競馬は世界中で行われている

Mubtaahij 長く険しい旅路の果てに辿り着いた栄光

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 遡ること2年6ヶ月。2015年3月にドバイの地で、1頭の若駒が圧巻のパフォーマンスを披露したことを覚えているだろうか。UAEダービーでゴールデンバローズを筆頭に、日本から遠征した3頭を完膚なきまでに叩きのめし、同レース6度目の制覇を成した”魔術師”M.デコック調教師をして、「6頭の中で恐らくは最強だ」と言わしめた若駒。それが Mubtaahij だ。しかし、前途洋々と思われた彼の未来は何も約束されていなかった。

 Mubtaahij が次なる戦いの舞台として選んだのは北米3冠で、UAEダービー制覇で出走権を得たケンタッキーダービーへ。しかし、ドバイ経由の馬が勝負出来るほど本場のダービーは甘くない。序盤のポジション争いに敗れて中団待機を余儀なくされ、そのまま伸びず止まらず9馬身半差8着に終わると、プリークネスSをパスして挑んだベルモントSも、内の3番手と絶好位を確保したまでは良かったものの、直線で脚を伸ばす程の余力は残っておらず、勝ち馬に7.3/4馬身差離されての4着に敗れた。ただし、この年の北米3冠は1頭の怪物によってコンプリートされた特別な年。そう、37年ぶりの3冠馬 American Pharoah と同世代で、そういう意味で Mubtaahij は運が無かったとも言える。

 イギリスでデビューした2歳9月から、ドバイへ北米へと使い詰めだったこともあり、帰国後は長期休養が与えられた Mubtaahij 。復帰は4歳を迎えた翌年のドバイで、目標はもちろんドバイワールドCであったのですが、初戦のファイアーブレイクSでいきなり躓く。中団待機も4コーナーで早々に手応えが怪しくなり、為す術なく5着に敗れると、2戦目のマクトゥームチャレンジR3も好位から伸びを欠いて7馬身半差4着。ドバイワールドCこそ内を巧く立ち回って2着と好走したものの、完全復活を遂げた California Chrome には文句無しの完敗を喫した。ただ、その一方で Hoppertunity や Frosted といった北米のGⅠウィナーに先着したことも事実で、陣営は拠点を北米へ移すことを決断。オーナーと親交が深いK.マクラフリン調教師の下でトレーニングに励むべく、ニューヨークへと遥々旅立った。

 同師の管理下で最初に迎えたレースが7月のサバーバンHで、ドバイワールドC2着が評価されたのか、クラークHの勝ち馬 Effinex を抑えて1番人気に支持されたのですが、北米競馬にしては珍しいスローペースに嵌ってしまい、中団やや後方から脚を伸ばすも、先行2頭を捕らえることが出来ず、2番手から押し切った Effinex に1馬身半差を付けられての3着と惜敗。次走のウッドワードSはもっと惜しかった。逃げ馬が4コーナーで大きく外へ膨らんだことで、ポッカリ開いた内を労せず突ける僥倖に恵まれ、残り100mで一旦は先頭に立ったのですが、ここでも決め切れない。圧倒的人気の Frosted は辛うじて抑え込むも、最後の最後で脚が止まったところを Shaman Ghost にアタマ差交わされ、無念の2着と涙を飲んだ。今度こそはと挑んだジョッキークラブゴールドカップS。しかし、10ハロンはやはり些か距離が長いのか、直線は伸びを欠き、勝ち馬から7.3/4馬身差の4着敗北。結局は3戦未勝利、失意のまま再びデコック厩舎へ戻ることとなった。

 迎えた5歳シーズンもドバイでスタートさせた Mubtaahij でしたが、60kgの斤量を背負わされたリステッドレースで2着に敗れると、2年連続で挑んだドバイワールドCは Arrogate の仰天パフォーマンスに為す術が無かったことはもちろん、前を行く Gun Runner すら脅かすことが出来ず、4着という数字は見栄えがするものの、Arrogate は遥か彼方の9馬身差。圧勝したUAEダービーから2年間、惜しい競馬もあったとは言え、勝ち鞍から遠ざかったままという状況は変わらず、ドバイの地を後にした。

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