2009年11月30日

恋した女王(横峯と諸見里の賞金女王争い)

今年もあと一か月あまり。
寒い日が多くなってきた季節、人肌恋しくなる季節でもある。
ゴルフの女王は、ゴルフシーズンが終わる冬に向けて、今年のパートナーを選んだ。
それは強引ともいえる展開で、「モノにした」とも言える。
恋した女王、勝利の(ゴルフの)女神は狙ったターゲットにはえこひいきとさえとれるような恩寵を与える。

女子プロゴルフ最終戦、LPGAツアー選手権リコーカップは横峯さくらが5打差を逆転して優勝を勝ち取り、賞金女王の座も手に入れた。
勝ち取った、手に入れたというよりも、与えられたといってもいいような展開。
初孫に、おもちゃやお菓子など買い与えるおじいちゃんやおばあちゃんを想像してしまう。

勝った横峯さくら。
14番、グリーン左手前からのチップインバーディ。
強すぎる程のランニングアプローチは、意志を持っているかのようにピンに当たってすっぽりとカップに入った。
15番、セカンドはショートするもグリーン手前ラフで信じられないラッキーバウンド。
そのままラインに乗り、あわやイーグルかと思わせる入ってもおかしくない、カップを覗く位置に止まるショットとなった。
サッカーに例えるとまるで誰かがトラップして、シュートしやすいようにお膳立てしたような。
普通のラフなのに、まるで意志をもっているかのような柔らかいバウンド、そのあとのボールの転がりだった。

最終18番は長いバーディパットをショート。
1m強の微妙な距離のパーパットが残る。
これまでの横峯だったらプレッシャーに負け、ショートしていたことだろう。
だが、これを強い意志の力でねじ込んだ。
これ以上の寵愛はいらぬとさえ感じる力強さ。
だれしもが震える展開でのパット、まさに技術ではなく「入れ!」という意志でねじ込んだと言っていい。
横峯が強くなった証であり、最終日届かなかった有村との差を感じる。

負けた諸見里。
16番の3、4mはあろうかというパーパット。
17番のこれも3mはある下りの難しいフックライン、バーディパット。
どちらもねじ込む。
ショートなど考えられないといったところ、入るラインしか見えないという断固たる決意を感じた。
リーディングボードで横峯のスコアは確認していただろうか。
いや、どちらでもよい。
諸見里は自分さえよいスコアが出れば、という思いでいっぱいだった。
最終18番は距離のあるバーディパット。
これを決めれば横峯に並ぶ。
出だしからラインを読み違えたパットは、カップ左にほんの少しショート。
惜しくもバーディパットを外してしまった。
最後に打ち切れなかったパット、かすかではあるが、賞金女王に届かないなにかを感じた。
それは実力ではなく、あるタイミング、時期だけなのかもしれない。

去年に引き続き、この大会で大きなドラマが生まれた賞金王争い。
去年も劇的だったが、今年もそれに劣らず紆余曲折があった。
みんなの声に押されてずるずると落ちた飯島茜。
16番、17番での連続ボギーは、残酷なシナリオ通りとさえいえる。

横峯、諸見里はその声援を力に変えて、またそれ以上に自分の強い意志によって賞金女王を手にするんだという強い思いが画面上ではっきり伝わってきた。
それは気迫という普段は目に見えないものでも、最終日にはプレーに実際に表れていた。
解説の小林も言っていたが、今回出場25人で20代が18人。
そして、今の若手は目標をはっきり決め(または宣言し)それに向かって本当に突き進み、実際に手に入れるところがすばらしい。
横峯は賞金女王、諸見里はグランドスラムと。

うれし涙を流した横峯。
「プレッシャーに強い人、弱い人がいると思う。わたしは弱い人なんです」
確かにそうであろう。
今までもそうだったし、完全に克服したわけでもない。
だが、この最終日、上がりの3ホールは強固な意志でそのプレッシャーを乗り越えた。
不安定さを感じながら、王座に就いた横峯。
完璧な実力ではなく、まだまだもろさを見せる女王もまたいいではないか。
欠点があるということはまだまだ強くなる証拠である。

それよりも、最後にゴルフの女神に愛想を尽かされた諸見里に目が行く。
悔し涙で目を真っ赤にしながらも、しっかりインタビューに答えていた諸見里。
「涙が出るくらい本気でプレーできた証拠。横峯さんも悔しい思いをして賞金女王になったので私もこの経験を活かし来年は取る」
「いままでで一番成長出来た年」
力強い言葉もそうだが、インタビューを拒否することなくしっかり自分の言葉で受け答えしていた諸見里は、来年もっともっと強くなる。
必ず糧になることは間違いない。
諸見里が横峯を後ろから肩を抱き、二人で抱き合っている姿が印象に残る。

百花繚乱という言葉がふさわしい今の女子ゴルフ界。
すばらしい幕切れで、これ以上ないしめくくりを見せた。
「神懸かってないとできない。絶対に実力だけじゃできなかった」
横峯の言葉はそのとおりだ。
女王が、今年を共に過ごしたいと思った順番が今回は横峯だったということだ。
自分達の解らないところで、少しだけ横峯の方がゴルフの女神の好みにあったということだろう。
今までの苦労、そして諸見里にはもっともっと強くなってもらいたいという思いも込めて。
運を手繰り寄せることが出来るのは、あきらめない人だけ。
強いまなざしを持つ諸見里、そして強さともろさが同居した有村もきっと順番が回ってくる。

余談になるが、放送最後には女子プロが2列に並んで、「今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いします」とPRしたところもしっかりしているなぁと感じた。
来年以降も期待でき、楽しみでもある。
今年は優勝できなかった不動らのベテラン(という年でもないが)の盛り返しも楽しみだ。
そして、きっと新星も続々と登場するだろう。
韓国勢に代表するの海外選手もわくわくする。
冬を経て、来年はどんな花が咲き乱れるだろう。
力強く咲く花、可憐な花、新しい花、きっと今年以上に数多くの花、すばらしい光景になることは間違いない。
それを楽しみに来年を待とう。
おめでとう、横峯さくら!

posted by ballgame |23:51 | ゴルフ | コメント(1) | トラックバック(0)
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恋した女王(横峯と諸見里の賞金女王争い)

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管理人さん、重みのある文章いつもながら感服!です。
仕事をしながら男子と悩みながら女子に見入ってしまいました(喜)
若い力って凄い!折れない心が凄い!こちらが力入ってしまう緊迫感にひたすら感動でした!
18番終了後、横峯さんの「まだ終わっていない」的な気迫は、諸見里さんはもちろんのこと、まさに「百花繚乱」の才能たちがそうさせたのでしょう。
来年も楽しみですね!

posted by 神奈川県産岩手人 | 2009-12-01 18:19

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