2008年07月16日

五輪開幕式の天気は?市民の高まる天気への関心

「よく降りますねぇ」 中国人の友人、Yさんと会ったとき、彼は開口一番、僕にこう話しかけた。日本人同士の会話なら、ごく当たり前の「天気ネタ」だが、ここ北京では、なかなか「お耳にかかれない」一言。というのも、日本と異なり、北京はこの時期も、日本ほど雨が降らないし、降ったとしても、短時間ですぐ止んでしまう。カラッとした真夏の暑さがすでに始まるというのが、この時期の北京だった。僕の”持論“?は「北京では傘はいらない」だったのだ。

ところがどっこい・・・今年は、まるで日本の梅雨のように、6,7月はよく雨が降る。だから、折り畳み傘が欠かせない。朝方は晴れ間が広がっていても、昼過ぎから突然、雲がたちこめ、激しい雨が降り出すというのも一度や二度ではない。というわけで、最近は北京の人たちの「挨拶言葉」は「ご飯食べた?」ではなく、「天気はどうだ、こうだ」という、まるで日本人のようなものになるわけだ。

こと北京五輪についても、この「天気ネタ」は非常に大きな関心事となっている。特に8月8日午後8時、北京五輪開幕のそのとき、雨が降らないでくれるかどうかは、総合演出のチャン・イーモーも「非常に大切な要素」と率直に語るように、中国国民の“祈り”にも似たものとなっている。

7月15日、中国気象局の気象予報官が注目の「予報」を発表した。過去57年の気象観測のデータを分析した結果、8月8日、北京地区の降水確率は47%。さらに、開幕式が行われる国家体育場(愛称:鳥の巣)付近に限って言えば41%という予報が出た。ただ「激しい雨の降る可能性は非常に低い」ということ。

この、あまりにも微妙な数字に、どう反応すればいいのか分からないが、とりあえず、「降るかもしれないし、降らないかもしれない」ということなのだろう。ある意味、「絶対に外れない」非常に巧妙な数字でもある。

なお今後、開幕当日の天気については、2週間前から専門家による検討をはじめ、1週間前には発表するということだ。また大会期間中、大きな気象の変化がある場合、短時間予報として、随時、発表することになる。また各競技場の天気予報は期間中、72時間前には公表される。これまでの大会がいずれも24時間前だったのに比べると、格段の技術の進歩、そして「気の使いよう」といえるだろう。

この天気に対する強い関心は日本の皆さんにとってみれば、ごく当たり前のことのように思えるかもしれないが、長年、ここ北京に住んでいる私にとっては、非常に不思議な感覚を覚える。北京の人たちは、ニュースが終わって、天気予報のコーナーに入れば、無関心にチャンネルを変える人が多い。雨がめったに降らないから、とにかく気象情報には無頓着だったのだ。

それが、ここ数日の北京の例年と異なる気象、そして、メディアや当局による北京五輪中の気象に対する関心の高さなどがあって、北京市民は改めて、気象の動向に関心を払い始めたというわけだ。

だが、中国の人たちの「天気への関心」は、予報だけに留まらない。すでに、自明のこととなっている「人工降雨・消雨」によって、人工的に天候を左右させる実験が着々と行われている。6月末から7月初旬にかけて北京を襲った“暴雨”については、元々あった雨雲を「利用した」のではあるものの、人工降雨によるものであることを当局関係者が明かしている。

では、開幕式当日、気象操作が行われるのか?ということになるが、専門家によると「まだ研究段階であり、ごく小さな範囲の小雨をコントロールできるに過ぎない」そうで、降水確率を完全にゼロとすることは「今のところ」できないそうだ。ただ、国家を挙げた開幕式を前に、どんな手段を使ってでも「“晴れ”にしろ」という無茶苦茶な命令が出ていないとは限らない。実際、去年の「1年前イベント」のときは、前日までの下り坂の天気が、当日は打って変わって快晴となったし、日本代表が大挙して出場したマラソンの五輪テスト大会では、「環境汚染」への批判を恐れたのか、北京全域(マラソンコースを全て覆う形で)大雨が降り続いた。どれも、何らかの「気象操作」を行ったことは当局が認めており、その力はすでに実証済み、である。

それにしても、「天気は変えられない自然の産物」として、むしろ、その天気に順応しながら生きる日本人に対して、その天気を丸ごと変えてしまおうと自然に“挑戦”する中国の人たちの発想の違い・・・北京五輪と、今年のちょっとした“異常気象”はそんな日中の自然観の違いも浮き彫りにしたといえるだろう。

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夏の北京 日傘は必須だが雨傘はいらない



posted by 朝倉浩之 |15:32 | 北京五輪 | トラックバック(0)
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