うが、この言葉にはうなずかざるを終えない。
チーム成績がすべてを物語っている。
それよりも注目したいのは、岩村の自分に対する自信である。
自分を信じることで、チームにも大きな影響を与え続けているのだろうと思うと、頼もしく思える。

レイズ、レッドソックス両チームはもちろん、松坂、岡島、岩村にとっても、このシリーズはワールドシリーズ出場だけではなく、今後数年の立場を決める大きな戦いになるだろう。
紅葉のコントラストもきれいだが、青対赤のコントラストも熱く見逃せない。
明日からの試合も楽しみだ。

posted by ballgame |23:53 | MLB | コメント(1) | トラックバック(0)
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軽い機敏な子猫何匹いるか

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驚いた。
リンクからたまたま飛んできたら、思わぬ論客に出会えたことを嬉しく思う。

日本一になったときのベイスターズの谷繁は、明らかに古田より凄かった。
レッドソックスが「バンビーノの呪い」を払拭したとき、劣勢から盛り返したきっかけとなったロバーツの盗塁は、獲物を追うチータにしか見えなかった。

ひいきチームが勝ちさえすればいい、ラッパと太鼓で応援してれば満足する。
そんな連中が野球ファンだと名乗って憚らぬ中、野茂がノーヒットノーラン達成の直前に、敵地にもかかわらずスタンディングの拍手が起きた、あれと同じ物をこのHPから感じさせてもらった。

どうやらこの人は、私と似た根っこを持っているようだ。
また立ち寄らせてもらいたい。

posted by Seineux | 2008-10-12 04:13

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