2009年11月01日
4番の哲学(ワールドシリーズ第3戦)
4番とは、チームの主砲とは、なんと大きな影響力を持つのだろう。 フィリーズの主砲、ハワード。 ヤンキースの主砲、A・ロッド。 右と左と言う違いはあれど、共通する部分は沢山ある。 ワールドシリーズに勝ち進んできた中で、欠かせない選手。 強力打線が売りのチームの中でも、要になる打者でもある。 相手投手は、この打者を抑えることにもっとも神経を使う。 そして、ワールドシリーズ2戦を終わった時点で、お互い絶不調の状態にいることである。 とはいえ、A・ロッドがノーヒットに対して、ハワードは2安打1打点を挙げてはいる。 だが、ハワードは第2戦、4打数4三振を喫している。 フィリーズのハワード、不調とはかくあるものかという見本のような状態である。 ヤンキース先発の左腕ペティットに全くいいところがない。 ストレートに振り遅れ、カーブにタイミングが合わない。 チームの4番を任されているだけに、形が崩れるということはないが、それでもどこに投げればバットに当たるのだろうという状態だ。 そんな状態でも、フィリーズは先取点をたたき出すのだから、地力のあるチームである。 一方、ヤンキースのA・ロッド。 こちらは打撃の不調が守備にまで出ている。 昔から、守備に難ありと言われていたが、プレイオフ地区シリーズまでは目立つようなミスはなかったように思う。 だが、このワールドシリーズ、すべての試合をじっくり観れたわけではないが、少なくても3つのミスを犯している。 明らかな送球ミスは1つだが、それ以外は厳密にいえば、ミスとは言えないプレーでもある。 だが、サードにとって足元の強い当たりは必然の打球であり、見せどころでもある。 体を倒し、打球を追えるため、比較的取りやすい打球だと思うのだが、それでもグローブの下を抜けてしまう。 球際に弱いとでもいうのだろうか。 まさに、打撃の不調が守備にまで影響している負の連鎖。 素晴らしいバッターと言われながら、なかなか評価を得られなかったのは、彼の勝負弱さにあった。 だが、今年のA・ロッドは違う。 明らかに一皮むけたA・ロッドは、4回にワールドシリーズ初ヒットとなる本塁打を放つ。 主砲が打つと、その得点以上に影響があるのは、チームの恐ろしいまでの勢いだ。 1点差に詰め寄った5回には、なんと投手のペティットにまでタイムリーヒットが出る。 今年のヤンキースは、流れの波に乗るのが素晴らしく上手い。 こうなれば俺達のものとばかり、集中打で逆転を果たした。 主砲の存在とは、なんと恐ろしいものだろう。 それがたとえソロホームランでも、ただの1点ではない重みがある。 だからこそ、4番に置かれ、ファンの期待と相手チームからの執拗なマークが集まるのだろう。 ドジャースのマニーしかり、日本シリーズでの日ハムの稲葉しかり。 (第2戦の日ハムのつながりも、稲葉の一発から始まった) この試合、フィリーズの中軸の一角である5番ワースはホームラン2本を放った。 大事な先取点であり、追撃の得点をたたき出した貴重な本塁打だ。 だが、おそらく、この2本の本塁打は、ハワードの一発ほどチームにインパクトを与えることはないだろう。 この日の結果に限らずだ。 中軸やムードメーカー、ラッキーボーイが打つ本塁打とは明らかに違う重さを持っている。 わくわく感、膨らむ期待、胸の高鳴り、どきどき感が止まらない。。。 期待通りに来てくれて、期待以上の活躍をしてくれる正義のヒーロー…それが「4番」であるのだろう。 (もちろん、チーム状況により4番ではなく、3番や5番、あるいは2番と打順は違うかもしれないが…) ワールドシリーズ第3戦と日本シリーズ第2戦。 奇しくも同じ日に、主砲の存在を深く考えさせられた試合だった。 そしてもうひとつ、触れておかねばならないのは、やはり松井の本塁打だろう。 3点リードの8回、代打で登場した松井。 フィリーズのホームからおこるブーイングは少なくなかった。 相手チームのファンに認められている証拠でもある。 単純な愛憎といった感情からではなく、目の肥えているMLBファンからの自然とおこるブーイング。 そのブーイングがうれしくもある。 初球ボールの後の2球目、外角高めのストレートを思い切り振った。 強振にも程があるというスイングだ。 場面は2死走者無し。 一発狙ってもいい場面であり、気楽な場面でもある。 なにより、松井には迷いが無い。 空振りではあるが、松井の良い状態(精神状態も含めて)が見てとれる。 その見立ては間違いではなかった。 3球目、同じようなコース(外角高め)へのストレート。 先程、ボールの下をくぐったバットは、今度は完璧に芯を捉えた。 強振ではなく、まさにボールを捉えるためのスイング。 その逆らわないバッティングは、「行った!」という日本中の声と共に、レフトスタンドにライナーで飛び込んだ。 4点差、駄目押しとなる一発は、まさに打撃の矜持といったところである。 ライトスタンドへの高々とあがるホームランバッター特有の当たりも美しいが、今回の逆方向へのあれだけ強い当たりほど力強さを備えた美しさはない。 イチローとは違い、打つことだけでチームに貢献している松井。 だが、形は違えど自分の役割、できることをきっちり果たしている松井に、同じプロとしての意識の高さを感じることが出来る。 雨で開始が遅れた試合、松井の打席で強くなった雨脚は、ダイアモンドを一周する松井に静かに降り注いだ。 この場面での雨脚の変化、これはまさにフィリーズファンの涙となった。 最終回、ソロホームランで1点返し3点差。 だが、ヤンキースはあの男が出てくる。 守護神リベラの登場である。 あの熱狂的なファンが集うフィリーズのホームも、バックネット裏でさえ空席が目立ってきた。 試合を締める野球の神様というより、なにかハードボイルドな保安官といった雰囲気を漂わせるリベラは、いとも簡単に残りの打者を片づけた。 フィリーズは、3戦すべて先制点を取りながら、結果は1勝2敗となってしまった。 内容は悪くはないのだが、それよりもヤンキースの集中力が勝っているような試合展開。 第1戦、絶対的エースのサバシアを打ちこんだときは、このまま勢いにのるかと思われたが、逆に先行される展開となった。 だが、実力者同士の対決、よもやこのままあっさりと終わるわけがない。 大ファンであるイバニェスも言っている。 「うちのチームには負けてうつむくような選手はいない」 自分のチームの力を信じているからこそであろう。 第4戦は流れを変えるにはもってこいの舞台がそろった。 なにせ、ヤンキースの先発は中3日のサバシア。 タフな相手だが、逆に言うとこれはチャンスでもある。 今日の試合からも、主砲が打てば盛り上がることは証明されている。 ならば、相手のエースを打ち崩せば、それは自チームに対する勢いに変わるであろう。 リベラからサヨナラ打を放つよりは難しくないし、それと同等の流れをつかむことが出来る。 主砲ハワードの不調にもかかわらず、先制点を挙げ、互角の戦いを見せているフィリーズ。 そのハワードに1本でも出れば、ホームの地で、どばっと土石流のように勢いは止まらなくなるだろう。 第4戦も熱戦が期待できる。 明日こそが、フィリーズにとって本当の勝負どころとなる。 楽しみである。
posted by ballgame |23:53 |
MLB |
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4番の哲学(ワールドシリーズ第3戦)
コメント投稿者ID :
すごく楽しく読ませてもらいました!
ありがとうございます(^'^)
posted by yasu | 2009-11-02 10:43
4番の哲学(ワールドシリーズ第3戦)
コメント投稿者ID :
yasuさん
コメントありがとうございます。
こちらこそ、嬉しいお言葉ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
posted by ballgame | 2009-11-03 00:42
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