2008年06月30日

地下鉄も緊迫の警戒態勢~安全検査始まる

1週間あまりにわたって、所用で日本に帰国し、昨日、北京に帰ってきた。

日本は梅雨の真っ最中で、雨がちの天気だったのは当然のことだが、北京もまた、一日中、ぐずついていて、まるで梅雨のような空模様が続いている。口の悪い友人が「野口みずきの試走に合わせて(29日)人工降雨をやっているのでは?」などと言っていたが、ここ1週間ずっとこの調子なのだから、少なくとも「野口みずき」は関係ないだろう。ちなみに、以前行われたマラソンの五輪テスト大会の際は、この「人工降雨」によって、北京全域に雨を降らせたことを当局は公式に認めている。

 さて、もう一つ、北京の“変化”があった。29日から、北京の地下鉄全駅で乗客の持ち物検査が始まった。今年はじめから5月までに、地下鉄では1500人あまりが禁止物品を持ち込んでおり、そのうち580件の「刃物所持」が見つかったという。テロの危険性も指摘されており、今回の持ち物検査も、それに対応するものだが、普段、通勤で使っている地下鉄駅でも、大がかりなX線検査機が置かれ、制服姿の公安係員が金属探知機を持って、ものものしく立っている様子は決して普通ではない。いよいよ北京五輪が近づいてきたことを実感する出来事でもある。

 この検査は、基本的には大型のバックや袋類を持っている人に対して網羅的に行われ、小さな包みを持っている人に関してもランダム抽出によって、検査がされるそうだ。スタート初日は週末ということで、大きな混乱はなかったが、今日からは通勤ラッシュも始まる。多くの北京市民は、ただでさえ混雑がひどい地下鉄の状況に輪をかけるのではと心配している。当局は、「出退勤のサラリーマン、OLが持つ小型のバックは検査の対象外」として、「大きな影響はない」としているが、やはり、一部の駅では、検査のため行列に並ばされ、不満を唱える市民もいたようだ。満員時には、「地下鉄駅を封鎖して、乗客数を調整することもある」としており、検査の状況によっては、大きな混乱を招きかねない。ちなみに、検査は全て女性検査官が行うことになっている。
 
 なお、検査については以下のことが分かっている。
・乗り換えの乗客には安全検査は行われない(初乗りの乗客とルートが異なる)
・危険物に似せた模造品(銃剣など)の持込みは、購入時のレシートと一緒に
・ライターは一人5個まで持ち込み可
・ペットボトル飲料などは液体検査、もしくはその場で一口飲むことで持ち込み可

posted by 朝倉浩之 |17:15 | 北京五輪 | トラックバック(0)
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2008年06月13日

劉翔の世界記録破られる・・・その時、劉翔は?

劉翔が“王者”の座を譲る・・・

現地時間6月12日、チェコで行われていた陸上のゴールデン・スパイクで、男子110m障害が行われ、21歳のデイロン・ロブレス(キューバ)が12秒87の世界新記録をマークした。これは、中国の劉翔(24歳)が2006年7月11日にスイスのローザンヌ国際で出した12秒88を0秒01縮めたもので、北京五輪を前に、“新王者”が誕生したことになる。

21歳のロブレスは2006年ユース世界選手権の110m障害で2位となり世界デビュー。劉翔より若く、同年代での成績は劉翔を上回っていることから、「最大のライバル」とも目されていた。今年の世界室内選手権では、判断のミスから予選落ちするなどしたが、今年は心身ともに充実しており、技術的にも急成長を遂げ、コンスタントに記録を伸ばしていた。

これまでの自己ベストは去年出した12秒92だったが、今回は、これを一気に縮める快走となった

一方の劉翔は、先週末のプレフォンテーヌ・クラシックで、フライングのため失格。先月末には太ももの筋肉の違和感で、スタート直前に棄権するなど、五輪を直前に控えて、雲行きが怪しくなっている。

中国の人たちのショックも大きい。世界記録保持者として「王者」の立場で、北京五輪を迎え、華々しく金メダルを取る・・・という筋書きが崩れてしまったわけだ。ネット掲示板の書き込みには「がっかりした」「(劉翔は)CMに出るのを減らしたほうがいいのでは?」という失望と批判が入り混じったものもあるが、また「記録が破られるのは当然。また破り返せばいいこと」「僕は劉翔を信じている」という激励の書き込みも続々と寄せられている。むしろ新聞メディアのほうが「北京五輪の結果を暗示しているのでは?」などという評論も見られ、「思わぬ展開」に戸惑いを隠せないようだ。

当の劉翔は今朝、記者の取材を受け、まずは「ロブレスにおめでとうといいたい」と語ったあと、「ロブレスに記録が破られるのは時間の問題だと思っていた」と平然と言い放ったという。「これで北京五輪では)最高の戦いが出来る。」と語り、「五輪では絶対に負けない」と健闘を誓っていたそうだ。

アスリートは、それぞれの思惑で北京五輪に向けて、コンディションを作っているのであり、一つ一つの大会の結果で一喜一憂する必要がないのは言うまでもない。ロブレスの身体能力における「最初のピーク」がここで到来したにすぎず、彼らレベルの次元において、この「王者入れ替わり」と北京五輪とは何ら関係はない。

ただ、それを分かった上で、敢えて野次馬的に言うと、これで大いに面白くなった、と思う。

劉翔はもう“王者”ではない。若くて伸び盛りの「キューバの星」に挑む挑戦者であり、彼にとっては五輪2連覇と世界記録の最更新という二つの目標がまたも目の前に現れたことになる。“王者”である劉翔は、プレッシャーを気にも留めていないようではあったが、それでも、国内外から寄せられる圧力は、見ていて気の毒なほどだった。そこから「挑戦者」と変わった劉翔が、そして新たな目標を持った劉翔が2ヵ月後の鳥の巣でどんな走りを見せるのか。ロブレスと劉翔の頂上決戦がますます面白くなってきたといえよう。

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若手の台頭で金メダル争いはますます面白くなった。写真は劉翔



posted by 朝倉浩之 |16:24 | 陸上 | トラックバック(0)
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2008年06月12日

サッカー中国代表監督、女性記者を妊娠させる?

“おさわがせ“アナウンサーのブログ記事が大きな波紋を呼んでいる・・・

中国の人気スポーツキャスター、黄健翔さんが6日、自身のブログで、「サッカー国家代表のドゥイコビッチ総監督が、CCTV中国中央テレビの女性記者を“妊娠”させた」と“暴露”したのだ。

黄健翔さんといえば、前回の2006年ドイツW杯でCCTVの実況アナウンサーとして、イタリア戦を況中、思わず私情を交えて、「イタリア万歳」などと絶叫し、論議を巻き起こした“おさわがせ”アナウンサー。その後、CCTVを退社し、フリーとなって、他局でスポーツキャスターを務めている。

その彼が、国家代表の総監督であり、まもなく本番を迎えるサッカー五輪代表の監督を務めるドゥイコビッチ氏とCCTV女性記者のスキャンダルを暴露した・・・というのだから、大騒ぎとなるのは当然だ。

問題となったのは6月6日付けの「丑話説在前辺」と題する記事。黄さんは「私は今フリーの立場。だから組織(CCTVのこと)の権威を代表する必要がない。だから遠慮しない」と前置きした上で、、まずは、翌日(7日)に迫ったW杯アジア3次予選を前にして、国家代表に対して、苦言を並べる。

だが、その後、話題は監督への批判に及び、国家代表のドゥイコビッチ総監督が、チームに密着する形で取材をしていたCCTVの女性記者を“妊娠”させた、との仰天発言が飛び出す。

記事によると、その後、相手女性は「局内で悪いうわさが立ち、取材記者の座を追われた」のだそうだ。

この“暴露”に対し、ネット上では、「プライバシーを暴露すべきではない」「かつての同僚にひどい仕打ち」と黄健翔さんを批判するコメントをはじめ、「中国サッカーは悪いうわさが多すぎ。まるで芸能界だ」というサッカー界全体に対する批判、また「CCTVの記者は体で記事を書くのか?」「うそに決まっている」「いや、彼のいうことは信じる」など、さまざまな意見が書き込まれている。また、この妊娠させられた「女性記者」とは誰かというのも大きな話題となっており、さまざまな憶測が飛び交っている状態だ。

ドゥイコビッチ氏は、現在、サッカー国家代表の総監督と五輪代表の監督を兼務している。国家代表は、このブログか書かれた翌日に天津で行われたW杯アジア3次予選のカタール戦で破れ、グループ予選突破が非常に厳しくなっている。また北京五輪も間近に迫り、チームにとってはもっとも重要な時期を迎えている。

この大切なときに、中国サッカーの理解者であり、キャスターとして多くのファンを持つ黄健翔さんが、どうしてこのような「暴露話」を掲載したのか・・・一部には、自分を退職に追いやったCCTVへの報復のため、などの推測も出ているが、その本当の理由はわからない。

なお、問題の箇所はその後、削除され、「皆さんの意見を受け入れ、個人のプライバシーに関する部分は削除しました。中国サッカーの現状を目の当たりにすると、心穏やかでいられないのです」とのコメントが残されている。

“おさわがせ”アナの爆弾記事・・・この内容の真偽も含めて、今後、論議を呼びそうだ。

黄健翔さんのブログ
  http://blog.sina.com.cn/s/blog_5137be2601009iwc.html


posted by 朝倉浩之 |00:20 | サッカー | トラックバック(0)
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2008年06月09日

五輪に向け、自動券売機導入・・・とまどう市民

北京五輪に向け、地下鉄もちょっぴり進化・・・

6月9日から、北京市内の地下鉄駅で、一斉に自動券売機と自動改札口の運用がスタートした。これにより、38年間北京市民に親しまれてきた「紙キップ」も廃止された。

初日は、早朝から、駅員が総動員で乗客の“指導”に当たった。特に「自動券売機」に関しては、市民のとまどいは大きかったようだ。というのも、北京には、“自動販売機”というものがほとんど見当たらない。缶ジュースにしても、タバコにしても、手売りが基本であり、「コインやお札を挿入して、ボタンを押して・・・」などという動作そのものに慣れていないのだ。

そこで、地下鉄1号線「四恵東」駅でも、朝から乗客のために、駅員が総出で、キップ購入の「指導」に当たったというわけだ。

システムのスタートは、あえて中国の「端午節」による3連休の最終日に設定された。休日のため、朝夕のラッシュはなく、サラリーマンの乗降客が多いこの駅では、大きな混乱はなかったようだ。だが、キップの買い方が分からず、時間がかかって行列の原因を作ってしまう人や、自動改札口のシャッターが開く仕組みに、慣れない人も大勢見かけられた。やはり市民のとまどいは隠せない。

毎朝、出勤のときに、この駅を利用するという馬勇さん(男性・北京市出身)は、お金を入れて、キップのボタンを押すところまで、一つ一つ指導を受けていた。ようやくキップを手に入れた馬さんは、苦笑いしながら、「これで北京も“都市”の一つになったね」と感想を語った。

中国では上海や天津、深センなどの地下鉄で、自動改札やキップ販売はすでに導入されており、北京は完全に“後塵を拝して”いた。北京五輪を前にした「都市整備」の目玉の一つとして、この「自動化」が行われたというわけだ。

8月までに、市民はしっかりとこのシステムに慣れて、北京五輪のときには、“スマート”にキップを買って、駅に入るれるか・・・併設されている窓口でキップを買い求める人も多く、自動販売機が市民に完全に浸透するのは、なかなか時間がかかりそうだ。

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自動改札口でとまどう市民



posted by 朝倉浩之 |12:21 | 北京五輪 | トラックバック(0)
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2008年06月07日

サッカーW杯予選、中国は”自爆”・・・予選突破厳しく

2010年サッカーW杯に向けた正念場・・・

7日、アジア3次予選が行われ、天津では中国がカタールと対戦。先週のアウェイでは0-0の引き分けに終わった両者だが、今日、絶対に勝たねばならないのは中国のほう。だが、前半13分に必要のない反則で与えたPKの1点がのしかかり、中国は0-1で敗れた。

序盤は中国ペースだった。中国は攻撃の主導権を握り、エースの鄭智を中心に中盤と前線が積極的に攻めた。開始早々にハオ・リンが少林拳ばりの“飛び蹴り”シュートを見せると、11分には朱挺が後ろ足でボールにあわせるテクニックあるシュートを放つなど、中国が優位に試合を進めた。

だが、ゲームの流れを変えたのは“いつものとおり”反則だった。前半31分、カタールの右サイドからのフリーキックは、ペナルティエリア内に入ってキーパーがしっかり抑えた。が、その瞬間にホイッスル。中国のハオ・リンがエリア内で、相手に明らかに手をかけ、引き倒してしまっていた。これでPKとなり、中国は1点を先制された。

ハオ・リンからすれば、キーパーの位置は見えにくかったかもしれないが、ボールは完全にキーパーの守備範囲内。難なく、抑えられるイージーボールだった。これでゲームの流れは変わり、中国は一転、攻めてがなくなった。このあとは明らかな反則2つで、イエローを二つ食らって、前半を終えた。

後半に入っても、ドゥイコビッチ総監督は選手交代でリズムを変えようと試みた。杜震宇を入れて孫祥を下げ、ハオ・リンを下げて韓鵬を、朱挺を下げて曲波を入れて、1点を取りにいく。だが、結局、その流れは変えられず。カタールは、”のらりくらり”と中国をかわし、中国は攻め手が見つからない感じだった。

あせりはいつものように、反則を生む。”首絞め男”として前科のあるリ・ウェイフォンが、またも必要のないファールでイエローを出され、累積で次試合に出場できなくなった。また、ベンチにいた孫継海は、審判への執拗な抗議でレッドを食らって一発退場。こちらも次の試合に縁がなくなった。

試合は、打つ手がなく、1-0でカタールの勝利。

これでカタールが勝ち点7。現在、グループトップのオーストラリアは明日8日、イラクと対戦する。

一方、中国は勝ち点3のまま。オーストラリアの結果次第では、”自力”による勝ちぬけが完全になくなることになるが、いずれにしてもグループ予選の情勢は非常に厳しい。

中国はこのあと、14日にホームでイラク戦、22日にアウェイでオーストラリア戦を控える。


posted by 朝倉浩之 |23:07 | サッカー | トラックバック(0)
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2008年06月05日

五輪テスト大会を振り返る~(1)“完璧”だがやり過ぎも・・・大会運営編

去年8月から、北京市内で次々と行われた五輪テスト大会のシリーズ「グッドラック北京」が幕を閉じ、いよいよ8月の本番を待つばかりとなった。

オリンピックの開催要項などを定めた「五輪憲章」にあるように、開催国は大会開幕までに、実際の会場と運営体制をテストする“プレ五輪”を開催する必要がある。北京は、去年8月の順義オリンピック水上公園での大会を皮切りに、42競技でテスト大会を開いてきた。

私は、五輪を前にした北京市民の盛り上がりと会場や運営体制の状況を取材するため、行われた大会のほぼ全てに足を運んできた。日本人選手の調整具合を取材のメインとする日本メディアとは少し違う角度で、これらのテスト大会をつぶさに観察してきた。その独自の立場から、一連のテスト大会を振り返って、会場設営、運営、ボランティアなどいくつかの視点から、その総まとめをしてみたい。

(1)大会運営
 「今大会はあくまでテスト大会。メディアの皆さんは欠点をあげつらうのではなく、今後の改善のために、ともに大会を作り上げるという視点で大会を見守っていただきたい」
 去年夏、五輪テスト大会がスタートする直前に中国メディア向けに行われた説明会での責任者の言葉だ。“手強い”中国メディアに釘を刺した一言だが、私自身は、運営サイドが実際の大会を通じて、より完璧な大会を作り上げようという積極的な思いも感じ取った。これまでの中国で行われる大会で見られたある種の「傲慢さ」ではなく、とにかく運営側も必死でやるから、メディアも協力して欲しい・・・という、ある意味、五輪成功に向けた悲壮な思いが伝わってきたのだ。

 実際、テスト大会の運営体制は、その「悲壮」ともいえるほどの覚悟が表れていたものだと思う。大会の運営スタッフは、各国営機関から派遣された、いわば“エリート”である職員が中心メンバーとなって組織され、北京中の大学から、心理テストや語学力テストを課して選び抜いたボランティアが周辺を支えた。各大会とも300人から700人の運営スタッフが試合の進行、医療サービス、選手・役員の接待、観客やメディアへの対応などに当たった。

 ある大会の試合進行表を見せてもらったことがあるが、秒刻みでスタッフの各持ち場の動きが記されており、少なくとも、私が知る限りでは、運営体制がこれほど綿密に整備されたスポーツ大会は今までになかった。すでに1年前から、北京五輪本番を意識して、運営体制を作り上げてきたわけであり、少なくとも前回のアテネ大会の準備状況より、断然よかったと思う。

 私はメディアの立場で、今大会に関わったので、どうしてもメディア対応に意識が向く。もちろん会場ごとにバラつきがあるものの、ボランティアの学生の皆さんは、元気に記者席の間を飛び回って、飲料水のケータリングをしてくれたり、次々と出される報道資料を配布したりしてくれた。北京の厳しい暑さと寒さで会場に行くのがいやになる時もあったが、会場で運営スタッフの皆さんが、厳しい気候にも負けずに仕事を続けている様子を見て、私も励まされたものだ。

 また、屋外でノートパソコンを使用しているときに、太陽光を遮るためのカバーをさりげなく差し出してくれたりと、非常に細かいことだが、心配りも行き届いていて、私自身は取材中、うれしいことが多かった。

 ただ運営上の問題点もいくつか見られた。先日、国家体育場(愛称:鳥の巣)で行われた陸上テスト大会で、ITTFの責任者も言っていたが、競技場内に運営スタッフが「多すぎる」という問題だ。これは陸上だけではなく、テスト大会全てで感じたこと。運営体制を万全にするために、選手誘導、メディア対応、試合進行など各セクションに豊富なスタッフを揃えたのはいいが、スタンドから見ていると、選手や報道陣よりも、オレンジ色のポロシャツを着たスタッフの姿が目立つ。これが逆に円滑な試合進行を妨げることがあるのは皮肉なことだが、やはり最小限の人数をフィールドにおく工夫が必要だろう。

 また、この「スタッフ過多」は、互いの連絡不足も生み出す。去年夏に行われたビーチバレーの大会で日本人選手は、「全体的には非常に素晴らしい運営だった」と前置きした上で、「スタッフの言うことがみんな違っていて、統一が取れていない」という不満を口にした。長い間、中国に生活していれば分かるのだが、この手の問題はよく起きる。それぞれが縦割りの体制で臨んでいるため、各セクションによって言うことがバラバラになるのだ。例えば集合時間一つにしても、当初は、スタッフによって時間が違っていたり、別の人に聞くようたらい回しにされたり、ということがあったようだ。

いかに“少数精鋭”でくまなく、各方面の要望に応えるか・・・大規模な大会運営で一番難しい点だと思うが、多くの開催経験により、得た教訓も多かったはず。本大会ではもっと素晴らしい大会運営をしてくれるものと期待したい。

posted by 朝倉浩之 |10:50 | プレ五輪 | トラックバック(0)
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2008年06月02日

受難続きの郭晶晶、妊娠騒ぎのあとは予選落ち

「飛び込み女王」の元気がない・・・

5月31日まで中国・南京で行われていた飛び込みのワールドシリーズで、3m板飛び込みに出場した「飛び込み女王」郭晶晶はまさかの予選落ち。場内の観客をがっかりさせた。

郭晶晶といえば中国の飛び込み第1人者。国内では、ヤオミン、劉翔と並んで絶大な人気を誇るアスリートで、各大手企業のCMにも引っ張りだことなるなど、「商品価値が高い」スポーツ選手としても知られている。香港の大富豪の御曹司と結婚間近といわれたり、自ら水着写真をブログに掲載したりと、その“お騒がせぶり”も群を抜いている。

そんな郭晶晶は最近、受難続きだ。

3月に北京で行われたW杯で、試合後、ライバルの選手を「おデブちゃん」と言ったり、記者団の質問に皮肉交じりに答えるなどやりたい放題。これがメディアの不評を買い、大バッシングが繰り広げられた。またフィアンセとの携帯電話の「熱愛メール」が表に出るということもあった。

だが、本人にとって、最も大きな打撃になったのは、先月半ばの「妊娠報道」事件だろう。先月、「郭晶晶、妊娠して国家代表を引退」という電撃的ニュースが流れた。シンガポールメディアの報道が発端となり、これが政府系の「人民網」や世界水泳連盟の公式ウェブにも転載されて、実しやかに世界を駆け巡った。

その翌週には、郭晶晶は四川大地震のチャリティイベントにも顔を出したし、北京市内のプールで練習を続けていたから、これは全くの「ガセ」なのだが、中国国内メディアだけでなく、日本の大手民放テレビ局までもが“オモシロ半分”に取り上げ、一大スキャンダルとなった。

5月30日、大会開催中の南京で報道陣に囲まれた郭晶晶は、この「妊娠騒動」について触れ、「こんなことウソに決まってるでしょう。どうして(記事に)書くの?これは皆さんの問題。私とは関わりない」と報道陣に怒りをぶつけた。このあと、スタッフに引っ張られるように袖に下がっていったが、心中は穏やかではないだろう。

今大会、郭晶晶は予選落ちした。午後の3m板飛び込みの予選で、1回目と最後の演技でいずれもミスを犯し、予選組3位となり、決勝進出はならなかった。彼女の競技生活の中で、2度の失敗をすることは今までになかった。あるメディア関係者は、試合終了後の記者会見に出席したくないために、「彼女はわざと負けた」と推測する。あながち、否定はできないだろう。だが、そうだとすれば「飛び込み界の至宝」ともいえるアスリートを「わざと試合に負ける」までに追い詰めたメディアの責任は大きいと思う。

何より、「飛び込み女王」の演技を見るために、会場に足を運んだ南京市民の皆さんが気の毒だ。

そして、この責任の一端は外国メディアの報道を鵜呑みにして、興味本位で情報を垂れ流した日本メディアにもある。政府系メディアの「記事転載」だけをソースにして、全ての裏をとったかのように振舞うやり方はもはや「報道」ではない。しかも、自国のアスリートならともかく(いや、それもダメだが・・・)、お隣の国のアスリートの“デマ”の片棒を担ぐのは、いかに日本国内の中国に対する関心が高まっているとはいえ、やりすぎだと思う。

郭晶晶については、5月31日、香港メディアが「北京五輪後、結婚引退へ」と報じ、ご丁寧に新居まで写真つきで紹介されるなど、まだまだ報道は過熱気味だ。

裏を返せば、彼女の注目度があればこそ、であり、また元々は、彼女がこれまで「売名行為」とも言われるような発言やスキャンダルを起こしてきた過程があり、今のバッシングはその「報い」と考える人も多い。

だが、彼らの祖国で開かれる最高の舞台を前に、一流のアスリートには、一流の環境を提供してやって欲しいと思うのは、スポーツを愛する者としての願いだ。彼らの頑張りを最前線で「応援」するべきメディアが、逆に彼らの足を引っ張ってしまうのは、やはり何かがおかしい。

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posted by 朝倉浩之 |14:14 | 水泳 | トラックバック(0)
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2008年06月01日

五輪テスト大会、マラソン水泳で幕閉じる(現地レポ)

去年8月から北京でスタートした北京五輪のテスト大会シリーズ「グッドラック北京」が今日、幕を閉じた。

最後を飾ったのは、今回の北京五輪から正式種目となる「10キロ マラソン水泳」だ。今大会は、北京五輪の予選を兼ねており、昨日は女子、そして最終日の今日は男子が行われ、それぞれ上位11人が本大会への出場権を獲得する。

会場は北京郊外の順義区にある順義オリンピック水上公園。市内中心部から1時間半のところにある。ここは約10ヶ月前、北京で最初のテスト大会となるカヌーが行われた競技場。思えば、去年8月、真夏の暑さの中、私も最初のテスト大会取材のために、このオリンピック水上公園を訪れた。あれから各競技で、テスト大会が数々行われ、北京の「オリンピック熱」は少しずつ高まりを見せていった。北京五輪本番を2ヵ月後に控え、今大会はその締めくくりとなった。

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順義オリンピック水上公園


5月31日の女子10キロでは、スットン・コロエ(米国)が2時間00分48秒で、2位に30秒以上の差をつけて優勝した。

そして、6月1日は男子10キロが行われた。日本人選手は残念ながら含まれていないが、スペイン、アルゼンチン、韓国などから30人がエントリーした。

競技は午前9時スタート。今日の北京は青空が広がるさわやかな天気だ。また、ゴミゴミした市内を離れたので、空気もさわやか。ここ数日続いている強風で、暑さはあまり感じないが、コースにはかなり高い波が立っており、これが選手たちを悩ませている。特に、前半の折り返しまでは、逆風となり、波が選手の進行方向と逆に向いているため、かなりの体の負担になりそうだ。

スタンドには、揃いのオレンジポロシャツをきた「応援団」が陣取る。今回は中国人選手がでていないため、会場を華やかにするため、ボランティアたちが“動員”されたわけだ。

スタート直後にその観客席を選手の一団が通り過ぎ、そのあとは、しばらく場内に“何もない”状態が続く。その後、30分ほどして、選手たちは、最初の折り返しから戻ってきて、観客席と対面にあるメインスタンドの前を通り過ぎる。その“空白”も、陸上競技のように味気ない競技場ならば、退屈なのだが、緑に囲まれた水上公園でさわやかな風を頬に受けながら待っているのは、そんなに悪くない。朝9時の競技スタートで、観客の皆さんは早起きさせられるわけだが、8月の真夏の北京でも、この時間ならば、まだ“我慢できる”状態だろう。この時間設定にも納得がいくというものだ。

選手たちは、再度折り返し、統一された応援を繰り広げる「ポロシャツ軍団」のすぐ目の前を泳いで、またはるか遠くへと消えていく。場内では、中国語と英語による実況中継で、順位の状況などが伝えられている。時々、北京五輪のマスコット「フーワー」が現れて、観客に愛嬌をふりまくのを眺めながら、観客の皆さんはまた選手たちの「帰還」を待つ。泳いでいる選手たちにとっては、強い風と波という条件の中で、かなり過酷なレースだが、見ている我々からすれば、のんびりしたものだ。

この夏の太陽を浴びながら、水面近くで、のんびりと競技を楽しむ・・・今年、オリンピック競技の仲間入りをしたばかりの「超マイナー競技」ではあるが、こういう五輪の楽しみ方もあるような気がする。

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レースは、ブルガリアのストイチェフ・ピーターが1時間59分13秒8で優勝。1年近くにわたって繰り広げられた五輪テスト大会の最後を飾った。



posted by 朝倉浩之 |23:38 | 水泳 | トラックバック(0)
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