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中国のパラスポーツはなぜ「最強」なのか(2)

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例えば、パラリンピックで最もメジャーな競技ともいえる競泳でいえば、国家代表は浙江省、江蘇省、北京など全国にある「訓練基地」に集められる。日本でいえば、競技選手の強化拠点である「ナショナルトレーニングセンター(北区)」が各競技ごとに全国に設置されていると考えればいいだろう。選手たちは最終的に国家代表に選ばれるのが、パラリンピックのおよそ1年前。その後、11カ月に及ぶトレーニングと国内外での大会での成績が勘案され、最終的に「パラリンピック代表」が選出される。「訓練基地」での練習環境は、日本の障がい者スポーツのように練習場の確保に四苦八苦することはない。24時間、その競技専用のプールや体育館が用意され、コーチ陣の練習計画にのっとって、科学的なトレーニングが施される。さらに衣食住の確保、医師やメンタルトレーナーなど選手たちを支えるスタッフの充実ぶりも驚かされる。

 そして、何よりも「すごい」と感じたのは選手たちのモチベーションだ。

私がトレーニング施設を訪れた時、目に入ったのは「私はできる。できる!必ずできるのだ!」と大きな文字で書かれた標語の垂れ幕だ。ここからは私の受けた印象となるのだが、選手たちにとって、スポーツはもはや「リハビリの助け」の要素は全くないような気がする。徹底的に体をいじめ抜き、自らに残された機能を徹底的に鍛え上げていく・・・そして手や足がないなど、欠損した機能でさえ、「言い訳をせず」自分を追い込んでいく。両腕がなくても「肩だけで腕立て伏せをしている」・・・そんなトレーニングが続けられていた。パラリンピックレベルの選手たちにとって、スポーツはもはや「自らの社会復帰」や「生活力向上」のためではなくなっている。あくまで「障がい者スポーツ」という部門において、オリンピックと同じく、国を代表し、祖国の力を世界に知らしめるために全身全霊を注ぐ。そのために、同じ障がいを持ったアスリート同士で、とてつもなく厳しい競争を続け、その厳しさに耐えられないものは容赦なく弾かれていくのである。

 日本パラリンピック委員会の鳥原会長にお話を伺ったとき、中国勢の強さは「国を挙げて選手を育成する体制」にあり、「日本とは国情が異なり、あまり参考にはならない」と語った。もちろん、この見方は間違ってはいない。だが、中国の強さは単なる「挙国体制」だけにあるというのも一面的な見方であり、私が垣間見た選手たちの強烈なモチベーションも大きな要因であることは間違いない。   厳しい競争環境と自らを高めることへの強いモチベーション・・・2020年東京パラで「強いニッポン」を本気で目指すのならば、100個を越える金メダルを勝ち取った隣国から参考にすべき点は多々ありそうな気がする。



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 大学卒業後、民放テレビ局のディレクターとしてスポーツドキュメンタリーの制作・取材に関わる。2003年から中国にわたり、中国国内スポーツの取材、執筆活動を始める。日本の新聞、雑誌で中国スポーツを紹介する記事を書きつつ、ラジオ・テレビで情報を発信。日本に帰国後、現在も中国スポーツ・文化のウォッチを続けている。


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