2008年05月19日

魂のぶつかり合い

 NBAを生放送で観たのはいつ以来だろう。
 ボストンで迎えた、ホームのセルティックスとキャバリアーズ(キャブス)の第7戦。そう、勝ったほうがプレイオフに勝ち残る。

 しばらくNBAをじっくり観ることはなかったけれども、今年は例年になく面白い。スタープレイヤーが各チームに存在し、且つどのチームの戦力も拮抗している。どこが勝つか全く予想がつかない。勝負は紙一重のところで決まる。そして、その緊張感はテレビ画面を通しても伝わってくる。
 ましてや第7戦ともなれば極限状態にまで達している。スターティングメンバーのアナウンスだけでも鳥肌が立つ。

 開始直後から、激しいディフェンスを見せる両チーム。魂のぶつかり合い、激しい肉弾戦、これでこそプレイオフ。これを見たかったんだ。気持ちを惜しむことなく前面に押し出す、絶対止めてやろうという思いを。

 結果的には、キャブスのレブロン・ジェームスが45得点、セルティックスのポール・ピアースが41得点と点の取り合いを演じ、セルティックスが序盤からのリードを守りとおしたまま終了した。

 レブロンは1on1に無類の強さを発揮し、味方がスクリーンをかけるピックアンドロールを活用しながら持ち前のパワフルさで鋭いカットインを見せた。序盤こそミスが多かったものの、それ以降は、セルティックス ディフェンス陣からすれば、カットインすれば2、3人で囲んでもファールで止めるしかなく、外からのシュートは外れるのを祈るばかり。たまに他の選手も点を決めるが、それもレブロンのアシスト、もしくはレブロンから始まるプレイの流れから生まれた点がほとんどだった。
 事実、少ない時間ながらもレブロンが休んでいたときには、キャバリアーズは攻め手を欠いていた。

 バスケットにおいて、ディフェンスのときに手を抜くことは許されない。コート上で休むとするならば、オフェンスのときに味方に任せっきりにして休むしか方法はない。
 そういう意味でレブロンに休む時間はなかった。レブロンがボールを触らなければ、キャブスのオフェンスが成り立たないからだ。激しいディフェンスを相手に最後まで挑み続けた彼の体力は計り知れないものがあると思う。
 レブロンはチームメイトの全てを支えた存在だった。

 一方のポール・ピアース。それほど瞬発力は感じさせないが、相手を一瞬かわすタイミングの取り方は際立っており、ことごとくネットに沈めた3ポイント、1on1からのミドルシュートは極限の域に達していたと思う。

 レブロンとピアース、それぞれ同じくらいの得点だが、そこには大きな違いがある。レブロンはときには2人、3人が囲い込むなかの45得点。一方でピアースは1on1からの41得点。
 キャブスはピアースに積極的にダブルチームを仕掛けることはしなかった。いや、できなかった。なぜなら、セルティックスはピアースだけのチームではないからだ。特に、要所でケビン・ガーネットが得点を決めていたことは、13得点という数字以上の存在感をキャブスに埋め込ませていたに違いない。

 キャブスはもっと強くなる。レブロンには長い将来がある。
 試合が終わった後、両チームの選手同士が健闘を称えあうなか、レブロンは一人すぐさまロッカールームへと下がっていった。
 試合中も熱いハートを持ちつつ冷静沈着な男が、感情をむき出しにしたのは今シーズン最初で最後だったのかもしれない。

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posted by athok |23:39 | バスケットボール | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年05月13日

時は再び刻みはじめた

 自身のバスケ競技人生において、この2ヶ月間は時が止まっていた。
 走れるようになっても、ジャンプできるようになっても、動きを制限せざるを得ない自分がいた。

 4月下旬、時は再び刻みはじめた。動かない、腫れあがった右膝とともに。

 手術前日、全身麻酔か下半身麻酔を選択できると言われ、下半身麻酔を選んだ。全身麻酔は寝ているだけだから楽だろうが、せっかくだから自分の体に何が起きているのかを少しでも感じ取りたかった。さすがに、手術しながら内視鏡のモニターを見ることも、手術している膝を見ることも出来なかったけれども。

 手術当日、冷たく厚い、シルバーに光る手術室の扉を開けて歩いて入場する。流れ作業のように、足の洗浄から担架に乗せられて実際のオペ室に移動するまでが、テキパキと進む。
 そこに麻酔科医登場。丸めた背中に麻酔用の痛み止め注射を打ったあと、太い針が差し込まれる。脊髄に何か熱いものが注入されるのを感じる。
 しばらくして、その熱さは下半身へと広がり、熱さのあとにはしびれが広がってくる。正座を長時間したあとの感覚に似ている。足に氷をあて、冷たさが感じなくなることを確認するとともに、下半身がみえないように胸のあたりにカーテンが設置され、手術は始まった。
 手術中は音楽プレイヤーを聞くこともできるというので持参していたが、やっぱり聞くのはやめた。ここまで来たら、とことん付き合ってやろう。

 麻酔のせいか、眠気のせいか、若干薄まる意識の中で、骨に穴を空けているであろう、電動ドリルのような音や、とんかちのように骨をたたく音が耳に入る。どちらも足に全く感覚はないが、腰辺りで骨に響く感触を覚える。
 手術は2時間くらいだったと思う。全く下半身が動かないことに一種のもどかしさを感じる頃にカーテンは外された。手術した足はともかく、早く真っすぐに伸ばしたいと思っていた左足は、すでに真っすぐに伸びていた。自分の感覚と実際の体とのベクトルが合っていない。
 病室に戻ったが、どんなに叩いても、どんなにひねっても他人の足を触っている感覚は変わらない。動かしたいのに動かせない葛藤に苦しみながらも、それでも徐々に、左膝が動き、そして両足指、両足首が動かせるようになった。

 痛み止めと共に点滴は管を通して腕から体内に入っている。動かないように固定している右膝には、溜まった血が外に流れるようにパイプがつながれている。垂れ流しにならないよう、尿管もつながっている。

 けれども、気分は悪くない。

 自分に言い聞かせる。やっとスタート地点。これからだ。

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posted by athok |21:19 | バスケットボール | コメント(4) | トラックバック(0)
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