2008年04月12日

中国人よ、五輪聖火を守れ!オーストラリア集結呼びかける怪文書?

11日にはアルゼンチンの首都、ブエノスアイレスに舞台を移した北京五輪の聖火リレー。中国のチベット政策をめぐり聖火リレーに対する激しい抗議行動が続き、まさに『迷走状態』である。

さて、そんな中、今、多くの中国人ネットユーザーに届いているEメールが話題になっている。このEメールの内容は、海外メディアの“偏向”報道を集めた中国国内のサイト「アンチCNN」から転載されたもので、受け取った人が次々に知人にチェーン式に転送を続けることで、広がり続けている。また、その他の掲示板にも次々と転載され、多くの中国人の目に触れることになっている。個人から発せられたものか、何らかの組織が関与しているのかは分からない。

「チベット分子は数多い。オーストラリアの友人たちよ、出来る限り集結せよ」で始まるこの文書は、海外の中国人、華僑・華人や留学生などに対し、4月24日に行われる予定の豪キャンベラの聖火リレーの現場に集結するよう呼びかけるものだ。

文書の始まりはこうなっている。
「五輪聖火は急を告げる。キャンベラは支援を求めている。親愛なる同胞たちよ。君たちがどこにいても、また中国のパスポートを持っていようと、オーストラリア国籍を持っていようと・・・私は信じる。君たちが中華民族であり、我々と同じく、祖国を忠実に愛するものであるということを。」

どうやら、聖火ランナーに道路わきで声援を・・・などと悠長な雰囲気ではないようだ。

そして、キャンベラは首都ではあるが小さな都市で、華人・華僑が少なく、にもかかわらず、「チベット、新疆の独立分子」の根拠地となっている危険な地である、とする。だからこそ、4月24日朝8時から11時にかけて行われるキャンベラでの五輪聖火を“守る”よう呼びかける文章が続くのである。

「すでに知っているだろう。聖火がイギリスを通るとき、分裂勢力の攻撃に遭ったことを。幸い、ロンドンには数多くいる華人らがいて、彼らが協力して、その企みを打ち破ったが、キャンベラはあまりにも手薄である!」

現地では“チベット独立勢力”が台湾、新疆の独立勢力を集め、数百人規模の組織をつくり、聖火リレーの妨害を計画しているという。また加えて、ミャンマーやベトナムの反政府勢力の数百人にも協力を仰いでいるということだ。

そして、これを『打ち破るため』多くの華人・華僑や留学生を集めよう、というのだから、決して穏やかではない。抗議勢力の『妨害』を体を張って止めよう、ということになれば、リレーコースで、とんでもない混乱が起きかねない。

文書は続いて、「一方、我々の力は薄弱で、各学校や団体500人ほどの団体でしかない。しかも老人や子供も多い。もしかすると、キャンベラでの聖火リレーは、初めて“やつら”の数が我々を上回ることになるかもしれない」と危機感を煽っている。

そして、こう呼びかける。
「親愛なる同胞たちよ。君たちは、我々の聖火がこんな風に“やつら”に侮辱されてもいいのか?全世界のメディアで我々の祖国に与えられる恥辱が報じられてもいいのか?」

そして最後に「4月24日、キャンベラは君たちを必要としている。どこの町にいようと、どれだけ忙しくても、その愛国の手を差し伸べて欲しい」と締めくくっている。そして、この書き込みを出来るだけ多くの掲示板に貼り付けるよう付け加え、文章を終えている。

20080412-00.JPG
キャンベラ集結を呼びかける”怪文書”


こういった呼びかけで思い出すのは、2005年春に起きた『反日デモ』だ。このときも、インターネットや携帯メールという巨大メディアが総動員されて、最終的に一大勢力が作り出された。今後、この動きがエスカレートして、義憤に駆られた若者たちが衝突するという事態になりかねない。

暴力は、結局、暴力を生んでしまう。中国の人たちにとって、チベット問題の抗議活動は「暴力による妨害」という形にしか映らなかった。そして、その「妨害」から聖火を『守るべく』次なる暴力が助長されてしまう・・・非常に悲しい循環が今起きようとしているのではないか。

また、今回の聖火に対する抗議行動は、結果的に、中国の人たちの『愛国心』を呼び覚ますことになったことは、ある意味、皮肉なことでもある。

この「怪文書」がかつての「反日デモ」のような止めようのない巨大な力を作り出してしまう結果となるのか・・・。今後の動きを注視していきたい。


posted by 朝倉浩之 |01:17 | 聖火リレー | トラックバック(0)
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2008年04月10日

聖火リレー”妨害”にも負けず・・・「車椅子の天使」が人気沸騰

『車椅子に乗った天使』が人気沸騰・・・

行く先々で、チベット問題に関する“抗議”を受け、前途多難なスタートを切った北京五輪の聖火リレー。つい先日まで日本に帰国していた筆者は極めて強く実感するのだが、この聖火リレーに対する“妨害行為”の受け止め方は日本と中国でかなり異なる。

そして、ここ数日、中国の新聞紙上を大いに賑わしているのが「車椅子に乗った天使」こと金晶さん(上海出身・27歳)だ。

金晶さんは車椅子フェンシングの選手で、聖火ランナーの一人。現地時間4月7日正午過ぎ、パリのエッフェル塔近くを金晶さんは聖火を持ち、車椅子を走らせて、駆け抜けていた。その際、チベットの抗議行動によって、聖火を奪われそうになったが“勇敢にも”守り抜き、見事、大役を果たした・・・というもの。27歳とはいえ、そのアイドル並みのルックスと車椅子で一生懸命走るひたむきさが中国人の心を捉え、一躍、『ヒロイン』となったというわけだ。その当時を描写した記事を引用する。

(引用)
この日、少数のチベット独立分子が聖火リレーを邪魔しようと、恥知らずな彼らは、人情のかけらもない手を車椅子の上の金晶に差し出し、その手から聖火を奪い取ろうとたくらんだ。金晶は突然のことにもかかわらず、少しも動ぜず、その両手にしっかりとトーチを握り締めていた。顔にはまだ誇り高き表情が溢れていた。身体障害者である彼女だが、オリンピック精神を身をもって示し、我々の心を打った。
(引用終わり)

この一連の“事件”が昨日の新聞各紙で報道され、テレビもこぞって取り上げた。

当時の様子を伝える記事と彼女の写真はこちら
http://torchrelay.beijing2008.cn/cn/torchbearers/headlines/n214299075.shtml

中国国内では、一連の『抗議行動』に対する批判の声が強いのに加え、しかも『車椅子』の『か弱き女性』に“暴力行為”が振るわれた・・・ということで、今、中国国内では彼女に対する同情と賞賛の声が高まっている。『大役』を終えて、帰国の途についた金晶さんを待ち受けていたのは、数多くの取材攻め。本人もまさか国内で、ここまでのフィーバーになっていたとは想像もつかなかったのだろう。

また中国国内では、最大規模の記者団を聖火リレーに送り込み、ただでさえ報道合戦が過熱気味だった。加えて、今回の事件により、中国当局にとっても「独立分子」に対する格好の批判材料ができたということで、それに油を注ぐことになったというわけだ。

金晶さんは「奪われそうになっている途中、多くの人たちが私を励ましてくれる声が聞こえた。聖火を守るのが私の使命。多くの人たちの声援を受けて、大役を終えられて、本当にうれしい」と語った。

愛くるしい笑顔をなげかけながら、当時の“奮闘ぶり”を語る金晶さんのフィーバーは当分続くのだろう。

当時の様子を伝える記事はこちら
http://torchrelay.beijing2008.cn/cn/journey/paris/news/n214297194.shtml

posted by 朝倉浩之 |16:12 | 聖火リレー | トラックバック(0)
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