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福原の連日の涙~みんなで一人を助けることで、チームが強くなる(世界卓球女子、日本対ドイツ)

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チームが一人に助けられる時もあれば、みんなで一人を助けることでチームが強くなる時がある。 今までチームを救っていた人が救われる。 そして、チームも救われる。 そんなシーンが、まさか卓球という個人競技で見られるとは思わなかった。

――― 日本の決勝トーナメント準々決勝の相手は、韓国を破ったドイツと再戦となった。 日本は、先日と選手起用を変更し、福原を3番手に置き、伊藤を1番手にした。 しかし、ドイツもまるで後だしじゃんけんをしたかのように、見事な戦術を引いてきた。 選手変更して、伊藤、石川、福原とも先日と同じ対戦相手となってしまった。

第1試合、伊藤美誠対ウインター そんな予想外の変化にも、伊藤美誠はぶれない。 2セット連取から1セットを返され、2-1で迎えた第4セット。 8-10と追い詰められる嫌な展開。 「心臓に毛が生えているのが1本や2本じゃない」とは、解説者も良く言ったもの。 緩急自在のサービス2本でジュースに追い込み、見事勝利をもぎ取った。 前後左右、スピードも硬軟織り交ぜての試合運びは、まるでベテランのようだ。 頼もしい日本のエースがでてきたものだ。

第2試合、石川佳純対ゾルヤ。 昨日とは違った戦術を見せ、ドイツのエースを打ち破る。 勝利の瞬間は両手でガッツポーズ、2回飛び跳ねて歓びを爆発させた。 まるで子どものような、100%純粋な歓び。 くしくも3-1と伊藤と同じスコアで勝利した。

第3試合、福原愛対シルバーアイゼン 福原も楽になっただろう。 こうなると、昨日敗北した相手と当たる、ということは、絶好のリベンジのチャンスとなった。

シルバーアイゼンは長い手をコンパクトに、器用に使いながら、ショットを打ち分ける。 特に、バックハンドはスナップが効いて、切れがある。 得点を重ねても表情を変えず、無言のガッツポーズで戦う姿は、敵に回すと怖い存在だ。 職人のように試合を進めるシルバーアイゼンは、ひょっとすると日本人好みのプレーかもしれない。 福原にとっても、対戦成績も分が悪い相手。

そのシルバーアイゼンは、今日もいいショットを見せる。 しかし、今日の福原は昨日とは違う。 素晴らしいショットを決められても、決して焦ることが無い。 自分が決める、というより、相手のミスを誘うような戦いだ。 我慢、我慢を重ねる泥臭い卓球。

伊藤美誠が、自分の試合のとき以上に声を出す。 石川が、ウォーミングアップを休んで、大きく手を叩く。 福原のフォアがクロスに決まった時、福原は両手で顔を多い、しゃがみこんだ。 連日涙する福原。 今日の涙は、歓喜の涙だ。 ―――

卓球は個人スポーツだ。 特にこの世界卓球は、個人戦で5試合。 だが、今日の日本代表はチームとして戦っていた。

先日の試合後のインタビューでは、涙を流した福原のメンタル面を心配した。 そうだ、彼女はもともと泣き虫だったんだ。 涙を流すことでスイッチを切り替え、1ミリでも強くなる。

「昨日の負けは今日の勝ち」 とは、試合後の伊藤美誠の言葉。 なんという15歳だろう! 試合中は老獪といっていいほどの落ち着き、試合後のはしゃぎっぷりとは大違いの彼女は、これからどんどん強くなる。 頼もしい選手である。

エースとして、相手のエースに競り勝った石川。 初の第1試合出場にもかかわらず、いつも通りの試合運びをした伊藤。 そして、キャプテンとして、絶好のお膳立てをされて、見事日本を勝利に導いた福原。 女子日本代表は、ここ数年でもっとも充実したメンバーがそろったのではないだろうか。

今日はひなまつり。 ひなまつりは、女子のすこやかな成長を祈る節句である。 奇遇にも、世代交代とも言える選手起用を見せた日本代表の戦う女性たちは、一つの階段を上がったように感じる。

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卓球
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