2010年02月04日
日本の「シンクロの母」井村雅代前コーチのもとで、「世界」を狙えるレベルにまで成長した中国シンクロ。北京を沸かせたデュエットの姉妹は健在だった。
去年、ローマで行われた世界水泳選手権で歴史的な銅メダルを獲得して以来、蒋テイテイ・文文組はほとんど公に姿を見せず、「引退説」まで流れたほどだった。だが、先日、あるネット会社のイベントに出席。「ロンドン五輪を目指す」と高らかに宣言した。
聞けば、去年の大会後、二人は「ストリートダンス」の勉強に励んでいたという。元々、バレーや中国の伝統舞踊などを学んだことのある蒋テイテイ・文文だが、「新しい動きを学んでみたかった」ということで、選んだ“新境地”のようだ。世界水泳選手権ではロシア、スペインについで3位。ロシアのナタリア・ロマーシナ組の完成された技能と天賦の身体にはなかなか追いつけないが、「私たちのライバルはスペイン」と断言する。
スペイン選手が持つ“奔放な表現力がほしい”ということでストリートダンスを始めたということのようだ。
そういえば、井村前コーチも指導中、「表現の思い切りの良さがほしい」と語っておられた。他ジャンルの舞踊からヒントをつかむやり方といい、井村さんの教えをしっかりと守っていうるということだろう。
今年の二人にとって大きな大会は2つ。9月のワールドカップと11月のアジア大会だ。それまでに「表現力の向上」と「オリジナリティ」を磨きたいと語る。
「目標は金メダル」とさらに上を目指すことを誓う二人。北京五輪でモチベーションが最高潮に達したように見えた中国シンクロだが、実は、見えないところで着実に進化の最中だったのだ。
posted by asa8043 |07:30 |
シンクロナイズドスイミング |
2008年09月01日
以前、シンクロナイズドスイミングの中国代表ヘッドコーチ、井村雅代さんと北京市内の景山公園にご一緒したことがある。五輪まで、まだまだ時間があるころだったので、「最後のほっと一息」だったのだろう。非常にリラックスした表情で観光をしてらっしゃった。
景山公園は、あの「ラストエンペラー」の紫禁城を上から見下ろすことができる。井村さんは、北京ならではの、きっちりと左右に対称に立ち並んでいる建物群を見て、その「センターライン上」に立ちながら、「私は真ん中が好き。ぴしっと揃っていないと腹が立つのよ」と笑っておられた。そのとき、私は「この方は根っからのシンクロ人間だなあ」と思った。
今回の北京五輪で印象に残ったスポーツシーンはいくつかあるが、シンクロは確実にその一つだ。ただ、あの中国が銅メダルを取ったチームのフリールーチンは、別会場にちょうど移動中だったため、残念ながら、生で見ることができなかった。私はそれでも、何とか試合を見たいと、最寄の地下鉄駅でタクシーを降ろしてもらった。北京の地下鉄では大会期間中、ずっと街頭テレビが各所に置かれ、大会の様子を見ることができたのだ。
ちょうど中国代表の演技が始まっていた。長い足が見事に生えるスピン、天性の体が作り出す迫力はテレビでも伝わってきた。音声は聞こえないが、映像から、会場中が声援で後押ししていることは分かる。演技が終わって、井村コーチの姿が画面に映った。本当に優しい笑顔を浮かべながら、選手一人ひとりを抱きしめておられた。
結果は銅メダル。日本が初めてメダルを逃したこともあり、「中国が日本を押しのけてメダル」などという見方をする人もいる。
だが中国代表のコーチであるからには、もちろん日本にも負けたくないだろうが、ロシアにもスペインにも負けたくないのが当たり前だ。中国チームの全ての才能を引き出して、最高の成績に引き上げるのが彼女の仕事であり、「日中で火花」「裏切り行為」などと、ことさらに強調する一部の人は、何ともスケールが小さいものだと感じる。
試合後の井村さんのコメントを聞いて、「らしい」と感じた。彼女は、泣きじゃくる選手たちを横目に、まったく涙を流さなかったそうだ。そして「今はまだ涙を流すときではない。これは私にとって、驚きでも喜びでもなく、目標だったからだ」と語ったとのこと。
井村さんは中国代表の選手たちに12時間の猛烈なトレーニングを課した。食の細い選手たちに筋肉をつけさせようと無理やり食べさせた。選手たちに「日本流」の“あいさつ”の心を植え付け、スポーツ選手としての精神面を鍛えた。そして、大切な愛弟子を涙を飲んでメンバーから切り、故郷へ帰らせたこともあった。
全ては「メダル」という最高の喜びをもたらすためだった。
そして、それは、中国選手が天性に持つ有り余る才能を引き出し、豊かな身体能力を存分に生かして、最高の「結果」を出すためだった。
井村さんにとって、その対象となる選手は、日本人であろうが、中国人であろうが、また別の国であろうがどうでもいいのだろう。ただシンクロというスポーツを愛し、ひたむきに取り組む人たちであれば・・・。
指導者とはそういうものだろうし、井村さんはまさに、その指導者なのだと思う。そこから生まれた「結果」への反応は“驚き”でもなく、”感動“でもなく、一つの仕事をやり終えた「ほっと一息」なのだろう。
その“仕事”を見とどけた後、私は日本だ、中国だといっていることもばかばかしくなった。日本チームの演技も素晴らしかったが、確かに中国チームは本当に見ごたえある演技だった。良いものは良い・・・素晴らしいものには惜しみなく拍手を送ること・・・それが出来るからスポーツは素晴らしい。その当たり前のことを、国境を越えた挑戦をした井村さんの“仕事”をみて、改めて感じることができた。
31日は9月初めに、大きな任務を終えて、日本に帰国する井村ヘッドコーチを囲む送別会が行われた。私は残念ながら、所用で出席できなかったが、心から「感動をありがとうございました。そしてお疲れ様でした」といいたい。
posted by asa8043 |06:32 |
シンクロナイズドスイミング |
2008年05月13日
先日行われたシンクロナイズドスイミングの北京五輪予選で、日本ペアを破り、本大会でのメダルが期待される蒋文文・蒋テイテイ姉妹は四川省出身。震源地から159キロの省都・成都で生まれ育った蒋姉妹にとって、今回の地震は大きなショックとなった。
現在、北京五輪に向け、井村雅代ヘッドコーチの指導の下、最後のトレーニングの真最中。地震が起きた12日午後2時半ごろも、いつものように国家体育総局の訓練センター内で練習の真最中だった。
地震のことを知ったのは練習後。それから、父母に連絡をとろうと電話をかけたが、回線の混雑によって、全くつながらず。夜になっても、連絡がつかず、心配が募ったが、結局夜遅くにようやく無事が確認でき、姉妹もほっと一安心となった。
ただ、慣れ親しんだ故郷では被害がどんどんと拡大している。まだまだ心配が多い蒋文文・蒋テイテイ姉妹だが、「一生懸命練習して、(五輪での)結果で人々を元気付けたい」と、北京五輪に向け、気持ちを新たに最後の調整を続けている。
蒋文文・蒋テイテイ組
posted by 朝倉浩之 |17:34 |
シンクロナイズドスイミング |
2008年04月19日
北京で行われているシンクロナイズド・スイミングの五輪最終予選は19日、チームのフリールーチンが行われ、日本は技術点が伸びず、トータル96.501点で2位に終わった。トップはスペインで計97.834点。その差は1.333で、ライバル・スペインに対し、思わぬ大差がつく結果となった。3位はカナダで95.334点。ただ3位以内に与えられる五輪出場権は獲得。日本は4大会連続の五輪出場を果たした。
試合後の金子シンクロ委員長に笑顔はなかった。4度目の五輪出場ながら、「世界に日本の強さを見せたい」という今大会の目標は「失敗に終わりました(同委員長)」と認めざるを得ない“敗戦”だった。
その原因について、同氏は「経験と準備不足」を挙げた。
「これまでと同じことをやっていては世界に勝てない」・・・打倒ロシア、スペインを掲げる日本にとって、“安全な”技を繰り出してみても、最強ロシアには勝てない。そう考えた日本は、敢えて難しい技に挑戦した。だが、優勝したスペインがかなり長い間準備期間を重ねてきた演技を披露したのに対し、日本はまだ「発展途上」。しかも、国際大会が1年ぶりという久々の大舞台となったため、各選手の経験不足もあった。
日本シンクロチームの猛烈な練習量は有名だ。だが、その練習量が必ずしも試合に結びつくわけではないことが分かった・・・皮肉なことだが、それが今大会の収穫と言えるかもしれない。
「この失敗がいい薬になってくれれば」と金子委員長は言う。まだまだ進化の最中の日本シンクロ。だが、その後ろからは、井村ヘッドコーチ率いる中国代表が虎視眈々とメダルを狙って、強化を続けている。メダルは当然、問題はその“色”だった日本代表だが、そのメダルさえも安全パイではなくなってきている。
posted by 朝倉浩之 |19:47 |
シンクロナイズドスイミング |
2008年04月18日
五輪テスト大会「黄金週間」の週末・・・午前中の競歩、フェンシングに続いて、昼3時からは国家水泳センター(愛称:水立方)でシンクロナイズド・スイミングの五輪最終予選が行われた。
18日はデュエットの2日目、フリールーチンが行われた。
1位のスペインを追いかける日本の原田・鈴木組ももちろん興味深いが、私が見たいのは何と言っても、中国の蒋文文・蒋テイテイ組。前回のテクニカルルーチンで、タイムオーバーの減点1のため、日本についで3位となったが、井村雅代ヘッドコーチの教えを受けて、彼女らがどれだけ成長したか・・・そして中国が目標に掲げる『メダル獲得』にどれだけ近づいたか・・・また彼女らを見守る中国の観客の反応はどうなのか・・・興味は尽きることがない。
その蒋文文・蒋テイテイ組は7番目に登場した。それとともに、水立方全体がうなりを上げたような大歓声がプール全体に響いた。観客の後押しを受けて、二人は伸び伸びと演技をした。
得点はその演技は、今の彼女らそのままの勢いのあるものだった。その後に登場したスペインほどの繊細さはないし、動きにまだ荒さがある。けれども、これまで練習を重ねてきたものを中国の観客の前で精一杯披露しようという思いにあふれる演技だった。周りの雰囲気に惑わされたというわけではない。確かに、日本やスペインのほうが「うまい」と思うが、蒋文文・蒋テイテイ組は持ち前の高さを生かして、ダイナミックに勢いのある演技を披露した。
そして、結果も彼女達にしっかりついてきた。前回のテクニカルルーチンと合わせて、計96.083。日本の原田・鈴木組を上回り(計96.001点)で見事、2位に輝いた。世界最強のロシアが不在とはいえ、2位は立派な成績。ロシアがいたとしても、メダルに手が届く位置だ。日本にとってみれば、「恐れていたことが起きた」という感じだろう。
二人は試合後、数多く集まった報道陣を前に「練習してきたことを発揮できた」と満足そうな表情で語った。彼女らを指導する井村雅代ヘッドコーチも「まだうまくはないが、少しずつ成果が見えてきている。この大会をステップにさらに練習に励んでくれれば」と振り返った。彼女達はまだ世界で勝った経験を持たない。だが、その『マイナス』は会場を満員に埋める観客の大声援が補う・・・そんな五輪本大会での風景が目に浮かんでくるような気がする。
絶好の『メダル環境』に置かれた中国ペア
彼女たちは非常に幸運な選手たちだと思う。中国は長年、シンクロに関しては、6,7位前後を行ったり来たりという成績だった。日本ならともかく、『メダルは当然。金メダルでなければ意味なし』という、ある意味層の厚い中国スポーツ界において、『不毛』な種目の一つであった。だが、世界一の指導者の一人、井村雅代という人を迎えて、本気でメダル獲得のために強化を始めたのが今大会。これまでのやり方を根本的に変える世界に通用する指導を彼女達は受けることができた。
また彼女達は「心地よいプレッシャー」を受けられる立場にいるといえよう。初めてのホームで開かれる北京五輪で、いわゆる“メダル有望競技”の選手たちにかかるプレッシャーは非常に大きい。最近、トップ選手の中で、様々なバッシングや不祥事が起きるのは、その重すぎるプレッシャーのせいだとも言われている。
一方、彼女達は違う。金メダル確実、といわれる競技では決してない。だが、その一方で、前回のメルボルン世界選手権、そして今回の五輪と、彼女達がメダルに向けて、一歩一歩、近づいていることは世界のシンクロ関係者、メディア、観客の誰もが感じているといえる。その「進化の真最中」の雰囲気をヒシヒシと感じさせるのである。
メダルを絶対・・・ではないが、メダルに近づいている。そして、もはや下はなく、『上を向いて行くだけ』。その進化の過程を長い行列を作ってチケットを買い求めた観客の皆さんが温かく見守る、そんな環境の中で、演技が出来る彼女達は非常にラッキーといえよう。
蒋文文・蒋テイテイの二人は、師・井村雅代について「かつて出会ったことのないほど厳しいコーチ」と形容する。一方、井村コーチは彼女達について「どれだけ厳しくしても、ついて来る子たち」と表現する。そこにはすでに国籍を超えた強い信頼関係が見えてくる。
すでに五輪出場を決めており、あくまでオープン参加の二人だが、とてもじゃないが、『オープン』な気持ちではいられなかったはず。本大会でのメダルという目標のためには、今から審査員に「新しい中国シンクロ」を見せておかなくてはならないのである。
勢いのある演技を見せた蒋文文・蒋テイテイ組
―今日の演技を振り返ってどう?
「いつもの力が出せたと思う。」
―テクニカルルーチンではタイムオーバーの減点があったが、それは意識したか?
「その辺は日ごろから注意していたが、今日は特に気をつけた。」
―試合後、井村コーチは何か言った?
「コーチは“とてもよかった”といってくれた。」
―今後の五輪に向けてしなければいけないことは?
「世界との差をしっかりと感じること。帰ってからまた練習を重ねたい。」
―多くの観客がきてくれたが・・・
「すごく興奮した。こんなに多くの人たち、みんなが私達の家族同然だから」
―自分達のテクニック面については?
「以前に比べて、大分良くなったと思うが、まだまだ改善すべきところはたくさんある。オリンピック前に、もっと良くしていきたい」
―それはどうやって向上させた?
「専門のダンスの先生から、みっちりとレッスンを受けたことの効果だと思う。」
―体重を増やすことが課題と聞いたが、今はどうか?
「多少増えたと思う。私たちには力強さが必要だと思う。」
―井村ヘッドコーチについては?
「彼女はすごく厳しいが、親身になってくれる。」
―井村コーチは中国語を話せる?
「たくさん話す」
―他に何か言われたことは?
「オリンピックが終わった後、一緒に日本に行こうって言われた(笑)」
―井村さんは、あなたたちの故郷(四川省)に行ったことがある?
「一度、来たことがある。コーチは辛いものがあまり好きではなかったようだけど」
―ライバルは?
「大切なのは自分。自分の出せる力をしっかり表現することが大事だと思う」
―今日は会場に家族は見にきてる?
「来てない。チケットが手に入らなかったから。でもオリンピックのときは是非、会場で見て欲しいと思う」
posted by 朝倉浩之 |18:09 |
シンクロナイズドスイミング |
2008年04月16日
シンクロナイズド・スイミングの五輪テスト大会を兼ねた五輪最終予選が16日、北京の国家水泳センターで開幕。初日はデュエットのテクニカルルーチン(TR)が行われ、日本の鈴木・原田組がトータル47.917で2位につけた。トップはライバルのスペイン(48.667)。また、すでにアジア大会で優勝して五輪出場権を持つ中国の蒋文文・蒋テイテイ組もオープン参加。タイムオーバーで減点がついたものの47.750で3位につけた。ちなみに、この減点がなければ、日本ペアを抜いて2位となった。
今日は平日ながら、多くの北京市民がつめかけ、熱気あふれるプールとなった。
ただ冬場の寒い時期は気にならなかったが、やはりスタンドの「蒸し暑さ」は相当なもの。水に触れる選手たちにはちょうどいい室温なのだそうだが、これが「酷暑」の8月にはいったいどうなるのだろうと、ちょっと心配になってくる。
さて、日本の原田・鈴木組は4番目に登場。「テクニックに重点を置いた」という演技を披露し、順位は2位。井村雅代氏がヘッドコーチを務める中国代表については「中国も含めて、各国に追われる立場なので、しっかりと自分たちの技術を磨いていきたい」とサラリ。また国家水泳センターについては「とにかくきれいで、広い」とその感想を語った。持ち味である力強さに繊細さも加わってきて、五輪本番が楽しみなペアだ。
一方、最後から2番目に出場した中国の蒋文文・蒋テイテイ組は詰め掛けた市民の熱烈な応援を受けて、躍動感あふれる演技を披露。双子ならではの息のあったコンビネーションを見せて、観客の拍手を浴びた。五輪に向けて“進化し続けるペア”をアピールした演技だった。
以下は、蒋姉妹に聞いた中国ナショナルチームの井村雅代ヘッドコーチについてのコメントを抜粋した。
――今日の演技はどうだった?
「今日はまずまず。井村コーチに常に指摘されている“力強さ”が表現できたと思う。」
――演技が終わってから井村コーチには何か言われた?
「特になにも。“よかったよ”といわれただけ。」
――井村コーチはどんな指導者か?
「非常に厳しいコーチ。求める水準がすごく高い。中国人コーチより、もっと厳しい感じ。今後も厳しいトレーニングが続いていくと思う。」
――井村コーチは、かなりの“鬼コーチ”といわれているが
「(笑いながら)決して”鬼“というわけじゃない。ただ、できない動作があると、できるまでさせられる。」
――ひとつの動作で、最長どのくらいさせられたことがある?
「一番長いときで、一日中。ずっと、その動きだけをしておきなさい、って言われた(笑)」
――国籍の違いを感じることはある?
「まったくない。」
posted by 朝倉浩之 |23:21 |
シンクロナイズドスイミング |
2008年04月15日
テスト大会を兼ねて行われるシンクロナイズド・スイミングの五輪予選が16日、開幕する。今日は各国チーム、ペアが会場の国家水泳センター(愛称:水立方)で最後の調整を行った。
各選手が水立方で最後の調整を行った
今大会には、すでに五輪出場権を獲得しているロシア、米国などは出場しない。7大会連続の五輪切符を狙う日本はライバルのスペインなどと争う。また開催国の中国はチーム、デュエットとも出場権を得ているが、デュエットで五輪出場する双子の蒋文文、蒋テイテイ組は本番に向けた調整を兼ねて、今大会にオープン参加する。
その蒋文文、蒋テイテイは今日、国家水泳センターのプールで公開練習を行った。二人にとって、ここでの練習はすでに3日目。姉の蒋文文は「水温もいつも練習しているところとほとんど変わらない。天井が高くて、明るいのがいい。」とプールの感想を語った。また妹の蒋テイテイは「以前に比べ、体も出来てきたし、調子はいい。」と笑顔で語った。
二人を指導するのは、日本の『シンクロの母』井村雅代氏(元日本代表ヘッドコーチ)。」五輪でメダルを取ることを至上命題として臨む井村ヘッドコーチにとって、今大会の意味合いは非常に大きい。シンクロのような演技種目は、審査員の『先入観』が大きくモノをいうからだ。「中国の選手たちがここまでやれるというところを見せたい」というのは、大会ひと月前にお会いしたときの井村氏の言葉。ここで一気に弾みをつけて、本番でのメダルにつなげたいところだ。
明日16日はデュエットのテクニカルルーチンが行われ、中国の蒋文文、蒋テイテイ組、また日本の原田・鈴木組が出場する。
今週はテスト大会が続々開催・・・隣の河北省から中継車を借りて中継準備を行う
posted by asa8043 |19:40 |
シンクロナイズドスイミング |
2008年04月13日
テスト大会なのにもうチケットフィーバー・・・
8月8日に開幕する北京五輪まで4ヶ月を切った。ここにきて、五輪に対する北京市民の関心はどんどん高まっているようだ。
4月16日から国家水泳センター(愛称:水立方)で始まるシンクロナイズドスイミングのテスト大会の入場チケットが13日、発売開始。会場近くに設けられた発売窓口には、朝10:00の売り出し時から長蛇の列ができ、各開催日300枚ずつ計1500枚用意された本日分のチケットはわずか30分で売り切れた。
チケット売り場の行列、左奥が国家体育場(鳥の巣)
窓口のスタッフによると、発売2時間前の8時過ぎには、すでにチケットを求める人たちが並び始めたとか・・・。
シンクロナイズドスイミングは以前は中国が不得意とする種目で人気薄だったが、日本の『シンクロの母』井村雅代氏が去年からナショナルチームのヘッドコーチに就任し、注目を集めだした。井村氏の指導により、現在、中国代表はメダル獲得の可能性も十分あり・・・とも言われており、より関心が高まっている。また、そもそも中国の人たちは新体操など表現の美しさを競う“表演種目”は大好き。しかも、今大会は『テスト大会』と銘打ちながら、五輪予選を兼ねており、各国の真剣度は全く異なる。まさに五輪の前哨戦、しかも、話題の国家水泳センターが会場ということで、このフィーバーぶりとなったわけだ。
発売状況を示すボード。シンクロは『売り切れ」となっている
なお、シンクロのチケットは、明日以降も残り分を順次発売することになっているが、今回、チケットを手に入れられなかったシンクロファンの女性は「朝6時にこないと買えないかも・・・」と心配そうに語っていた。
また今回は、同時期に開催される競歩とマラソンの入場チケットも同時発売された。こちらも国家体育場(愛称:鳥の巣)のこけら落としということで市民の大きな注目を集めている。
posted by 朝倉浩之 |20:32 |
シンクロナイズドスイミング |
2007年10月04日
「井村・中国」が“最後の休暇”から再スタートする・・・
中国は現在、国慶節(建国記念日にあたる)の大型連休の真最中。日本の『シンクロの母』井村雅代氏が率いるシンクロナイズドスイミングの中国代表もオリンピック前最後の休暇に入っている。井村氏は現在、日本に“帰郷”しているが、連休後に再び渡中し、その後は、ほぼ常駐して、中国代表のメダル獲得に向けて、指導を行う。
今年1月から、中国代表を率いて以来、まず井村監督が選手たちに課したのは「増量」であった。選手たちの身体能力の優秀さは折り紙つき。だが、欠けているのはパワー。そのパワー不足解消のために、体に多少、脂肪がつくことを承知の上で、『増量』を求めたというわけだ。この期間、高カロリー、高脂肪な食品を多く摂り、一般女性の3倍の量の食事を課したという。その甲斐あって、選手たちの体重は現在、2.5キロから3キロの『増量』に成功。井村監督は「まずは基本的な体作りの標準に達した」と語った。
だが、当然『食べる』だけではない。その分、運動量も“3分の1の強度アップ”を行い、連日9時間に渡る水中での練習を課した。彼女たちに要求するのは「技術と表現力の向上」。そのためには「時間が足りなさすぎる」と井村監督はこぼす。だが、日本の選手たちになくて、彼女たちが持っているもの・・それは「国家代表としての自覚」だという。自らが国家の代表だという自覚、だからこそ、シンクロに全てを投げ出し、全身全霊を傾けることができる・・・彼らに残された時間はわずかだが、そこに可能性を見出す、と井村監督は言う。
この大型連休終了後、選手たちの練習量はさらに3時間増え、計12時間となる予定だ。井村監督の『しかって教える』厳しいトレーニングはその強度を増す。
「監督の要求は日増しに高まっていく・・けれども、監督についていきたい。オリンピックのためだから」
中国シンクロ陣の『メダルへの道』はいよいよ本格化する。このブログでも、ぜひ彼女らの頑張りぶりに注目していきたい。
posted by asa8043 |14:02 |
シンクロナイズドスイミング |
2007年07月11日
このブログ記事で以前、PRをさせてもらったが、先月27日、中国の対外向け放送局である中国国際放送局のインターネット放送で「日中ネット対話」という番組が放送された。詳しくは下記をご覧いただきたい。
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/asa8043/article/90
今年から中国シンクロナイズドスイミングのナショナルチーム監督に就任した井村雅代氏が出演。現在の心境、監督を引き受けたいきさつなどについて語った。今回の番組は中国語の同時通訳がついて、中日両国語で放送されたほか、関連の番組を中国国内のFMでも制作し、中国でも大きな注目を集めた。井村氏自身も、ぜひ中国の人たちに生放送で語りかけたいという思いから積極的に中国メディアの出演をOKしてくれたのである。
今回の「ネット対話」の中で井村氏は、非常に率直に心境を語ってくれた。そして、日中のスポーツ交流に対する強い思いを伺うことができた。放送から、すでに2週間が経ったので、ぜひ井村氏の思いを多くの人たちに知ってほしい、という願いを込めて、あくまで「個人的に」インタビュー録を掲載した。なお一問一答形式をとっているが、実際の放送では、パネラー4人による対話形式の番組である。
(引用開始)
――日中スポーツ事情の違いについて
日本の選手は朝が弱いということ。(笑)私も北京でトレーニングしているときは、朝早く起きて、天壇公園にいって、太極拳を練習した。できれば中国滞在中も太極拳ができるくらい心の余裕が欲しいと思うが、実際、今はそれどころじゃない。
――指導していて、中国人と日本人の違いはあるか
違いはある。中国人選手を見ていると自分の若い頃を思い出す。彼女たちに「できない」という文字はない。日本人は辛抱強さが欠けている。疲れそうなことは「逃げ」から入る若者が増えてきているような気がする。共通している点は、指導者に対して、非常に敬意を払ってくれるということだ。だが、逆に中国人選手は「痛い」とか、「やりにくい」といったことを我慢して言わない。今の状況の中で、「理解できないこと」を私の方にぶつけてほしいのだが、直接、言ってくれない。それが今の悩みだ。
――言葉の壁はあるか?
言葉の壁はないといえばウソになる。ただスポーツに言葉が要らないのも事実。通訳もいるし、どなったら、一緒にどなってくれている。(笑)ただやはり言葉の壁は大きい。一番困るのが、“オンタイム”で声をかけられないこと。通訳を通すと必ずワンテンポ遅れる。「その動作を」「この部分を」という指導ができない。そんな時は、中国語を勉強しなければと思う。ただ選手もだいぶん日本語を覚えた。中国人が最初に覚えた日本語は「だめ」だったが・・・(笑)
――スポーツの“日中交流”への意義
日中の間には悲しい歴史がたくさんある。だが、スポーツには、それらを「ちょっと」横に置いておく、ということができる。互いの習慣が違っても、本気で勝負し、強い人が勝ち、弱い人が負ける。そして自分より強い人に対して、尊敬し、讃え、多くのことを学べる。戦いの後、憎しみを残さない。同じ人間だということを実感する。それを言葉抜きに、感じられること・・それは本当に素晴らしいことだと思う。
――日中両国のシンクロチームの比較
日本のシンクロの技術力は本当に高い。中でも、“パワー”は日本の最大の武器。一方で、中国は「これだけ手足の長い選手をよく揃えたなあ」というくらい“体型”がすばらしい。演技の中でジャンプを担当する選手が、中国チームでは166センチの選手に決まった。この身長は日本では大きい方。だが、中国チームはその他の選手がみんな170センチ台で非常に背が高い。この「高さ」は魅力で実に美しい。だが美しいだけでは勝てない。今の課題は「美しく、たくましく」である。
――中国代表のヘッドコーチを引き受けた理由は?
まずはっきりさせておきたいのは、2004年アテネ五輪で日本代表のヘッドコーチはやめたということ。その後は自分のクラブ(井村シンクロクラブ)で若手の育成にあたっていたから、決して途中で、日本代表の指導を放り投げて、中国にいったというわけではない。私が中国に行くことを決めた時、一部のマスコミで、反対の意見があったことは知っている。だが、何をするにも賛成・反対がある。ただその中で、「日本の技術を敵国に売るのか」という趣旨のコメントもあった。私は、スポーツが国際化された時代に、この考え方は間違っていると考える。その言葉を聞いて、私は一瞬、「私のしていることは、人の道に外れているんだろうか」と思ったが、私はやはり「外れていない」と思う。自分の技術を必要としてもらえるという“立場”があり、それを必要としてくれる場所があれば、私は行くべきだと思った。ただシンクロも含めて、スポーツは結果がすべて。今は、北京五輪が終わってから、「素晴らしい交流だった」と言ってもらえるように、頑張るしかないと思っている。
――番組で日中両国において行ったアンケートでは70パーセント以上の人が井村さんの中国行きに賛成したが・・・
アンケートの結果を聞いて、これだけ多くの方が私の考えに賛同してくれていると知ってうれしい。私としては50パーセントくらいだろうと考えていたから、今はもっと元気になった。
――ヘッドコーチを引き受けた過程は?
中国側はまず私に「中国は北京五輪でメダルを取りたい。」と切り出した。私は「どの種目で、何色のメダルですか?」と聞いた時、「メダルの色は何でもいい。種目も何でもいい。そのために努力をしたいが、我々には経験がないので、どう努力したらいいか分からない。あなたの経験と素晴らしいコーチ力が必要なのだ」と言われた。
日中友好とはいうが、日本にいると、“そうでない”報道が多い。にもかかわらず、自分の開催国のオリンピックという大切な大会で、あえて、日本のコーチに依頼してきたというのは、「絶対に失敗ができない」ということ。そんな状況の中で、私に頼んできてくれた。私は、シンクロに関しては、日本が世界のトップをいくという自負を持っている。そうであれば、この依頼を断るわけにはいかないだろう・・政治的な色々なものがある中で、「私たちに力を貸してくれ」と、ここまで言ってくれたのに、断るわけにいかない…。自分が今までやってきたことが中国の役に立つんだ・・そして、それが日中友好に結びつけばこんな素晴らしいことはないではないか、と考えた。そして、いい結果に導いてやれれば、それは私の手柄ではなく、日本シンクロのコーチング力の手柄である。私の中では、中国と日本の交流を前面に出すのではなく、結果的にそうなればいいと考えている。
――日中がメダルを争うことになれば複雑な心境では?
私は日本をそんなに意識していない。もちろん、中国と日本の争いも意識していない。ただ、私の唯一の目標は「アジアの一位が世界の一位でありたい」ということである。だから、どちらに勝ってほしいということは一度も考えたことがない。オリンピックは真剣勝負の場だ。その勝負が終われば、必ず「さわやかな」思いになるはずだ。そのためにがんばっていきたい。
(引用終わり)
なお、もし番組を聞いてみたい、という方がいれば、ホームページで公開されているので、ぜひ聞いてみてほしい。アドレスは以下のとおりである。
http://japanese.cri.cn/other/07chi-jpn2/index.htm
posted by 朝倉浩之 |18:30 |
シンクロナイズドスイミング |
2007年03月18日
中国メディアの報道から、日本の様子を知る・・そういうことが時折ある。だが、中国報道の特殊性から、その報道を鵜呑みにできないというのも事実だ。しかし、シンクロナイズドスイミングの中国代表コーチ、井村雅代氏についての記事は大いに気になった。
現在、豪メルボルンで行なわれている世界水泳選手権。初っ端で行なわれたシンクロナイズドスイミングは中国・日本、いずれからも大きな注目を浴びている。いわずもがな、中国の新ヘッドコーチ、井村雅代氏(56歳)の動向についてである。
18日の報道によると、井村氏は記者団に対して、「日本には、決して私の代表コーチ就任を快く思わない声がある。また国内の報道のなかにも、それは感じられる。私は中日の友好のために中国チームに来た。その選択が間違っていないことを信じている。彼らは2008年のオリンピックのあと、私の選択を理解してくれるだろう」と述べたそうだ。
以前から、中国では、日本人の”多く”が井村氏のコーチ就任を快く思っていない、という報道があった。
ただ私自身は、井村氏が中国代表入りするということは、シンクロ界のみならず、スポーツ界全体、そして広い意味での日中関係に大きな意味合いを持つのではないかと考えていた。だから、日本に帰国した折に、ぜひこの問題について、関係者と意見を交わしたいと思っていた。
果たして、日本における井村氏は、どう捉えられているのだろう。
私は北京在住のため、この井村氏の中国代表入りに対する、本当の意味での『日本の空気』を感じることができない。いくつかの日本の報道を見ていると、確かに井村氏を”利用”した『日中』の激烈なライバル争いを強調し、それを面白おかしくとりあげる内容が見られた。だが、本当のところの『国民感情』はどうなのだろうと、このインタビューの内容を聞いて、思った。
井村氏は、12月にドーハで開かれたアジア大会の最中に、北京五輪で上位進出、できればメダルをと望む中国シンクロ代表チームに請われる形で指導者就任を受託。それがアジア大会で、日本が中国に「敗れ」て2位に終わったという残念な結果のあとだっただけに、その事実が衝撃的に伝えられた。
その後、すぐに正式契約を結び、今年1月から計4度、チームを訪れ、一日6時間の猛練習を課して、チーム強化に励んできた。
そして、迎えた今大会。当然、目標は1年半後の北京五輪であり、今大会はその前段階に過ぎないのだが、それでも、日中両国で大きな話題となって、ヘッドコーチに就任した井村コーチからすれば、「かつて感じたほどのないプレッシャー(本人)」は当然のことだろう。
だがそれ以上に、日本メディアの報道ぶりがこちらのメディアでは大きな話題になっている。朝日新聞は専門の報道スタッフをつけ、『朝5時にはホテルで待機。本当にその熱心さにはあきれる(チームスタッフ)」といわせる力の入れ込みよう。中国代表チームを取材する記者の数は、ある報道によると1:4で日本が圧倒的に多いそうだ。ある記者が「日本チームについて、どんな印象か」と井村氏に聞くと(当然、出てきそうな質問だが・・)「彼女らの演技は見ていない。だから評価の仕様がない。今は中国チームの準備に専念している。あえていうならば、我々の中国チームが日本とどれくらいの差があるのか・・そこに大きな関心がある」と井村氏は答えるしかなかったとの報道もある。
シンクロという日本が十分にメダルを狙える競技における「この時期の」移籍。そしてその行き先が、アジア大会で、若手主体で臨んだとはいえ、「アジアでは敵なし」を自負していた日本を打ち負かした中国である。日本と中国のスポーツにおけるライバル関係、これまでの様々な過程から見れば、この注目は当然のことだろう。
だが、もし万が一、この井村氏のコーチ就任を日本に対する『裏切り』として捉え、非難する声が日本に多くあるとすれば、それには疑問を唱えたい。また、その”声”を利用するかのように、「井村・中国」と日本の対決を純粋なスポーツ対決ではない捉え方をする報道があるとすれば、そうあってほしくない。
井村氏、いや他の多くのスポーツ指導者にとって、間違いなくいえることは「スポーツに国境はない」ということだろう。求められる場所があれば、そこにいって力を奮いたいと思うのは当然だし、国を挙げての五輪という舞台が今まさに始まろうとしている国に請われたとなれば、当然、そこで指導者としての腕を奮いたいと思うはずである。そのような人材交流は、サッカーや野球、バレーボールなどの例を挙げるべくもなく、何ら珍しい現象ではない。
ちなみに、日本と中国のスポーツにおける指導者交流は、それほど真新しいことではない。古くはバレーボールの大松氏が中国代表を指導し、世界のトップレベルにまで引き上げたし、現在は柔道の山下泰弘氏が中国男子柔道を指導している。卓球の福原愛は中国卓球の力を借りて、ここまで成長してきのだし、野球文化の育成のため、中国プロ野球に対しては、日本が物心両面で支援を行なっている。
さらに、「日本シンクロ」の”生みの母”が中国に招かれた・・という事実は、北京で中国スポーツを追いかける私も、思わず誇りに感じてしまうのだが、それは誤っているだろうか。日本のスポーツ界が大きな評価を受けた証である。
さて、井村氏は、大会前に北京で行なわれた記者会見で「我々中国チームの力を世界に見せ付けたい」と抱負を語った。あの井村氏が、日本のライバルとして、中国を本当に率いるのだ・・ということを、私はこの言葉で実感した。これから始まる日本と中国のライバル対決がたまらなく楽しみになってくるのは私だけだろうか。
ただ、私自身も、日本人として、理屈ではいえない複雑な思いを抱くのも事実。今のシンクロ、のみならずスポーツ界における中国勢の躍進ぶりはすさまじい。当然、五輪という大目標に向けて、なりふり構わない強化(それは日本の”国体”前の地方自治体のやり方に似ているが)の成果が出てきているわけだ。だが、以前から中国が強かった競技ならまだしも、日本が優勢を保っていた競技までも「喰われて」しまえば、何となく、『面白くない』という思いは十分に理解できる。
だが、その「複雑な思い」を『国の裏切り者論争』には持って行きたくない。むしろ、そんな一流のコーチを迎えた中国勢の成長を楽しみにしたい。そして日本と中国がともにシンクロにおけるアジアの柱になり、ヨーロッパの牙城を崩すという将来の『スポーツ未来図』を思い描きたいと思うのだが、どうだろうか。
posted by 朝倉浩之 |19:07 |
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