2008年06月18日

タイガーが一番強いのは?(ウッズを見て強まるあの人への期待)

18番、ロングホールの一打目はバンカーに入った。
左ひざは歩くごとに悲鳴を徐々に強くしていき、歩く姿のぎこちなさもギャラリーの不安を増すものでしかなかった。
ホールアウトしたトップのミーディエートとは1打差。
ロングホールでバーディを狙いやすいとはいえ、フェアウェイに残しておきたかった。。。

バンカーからの第2打。
ボールは右のラフに入る。
クラブを叩きつけるウッズ。
残り100ヤードほどだったが、ボールの頭が少し見える状況。
解説者は「ノーチャンスだ」とぼそりといった。

ラフからの3打目。
ピン右3、4メートルにつける。
フックラインの難しい距離。
ウッズは入念にラインを読む。
その様子をTVで眺めるすでにホールアウトした首位のミーディエート。
大きなきらきらした瞳に人のよさがにじみ出ているそのやさしい目で、ウッズのパットを見ていた。

ウッズのパット。
ボールは転がり転がり・・・カップの脇からスッと消えた。
ほえるウッズ。
自然にできた握りこぶしを力強くあげ、ほえる。
赤いポロシャツを着て、天に向かって感情を爆発させる。
人間的というより、むしろ野性味を感じる獣的ですらある・・・まさに「タイガー」そのものだった。
グリーン周辺から上がった喜びの歓声は、人が多すぎて18ホールのティーグラウンドまで延びていた観客へと連鎖し、しばらくの間、止まることはなかった。

ウッズのパットが決まった瞬間、ミーディエートは「アンビリーバブル」と繰り返しつぶやき、軽く首を振った。
一瞬、下を向いたその表情を読み取ることはできなかったが、軽く微笑んだような顔からは暗さはなかった。
「信じられない。でもそれがタイガーなんだ」
おそらく、心のどこかで覚悟はしていたのだろう。
表面には、優勝だったのに・・・という悔しさは感じられなかった。

「強めで正確なストロークだけを考えた。方向はカップ2・5個分だけ右。自分がコントロールできるのはここまでだった」
ウッズはホールアウト後、インタビューにこう答えた。

これは最終日、プレイオフへと繋がるプレーを見ていたものである。
残念ながらプレイオフは観戦することができなかったが、18ホールで決着はつかず、プレイオフのサドンデスという19ホール目で勝負がついた。

45才の最年長記録、世界ランク100位以下と優勝すれば記録尽くめだったミーディエートは優勝することができなかった。
人のよさそうな彼には、ぜひ優勝をしてほしいと思っていたので残念だ。
プレイオフ後のインタビューはぜひ聞きたかった。
きっと、すべてを受け入れるようなあの目で、きっちりと優勝できなかったという事実を受け入れたのだろうと思う。

ウッズに追いつかれた後のコメントでこんなことも言っていた。
「自分があと1打どこかで伸ばせればよかった」
多分、優勝を逃したことへの質問だったと思う。
他人に転嫁するでもなく、受け入れるその姿勢。
素晴らしいプレイヤーだと感じた。

「トリプル・グランドスラム」を達成したウッズ。
ウッズの強さはどこなのだろう。
もって生まれた才能だけではないだろう。
ウッズの一番強いところは、「勝利への確固たる強い決意」だと思う。
必ずこのパットを入れる、このショットをピンに絡ませる。
これだけ勝利しながら、まだ貪欲に勝利を望むウッズ。
(一般生活で周りにいたら引いてしまうかもしれない)
この「強い決意」がウッズをここまで強くした大きな資質ではないだろうか。
「勝利への欲望」「強い決意」があるからこそ、日々努力し、自分のできることを行う。
その上で、後は結果を神にゆだねる。
(パットに対しての、神のいたずらにも似た一息でボールが転がり落ちたり・・・)
人智の及ぶところまでは、すべて自分で行うからこそ、上記に書いたあのコメントが出るのであろう。
ゴルフの才能よりも大きな勝利への決意、それがバランスを取って、どちらの利点も引っ張りあげているのではないかと感じる。


サントリー・レディースでは、久しぶりに日本ツアーに参戦した上田桃子が見事に優勝を飾った。
ある点では、ウッズと上田桃子は似ていると思う。
それは感情をあらわにするところではない。
その感情の裏に備わっている心の面を見ているとわかる。
彼女も、勝利への決意は強く、揺るがない。
スケールが違うと思うかもしれない。
今時点ではそうかもしれないが、その強い想いはウッズのように同様の資質を持っているはずだ。

もっと勝利を、もっと勝ちたい。
そういう思いで努力し、駆け足で日本賞金王になった彼女は、まだ優勝はないが、アメリカでも健闘している。
今回の日本での凱旋優勝で、確固たる決意で自分のできることを日々行っている。
それが、最終ホールでアメリカでつちかったランニングアプローチが結果に繋がっているのではないかと思う。

自分の心をベースに、エネルギーに自分のできることを行う上田桃子。
確実に成長している。
これからはもっと期待できるのではないか。

ウッズの強さ、ミーディエートの目、上田桃子の成長・・・。
やっぱりゴルフって、最高峰の戦いって面白い。

posted by ballgame |00:19 | ゴルフ | コメント(0) | トラックバック(0)
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