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中国「無気力プレー」の失格は厳しすぎないか

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日本時間31日、ロンドン五輪の女子バドミントンダブルスで中国の於洋・王曉理組ほか、韓国、インドネシアのペアが無気力なプレーで意図的に勝敗を決しようとしたなどとして、五輪出場資格を取り消された。

国際バドミントン連盟がきょう決定したもの。中国の於洋・王曉理組は世界ランク1位で優勝候補だった。

「事件」は31日に行われたリーグ戦A組の試合で起こった。中国の於洋・王曉理組は韓国勢と対戦。「最強ペア」の同組だが、0-2(14-21、11-21)で敗れた。

試合後、約6500人いた観客が一斉に不満のブーイング。中国ペアが明らかに無気力なプレーで「わざと負けた」という抗議のブーイングだ。

世界ランク1位のペアが見せる世界最高レベルのプレーを楽しみにやってきた観客にとってはあまりにもひどい試合だった。ある観客は「素人の試合のようだった。まったく世界水準ではない。中国はスポーツ大国だと思っていたのだが、見に来て損した。」と怒りをぶつけていたという。

この「無気力プレー」の理由は、リーグ戦→トーナメントと進む新しい試合方式が生み出したものだ。

於洋・王曉理組がこの試合に勝って1位通過すれば、先に別の組で1位通過している中国ペアとトーナメントでは最初にぶつかってしまう。そのため中国勢同士の対戦を避けるために「わざと」負けて2位通過を狙ったというのだ。

北京五輪ではトーナメント制だったので、このようなことはおきなかったが、今回から導入されたリーグ戦形式ではこのような判断も生まれてくる・・・。
おおっぴらには言わないが、サッカーのリーグ戦などでもそれらしい試合というのはある。

国営通信社の新華社は、この試合を受け、早速「国家代表は試合にも負け、
人としても負けた。恥ずべき行為」、「この責任を追及すべき。五輪精神に反する」といったタイトルの文章を発表し、「無気力試合」のペアを糾弾した。

中国のネット言論でも、「五輪に出場すべきでなかった」などと、
日ごろの鬱憤を晴らすかのような書き込みが並んでいる。

確かに、「無気力試合」は五輪精神に反するし、高い入場料を払って見に来てくれたお客さんに対して、これ以上、失礼なことはない。

だが、どうだろう・・・。

トーナメントで、最初に自国のチームメートに当たりたくないという気持ちもまた理解できるのではないか。初戦で互いにぶつからないようにして、祖国が求めている「メダル」を取れる可能性を少しでも高めておきたいという心情は決して理解できないわけではないのではないか。

中国は「個人」として五輪に出場しているわけではなく、あくまで「国家代表」というチームで参加している。そのことの良し悪しはともかくとして、チームの「戦略」として、勝敗をコントロールすることは一概に否定できるとは思えない。

中国も、そして私たちの日本ものメディアも国民も『メダル、メダル」と結果を求めて、彼らに声援を送る。『参加することに意義がある」といっても結局、われわれは彼らにメダルを取ることを求めるし、彼らもそれを渇望する。

ならば、ルールの範囲内で、「頂点」を目指すために、さまざまな手段をとることは、認められざるを得ないし、そうでなければ自己矛盾に陥る。

だとすれば、これがいくら「五輪精神に反する」にせよ、「観客に失礼」だったにせよ「出場資格の停止」は厳しすぎないか。

メダルの争奪戦を煽り続けたのはメディアも、われわれ観戦者も、そして各競技の連盟も同様のはず。その結果、彼らが『戦略」として選んだやり方を、たとえ当日の観客が不満を覚えたにせよ、彼らの「次の試合」まで奪ってしまう必要があるのだろうか。

今回の決定が最終のものになるのかどうかは、現時点ではまだよく分からない。だが、個人に対するあまりの重罰がこの問題の解決にならないことだけは
理解しておくべきだと思う。












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 大学卒業後、民放テレビ局のディレクターとしてスポーツドキュメンタリーの制作・取材に関わる。2003年から中国にわたり、中国国内スポーツの取材、執筆活動を始める。日本の新聞、雑誌で中国スポーツを紹介する記事を書きつつ、ラジオ・テレビで情報を発信。日本に帰国後、現在も中国スポーツ・文化のウォッチを続けている。


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