2007年04月29日
大学生チームがまたまたプロに勝利!
先週、初のホームで延辺を相手に粘りの引き分けに持ち込んだ北京理工大学が28日、今度はアウェーで強豪の上海と対戦。2-1で勝利を飾った。
力的には圧倒的にプロチームの上海が上。だが先制したのは理工大学だった鑫。前半29分、味方がヘディングでつないだボールを大学院生の於飛が決めて先生。1-0とした。
しかし、後半7分、理工大学のゴール前の混戦から、上海が連続シュートを放ち、最後は譚キンが決めて同点とした。
それに対し、試合を決めたゴールは後半25分。ペナルティエリアの左側から攻めあがった於飛がほとんど角度のない場所から、体をうまく使って、ゴールを決めて勝ち越し。試合はそのまま終了して、2-1。北京理工大学は開幕戦の南京に続いて、上海も撃破した。
理工大学の金志揚監督は試合後の記者会見で、「試合前、上海をかなり研究した。相手は技術的には格上。だが、スピード不足が弱点だと考えていた。今回はそこをうまくつけたと思う」と述べた。
これで理工大学は2勝2敗1分けの五分にもってきて、順位も28日時点で5位につけた。「まずは上のレベルになれること」から始まった理工大学の挑戦だが、決して、フロック的存在でないことが明らかになってきた。
中国は1日から大型連休に入る。来週はオフとなる理工大学だが、恐らくGWなどどこ吹く風・・・。次の12日ホームでの江蘇省戦を控え、調整に明け暮れる連休となるだろう。
posted by 朝倉浩之 |17:44 |
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2007年04月29日
「女劉翔」の復活である。
女子100mハードルの中国第1人者、劉静が29日の取材で「復活宣言」を行なった。劉静は今年30歳。2005年に行なわれた中国の第10回全国運動会(日本の国体に当たるが4年に1度行なわれる)、そして去年のドーハアジア大会の100mハードルで優勝。健在振りを示したが、その後は「休養」に入っていた。
四川省出身の劉静は9歳で体育学校に入学し、その後16歳で代表チーム入り。以来、中国陸上界でも、「大ベテラン」の一人となっている。
年齢的なこともあり、本人は「後進に道を譲りたい」との意向を示していたが、今のところ、“後進”が育ってきているとはいえず、体育当局の希望もあって、競技への復帰を決めた。
オリンピック出場の目安となる「A標準(12秒96)」をマークしているのが、今のところ、中国国内では劉静一人。去年のドーハアジア大会で12秒93を出している。またB標準に達している選手も数えるばかり。劉翔が突出しているのはいいが、その「次」を担う「新人不足」が出ていないのは事実。
「女劉翔」の引退は、来年の五輪後まで先延ばしになりそうだ。
posted by 朝倉浩之 |17:03 |
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2007年04月28日
北京五輪組織委員会は、2008年北京五輪開催を前に、世界を巡る聖火リレーのルートを発表。世界5大陸を巡り、日本では98年に冬季五輪を開催した長野を通過することになる。
いよいよ五輪が近づいてきたかと胸躍るニュースだが、心配な出来事もあった。懸案の「台湾通過問題」である。
今回の「ルート案」によると、北京五輪組織委は「台湾通過」について、ベトナムのホーチミンから台北に渡り、その後、香港から中国に入る方針を示した。
しかし台湾側は、香港はあくまで中国領土であるとの認識から、聖火リレー受け入れの拒否を表明。オリンピックの準備活動は、肝心なところでケチがついた格好となった。
当初は、中国大陸側は「大陸から台湾、台湾から大陸へ」というコース案を主張し、一方の台湾側は「第3国から台湾、台湾から第3国へ」との主張を行った。各側のこれまでの「政治的経緯」からすれば、予想された内容であるが、その後の両者の交渉により、先月27日、「第3国から台湾へ、台湾から香港へ」という案で合意。これが「大陸、台湾が合意」というニュースとなって表に出ていただけに、ルート発表直後の台湾当局の「拒否姿勢」は予想外といえるだろう。
27日付の朝日新聞によると、すでに両者は合意していたにも関わらず、台湾オリンピック委員会から今月20日、「スポーツの領域を越えた事情の変化があるため、台北から第三国に出るルートとするよう求める」との書簡が組織委員会に届いたとのこと。そして、その後、両者のすり合わせが不十分なまま、今回、大陸側がルート発表を行い、それに台湾側が反発したという経緯が見えてくる。
大陸側からすれば、「順調に」大会準備を進めることを最優先に、あえて強硬姿勢をとらず、妥協をして交渉を重ねてきただけに、面目をつぶされた形だ。
報道を見ている限り、スポーツサイド(五輪委員会)の合意を政治サイド(台湾側)が横槍を入れた構図が見えており、「スポーツに対する政治の介入」があったのは間違いなさそうだ。来年の総統選挙に向けて、強硬姿勢を示して独自性を出そうとする台湾当局の政治的意思が見え隠れするが、それによって、「スポーツの祭典」にきな臭い香りが漂ってきたことが残念でならない。
これまでの経緯からして、各陣営の主張するコース案は、いずれも相手陣営には絶対に受け入れがたいものでないことは明らかである。そして、おそらく、今回、大陸側が発表したコース案は、双方が「妥協の産物」として作り上げた「どっちともとれる」案といえるだろう。それが名案であるか、そうでないかはこの際問題ではなく、要は、それら「微妙な問題」を一時、棚上げして、(ある意味、「見て見ぬふり」をして)大陸、台湾の双方がIOCの一員として、オリンピックに向けて、協力していくことが大切なはずだ。
IOC国際オリンピック委員会に加盟する22の国、地域を聖火がリレーするとの計画の中で、その一員である台湾を聖火が通るのは当然のことである。問題は、「どう通るか」であり、もし、その「解決案」がすでに妥協の末に出来上がっていたにもかかわらず、報道にあるように、台湾側の政治利用のために、くつがえされたとしたら、それはスポーツを愛する、そして北京五輪を何より楽しみにしている多くの人たちにとって、裏切りでしかない。
それは「たかが聖火リレー」では済まされない。過去に、オリンピックがその時々の政治にさまざまな形で利用され、そのために未来あるアスリート達が、そしてスポーツファンがどれだけつらい思いをしてきたか・・・。北京五輪では、そんな悲劇を起こしてほしくはない。
おそらく、これから大会本番に向けて、さまざまな厄介な問題が表に出てくるだろう。だが、オリンピックの精神に集う全ての国・地域が来年8月、北京に集結して、北京五輪が最高の五輪になることを世界中の人たちが望んでいるはずだ。全ては、その素晴らしき「スポーツの祭典」のために・・・当事者に話し合いを、そして優れた「妥協の産物」を作り出してほしい。
posted by asa8043 |00:02 |
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2007年04月27日
「世界4大マラソン」の一つ、ロンドンマラソン4月22日、が開催。有力選手が揃った男子に比べて、見所の薄いかに見えた女子だが、”伏兵“がトップでゴールを切り、驚かせた。中国のマラソンのエース、周春秀である。周は中国の国内大会では圧倒的な強さを誇り、去年のドーハ・アジア大会で金メダルを取るなど、好成績を世界大会ではほとんど無名。その彼女が2時間20分38秒で優勝を飾り、一気に世界からの注目度が高まった。「4大マラソン」の優勝は中国の男子・女子通じて初めである。
記録的にも彼女の自己ベストである2時間19分51秒には及ばないものの、気温がかなり上がり、気候条件が決して良くはなかった今大会としては上出来。その中で、2007年シーズン最高となる世界記録を持つラドクリフは調整不足のため、参加していないが、20分台を出したことで、ラドクリフの持つ世界記録(2時間15分25)も決して夢ではないところまできたといえる。
「ラドクリフは私の目標。まだまだ力的には大きな差がある。今は彼女から多くのことを学ぶ時」と語る。
だがラドクリフも今年33歳。周春秀より5歳上で、すでにベテランの域にある。いつまでも「女王」の位置にいるわけではない。もちろん、ケニアや日本に周を上回る、または拮抗する力のある選手は多いが、少なくとも、今回のロンドンで、決して好条件とはいえない中、「勝てた」ことは大きな収穫になったといえよう。
かつて陸上の中長距離は中国勢が隆盛を誇ったことがあった。だが、今はハードルの劉翔に「おんぶに抱っこ」状態で、それ以外に関しては金メダルどころか、メダルさえも期待できない状況。これは常に中国のスポーツ関係者の心配の種となっている。
だが、今回、「オリンピックの華」陸上の注目競技、マラソンにホスト国・中国から新たなメダル候補が生まれたことで、また楽しみが増えたといえよう。「祖国での五輪」は中国選手にとって、最大のモチベーションになりそうなだけに、この時期の「新星誕生」は各国選手にとっても、脅威である。
周春秀にとっての今年最大の関門は、8月25日から大阪で開かれる世界選手権。9月2日に行われる女子マラソンで、日本のファンの前にもお目見えすることになりそう。一方、女王・ラドクリフも10000mもしくはマラソンに出場する。
周春秀 略歴
1978年11月15日生まれ 江蘇省蘇州出身
163センチ、44キロ
2003年 アモイ国際マラソン優勝
北京国際マラソン 準優勝
2004年 アモイ国際マラソン優勝
2006年 韓国マラソン 優勝
ドーハ・アジア大会 優勝
posted by 朝倉浩之 |15:22 |
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2007年04月22日
ゴルフの欧州男子ツアー第18戦「ボルボ中国オープン」が、4月12日(木)から4月15日(日)までの4日間、中国にある上海シルポートGCで開催された。
総人口の10パーセントがゴルフ人口といわれる日本と比べ、0.05パーセントに過ぎない中国は、まだまだ「ゴルフ後進国」の一つである。だが、そんな中国で、2004年5月、初めて中国本土で、このボルボ中国オープンが開催されるなど、国際的トーナメントの開催が増えている。世界の企業が狙うマーケットとしての中国の潜在力がその理由である。
ただ、現在300あまりあるゴルフ場のほとんどは、以前の外国人ばかりという状況は変わってきているとはいえ、やはり、「一部の人のスポーツ」という感はぬぐえない。中国で増えてきた富裕層の一つのステータスシンボルとして捉えられているのが現状だ。
ただ、そんな状況も少しずつ変わりつつある。2006年9月、上海財経大学の体育の選択科目に「ゴルフ」が登場した。学校側の説明によれば、現在、中国でも、ビジネスがゴルフ場内のコミュニケーションで成立するケースが増えているため、学生たちがこのスポーツを知り、将来のビジネス活動の基礎とすることを願ってのことだという。
また今年のボルボ中国オープンでは、中国人選手が7人出場。そのうち4人が10代半ばの「ユース年代」である。まだアマチュアである彼らは予選からトーナメントに参加し、本大会出場を果たした。若い人たちが気軽に始めるスポーツとして、少しずつ、変化の兆しをみせているというわけだ。
さて、今回の中国オープンで、欧州ツアー9勝の実力者、T.ビヨーンと並んで、21位タイにつけたのが、中国のゴルフ第一人者、張連偉である。
「私にとっては夢の実現だが、中国にとっては始まりに過ぎない。」
2004年マスターズに、中国人プロとして史上初めて招待された張連偉は大会終了後、こう語った。その前の年に欧州ツアーで中国人として初めてチャンピオンとなり、アジアツアーでは安定した実績を上げていることからの特別招待だった。
張選手は「今中国では、小さい頃からゴルフを始める子供たちが増えている。私がこの世界最高峰の大会に出場しているのを彼らが見れば、大いに刺激されるだろう」と考える。
一つのスポーツが、その国で発展するかどうかは、わずか少数のスポーツエリートが活躍するだけでは足りない。それが起爆剤となり、ジュニア、ユース層が膨らんで、裾野が広がり、ゆるやかなピラミッドが出来上がって初めて、それが実現する。
13億の人口を抱える中国でゴルフがどうなっていくのかは世界の関心事である。そして、2008年のオリンピックを契機に、中国スポーツ全体が変化し、大いに飛躍しようとしている中で、ゴルフも国際舞台で戦えるプレーヤーが生まれつつある。
たとえば、女子プロゴルフ界でいえば、米LPGAの下部ツアーであるフューチャーズツアーで、2004年、初めての中国人優勝者を出した。アメリカで活動している中国の女子プロも何人かいる。アメリカのゴルフ関係者は、「中国人女子が一大勢力になるのは時間の問題。韓国勢の出てきたときよりもそのインパクトは大きいものとなるだろう」と語っている。
たとえば、あれだけ世界レベルから遅れていたテニスがここ数年であっという間に世界のトップレベルと争えるくらいの力をつけてきた。中国のアスリートには、もともと高い潜在能力が秘められており、それを引き出す土壌があるか、ないか、ということにすぎない。世界が、中国をゴルフ用品市場としてだけでなく、人材市場としても重視しているのは、当然のことといえるだろう。
中国では、プロも含めたゴルフ全体が政府統轄となっている。CGA(中国ゴルフ協会)は国家体育総局の一部門として1985年に設置された。各ゴルフクラブは会費を支払ってCGAに登録する形式になっている。
中国のプロ選手を統括する中国PGAはこのCGAの内部にある。プロゴルファーになるためには中国PGAの認定試験に合格しなくてはならない。この「プロ」という概念においては、ゴルフの世界は他のスポーツに先駆けて作り上げてきた。プロたちは、国内外で開催される大会の賞金や指導等によって、生活を支えることになる。
プロゴルファーの市場価値も確立されつつあり、プロ化が極めて順調に進んでいるという点で、他の中国スポーツとは異質の存在だ。中国スポーツと「プロ化」の視点から、このゴルフの現状は非常に興味深い状況なのだ。
さて、今後の発展が期待される中国ゴルフ業界だが、ゴルフ場建設に関しては、現在、ブレーキがかかっている。北京などの大都市近辺でゴルフ場の建設ラッシュが起き、乱開発の様相を呈し問題視され、中国当局が過剰な固定資産投資を抑えるための規制をかけてきたからだ。
ただ中国がゴルフ大国になるかどうかは、ゴルフ場をどれだけ建設できるか、というハード面以上に、先ほど触れたソフト面、すなわち「裾野の広がり」にかかっている。
中国ゴルフ協会の宋亮亮副秘書長は言う。「ゴルフの中国における発展の鍵は、人々の観念の転換にある。かつてはテニスも『貴族のスポーツ』と呼ばれていたが、今やテニスコートはどこにでも見られるではないか」
莫大な市場と多くの才能を抱える中国のゴルフ界。彼らが本気になったら、世界のゴルフを席巻することも考えられる。「ゴルフ大国」の一つ、日本もうかうかしていられない。
posted by 朝倉浩之 |18:19 |
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2007年04月20日
今年から中国サッカー甲リーグ(日本のJ2に当たる)に参戦した大学生チーム、北京理工大学の話題は、このブログでも何度かお伝えしてきた。彼らが明日21日、いよいよ北京でのホーム第1戦を迎える。
さて、その試合を巡って、ちょっとした騒動が起きている。学生チームである彼らのホームグラウンドは当然、学内のサッカー場。甲リーグ加盟に際して、当然ある程度の整備は行なったものの、試合会場に設置された観客席はごく一部分。席数は2000席ほどという状況だ。
だが、すでに入場チケットを巡って、問い合わせが殺到。学校側は「とりあえず、今回のところは、外部に対してはチケット販売を行なわない」との決定を行なった。
2000席のうち、大学の学生と教員、そして職員、またスポンサーらに対して1000枚あまりが配られる。また「同じ大学生に見て欲しい」という学校側の願いから、各大学に「巡回して」観覧してもらおうと、今回は同じく北京市内の「北京航天大学」の学生を動員して、観客席に招くことになった。そのほうが「管理がしやすい」との配慮もある。
現在、100以上の団体からチケットの問い合わせがきている。だが、チケットには当然制限があり、学内管理の必要性などから、大々的な販売は非常に難しい。今のところ、控えのサッカー部員や部員の家族でさえもチケットを手に入れるのが難しいという状態だという。
ただ、大学内のサッカー場は、観客席以外は全てフェンスで囲まれている。つまり入場しなくても、周囲から見ることが出来る。また学校側は、その周りを囲んでいる校舎を解放し、観客席に入れない学生はそこから見ることができるそう。
明日の北京理工大学の試合は、ちょっとしたパニック状態になりそうだ。
posted by 朝倉浩之 |16:42 |
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2007年04月17日
先日の本ブログに掲載した「WTAトップレベルのツアーで中国人同士の決勝」の記事のコメント欄で、ライターをされている内田さんから、面白い指摘を頂いた。
近年、中国テニス界、特にダブルスの躍進は目覚しく、成績の上では、すでに世界のトップレベルに来ているわけだが(前回記事参照)、このテニスの鄭潔・晏紫組といい、また先日のフィギュアスケートのペア部門で優勝した申雪・趙宏博組といい、中国はなぜ「ペア」競技が強いのだろう、というご指摘だ。
そういえば、「ペア」という言葉だけにこだわれば、飛び込みの「ペア」も郭晶晶という人気選手を抱えて、中国が絶対的強さを誇るし、先日のシンクロでも双子「ペア」が日本に迫る4位の成績を収めて話題を呼んだ。
確かに「ペア」が強い。
テニスのダブルスについていえば、ある関係者の話によると、これは中国テニス全体の強化方針によるものだという。中国は来年の北京五輪で全ての競技においてメダル獲得、もしくはメダル圏内に入ることを目標としている。中には、非常に厳しい種目もあるが、少なくとも、多額の強化費をかけている以上、メダルを「狙わなければ」ならない。だが、テニスに関して言えば、世界のトップレベルの選手に、今から追いつくことは至難の業であり、いくらレベル的にやや落ちる五輪といえども、シングルスでメダルを取ることは非常に難しい。(李娜<リ・ナー>の成績も目覚しいが、それでもベスト4以上の壁は非常に厚い)そうなれば・・ということで生まれてきたのがダブルスの強化である。一流選手の多くは基本的にシングルス重視であり、ダブルスには、場合によっては「間に合わせ」のペアで出場することさえある。だが、ダブルスにはダブルスの戦い方があり、中国はこれを徹底的に鍛えて、その「隙間」に入り込もうというわけだ。李テイ・孫テンテンのアテネ五輪制覇、鄭潔・晏紫組の全豪、全英の制覇により、まずは中国側の目論見は成功しているといえよう。
フィギュアでもやはりペアが強い。実力的には世界のトップ3を中国勢が占めているといっても過言ではない。申雪・趙宏博は言うに及ばず、去年、カナダ世界選手権で優勝したホウ清とトウ健がいるし、そのうしろには大学生ながら、トリノ五輪で銀メダルを取った張丹・張昊組が控えている。ちなみに張昊は張丹と組む前、シングルで養成を受けていたが、指導者に「見込みがない」とされ、もう少しで競技人生を絶たれるところを今の指導コーチに救われた・・というエピソードがある。仮にシングルでそのまま競技を続けていれば、今の張昊はありえなかっただろう。
もちろん、個人的な向き不向きもあるが、このエピソードからしても、中国勢のペア競技優位には何らかの国民性や背景があるような気がしてならない。
今後、この点にも気をつけて、中国スポーツをウォッチしていきたいと思う。
posted by 朝倉浩之 |18:03 |
スポーツコラム |
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2007年04月16日
アメリカのチャールストンで行なわれていたテニスのWTAトップツアーの一つ、ファミリーサークル杯で、このクラス初の中国人対決の決勝が実現した。
北京時間16日未明に行なわれた決勝戦で、中国の鄭潔・晏紫組と彭帅・孫テンテン組が対戦。
鄭潔・晏紫組は2006年度、ダブルスで、全豪・全英の2つを制したし、一方の孫テンテンは、アテネ五輪のテニス種目で思いがけない優勝を果たし、世界をあっと驚かせた。
その孫テンテンは、「金メダルコンビ」の李テイとのコンビを解消し、今年は、北京五輪で組むパートナーを模索する年となっている。ここ数回の大会で彭帅と組んで、試合を戦い、今回はその「結果」が出た、というわけだ。
さて、この試合。互いに手の内を知り尽くしているペア同士だけに、特に第1セットは激戦となり、最終ゲームはデュース合戦となった。結果は7-5で晏紫・鄭潔が競り勝ち、その勢いを第2セットに持ち込んで、1時間42分の激闘を制した。
中国は来年のオリンピック前に最低2組のダブルスを用意し、最低でもメダル、目標は金メダルというハードルを設定して、選手育成に務めている。どうやら、今回の「決勝ペア」の両組が、その有力候補となるようだ。ほんの数年前まで「テニス後進国」だった中国が、ここ数年の強化で、あっという間に、国際ツアーでシングルス・ダブルス含めて、ベスト4入りを常に狙えるレベルに育ってきた。「本気で」育成すれば、アジアでもここまでやれる、という証でもあると思う。
WTAは2009年度から、ツアーの再編を予定しており、中国では、現在の4大大会に次ぐビッグタイトルが開催されることになっている。
これらの動き全体に、中国テニス陣の勢いという大きな流れを感じる。それに日本が置いていかれないよう、日本テニス陣にも奮起を期待したい。
posted by 朝倉浩之 |11:32 |
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2007年04月11日
1999年の北京国際マラソンで優勝経験もある中国の元女子長距離選手、艾冬梅さん(26歳)が生活苦のため、現役時代のときに獲得したメダルを売却すると述べた。
これが今、中国国内で大きな波紋を呼んでいる。
艾冬梅さんは黒龍江省の出身。1995年から本格的にレース出場をはじめ、1999年には北京国際マラソンと大連国際マラソンで優勝するなど中国を代表する長距離選手として活躍した。そして2003年に現役を引退。
しかし、その後の彼女は生活が厳しかった。
艾冬梅は夫と子供の3人暮らし。しかし夫も勤め先を解雇され、結局、艾冬梅が受け取る月300元(4500円)の収入に頼るしかなくなった。しかし、これは毎月のアパート代にきれいすっかり消えていく。
艾冬梅は生計を立てるため、北京郊外にある「農貿市場」の露店で夫と一緒に衣料品を売り始めた。毎日の売り上げは20元(300円)あまりだそうだ。
そして、艾冬梅は自ら現役時代に獲得したメダルを売却することを決断。ホームページに「私は今まさにお金を必要としている。商売を始めたいが資金がない。このメダルを見ると心が痛む」とその胸中を語った。
艾冬梅本人によると、現在、彼女の手元には2,30個のメダルがあるという。「おそらく一番高値で売れるのは1999年の北京国際マラソンの金メダル。1000元(15000円)はいきそう・・。銀メダルは300元から500元くらい。銅メダルは100元(1500円)でいいわ」と語っているということだ。(人民網)
中国では世界的な活躍を果たしたスポーツ選手でも、引退後の生活が厳しいケースが多い。この「引退後」の生活設計の問題は日本のスポーツ界でも問題になったことがある。しかし、所得格差が大きく、また就職難の中国では、この問題はより深刻となる。以前、女子重量挙げの世界選手権元王者がアルバイトで生計を立てていることが報道され、全国から集まった支援金でクリーニング店を開店したという話もある。
去年末には、政府が、そんな引退後の選手たちの生活問題を重視し、生活保護等の措置を行う方針を示している。この問題は、今年の中国スポーツ界の大きなテーマでもあるのだ。
以前もこのブログ記事で述べたように、中国のアスリートたちは、スポーツエリートシステムの中で一貫して育成された結果、教育水準がやや劣ることが多い。引退後は指導者として、何らかの形で競技に携わるのがアスリートにとって、最も妥当な「引退後」の身の振り方であるはずだが、指導者となるには、自らの経験を体系的に分析し、普遍化して伝える・・・という極めて難しい作業が必要となる。そのため、必ずしも全ての選手たちが指導者となれるわけではないし、いわんや、全てが成功することはない。加えて、中国社会は極めて冷酷な学歴社会。引退後、指導者等の道を絶たれた元選手たちに対する世間の対応は冷たいというわけだ。
さて、今回の艾冬梅の件に関しては、2つの問題点がある。一つは、この「引退後問題」、そしてもう一点は、「メダルを売却することの是非」である。中国の各メディアを見ていても、メダルの売却については、当然ながら否定的である。彼女がそれらのメダルを獲得するためにどれだけの血と汗が流れたか、そして、国家と人民の協力があったか・・・つまり、このメダルは艾冬梅のものであって、彼女のものでない・・中国人全てである、という論調である。
ただ、それでいて、彼女自身に対しては非常に同情的だ。そこまで彼女を追い込んでしまったこと・・・国家に対して多大な貢献を果たした選手でさえ、中国は養えないのか・・ということである。
中国にとって、スポーツ選手は「国威高揚」、そして「中国の偉大さ」を世界に見せるための存在である。そのために、莫大な国家予算をかけて、彼らを訓練し、遠征に出し、国際大会に送り出す。その考え方にはもちろん是非はあるし、今後、中国の「真の国際競争力」がついてくるに従って、変化が起きてくるだろう。
ただ日本のように、育成の段階では、基本的に「自己責任」であるにもかかわらず、五輪に出場した途端、「お国の代表」として日の丸をつけさせ、得体の知れない“責任”を負わせるやり方に比べれば、中国のほうが、よっぽど「理にかなっている」ともいえる。
だが、もし、彼らの才能を利用するだけ利用して、引退したら「ポイ捨て」にするのなら、それは選手をただの「道具」として使用していたことになる。ひとりのアスリートを「道具」にしてしまうようなやり方は、やはり賛成できない。豊かな才能を輝かしい国際舞台で見事に開花させたアスリートにはそれ相応の「尊敬」を以って接するべきである。
今回の件については、「世間から同情を引くことで、何らか思惑があるのではないか」という見方をする人もいる。私には、今報道されている以上のことは分からないから、これ以上のことはいえない。
ただ、中国では、優れた実績を残したスポーツ選手に対し、それ相応の待遇がなされていないケースがあることは確かだ。
これで、未来の、中国の、そしてアジアのスポーツ界を担うはずの才能豊かな子供たちが、次の「国家代表」を目指す気持ちになれるだろうか。経済的に豊かになり、スポーツ選手以外に魅力的な職業が数多く生まれている中国で、果たしてアスリートは子供たちの「夢」となるだろうか。
これからの中国は、スポーツは「貧困からの脱却の手段」ではなく、「自己実現の手段」となるべきだ。スポーツ選手が子供たちの「憧れの存在」であってほしいのは、日本も中国も同じである。この問題の解決は、中国がそんな本当の意味での「スポーツ大国」となるための第一歩であると思う。
posted by 朝倉浩之 |21:20 |
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2007年04月06日
中国に「プロ野球」が存在することをご存知だろうか。2005年から始まった野球の「アジアシリーズ」に選抜チームとして出場し、その存在を初めて知った方も多いかもしれない。
「中国野球リーグ(CBL)」は2002年に誕生した中国のプロ野球リーグ。日本と同じくフランチャイズ制をとっており、北京、天津、上海、四川、広東、江蘇の6省・市の代表チームをそれぞれ地区別に2リーグに分け、約2ヶ月のレギュラーシーズンを戦った後、プレーオフ、最終シリーズと進んで、中国一を決める。
日本のプロ野球と異なり、来年の北京五輪では野球で上位進出を目指す中国にとって、その強化策という意味合いも強い、やや特殊な野球リーグである。
さて、その中国野球リーグ、今年は4月13日(金)に開幕する。それを前に、先週、各チームの監督・選手らが出席する記者会見が行われた。
今年は6月3日までがレギュラーシーズンで、その後、各リーグの1位と2位のタスキがけのプレーオフ、そして6月下旬の決勝シリーズへと進む。途中。5月20日にはオールスター戦も行われる。レギュラーシーズンは各地方局が、決勝シリーズは中国中央テレビによって全国放送される。
また今年から、「週末に野球を楽しもう」と題したキャンペーンを実施することも発表された。青少年向けの野球教室や試合前イベントを積極的に行うとともに、試合中は日本ではお馴染みの「風船飛ばし」を中国のファンにも体験してもらい、野球の面白さを知ってもらおうというものである。
実際、中国では野球というスポーツがほとんど知られていないこともあり、まず「野球の普及」「知名度アップ」を図ろう、というわけだ。
中国野球のこれからが非常に楽しみになる記者会見だったのだが、少し気になることがあった。
記者会見では、中国体育総局の副局長が中央に座り、その隣に総局の事務局長が陣取って、お決まりのコメントを述べる・・というのは、いつもの「中国スタイル」だったが、少し異なるのは、その隣に日本人が4人、並んでいたことだ。ソフトバンクが出資する「中国棒球企画」の深沢実樹社長と大木豊成取締役、そして日本プロ野球機構の長谷川一雄事務局長、さらにキャノン中国の鈴木敬二副社長の4人である。
実はこの中国プロ野球と日本の関係は非常に密接である。
リーグそのものの運営は、基本的には、「中国野球協会」が前面に立っているものの、実質的には、日本の力が非常に大きい。リーグ全体のプロモーションを担当するのが、ソフトバンクが作った「中国棒球企画」、そしてリーグスポンサーがキャノンとミズノ。さらに各チームのスポンサーにも日立建機、全日空などが名を連ねている。
またリーグに参加する全てのチームは、日本の球団と提携関係を結んでいる。北京は読売ジャイアンツと、天津は横浜ベイスターズ、上海は阪神タイガース、広東は広島カープ、そして江蘇省を本拠地とする「ホープスターズ」は千葉ロッテと技術交流、指導者派遣などを行っているのだ。
そして、代表チームに関しては、毎年夏に日本に招き、日本のファームや社会人チームとの練習試合を行って技術向上に協力するなども行っている。
さらに、実は、先ほどのキャンペーンも、中国棒球企画によるプロモーション。日本のソフトバンク球団の宣伝ノウハウを生かしていこうというものである。まさに日本プロ野球が手に手をとって、中国野球を導いているという構図が生まれている。
中国棒球企画の深沢社長は「中国の人たちに野球の魅力を知ってもらい、いつかは球状を満員にしたい」と夢を語る。「スポーツを通じた交流」といえば、この野球を通じた日本と中国による“共同作業”は非常に具体的で分かりやすい。
日本プロ野球連盟の長谷川事務局長は、「世界ナンバーワンとなった日本の野球が、今度はアジア全体のレベルアップに貢献したい。そのためには中国野球の発展はなくてはならないものだ」といい、今後、“オリンピック後”も含めて協力体制をとっていく事を明言した。
私も野球とともに育ち、野球を愛するものの一人である。いつか中国の人たちと「野球」という共通項で話をすることができれば、どれだけ楽しいだろうと思う。この日中協力体制はスポーツのみに留まらない、大きな意義を持つ共同作業であると思う。
だが、今回の記者会見の姿が典型的だったのだが、あまりにも「日本色」が前面に出すぎている印象を受けた。
実際、記者会見の運営スタッフも日本人が関わっており、出席している記者たちが中国メディアであることを忘れれば、まるで日本の記者会見場にいるような錯覚さえ覚えてしまう。
野球リーグそのものの姿もそうである。スポンサーが基本的には全て日本企業というのは非常に気になる。現状では、野球に全く関心がない中国企業がスポンサーにつくのは難しいだろう。一方、スポンサーとなった日本企業には将来の市場を狙う目論見があり、先行投資的意味合いがある。実際、中国野球はまだまだ「金になるかどうか分からない」不透明なものであり、そこに投資をするという企業姿勢は、ただの利益目的だけではないはずで、その点には拍手を送りたい。
しかし、少し深読みしよう。中国の野球ファンの立場から見て、スポンサーが全て日本企業であることにやや奇妙な思いを抱くことはなかろうか。スポンサーは裏方とはいえ、選手たちは、その日本企業のマークをユニフォームにつけて、プレーすることになるのだ。少しうがった見方をすれば、「中国の野球市場を“食いもの”にするため、日本が寄ってたかって来ている・・・」と見られかねない。「スポーツ侵略」などという耳汚い言葉で、この「協力体制」にケチがつかないよう、十分に注意すべきだ。
想像してほしい。日本で・・・例えば、卓球のプロリーグの普及を図ろうと、中国が協力したとして、そのリーグ全体、そして選手のスポンサーが全て中国企業で占められたとしたら。もちろん、それはそれで、一つの「スポーツ交流」であり、非常に面白い試みではあるが、何となく複雑な気持ちにならないだろうか。
中国プロ野球はまだよちよち歩きの段階である。だから、隣国であり、“野球大国”である日本の協力はなくてはならない。だが、出来るだけ早いうちに、中国企業のスポンサーがメインとなり、「物心両面」で“中国が作り上げる野球リーグ”に育てなければならない。現状の「日本が手に手をとって」という状況が「異常」であることはしっかりと認識すべきである。「中国に野球を」と夢をもってがんばってらっしゃる方にエールを送りつつ、あえて感じたことを記したい。
そしてもちろん、私もいつしか、日本と中国が世界の頂点でともに白球を追える日が来れば・・と願っている一人である。
posted by asa8043 |15:35 |
野球 |
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2007年04月02日
「大学生チーム」がまさかの勝利・・・中国サッカー甲級リーグ(日本のJ2に当たる)が31日、開幕。今年、初昇格を果たした北京理工大学が開幕戦で、去年の甲リーグ5位、南京と対戦して、1-0で勝利した。チーム全員が大学生もしくは大学院生という「学生チーム」がプロリーグでも十分に戦えることを結果で証明したというわけである。
南京市の五台山体育場で行なわれた開幕戦。試合開始前から、南京にはややリラックスしたムードが漂っていたという。相手は、勢いがあるとはいえ、今年参入したばかりの大学生チーム。負けるわけはないと思わないほうがウソだろう。
しかし、意外にも試合はこう着状態となった。双方ともチャンスを掴みながら、なかなかゴールを割れない展開。そして時計はすでに後半45分を回り、ロスタイムに入っていたその瞬間、理工大学の18番の楊思遠が劇的なゴールを決め、何と、1-0で理工大学が南京を下してしまった。
日本でもJ2の下部に位置するJFLに大学チームが参戦しているが、JFLはあくまでアマチュアのトップリーグであり、様々な面で、その上のJ2以上とは異なる。だが、今回の北京理工大学は、プロチームがひしめく甲リーグで1勝を挙げたという点で注目に値するというわけである。
中国スポーツは今、変革の時期にある。『挙国一致体制』でオリンピックのみを頂点とする選手育成システムを改革し、より『多様化』の方向へ向こうとしている。その一つが『学校スポーツ』『社会スポーツ」の充実にあるといえよう。
以前もブログ記事で触れたが、この「北京理工大学の挑戦」は、この点で大きな意義をもっているといえる。選手たちは他の学生と同じように、大学の単位を取得し、卒業を目指す。一定の学業成績が収められれば、学士の資格が与えられるし、そうでなければ、卒業はできない。その点に妥協はなく、その上で、サッカーの練習に打ち込む。当然、今後は遠征等々で、大学側が幾分かの配慮を行なうことはありえるだろうが、この大前提が崩れることはないだろう。
スポンサー探しや設備面での問題など、これまで様々な問題を解決しながら、彼らは第一戦にたどりついた。そして、得た「奇跡の勝利」。もちろん、「甲級リーグ」のレベルの低さを指摘する人もいるだろう。
だが、私自身、以前日本で、アマチュア地域チームからJFL昇格、そしてJ2入りを目指す球団の過程を取材したことがあるが、アマチュアの段階から曲がりなりにも「プロ」と呼ばれる存在になるときのとてつもない苦労、難しさは理解できるつもりである。日本のJFLにおいても、大学チームが非常に苦しんでいるのはよく知られていることである。その中で、北京理工大学がいきなり初戦で『結果を出した』ことは賞賛に値する。
北京理工大学は、ほぼ同時に開催される大学リーグにも出場しながらの『二束のわらじ」となる。彼らの『文武両道』がどこまで通用するか・・・低迷する中国サッカー界に『学生旋風』をどんどん吹き込んで欲しい。そして、それが中国サッカー界、いやスポーツ界全体の発展につながるだろう。
北京理工大学の第2戦は今月8日。またもアウェーで青島との対戦である。
posted by 朝倉浩之 |17:08 |
サッカー |
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