2007年05月23日
五輪は大丈夫?テコンドー世界選手権のチケットの理不尽
北京で行われていたテコンドー世界選手権が22日、閉幕した。 選手達にとってはもちろん北京五輪の前哨戦として最重要な大会であったが、運営側にとっても、実質的に、五輪を本格的に意識した最初の大会といってもよいものであった。 ホスト国として、国際大会の開催経験を十分に重ね、万全の形で五輪を迎えようというのが、今大会の大きな目的の一つである。 だがこの大会、私にとっては大きな不満と不安の残る大会となった。 そのもっとも大きなものがチケット問題である。 実は大会の4日前から、開幕式の入場チケットは全て売り切れ。さらに大会初日の18日には、21日(大会3日目)を除いて、試合のチケットも売り切れという状態となった。開幕初日に、入場門の前にあるチケット売り場には、すでに「チケットはありません」の紙が張られ、チケット予約の専門店(日本で言うチケットぴあ)に電話しても、すでにもうない、との返事であった。だから、入場門前にはダフ屋がはびこり、原価の2,3倍で入場券を売り歩く光景が見られた。 新聞には、わざわざ飛行機に乗って北京にやってきたのに入場券が窓口で買えず、結局ダフ屋で買わされた・・というエピソードが載っていて、まさに「チケット争奪戦」が繰り広げられた・・・のである。 私自身はこの状況を見て、まずテコンドーがこれだけ北京で受け入れられていることに驚いた。テコンドーは日本では、どちらかといえばマイナースポーツである。中国でも金メダリスト2人を出しているとはいえ、まだまだ・・・という印象だった。だが、このチケットの売れ行き状況を前にして、市民のスポーツへの関心が北京五輪を控え、ここまで高まっているのかと頼もしく思った。 だが、大会が始まって、唖然とした。 メインスタンドは来賓席を含めガラガラ。平日の昼間ならいざ知らず、準決勝、決勝は全て夜7時以降に行われていたし、週末もほとんど変化はなかった。そして22日の最終日も、夕方が近づいても一向に観客は増えず、結局、大会のクライマックスともいえる中国のエース、陳中が優勝を果たした決勝戦も、メインスタンドはがらがらだった。(以下の写真) だが、一方で、対面スタンドの方は超満員といってもいい状態だった。だが、これにもからくりがあって、その半分以上は動員がかかったいわゆる「サクラ」。大会の行われた北京市昌平区内の中高生らが、先生に引率されてやってきているのだ。みな揃いのTシャツを着て、何やら「鳴り物」を渡され、「がんばれ、中国」と声を合わせてやっている・・。だが、中国勢が登場するとき以外はしらけた様子。それも当然だ。彼らのほとんど全員がテコンドーなど、見たこともないし、興味もほとんどない、のである。 中国の応援以外の声があると思うと、各国の選手、もしくは大会関係者。実際、一般客は数えるほどしかいない、というのが印象だった。 そしてこれをある関係者に尋ねて、ようやく合点がいった。毎日の入場券の数は3000枚。そしてそのうちのほとんどが実は、企業や学校経由で「配布」されていたのだ。知人の一人は、勤め先から「無理やり」チケットを「押し付けられた」のだが、テコンドーなどまったく興味がないので、結局放っておいた・・という。メインスタンドの空席はほとんどがこの手であろう。 そういえば、以前、サッカーW杯でも同様の「事件」があったように記憶する。 確かに、入場者数が非常に少ないと見込まれるイベントについて、ある程度の動員をかけることはやむをえないし、それを否定するつもりはない。もしかしたら、「まさかここまでの反響があるとは・・」というのが運営側の正直な気持ちかもしれない。 だが、それによって、「入りたくても入れない人たち」があまりにも多く発生するのは、尋常といえるだろうか。それによって、一番ウマイ思いをするのは、どこからチケットをせしめて、入場口にたむろするダフ屋ということになるのだ。 先日、来年の北京五輪の開幕式について、「これまでの五輪の数倍に上る“関係者席”を中国側が用意しようとしている」というニュースがあった。これに対しては、各国から批判が相次いでいるようだが、コネと「礼」が日本以上に重要視される中国社会において、誰もが喉から手が出るほどほしい開幕式チケットは、これ以上ない「接待道具」となるのである。 また今の中国では、スポーツを「お金を払ってみる」という習慣があまりない、という現状も原因としてあるだろう。まだまだ“興行”の世界が未発達であり、スポーツ観戦は「招待」が当たり前、という状況。逆に招待チケットがなければ、いくら良いソフトであっても触手が動かない、という人が多いのである。 プロ化が進んできたサッカーについては、ようやく興行が成立してきているが、それ以外については、まだまだ・・結局は大枚を叩いて開催したイベントも、持ち出しで、動員を行って頭数をそろえる・・というのが今の中国スポーツ興行の現状かもしれない。 オリンピックでも、同じようなことが起きるのでは?とは、敢えて言いたくない。少なくとも抽選という透明な形で、今、まさにチケット販売が行われようとしているからだ。だが、こういった「ただチケット文化」が中国に根強くあるのは事実だと思う。いつまでもこれでは、スポーツ興行の真の成功はないし、本当の意味でのスポーツ界の発展もない。 多くの感動と、テコンドーの「意外な」面白さを北京市民に、そして僕にも教えてくれた今大会。だが、この「チケット問題」は、オリンピックまでに、ぜひ改善してほしい。
- 共通ジャンル:
posted by asa8043 |00:01 |
テコンドー |
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
Re:五輪は大丈夫?テコンドー世界選手権のチケットの理不尽
コメント投稿者ID :
おしゃった通り、現在の中国にはそういうチケット問題は尋常です。情けないと思いますが、中国はまだ発展中でいろんな問題が存在です。これからも中国の様様な問題点をご提出ください。
posted by 唯 | 2007-05-25 18:52


