2007年07月06日

井村氏に続き、ソフト宇津木も?中国招聘に衝撃走る

シンクロの井村雅代に続き、ソフトボールでもあの人を招へいか?

中国がソフトボールの元日本代表監督の宇津木妙子氏(54)を指導者に招聘する動きがあるとの報道が日本メディアから流れ、中国国内でも波紋を呼んでいる。

宇津木氏といえば、かつて中国代表の任彦麗との「子弟愛」が話題となった。任彦麗はその後、日本国籍を取得し、宇津木麗華と改名して、日本代表の主力となった。日本ソフトボール界の「カリスマ」的存在の指導者だ。

これについて、宇津木氏本人も「正式な依頼があれば、前向きに考えたい」と話しているという。

この「サプライズ人事」を進めているのが、中国ソフトボール協会の顧問、李敏寛氏。中国の「ソフトボール育ての親」とも言われている中国スポーツの功労者で、日本にも住んでいた華僑。大学などで野球のプレー経験もある。1996年アトランタ五輪まで、中国ソフトの代表監督を務め、世界でも実力派の一角を占める中国の礎を築いた人物である。李氏は個人的にも宇津木氏と親交があり、また宇津木氏の手腕を高く評価している。これまでも何度か電話などを通じて、個人的に“ラブコール”を送ってきた。だが、今回は中国ソフトボール協会の役員の一人としての立場で、公式に宇津木氏に意向を確かめたということだ。

李氏は「長期的にというわけにはいかないだろうが、短期間の臨時コーチとしてでもいいから来てほしい」という意向を持っており、また宇津木氏本人もかなり前向きな姿勢を見せているという。

中国はアトランタ五輪で銀メダルに輝いたものの、その後は低迷。北京五輪ではメダル獲得が至上命題となっており、「起死回生」を狙った招聘といえる。

シンクロの井村雅代氏の代表チーム監督就任の際もそうだが、海を越えて、一流の指導者が技術交流を行うことは、スポーツ界全体の発展にとって素晴らしいこと。もちろん、シンクロと違って、ソフトボールは日本と中国の実力が接近しており、五輪でも最大のライバルとなることは間違いないため、日本人としては何となく複雑な思いを抱くのは確かだが、日本の誇るべきスポーツ指導者が今、一番スポーツに力を入れているといえる中国に招かれることは、誇るべきこと、と考えればよい。

ただ、一方で中国サイドにたって、もしも宇津木氏が監督に就任したら・・という仮定で考えてみると、私は、決していいことはないと考える。

中国代表はこの7年で7人の指導者が入れ替わり立ち替わり、監督を務めている。そのうち外国人監督は3人。このことは、国内ではすでに選手、コーチ陣にとって大きな不満となっている。「方向性が不統一であり、何を信じていいのか分からない」というのが彼らの声であり、この不信感が今の成績につながっている可能性は大きい。またある関係者は「今の中国代表チームに必要なのは戦術ではなく、“基礎”だ」として、このタイミングで、強力な指導者が降って湧いてくることは無意味だと考える。言い方をかえれば、宇津木氏が指導することは「宝の持ちぐされ」というわけだ。

北京五輪までの時間も短すぎる。まだまだ発展途上のシンクロと違って、ソフトボールは少なくとも、中国がかつて“一時代”を築いたスポーツだ。いろいろな面で、いったんすべてを「白紙」に戻し、「宇津木イズム」を浸透させるには、時間がなさすぎる。かえって、選手、首脳陣の戸惑いを招く可能性が高い。日本で「宇津木時代」を築いた当時のチーム事情とは少し異なると思う。

今のところ、正式な「代表監督就任」ではなく、技術コーチとしての招聘となる可能性が高いとの報道もあるが、来年の向け、「全てにおいて万全を期したい」と考える協会側が正式に監督就任を打診した場合、宇津木氏本人がどのような結論を下すかは分からない。ただ、やみくもな指導者交代は決して、選手のためにならない・・これだけは確かだと思う。

posted by 朝倉浩之 |15:32 | ソフトボール | トラックバック(0)
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