2007年08月08日

金志揚氏、4カ国対抗戦の中国をこう見る

例によって、中国サッカー関係者のブログから、お送りする。以前、紹介したこともあるが、北京理工大学の監督として、チームをサッカー甲リーグ(日本のJ2にあたる)に引き上げ、その指導力について、中国サッカーファンの信頼も厚い金志揚氏のブログから、である。

前回の4カ国対抗戦の結果などを踏まえ、かなり率直に中国サッカーの現状を分析していると思う。

(引用開始)
中国サッカーの問題点は多岐に渡ると思う。一つや二つの大会で語れるようなものではない。理性的な思考が必要な問題もある。

例えば、今回の4カ国対抗戦(瀋陽)である。五輪代表の最後の試合、北朝鮮に敗れたとき、観客はまたブーイングを始めた。これらの行為は全く理性がない。自ら問うてみるがいい。我々のチームに今回、優勝する力があったと思うだろうか。他の3チームはいずれも弱くはない。3試合はいずれも、チームは有利に試合を進めていた。だが、明らかに相手と比べて、不足しているものがあった。勝てば優勝という北朝鮮戦でもそうだが、彼らに欠けていたのは『理性』であった。

選手たちは血を流す覚悟で試合をしていた。だが、その目的は非常に『盲目的』だった。必要のない反則、相手に対する不合理な動作は、いずれも精神的な不安定を示すものだ。

失った一点を思い出してほしい。相手は外から作ったチャンスに、ヘディングを3回繰り返して、ゴールを決めた。その間、ディフェンス陣は何をしていたのか?合理的なポジション、合理的な「ボールを奪う動き」は全くなかった。全て『盲目的に』ボールを奪い取ろうとしていただけだ。

あの時、もし一人でも、ポジショニングを冷静に確認し、相手の動きをしっかり見られる選手がいたら、あんなに受動的な動きにはならなかったはずだ。

だが、優勝を逃したから何だというのだ。我々は未来を失ってはいない。中国サッカーは目の前の試合と利益を見るだけではだめだ。中国サッカーは長い目で見た計画が必要だ。5年、10年・・・計画に従い、目的を持って進んでこそ、大きな飛躍が待っている。

中国サッカーについて決定権を持つ人々に言いたい。「個人の目的」のために中国サッカーを利用しないで欲しい。より高いレベルに立って、中国サッカーの目標を定めて欲しい。一つのアジア杯の失敗のあと、今度はW杯に賭け、それが失敗すれば、今度は五輪に賭ける・・そんな目の前だけを見るようなことをしていたら、悪循環を繰り返すだけだ。

私は聞きたい。我々の青少年のサッカーはどこにいったのか?我々が今、行っている若い世代の育成に関心を持つ指導者はいるだろうか。

成績が悪かったからといって、『責任者』をあぶりだすのは意味がない。誰が責任を負えるのだ。監督が辞めればいいのか?また『スーパーリーグ(日本のJ1にあたる)』の監督をやるだけだ・・。ではサッカー協会の幹部がやめればいいのか?次に別の仕事をするだけのことだ。はっきり言って、誰も責任を取れる人などいない。だから我々は、この問題を理性的に考えねばならないのだ。

私はやはり、この問題を『教育』に見出したい。サッカーを学校に持っていくべきだと思う。できるだけ多くの子供たち、青少年がサッカーに「参加」できるようにしていくべきだ。そうして、ようやく我々のサッカーが本格的に発展するのではないか。

W杯と五輪だけが、我々のサッカーの発展への道ではないのだ。

(引用終わり)
体育当局の上層部と関係がよくないとも言われる金志揚氏だが、このブログでは非常に率直に、分かりやすく、中国サッカーの問題点をついていると思う。

北京理工大学の甲リーグでの試合後、彼の記者会見に参加して話を伺うと、本当にサッカーについて、造詣の深い方だと(当然のことながら)感心する。ただ一つ一つの試合にこだわるのではなく、子供たち一人ひとりの今後を見据えた上での「今日」という分析をされるのだ。今回のブログ記事も、そんな氏の中国サッカーに対する思いが溢れるものだと思う。

原文はこちら。
http://blog.sina.com.cn/s/blog_4db289ad01000b6a.html

posted by 朝倉浩之 |22:58 | サッカー | トラックバック(1)
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2007年08月08日

監督は「二束の草鞋」ドゥイに”賭けた”中国サッカー

中国サッカー懸案の「監督選び」に7日、ほぼ結論が出た。各メディアが伝えた。

アジア杯での不振の責任をとって更迭される朱監督の後任選びが続いていたが、結局、現在の五輪代表監督を務め、サッカー協会の信任の厚いドゥイコビッチ氏が「二束の草鞋」を履くことになった。

今後、いくつかの審査を経て、正式決定の運びとなる見込み。

中国サッカー協会が昨日出した結論はこうである。

・現在の国家代表、五輪代表を合わせて「大国家代表」を作る
・その「総監督」にドゥイコビッチ氏が就任して、総括する
・その下に「ヘッドコーチ(中国名:執行コーチ)」を置く

すなわち、これからW杯予選と五輪を平行して戦わねばならない2つのチームを合併させて、全体をドゥイコビッチ氏が総括するというわけだ。ただ、今後の中国サッカーの最重点は何と言っても北京五輪。当然、ドゥイコビッチ氏の力点はそちらに向く。ただ、国家代表の指導方針にもドゥイコビッチ氏の意向が大きく生かされる。

そして、仮に五輪代表と国家代表の日程が重なった場合、ドゥイコビッチ総監督が五輪代表、そして新設のヘッドコーチが国家代表を率いて、戦うということになる。

また国家代表は、必要な部分に五輪代表の選手を加えた形で作る。体育総局とサッカー協会としては、それにより、W杯予選を突破するのはもちろん、五輪代表の選手により多くの機会を与えたい、という思惑がある。

では、ヘッドコーチは誰になるのだろうか。これまで選考を進めてきた『実績と実力ある外国監督』という基準はなくなり、より実務的な国内の指導者が当てられる可能性が高い。ドゥイコビッチ総監督は、協会に対し、現在、五輪代表のコーチを務める賈秀全氏を推薦したようだが、協会側は、彼の実績を不安視して、能力不足を理由に、拒否したという。今後も選考作業が続くが、国内である程度実績があり、ドゥイコビッチ総監督に「忠実」な人材が当てられることになろう。

中国サッカーにおいて、国家代表と五輪代表を兼ねた例は初めてではなく、これまで4例ある。だが、いずれも決して満足できる成績は挙げられていない。ヘッドコーチを新設することで、国内のコーチと責任を分かち合わせようということだが、現実には、ドゥイコビッチ一人にW杯本選出場と五輪4強という大目標を背負わせることには変わりない。

全幅の信頼を置くドゥイコビッチと”心中“の道を選んだ中国サッカー。果たして、この選択がどう出るのだろうか。W杯予選の「資格賽」は早くも10月に始まる。

posted by 朝倉浩之 |22:02 | サッカー | トラックバック(0)
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2007年08月08日

美しき五輪水上公園、だが??も

順義区の町はまさに五輪ムードに包まれているという感じだ。

等間隔に並ぶ街灯には、みな「好運北京(グッドラック北京)」の旗がはためき、町のあちこちには、ボランティアセンターがある。整備された広い道路は、まだ真新しい。ここを「オリンピック専用バス」がひた走る。

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オリンピック「専用線」。20分の行程で運賃は1元(約16円)


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会場周辺はよく整備された真新しい道路が広がる


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オリンピック水上公園に到着。北京からは約45キロ離れる郊外だが、空港からは非常に近い。ここでは、来年の本番ではボート、10キロ遠泳、カヌー・スラロームが行われる。五輪関係で新しく作られる施設の中では最も広く、敷地面積は162・59ヘクタール。ボートのレースが行われる人工池の長さは2270メートル、幅162メートル、深さ3.5メートル。隣には、カヤックコースもある。

緑豊かな、まさに『水上公園』で、またボート競技という性質からか、西洋からの人たちが多く、何かここだけ中国ではないような「開放的」なムードが漂っている。あちこちで英語が飛び交い、万国旗がはためいている。おそらく来年の五輪の時は、こんな国際的な雰囲気が北京のあちこちに生まれるのだ・・と実感する。


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昨日から開幕した今大会だが、現在は予選の真っ最中。結果については後ほど、レポートしたい。ちなみに日本選手団も参加している。

いくつか気になった点があるのだが、一つは、メディア向けのトイレ。一般の観戦客の皆さんには関係ないことかもしれないが、中に入ってびっくり・・例の『ドアのないトイレ』・・というか、便器が横にいくつか並んでいるだけという「囲いのないトイレ」である。これを見て、デンマークからきたメディア関係者が驚いていた・・。メディア向けのトイレだけに、各国からの人々が利用する。少し『汚い』話だが、あえて提議したい・・。こんな『開放的』はやめたほうがいい・・・。

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ただ観客用のトイレはちゃんと「ドア付き」なのでご安心を


もう一つ驚いたのが、チケットだ。チケット売り場がしまっていて、何人かの市民が文句を言いながら帰っていくのを見たのできいてみると、11日までの大会チケットは全て「売り切れ」だという。しかも23日から始まる別種目のボート競技も、開幕初日の午前の部は売り切れ・・。何でも、開幕3日前にすでに売り切れたというのだが、会場は写真を見れば分かるようにガラガラ。

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スタンドはがらがらの状態


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だがチケットは売り切れで、係員もいない。23日以降の別種目のチケットのみ夕方から販売を始めるとのこと・・・


前回の「テコンドー世界選手権」の際に指摘したことだが、やはり多くのチケットが一般に出回らず、あちこちに(企業等なのだろうか)にばら撒かれているのだろう。人気競技ならまだしも、ボートは・・・という感じで、それを受け取った人も、実際に足を運ぶ人は少ない・・だからガラガラ、なのでは、と推測できる。(完全な推測だが・・)



いずれにしても、席がまだまだある状態で、せっかく楽しみにしてやってきた市民を追い返してしまうという状況は、はっきりいって最悪である。

このプレ五輪、そして来年の五輪本番で最も大切なことは、もちろん金メダルを多く取ること・・であってもいいのだが、それとともに、多くの市民が一流のスポーツに触れ合い、一部の『選ばれたもの』だけの『特権』となっているスポーツの位置づけを変化させることであってほしい。

だが、スポーツを見ることができる人は、何らかの人脈を持っている人に限られるとすれば、やっぱりスポーツが「特権』であり続けることになる。果たしてこんなことでいいのだろうか・・・。

それはともかくとして・・

さあ、まもなく、天安門広場でのメインイベントが始まる。今日8月8日、五輪一年前イベントのクライマックスだ。中国が威信をかけて臨む世紀の大イベントに向けてのカウントダウンのスタートである。








posted by 朝倉浩之 |19:28 | スポーツコラム | トラックバック(0)
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2007年08月08日

五輪一年前・・・あっ晴れた!今日一日の動き

いよいよ8月8日がやってきた。

北京五輪は来年2008年8月8日午後8時に開幕する。この「1年前」の節目の日に、オリンピックに向けて、北京がにわかに動き出したような気がする。

ここ数日、どんよりした曇り空、時折地面をたたく雨。だが、中国は国家を挙げて、この「8月8日」を晴れにするよう「研究」してきた。つい最近、気象関係者が集められて、今年の8月8日を最後の「気象操作」のチャンスと捉えて、気を引き締めて臨むよう、発破をかけたばかりだ。

そして、今日は、日中、さんさんと太陽が降り注ぐ真夏の天気となった。

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青空が広がった当日。建物はCCTV中国中央テレビの局社


恐るべし・・そしてすごい・・中国。というほか無い。だが、年配のある中国人の同僚は、この『気象操作』を「ねじれている・・なにかが・・」と表現した。

ミサイル弾で雲を散らす・・雨を事前に降らせて、雲をなくす・・・さまざまな『気象操作』の方法が話題に挙がったが、今回、中国がとった方法が『功を奏した』のか、それとも『たまたま運がよかった』のか。

いずれにしても『晴れた』。しかもここ何週間か、ほとんど晴れらしい晴れが無かったにもかかわらずだ。だから、素直に「すごい」と思う・・・。

朝8時。北京西部、地下鉄1号線「軍事博物館」を降りて西側の「中華世紀壇」で1年前イベントが行われた。ここは中国の歴史、文化などの展示が行われる博物館があるとともに、いわば中国の「愛国教育」の中心ともいえる場所。普段は広場のようになっており、すぐとなりはCCTV中国中央テレビの局社だ。ここで「百万市民朝練」なるイベントが行われた。
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数え切れないほどの人々が色とりどりの衣装に身を包んで、石段を埋める。『百万』と銘打つだけある。お決まりの『お偉方』の挨拶に続いて、太極拳の披露。白いユニフォームに身を包んだ中高年の「選手」たちが、数千人はいるだろうか。一斉に太極拳を舞う。この様子は壮観だ。中国らしさの滲み出るイベントだったと思う。


ただ、その周囲に集まった市民を会場に近づけず、警察官が周りを厳重に囲んでいた。警備上の問題もあるとはいえ、もう少し、一般の市民が気軽に参加できるようなイベントにならないものか・・・少し残念な気がした。

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会場に集まった市民


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私は、続いて北京北部の郊外、順義区にある「オリンピック水上公園」で行われるプレ五輪「ボート世界ジュニア選手権(~11日)に足を運んだ。あえてタクシーを使わず、庶民の足であるバスを乗り継いだ。

各国の大使館が並ぶ「東直門」の地下鉄駅を出て、郊外へ向かうバス915路に乗る。揺られること1時間あまり。順義区の市街地に到着。「勝利小区」で下車して、しばらく歩くと、「オリンピック専用バス」の乗り場がある。

先ほどのバスは、いつもの北京らしく愛想のない車掌だったが、こちらは打って変わって、笑顔で車内へ迎えてくれた。しゃべり方もはきはきした女性の車掌さん。もちろん個人の性格もあるだろうが、オリンピックが近づいてきたことの気持ちの高まりもあるのだろう。運賃は1元(16円)。20分ほどでオリンピック水上公園に到着する。バスは大会期間中、毎日朝5:30から夜11:00まで走るとのこと。車内はクーラーもほどよく効いていて、心地よく会場へ向かうことができた。

(続く)



posted by 朝倉浩之 |18:41 | スポーツコラム | トラックバック(0)
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