2007年04月22日

13億の巨大市場・・中国ゴルフの今後

ゴルフの欧州男子ツアー第18戦「ボルボ中国オープン」が、4月12日(木)から4月15日(日)までの4日間、中国にある上海シルポートGCで開催された。

総人口の10パーセントがゴルフ人口といわれる日本と比べ、0.05パーセントに過ぎない中国は、まだまだ「ゴルフ後進国」の一つである。だが、そんな中国で、2004年5月、初めて中国本土で、このボルボ中国オープンが開催されるなど、国際的トーナメントの開催が増えている。世界の企業が狙うマーケットとしての中国の潜在力がその理由である。

ただ、現在300あまりあるゴルフ場のほとんどは、以前の外国人ばかりという状況は変わってきているとはいえ、やはり、「一部の人のスポーツ」という感はぬぐえない。中国で増えてきた富裕層の一つのステータスシンボルとして捉えられているのが現状だ。

ただ、そんな状況も少しずつ変わりつつある。2006年9月、上海財経大学の体育の選択科目に「ゴルフ」が登場した。学校側の説明によれば、現在、中国でも、ビジネスがゴルフ場内のコミュニケーションで成立するケースが増えているため、学生たちがこのスポーツを知り、将来のビジネス活動の基礎とすることを願ってのことだという。

また今年のボルボ中国オープンでは、中国人選手が7人出場。そのうち4人が10代半ばの「ユース年代」である。まだアマチュアである彼らは予選からトーナメントに参加し、本大会出場を果たした。若い人たちが気軽に始めるスポーツとして、少しずつ、変化の兆しをみせているというわけだ。

さて、今回の中国オープンで、欧州ツアー9勝の実力者、T.ビヨーンと並んで、21位タイにつけたのが、中国のゴルフ第一人者、張連偉である。

「私にとっては夢の実現だが、中国にとっては始まりに過ぎない。」

2004年マスターズに、中国人プロとして史上初めて招待された張連偉は大会終了後、こう語った。その前の年に欧州ツアーで中国人として初めてチャンピオンとなり、アジアツアーでは安定した実績を上げていることからの特別招待だった。

張選手は「今中国では、小さい頃からゴルフを始める子供たちが増えている。私がこの世界最高峰の大会に出場しているのを彼らが見れば、大いに刺激されるだろう」と考える。

一つのスポーツが、その国で発展するかどうかは、わずか少数のスポーツエリートが活躍するだけでは足りない。それが起爆剤となり、ジュニア、ユース層が膨らんで、裾野が広がり、ゆるやかなピラミッドが出来上がって初めて、それが実現する。

13億の人口を抱える中国でゴルフがどうなっていくのかは世界の関心事である。そして、2008年のオリンピックを契機に、中国スポーツ全体が変化し、大いに飛躍しようとしている中で、ゴルフも国際舞台で戦えるプレーヤーが生まれつつある。

たとえば、女子プロゴルフ界でいえば、米LPGAの下部ツアーであるフューチャーズツアーで、2004年、初めての中国人優勝者を出した。アメリカで活動している中国の女子プロも何人かいる。アメリカのゴルフ関係者は、「中国人女子が一大勢力になるのは時間の問題。韓国勢の出てきたときよりもそのインパクトは大きいものとなるだろう」と語っている。

たとえば、あれだけ世界レベルから遅れていたテニスがここ数年であっという間に世界のトップレベルと争えるくらいの力をつけてきた。中国のアスリートには、もともと高い潜在能力が秘められており、それを引き出す土壌があるか、ないか、ということにすぎない。世界が、中国をゴルフ用品市場としてだけでなく、人材市場としても重視しているのは、当然のことといえるだろう。

中国では、プロも含めたゴルフ全体が政府統轄となっている。CGA(中国ゴルフ協会)は国家体育総局の一部門として1985年に設置された。各ゴルフクラブは会費を支払ってCGAに登録する形式になっている。

中国のプロ選手を統括する中国PGAはこのCGAの内部にある。プロゴルファーになるためには中国PGAの認定試験に合格しなくてはならない。この「プロ」という概念においては、ゴルフの世界は他のスポーツに先駆けて作り上げてきた。プロたちは、国内外で開催される大会の賞金や指導等によって、生活を支えることになる。

プロゴルファーの市場価値も確立されつつあり、プロ化が極めて順調に進んでいるという点で、他の中国スポーツとは異質の存在だ。中国スポーツと「プロ化」の視点から、このゴルフの現状は非常に興味深い状況なのだ。

さて、今後の発展が期待される中国ゴルフ業界だが、ゴルフ場建設に関しては、現在、ブレーキがかかっている。北京などの大都市近辺でゴルフ場の建設ラッシュが起き、乱開発の様相を呈し問題視され、中国当局が過剰な固定資産投資を抑えるための規制をかけてきたからだ。

ただ中国がゴルフ大国になるかどうかは、ゴルフ場をどれだけ建設できるか、というハード面以上に、先ほど触れたソフト面、すなわち「裾野の広がり」にかかっている。

中国ゴルフ協会の宋亮亮副秘書長は言う。「ゴルフの中国における発展の鍵は、人々の観念の転換にある。かつてはテニスも『貴族のスポーツ』と呼ばれていたが、今やテニスコートはどこにでも見られるではないか」

莫大な市場と多くの才能を抱える中国のゴルフ界。彼らが本気になったら、世界のゴルフを席巻することも考えられる。「ゴルフ大国」の一つ、日本もうかうかしていられない。


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posted by 朝倉浩之 |18:19 | ゴルフ |
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