2007年09月11日

女子サッカーW杯、新聞報道に疑問・・・ロジカルに冷静に批判を。

女子サッカーW杯が中国で開催されている。昨日の開幕戦に続き、今日は優勝候補のアメリカ、そして「なでしこJAPAN」が登場し、いよいよ大会も本格化してくる。

さて、この大会に関して、日本の各メディアも積極的に報じているが、一つ、気になる記事を見つけたので、問題点を指摘したい。これは昨日の開幕戦の様子などを伝える産経新聞の川越記者の記事「五輪大丈夫?お粗末対応次々…サッカー女子W杯、上海で開幕 」という記事である。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/sports/soccer/83759/

私は同じ情報の『伝え手」として、あまり他人の記事を批判したくはないが、この記事を読んでいて、大きな疑問を感じた。それは、この記事の言う「お粗末な対応」とは一体、何だろう・・・という記事全体に対する疑問である。恐らく、記事の最後の「大会組織委員会は早くもお粗末な一面を露呈した。」から始まる次の箇所だろう。

「10日、開幕戦に出場するドイツの男性スタッフがボールなどの用具を徒歩で運び入れようとしたところ、係員に制止された。英語での意思疎通もままならず、「車を利用しなければならない」の一点張り。車が用意された後もしばらく足止めを食ったスタッフは助手席で、あきらめ顔で首をすくめていた。」

という部分であろう。まず、この記事を読んでいる限り、これは「言葉の壁」による意思疎通の不足によるもの、としか思えない。恐らく、運営側の何らかの規則があったのだろう。それが言葉の違いにより、伝わらなかった・・・という”事件”である。

もちろん、用具の運びいれは出来る限り、迅速に行われるべきであり、これを制止して、足止めをさせられたことは、チーム側にとって、あまり気分のいいことではなかったろう。だから、ドイツのスタッフは「あきらめ顔で首をすくめていた」のだろう。だが、運営側にも、それなりの『やり方」があり、それが言葉の壁により、伝わらなかっただけ・・少なくとも、この記事では、その事実しか見えたこない。もちろん、もっと複雑な事情があるかもしれないが、川越記者はその点を明確に示していない。

しかもタイトルは「お粗末対応、次々・・・」となっている。

だが、一体どこが『次々』なのか・・・。記者として、批判記事を書く以上、言葉は厳密に使うべきだ。『次々』と書いたからには、複数の『お粗末」を書くべきだが、この記事のどこをみても『次々』がない。昨日、開幕したばかりの大会で『次々とお粗末・・・』が、一体どの時点で現れたというか・・・。

私はこの中国でスポーツ取材をし、中国スポーツの面白さ、魅力を伝えるとともに、『問題点』は問題点として、伝えていきたいと思う。別に中国にいるから「中国万歳!」になるつもりはない。

だが、この記事のように、いたずらに、中国側の運営の『不備』を煽るような記事に対しては、大きな違和感を覚える。しかも、タイトルの『センセーショナルさ」に対して、記事内容が全く対応していない。これが、個人のブログなら全く問題はないが、『全国紙』を名乗る新聞が、インターネットを通じて、世界に発信している記事だとすると、スポーツマスコミとしての見識を疑う。

記事は、公平に、そして論理的に、冷静な立場で書くべきだ。そして、伝え手の基準は「中学生に分かる」よう、その意味に納得感があるように書くべきである。批判するのは、もちろん大切だが、「なぜ批判するのか」を納得できるように説明しなければ、まともな記事とは思えない。

中国という国に対する様々な世論があることは分かる。「五輪大丈夫?」と言いたいのも分かる。

だが、少なくとも、きちんとロジックを立てて報道をしてほしい。そして、堂々と、来年オリンピックを控えた『お隣の国』について、意見を交わしていけばいいと思う。



posted by 朝倉浩之 |22:28 | スポーツコラム | トラックバック(1)
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