2008年04月11日
2008 Jリーグ 第5節レビュー 清水エスパスル戦(H) 「遠藤を外せない理由」 Vol.2
Vol.1よりの続きです。
2.遠藤と使い続けてしまう理由とそのジレンマ
今後の厳しいスケジュールを考えた場合、主力選手の疲労が激しくなってしまう事は目に見えている。
特に遠藤の疲労は、毎年G大阪サポを不安に落とし入れてしまう現象であり、チームの流れが悪くなる理由に遠藤の疲労を挙げる人も少なくない。
今の所、遠藤の調子は非常に良さそうである。
チームの攻撃がチグハグだった時にも、遠藤自身は、「コンディションはそんなに悪くない」と言っていた。
実際に、チームの流れが変わり始めたと同時に、絶大な存在感を発揮してきている。
この試合でも遠藤の調子の良さは、随所に見て取れた。
運動量も豊富で、攻撃を組み立てるだけでなく、前線へ飛び出したかと思えば、ボランチとしての守備にも奔走していた。
守備面に関しては、明神が賞賛される事が多いが、ここぞと言う時に遠藤が守備で貢献している事も見逃してはならない。
彼のコンディションが一定以上あれば、それだけのパフォーマンスは披露できる。
しかし、多くのサッカー関係者や選手から彼が尊敬をされているのは、彼のそういうったプレーを支えているベースとなっている能力にある。
それは、試合の流れを読む「目」だ。
試合には、流れがある。
よほどの実力差が無い限りは、1試合中に攻勢と守勢になる展開が相互に存在する。
我々観る側の視点では、その流れが比較的理解しやすい。
なので、守勢の時のリスクの高いプレーや攻勢の時の消極的なプレーに対して、ブーイングを投げかける事ができる。
しかし、実際にピッチ上で戦っている選手からしたら、その流れはなんとなくは理解できるが、その流れを自分の意思でコントロールする事は決して簡単ではない。
遠藤はそれが出来る選手なのだ。
監督が彼を使い続けたいと思わせる最大のポイントもそこにある。
この試合では、その遠藤の能力はわかりやすく出た時間帯があった。
G大阪は、後半、自ら超決定機を逃した事もあり、清水の攻勢に対して耐える時間帯が続いた。
サッカーにおいて、2点差は非常に危険な点差とされている。
そんな中で、西野監督のゲキもむなしく、取るべき時にトドメの追加点を奪えなかった。
その後、清水の攻勢にさらされてしまい、次の1点がどちらに入るかが重要な試合展開になった。
特に、後半16分に岡崎に決定的なヘディングシュートを放たれて以降、G大阪は前線にボールが収まらなくなり、苦しい時間帯になっていた。
西野監督もその流れを認識していた事で、寺田をこのタイミングで投入してボールの受け皿にしようとしていたほどだ。
しかし、そんな流れが続いていたこ時に、後半22分頃に左サイドまでなんとかボールを運んだ展開で左サイドの下がり目の位置で遠藤がボールを受けた。
その時に前方にボールを運ぶ選択肢もあった中で、思い切ってバックラインまでボール遠藤が下げた。
遠藤はその後もボールに積極的に受け、後方でゆっくりとしたパス回しを展開する。
このちょっとした「間」を作った事で、清水の攻勢の流れはプッツリと切れてしまった。
守備に奔走していた各選手も一息つくことができ、頭を攻撃モードへ切り替える事が出来た。
その後すぐに、右サイドでCKを得ると、これまた遠藤が高精度のボールを2度蹴り、ガンバに再び決定機を演出した。
あの「間」を作り出し、試合の流れを変えてしまえる能力は、監督からしたら大変にありがたい力だ。
遠藤をアンタッチャブルにしてはならないと、私も思うが、この能力を見る度に、監督がよほどの事が無い限り使いたくなる気持ちはよくわかる。
この日解説をしていた山野孝義氏も遠藤のそのプレーを見て「相手からしたらこんな憎らしい選手はいない」と評していた。
この一連のプレーで、清水は流れを失い、G大阪は落ち着きを取り戻した。
以降、清水に決定的な場面は訪れず、負傷者を出しながらも、G大阪は余裕を持って逃げ切る事ができた。
まさにMOMに値するプレーだった。
遠藤は、このプレー以外でも、攻撃時、守備時に「ここは行かないといけない」というタイミングをよく理解しながらプレーしている。
こういうことが出来る選手には、残念ながら才能だけでは難しく、やはりある程度の経験が必要になる。
ただ上手だっただけの遠藤のプレーがここ数年で、日本有数のゲームメーカーになった最大のポイントなのだ。
遠藤を休ませたい気持ちはある。
しかし、やはり、それ相応の状況がないと彼を簡単には外せない。
少なくとも、彼の能力を代行できる選手など、G大阪にいないのだから。
既に勝敗が重要でない試合、試合の流れが決まってしまった展開でないと難しい。
彼を休ませたいのであれば、やはり更なる攻撃力が必要なのである。
さらに難しいのは、彼が重要な戦力としてチームにいる間は、どうしても彼を中心としたチーム作りをする事になる。
過密日程もあり、新しいチーム作りが必要な時期に彼不在のケースなど作っている時間など無い。
そして終盤に近づけば近づくほど、遠藤だけでなく主力選手全員のコンディション維持がその重要度を増してくる。
そんな時にも遠藤不在のチーム作りはどうしても難しい。
結局、そんな時間を取れるのはシーズン開幕前だけなのだ。
にもかかわらず、その時に代表で7人もの選手を招集されてしまった。
遠藤不在のチーム作りは、彼が代表に呼ばれなくなった時にしかありえない。
西野監督の遠藤の使い方に、疑問を言う人も多いが(私も含め)こういうジレンマも確かに存在している事は理解しなくてはならない。
Vol.3へ続く~
posted by じゃんぼ^^ |20:39 |
2008リーグ戦 レビュー |
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