2010年08月19日

「Olympic Road」ではない括りで

男子日本代表がスタンコビッチカップで準優勝に輝いた。その結果は素晴らしい。素晴らしいと思うのだが、一方で、まだこの結果に満足をしてはいけない、早合点をしてはいけないという思いもある。サッカー日本代表がワールドカップ直前のゲームで連敗をして、岡田武史監督を解任しろ! なんていう騒ぎもあったのに、いざ本番のワールドカップで決勝トーナメントに進出をすると、手のひらを返したように褒め称える。その逆だって起こりうるのではないか。今勝っていても、11月のアジア競技大会で勝っても、目的の1つであるオリンピックや世界選手権のアジア予選で結果を出さなければ「やっぱり…」と落胆することになってしまうからだ。

どうも小生はネガティブというか、日本という国を過小評価するところがあるようだ。もちろん勝ってほしいし、オリンピックや世界選手権の舞台で日本人が暴れまわるのを見たいと思っている。実際、初めて生で見たアテネオリンピックで「君が代」が流れたとき、得も言われぬ感情に包まれた。まさに鳥肌ものだった。海外で聞く「君が代」は日本で聞くそれとはまったく違う気がして、日本人でよかったと本気で思ったりする。でも、なぜか「日本が簡単に勝てるほど、世界はそんなに甘くない」と思ってしまう。2004年1月に仙台でおこなわれた女子のオリンピック予選で、女子日本代表が準決勝で韓国を破り、アテネオリンピックへの出場を決めたときでさえ…勝利の瞬間は隣にいた月刊バスケットボールのI氏と握手を交わしたが…心の底から喜べない自分がいた。

その仙台のアジア選手権がライターとしてのデビューだった小生は、それ以降、女子を中心に日本のバスケットを少なからず見てきた。JBL、Wリーグ、bjリーグといった国内リーグだけでなく、2006年に日本で開催された男子の世界選手権や、女子のアジア選手権は欠かすことなく見たし、北京オリンピックの世界最終予選のときはスペインンにも渡った。そのなかで選手、スタッフの努力はすごく感じたし、発言も常に前向きで、何とか世界の舞台に立とうという気持ちも伝わってきた。それを専門誌で書かせてもいただいた。

でも、それは世界の国々も同じなのではないか。最近では韓国の女子がさほど力を入れてないと聞くが、それでもチャイニーズ・タイペイは力を入れているし、中国だってさらなる世界の高みを目指しているはず。男子で言えば、中国のみならず、中東が一気に台頭してきたし、東南アジアのフィリピンなども帰化選手を入れて、世界に出ていこうとしている。その一方で日本はといえば、女子こそ9月23日からチェコでおこなわれる世界選手権に出るものの、男子は大会ごとにヘッドコーチを替えて(さまざまな事情があるにせよ)、本気で筋を通した強化をしようとしているのかが疑問だった。そのことが頭から離れず、外国を過大評価し、日本を過小評価してしまっていたのだ。もちろん性格や育った環境…米軍基地のある街で育ったので、アメリカ=外国はすごいという意識があるのかもしれないが…

だから、今回のスタンコビッチカップの準優勝も、失礼を承知で書くが、フロックだったのではないかと思ってしまうのだ。

さて、なぜそんなことを書こうかと思ったかというと、本日発売の「ナンバー」を久々に買ったからだ。スポーツライターとして世に出るからには、いつかは「ナンバー」で書いてみたいという野望が小生にはある(身の程知らずと言われようとも)。以前は毎号のように買い、友人が図書館から譲り受けたバックナンバーをさらに譲り受けて、300冊近く本棚に置いてあったこともある。しかし、いつの日からか「あれ、『ナンバー』ってサッカー誌だったっけ?」と思うくらいサッカーが中心になり(売り上げを考えれば仕方のないことだけど…)、あとは野球と格闘技。昔はNBAが特集のときもあったし、いろんなスポーツを特集に取り上げていたのだが…。そう思ったときから、ほとんど買うことがなくなっていた。今号もメインはサッカー。でもなんとなく本田圭祐のインタビューと、城島充さんのノンフィクションを呼んでみたくて買ってみた。

すると、終盤にある小さなコラムに見覚えのある顔が…田臥勇太である。日本のバスケットが「ナンバー」に取り上げられるのは久々なのではないか(久々に買ったので、もっとあったのかもしれないが)。内容については、田臥が日本代表に入り、トーマス・ウィスマンヘッドコーチは海外にチャレンジする選手でも日本代表に入れるといった新しい形がスタートしたことを知らしめるものだった。小さいけれども、日本のスポーツ雑誌の草分け的存在である「ナンバー」に、NBAではなく(NBAはよく宮地陽子さんが書かれている)、日本のバスケットが出たことに、何か喜びのようなものを感じたのである。

しかし喜びもすぐに半減してしまった。田臥の写真は(共同通信からの配信のようだが)他のものを比べて画質が粗いし、それ以上に括りが「Basketball」ではなく「Olympic Road」なのだ。確かに日本代表としてオリンピックの出場を目指すわけだけれども、何か少しさびしいものを感じた。「それでも出ないよりはましでしょう?」という意見もあるかもしれないが、やっぱり小生は「Basketball」という括りでコラムを読みたかった。ナンバーでは日本のバスケットボールがバスケットボールとして認知されていないのか。オリンピックに出なければそのスポーツとして見てもらえないのか。

来年は2012年のロンドンオリンピックのアジア予選がある。オリンピックに出場するにはアジア選手権で優勝するか、3位までに入って世界最終予選に回り、そこで3位以内に入らなくてはいけない(北京オリンピックのときとレギュレーションが変わっていなければ)。現在アジア10位の日本にとってはかなり険しい道といえる。スタンコビッチカップで準優勝したとはいえ、中国や韓国は出ていないし、28日開幕の世界選手権を控えている国や、日本同様、チームの衣替えをしているところもある。来年になれば、彼らも眼の色を変えてくるだろう。そのときに今回のような結果を出せるのか。

小生が喜びを感じるのは、結果よりも日本という国が成長していると実感できたとき。何とか変わろうともがいて、苦しんで、粘って、そうして新しい形を築き上げたときに喜びを感じる。チームとしての成長が小生の目に映れば、極端な話、負けてもいい。いや、勝ってほしいけれども、成長の証が見えれば、次がある。ベテラン選手に次はないかもしれないけど、チームには永遠に次があるのだから。さらに成長して、次こそ勝てばいい。小生はそんなスタンスでいる。

スタンコビッチカップの準優勝は素晴らしいと思う。だけど素直に喜べないのには、もう1つ理由がある。生で見られなかったからだ。生で見て、選手の意気込み、諦めない姿勢が直に小生に伝わっていたら、もっと喜べたはず。女子日本代表の中川文一ヘッドコーチも言っていたけど、ビデオとかスタッツではわからないことが多い。会場の雰囲気、選手の気合い、相手チームの勢い…。生で見てこそ、わかるものが多いのだ。

やっぱりスポーツはライブに限る。それも繰り返し見ることで、成長や苦悩などが見て取れる。これからもライブで見られるものはしっかりとライブで見て、いつか「Basketball」の括りでナンバーに書いてやる…いや、書かせてください(笑)。

ということで、本日も――
ご愛読感謝、Good Day & PEACE!

posted by Deco |20:45 | 日本代表 | コメント(0) | トラックバック(0)
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