2008年06月05日

やるべきことがある

 ある試合中、ドリブルする相手に対してディフェンスしている自分。膝の具合が不安で、外からシュートを打たれるのを覚悟で距離を置いてディフェンスする。
それでも相手プレイヤーはドリブルを仕掛けてくる。あっさりと抜かれ、且つ転んで尻もちをついている自分がそこにいた…。

 ハッと目が覚める。

 嫌な夢だった。


 手に取るように日々の回復がわかるのは嬉しかった。一歩一歩前に進んでいるのを実感できた。
 手術の翌日には点滴と尿管が外れ、車いすに乗ることができた。二日後、溜まった血を流しだすパイプも外れた。足首も曲げることができるし、膝を固めたままなら右足を持ちあげることもできる。
 三日後には松葉杖を使って歩きはじめた。右足を動かすたび、まだ抜糸していないため皮膚が引っ張られチクチクしたが、足の裏が床に接触する感触が新鮮だった。

 まだまだ腫れているため常にアイシングが必要だし、膝もほとんど曲がらないけれども、リハビリは早速始まった。膝の曲げ伸ばしをゆっくりゆっくり行うとともに、腿の筋肉を復活させる必要がある。
 たった数日間全く使わなかっただけで足から筋肉は消えてしまい、随分と細くなっていた。力を入れても筋肉が隆起してこない。太くするのに相当な月日が必要だろうに、細くなるのは悲しいほどにあっけない。

 この筋肉が元に戻り、いやそれ以上に鍛えられたとしたら、あんな夢など見なくなるだろうか。
 気持ちだけではどうにもならないことがある。目標に達するためには、それなりの覚悟をもって準備しなければならないことを改めて思い知る。
 リハビリ後の自分、激しく動き回る自分を思い描きながらトレーニングしようと思う。

 今度は絶対抜かせない。たとえ夢の中でも。

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posted by athok |00:15 | バスケットボール | コメント(3) | トラックバック(0)
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2008年05月19日

魂のぶつかり合い

 NBAを生放送で観たのはいつ以来だろう。
 ボストンで迎えた、ホームのセルティックスとキャバリアーズ(キャブス)の第7戦。そう、勝ったほうがプレイオフに勝ち残る。

 しばらくNBAをじっくり観ることはなかったけれども、今年は例年になく面白い。スタープレイヤーが各チームに存在し、且つどのチームの戦力も拮抗している。どこが勝つか全く予想がつかない。勝負は紙一重のところで決まる。そして、その緊張感はテレビ画面を通しても伝わってくる。
 ましてや第7戦ともなれば極限状態にまで達している。スターティングメンバーのアナウンスだけでも鳥肌が立つ。

 開始直後から、激しいディフェンスを見せる両チーム。魂のぶつかり合い、激しい肉弾戦、これでこそプレイオフ。これを見たかったんだ。気持ちを惜しむことなく前面に押し出す、絶対止めてやろうという思いを。

 結果的には、キャブスのレブロン・ジェームスが45得点、セルティックスのポール・ピアースが41得点と点の取り合いを演じ、セルティックスが序盤からのリードを守りとおしたまま終了した。

 レブロンは1on1に無類の強さを発揮し、味方がスクリーンをかけるピックアンドロールを活用しながら持ち前のパワフルさで鋭いカットインを見せた。序盤こそミスが多かったものの、それ以降は、セルティックス ディフェンス陣からすれば、カットインすれば2、3人で囲んでもファールで止めるしかなく、外からのシュートは外れるのを祈るばかり。たまに他の選手も点を決めるが、それもレブロンのアシスト、もしくはレブロンから始まるプレイの流れから生まれた点がほとんどだった。
 事実、少ない時間ながらもレブロンが休んでいたときには、キャバリアーズは攻め手を欠いていた。

 バスケットにおいて、ディフェンスのときに手を抜くことは許されない。コート上で休むとするならば、オフェンスのときに味方に任せっきりにして休むしか方法はない。
 そういう意味でレブロンに休む時間はなかった。レブロンがボールを触らなければ、キャブスのオフェンスが成り立たないからだ。激しいディフェンスを相手に最後まで挑み続けた彼の体力は計り知れないものがあると思う。
 レブロンはチームメイトの全てを支えた存在だった。

 一方のポール・ピアース。それほど瞬発力は感じさせないが、相手を一瞬かわすタイミングの取り方は際立っており、ことごとくネットに沈めた3ポイント、1on1からのミドルシュートは極限の域に達していたと思う。

 レブロンとピアース、それぞれ同じくらいの得点だが、そこには大きな違いがある。レブロンはときには2人、3人が囲い込むなかの45得点。一方でピアースは1on1からの41得点。
 キャブスはピアースに積極的にダブルチームを仕掛けることはしなかった。いや、できなかった。なぜなら、セルティックスはピアースだけのチームではないからだ。特に、要所でケビン・ガーネットが得点を決めていたことは、13得点という数字以上の存在感をキャブスに埋め込ませていたに違いない。

 キャブスはもっと強くなる。レブロンには長い将来がある。
 試合が終わった後、両チームの選手同士が健闘を称えあうなか、レブロンは一人すぐさまロッカールームへと下がっていった。
 試合中も熱いハートを持ちつつ冷静沈着な男が、感情をむき出しにしたのは今シーズン最初で最後だったのかもしれない。

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posted by athok |23:39 | バスケットボール | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年05月13日

時は再び刻みはじめた

 自身のバスケ競技人生において、この2ヶ月間は時が止まっていた。
 走れるようになっても、ジャンプできるようになっても、動きを制限せざるを得ない自分がいた。

 4月下旬、時は再び刻みはじめた。動かない、腫れあがった右膝とともに。

 手術前日、全身麻酔か下半身麻酔を選択できると言われ、下半身麻酔を選んだ。全身麻酔は寝ているだけだから楽だろうが、せっかくだから自分の体に何が起きているのかを少しでも感じ取りたかった。さすがに、手術しながら内視鏡のモニターを見ることも、手術している膝を見ることも出来なかったけれども。

 手術当日、冷たく厚い、シルバーに光る手術室の扉を開けて歩いて入場する。流れ作業のように、足の洗浄から担架に乗せられて実際のオペ室に移動するまでが、テキパキと進む。
 そこに麻酔科医登場。丸めた背中に麻酔用の痛み止め注射を打ったあと、太い針が差し込まれる。脊髄に何か熱いものが注入されるのを感じる。
 しばらくして、その熱さは下半身へと広がり、熱さのあとにはしびれが広がってくる。正座を長時間したあとの感覚に似ている。足に氷をあて、冷たさが感じなくなることを確認するとともに、下半身がみえないように胸のあたりにカーテンが設置され、手術は始まった。
 手術中は音楽プレイヤーを聞くこともできるというので持参していたが、やっぱり聞くのはやめた。ここまで来たら、とことん付き合ってやろう。

 麻酔のせいか、眠気のせいか、若干薄まる意識の中で、骨に穴を空けているであろう、電動ドリルのような音や、とんかちのように骨をたたく音が耳に入る。どちらも足に全く感覚はないが、腰辺りで骨に響く感触を覚える。
 手術は2時間くらいだったと思う。全く下半身が動かないことに一種のもどかしさを感じる頃にカーテンは外された。手術した足はともかく、早く真っすぐに伸ばしたいと思っていた左足は、すでに真っすぐに伸びていた。自分の感覚と実際の体とのベクトルが合っていない。
 病室に戻ったが、どんなに叩いても、どんなにひねっても他人の足を触っている感覚は変わらない。動かしたいのに動かせない葛藤に苦しみながらも、それでも徐々に、左膝が動き、そして両足指、両足首が動かせるようになった。

 痛み止めと共に点滴は管を通して腕から体内に入っている。動かないように固定している右膝には、溜まった血が外に流れるようにパイプがつながれている。垂れ流しにならないよう、尿管もつながっている。

 けれども、気分は悪くない。

 自分に言い聞かせる。やっとスタート地点。これからだ。

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posted by athok |21:19 | バスケットボール | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年03月12日

もう一度立ち上がりたい

 手術は4月末、ゴールデンウィーク前に行うことにした。
 手術ができる状態になってから1ヶ月半以上時間を空けるということは、復帰がその分だけ遅れることを意味する。けれども、取り巻く事情を考えればこれが最善策だと思う。所詮は、自己管理の問題から発生したのだから。

 右膝は驚くくらい順調に回復している。腫れもひいたし、軽くジョギングができる程度にまでなった。昨日できなかったことが今日出来たりする。本当に靭帯が切れているのかと、時々思う。

 改めて、怪我したときの状況を整理してみた。
 なぜ怪我してしまったのか。人との接触があったわけではない。相手のドリブルを防ごうと、右から左にステップを切り替えようとしただけだ。そのような動きはきっとこれまで何万回も、全力でしてきた。変な動きがあったとも思えない。
 全力でのディフェンスをやめて手を抜くならば、以下のどちらか1つを選択するしかない。

  • 密着マークしてシュートを打たれるのを防ぐ代わりに、ドリブルで抜かれることを覚悟する。
  • 少し距離を置いてディフェンスすることで抜かれることを防ぐ代わりに、シュートを打たれることを覚悟する。

 つまり、シュートも打てるしドリブルも出来るプレイヤーに対しては手を抜いたディフェンスは通用しない。もちろん、最初から味方にカバーされることを前提としたディフェンスなどしたくない。

 また本気でバスケットと向き合うためには、怪我してしまったディフェンスを今後も続ける必要がある。今回の怪我は、いくつもの偶然が重なって起きた、ほとんど有り得ない話なのだろうか?
 いや、違う。今回で2度目だ。前十字靭帯ではなかったが、左膝の内側側副靱帯を伸ばしたときも、相手との接触はなかった。ドリブルしている相手についてディフェンスしていただけだ。つまり、同じような状況で、同じような怪我が2回起きたことになる。

 これからも自分は、同じリスクを背負いながらバスケを続けていかなければならない。怪我をしやすい膝の構造になっている、もしくは怪我しないほどの筋肉がついていない、という考えでしか自分自身を納得できない。
 だとしたら、人並み以上にケアするしかない。まず何よりも膝周りの筋肉を十分つける必要がある。プレイスタイルの幅を広げることも必要だろう。膝を中心としたウォームアップを重点的に行い、そして、筋肉がつかないうちは両膝にサポーターを付ける必要もあるだろう。

 もう言い訳は効かない。偶然では済まされない。
 出来る限りのことはする、もう一度立ち上がるために。

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posted by athok |23:48 | バスケットボール | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年02月26日

バスケットマンとして

 ドゥンドゥンドゥンドゥン・・・
 不気味な重低音を発するMRI室、それに合わせるかのように自分の鼓動も速度を増してくる。20分ほど身動きしない状態の後、MRIは終了し診断室へと向かう。

 まずはMRIの前に撮ったレントゲンのチェック。幸いにも骨には異常は見られないようだ。
 次にMRIの画像。医師による解説が始まる。
 「ここに黒く映し出された一本の太い線があるでしょう。これが後十字靭帯です。きれいにハッキリと見えるね。一方、こちらの画像を見てください。これが前十字靭帯ですが、黒い部分から始まっている一本の線が途中で見えなくなっているのがわかると思います。つまり、断裂しています。」



 覚悟はしていた。
 でも、ひょっとしたら、と期待する自分も、確かにいた。
 この画像を見る限りでは靱帯はつながっていない。受け入れなければならない現実がそこにはあった。

 医師「またこれまで通りバスケットを続けるためには手術が必要だけれども、手術を行うのは腫れがひいてからになります。少なくとも2週間は待つ必要があるね。それから手術するかの決断をしてもらって構いません。」
 参考までに聞いてみた。
 「サーフィンもするんですが、手術しないままだとサーフィンにも支障ありますか?」
 医師「バスケットは床の上で行う衝撃の多いスポーツであり、それに比べれば海で受ける衝撃は小さい。また接触も少ないため、サーフィンだけを行う分には今のままでも大丈夫でしょう。」
 続けてこうも言われた。
 「これからはサーフィンに専念する、という選択肢もあるね。」
 2週間後に改めて診察することとし、テーピングを巻き替えてもらってから病院を出た。

 心は決まっていた。結果的にバスケットをやれない状況になったならば仕方ないものの、自らバスケットを出来なくする選択肢は取れない。やりたいときに、やれる環境があるのに、大好きなことができないのは我慢できない。手術することによる代償は少なからずあるだろうが、バスケットができないことに比べたら天地の差に感じる。

 バスケ仲間に会った。やはり断裂していたことを告げたら、彼等はこう言った。
 「復帰まで半年か。リハビリのときは温泉通うと回復早いよ、たぶん。」
 「手術は出来るだけ早くやっちゃいなよ。」

 思わず笑ってしまった。彼等の中には、手術しないという選択肢すらない。
 こんな仲間とまたバスケットをやることが、自分にとっての最大のモチベーションとなる。

 29歳、手術を決意。自分らしくあるために。

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posted by athok |01:45 | バスケットボール | コメント(5) | トラックバック(0)
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2008年02月22日

相対的な世界

 怪我してから3日経った。右膝の痛みは少しやわらぎ、歩くのも昨日・一昨日に比べれば随分と楽になった。

 たった3日なのに、周囲はかなり違ってみえる。
 こんなに速かったっけ?普段は一人で歩いていて追い抜かれることはほとんどないのに、今は自分の周りだけが重力が軽くなっているような錯覚に陥る。
 これまで、バスケットに、サーフィンにどっぷりだった。週末、一日は体育館に、もう一日は海に行くばかりの生活だった。平日も一回はバスケットをしていたし、体をつくるためにジムにも精力的に通っていた。
 その全てが、今はできない。

 まだ仕事があるだけ救われた気持ちになる。身体を使う仕事ではないだけに、やること自体に変化はない。もし、足腰を使うような仕事だったとしたら、そこでも自分の居場所を感じられなかったかもしれない。

 夜、家への帰り道、どことなく、なんとなくでしかないけれども、引き籠りになってしまう人や、傍からみれば意味もなく他人に被害を及ぼす行動を取ってしまう人の気持ちが、ほんの少しかもしれないが感じ取れたような気がした。
 彼等は、彼等もまた、自分が存在する意味を感じられなくなっているのではないだろうか。前者は心を折らされた結果として全てを諦めてしまい、後者はもがき苦しんだ結果として間違った方向で自分の存在をアピールしてしまう。。。

 今回の自分の場合は、あまりに急激に状況が一変しただけに、本当は周囲には何も変化がないことはわかっている。変わったのは自分の、しかもほんの一部分にしか過ぎない。その一部分により、自分の気持ちが折れているに過ぎない。周りのスピードが上がったわけではなく、たまたま自分のスピードが遅くなってしまっているだけだ。
 けれども、これが仮に客観的に理解できることではなく、いつの間にか、自分でもわからないまま徐々に変化していったとしたら、果たしてそう認識できるだろうか。自分の存在感が見出せない世界へと周囲は変化してしまったと思いこみ、自分ではどうしようもない流れに巻き込まれたと思ってしまうのかもしれない。

 でも本当は、たぶん、周囲の歩くスピードは変わっていない。
 変わったのは自分のスピードなのだけれども、それに自覚がなければ、周囲のスピードが速くなったと理解することにより自分のなかでの心の整理ができてしまう。

 もちろん、そうなってしまった事情は千差万別だろうから型にはめて考えるつもりはないし、気持ちだけではどうしようもない何らかの理由で仕方なくそうなってしまった人もいるだろう。仮にある程度当たっていたとしても、だからといって誰しもが解決できるような方法も残念ながら浮かんでこない。

 けれども、そうだとしても、少なくとも自分の中では、また新たな角度で物事を捉えられたようなこの感覚は一つの発見だった。
 怪我して得ることもあるはずだ。いつか思い返してみたとき、人生としてはプラスだったと思えるような、今回もそんな経験であってほしい。

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posted by athok |22:46 | バスケットボール | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年02月21日

選手生命の危機

 右膝に痛みを感じて目覚めた。鈍角に曲がったくの字から、まっすぐに伸びることもなければもっと曲げることもできない。明らかに怪我した日よりも状態は悪くなっていた。まともに右足に体重をかけられる状態になく、歩くのもおぼつかない。
 肉離れのときでも病院には行かなかったが、さすがに限界を感じ、スポーツ整形外科のある病院に行くことにした。

 右膝を触診されたのち、一枚の紙を出され、説明が始まった。紙にはこう書かれていた。

 「膝前十字靱帯損傷」

 まさか。
 だって昨日は問題なく歩くこともできた。高校時代に左膝の内側側副靱帯を損傷したときは、怪我した瞬間歩くどころか左足を地面につけることすら出来なかった。それを考えれば症状はまだ軽いと思える。少なくともそう思いたい。
 説明書はこう続く。
 「切れた前十字靱帯はギプス固定などでは治りません。損傷後1ヶ月ほどで痛みはとれ、日常生活には支障がなくなることがほとんどですが、それは損傷に伴う炎症が落ち着いたにすぎず、靱帯は切れたままです。スポーツを行わない人ではそのままの状態でも支障がない場合もありますが、スポーツの続行を希望する人には手術を勧めます。近くの腱を採取して靱帯を再建するのが一般的です。」

 手術…。自分には縁がないと思っていた言葉が突然目に前に現れ、一瞬パニックになった。
 高校のときは、靱帯は切れてはおらず伸びただけで済んだので、手術することもなかった。おかげでその左膝の内側側副靱帯は伸びたままで、筋トレを怠ると時折痛みが出てくるが、それでも致命傷には至っておらず、バスケットもやれている。
 そのことを基準に考えれば、今回の怪我に関しては左膝以上の重傷はないと思っていたのだけれども、前十字靱帯になれば話は別なのだろうか。

 とにかく、まずは正確に症状を把握するために後日精密検査(MRI)を行うことになったのだが、医者にはこう聞かれた。「前十字靱帯が切れていた場合、手術しなくとも日常生活には支障はなく、軽くスポーツを行うこともできます。また本格的にバスケットをやりたいならば手術を勧めますが、そこまでやりますか?」

 そこまで?

 そうだろう、赤の他人から見れば確かにそこまでやらなくてもいいんじゃないかと思うかもしれない。別にバスケットで生計を立てているわけじゃないのだし。けれども、その言葉にはかなり違和感を覚えた。別にお金を稼ぐためにバスケットをやっているわけじゃないが、バスケットに本気で向き合うことで得られるものはたくさんある。それは間違っていないと思う。

 でも。「もちろん手術やります」とも言えなかった。いきなりだったこともある。まだMRIをやらないことには本当に手術が必要か分からないこともある。仕事への支障もある。
 けれども、同時に浮かんだ自分への疑問もあった。

 MRIの日程を決め、右膝をテーピングでガチガチに固めてから病院を後にした。歩く速度は極端に遅く、ほとんど右足を引きずって歩いている状態。最寄り駅から家までの帰り道、普通なら歩いて10分のところが30分近くかかる。黙々と歩いていると、病院でも浮かんだ疑問が何度も頭をよぎる。

 自分はどこまでやりたいのだろうか?
 何を目指していきたいのだろうか?

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posted by athok |01:17 | バスケットボール | コメント(6) | トラックバック(0)
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2008年02月20日

思い描いた自分に近づいた瞬間

 2月のとある日曜日、もう一つの区の試合に出た。このチームは、これまで書いてきたチームとは主要メンバーが異なる上、今回は現役バリバリの大学生、そして大学卒業してすぐの、これまたバリバリの点取り屋が助っ人として駆けつけてくれた。

 区の大会に出場するようなチームは平均年齢が高いこともあり、必然的に試合のスピードも落ちてしまう。そんな試合ばかりだとそれが当たり前だと感じ、体もそれ以上に動こうとはしなくなる。そんな自分達をRefreshさせてくれる、とてもいい機会だ。
 彼等のプレイに引っ張られるかのように、自分の足も動いたような気がする。瞬間的に体が反応し、考える前に相手をかわしてシュートを決めた場面もあった。アップテンポな感覚は昔を思い出させてくれた。

 その試合中、途中から右膝に少し違和感があったのだが、こんなまたとない機会だ。少しでもコートの上にいたい気持ちもあり、特に気にせずにいた。そんなとき、相手チームの中でエースだと思われる選手にマークしていたとき、ディフェンスの自分から見れば右から左へのクロスオーバーに対応しようと右足に全体重をかけて踏ん張った瞬間、、、本来ならば半月板の下で接合されているべき骨と骨とが一瞬外れ、片方の骨が横にずれ、思わず尻餅をついた。


 フラッシュバックのように頭に浮かぶ、過去の記憶。
 高校最後の大会前、練習試合で左膝の靭帯を損傷したときも、同じようにディフェンスをしていたときだった。そういえば、あの日もかなり寒かった。
 自分では歩けず、チームメイトに抱えられながらコートサイドに出た、あのとき。病院に行ったらすぐに入院を言い渡された、あのとき。約10日間固められたギブスを取った瞬間、やせ細った筋肉のない左腿を見て絶望感を感じた、あのとき。大会に間に合わせるため、硬直した左膝をリハビリで無理やり動かしてもらい、怪我のときを遥かに超える苦痛に悶絶した、あのとき。大会中、勝ちが決した試合のラスト1分に出場し、ブザービーターを決めて仲間と抱き合った、あのとき。その次の試合で、出場することなくライバル校に敗れて絶望感を味わった、あのとき。
 その全てが、きれいに、見事に一瞬のあいだに、頭に浮かんだ。


 ずれた骨は一瞬で元に戻ったが、とてもまともに走れる状態になく、すぐさま交代することに。幸いにも、今回は自分で歩けるし、歩くだけならそこまで不自由もない。今回はきっと軽傷で済んだに違いない、そう思いながらも念のため氷で冷やしながらその日は眠りについた。

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posted by athok |00:04 | バスケットボール | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年02月18日

突きつけられた現実

 どれだけ想いが強かろうと、努力を重ねようと、現実はときとして辛く、そして冷たい。

 今所属しているチームは、この大会が一つの区切りとなる。慣れ親しんだメンバーが去ることで、また違ったチームになることだろう。

 調子自体は悪くなかった。シュートは良く入ったし、チームとしてのリズムもよかったと思う。強いて言えば、チームは5人だったため体力面に難があったが、それは百も承知のことだった。前半は10点差で勝っていた。

 後半、どこかでリズムが狂い、どこかで相手のリズムが乗ってきたとき、その流れが変わることはなかった。いや、変えることが出来なかったのはなぜだろう。体力がなかったから?そこまで考えが及ばなかったから?
 いずれにせよ、必ず戻ってくると思っていたリズムは変わらないまま、試合は終わってしまった。

 もちろん、バスケットは5人でやるもので、1人で勝てるものではない。
 けれども、あの試合に関して言えば、自分の取り組み次第で、結果は違うものになったと思う。所詮は体力がなく、後半十分に考えられず動けなかったことに起因するかもしれないが、そんな状況下においても、もっと別のことができたような気がする。

 現実はやっぱり厳しい。努力は結ばれるというけれども、どれだけ努力すればよかったのだろうか。

 一つの区切りをあっけなく迎えることになり、意気消沈する自分。それでも、新たな目標を掲げて再出発に向けて歩み始めようと考えた矢先、もっと過酷な現実に直面することとなる。

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posted by athok |23:22 | バスケットボール | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年01月01日

ダンコたる決意

 2008年初めての朝、少し積もった雪山の上から朝日が昇る。母なる太陽、やっぱり暖かい。
 肉離れのおかげで年末年始のサーフトリップと恒例の高校OBバスケは出来ないが、この先に見えている一つの目標に向けて気持ち新たに始動しよう。

 今でこそ自分もその一人になっているが、プロ/実業団などのトップチームではないにもかかわらず、これほど多くの人が、社会人になっても真剣にバスケットに取り組んでいることには最初は驚いた。別にプロを目指すわけでもない状況の中で、何をモチベーションにして真剣に取り組むのか、バスケットから離れていたときは理解できていなかった。

 だが、その見方は他人からのものであって自分の見方ではないことに気付く。自分の価値観として、バスケットとは何か?

 普段生きているなかで、多くの人は想像以上に他人の目を気にして生きている。ときには気を使い、自分を着飾り、自分を押し殺すこともある。それ自体は悪いことではないし、必要な場合もあると思うけれども、十分に自己表現できているかは疑問に感じる。

 バスケットをやっているとき、逆に己の全てを出し切ろうと思う。包み隠さず全てをさらけ出し、そこには一切の気遣いもない。
 自分を精一杯に表現できる場が、そこにはある。
 完全燃焼するためには100%出し切ることが必要だし、100%出し切るための場所・機会も必要になる。仲間もそうだ。
 高校バスケを引退してから、ちょくちょくバスケは続けていたが、完全燃焼する機会はなかった。それゆえに、全てをさらけ出していた頃に比べると、さらけ出さないための何かの膜がいつの間にかだんだん厚くなってきていたのかもしれない。

 そんな膜をガツガツ破ってくる仲間に出会えたこと、そしてそれだけバスケが出来る環境に身を置けていることに、心の底から感謝したい。おかげで、心のどこかに忘れていたモノが帰ってきたような気がする。

 そんな仲間とも、一緒のチームにいるのは一月末から始まる次の大会で一つの区切りを迎えることになる。一緒にバスケが出来なくなるわけではないが、真剣勝負を共有することはしばらくなくなるだろう。

 感謝の気持ちも兼ねて、試合に間に合うよう、肉離れは絶対に治す。そしてもう一度体を作り直し、悔いのないよう、この一ヶ月は集中したいと思う。自分の価値観をもって、断固たる決意で。

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posted by athok |13:35 | バスケットボール | コメント(4) | トラックバック(0)
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