2007年04月28日
五輪聖火リレー、「台湾の受け入れ拒否」の是非
北京五輪組織委員会は、2008年北京五輪開催を前に、世界を巡る聖火リレーのルートを発表。世界5大陸を巡り、日本では98年に冬季五輪を開催した長野を通過することになる。 いよいよ五輪が近づいてきたかと胸躍るニュースだが、心配な出来事もあった。懸案の「台湾通過問題」である。 今回の「ルート案」によると、北京五輪組織委は「台湾通過」について、ベトナムのホーチミンから台北に渡り、その後、香港から中国に入る方針を示した。 しかし台湾側は、香港はあくまで中国領土であるとの認識から、聖火リレー受け入れの拒否を表明。オリンピックの準備活動は、肝心なところでケチがついた格好となった。 当初は、中国大陸側は「大陸から台湾、台湾から大陸へ」というコース案を主張し、一方の台湾側は「第3国から台湾、台湾から第3国へ」との主張を行った。各側のこれまでの「政治的経緯」からすれば、予想された内容であるが、その後の両者の交渉により、先月27日、「第3国から台湾へ、台湾から香港へ」という案で合意。これが「大陸、台湾が合意」というニュースとなって表に出ていただけに、ルート発表直後の台湾当局の「拒否姿勢」は予想外といえるだろう。 27日付の朝日新聞によると、すでに両者は合意していたにも関わらず、台湾オリンピック委員会から今月20日、「スポーツの領域を越えた事情の変化があるため、台北から第三国に出るルートとするよう求める」との書簡が組織委員会に届いたとのこと。そして、その後、両者のすり合わせが不十分なまま、今回、大陸側がルート発表を行い、それに台湾側が反発したという経緯が見えてくる。 大陸側からすれば、「順調に」大会準備を進めることを最優先に、あえて強硬姿勢をとらず、妥協をして交渉を重ねてきただけに、面目をつぶされた形だ。 報道を見ている限り、スポーツサイド(五輪委員会)の合意を政治サイド(台湾側)が横槍を入れた構図が見えており、「スポーツに対する政治の介入」があったのは間違いなさそうだ。来年の総統選挙に向けて、強硬姿勢を示して独自性を出そうとする台湾当局の政治的意思が見え隠れするが、それによって、「スポーツの祭典」にきな臭い香りが漂ってきたことが残念でならない。 これまでの経緯からして、各陣営の主張するコース案は、いずれも相手陣営には絶対に受け入れがたいものでないことは明らかである。そして、おそらく、今回、大陸側が発表したコース案は、双方が「妥協の産物」として作り上げた「どっちともとれる」案といえるだろう。それが名案であるか、そうでないかはこの際問題ではなく、要は、それら「微妙な問題」を一時、棚上げして、(ある意味、「見て見ぬふり」をして)大陸、台湾の双方がIOCの一員として、オリンピックに向けて、協力していくことが大切なはずだ。 IOC国際オリンピック委員会に加盟する22の国、地域を聖火がリレーするとの計画の中で、その一員である台湾を聖火が通るのは当然のことである。問題は、「どう通るか」であり、もし、その「解決案」がすでに妥協の末に出来上がっていたにもかかわらず、報道にあるように、台湾側の政治利用のために、くつがえされたとしたら、それはスポーツを愛する、そして北京五輪を何より楽しみにしている多くの人たちにとって、裏切りでしかない。 それは「たかが聖火リレー」では済まされない。過去に、オリンピックがその時々の政治にさまざまな形で利用され、そのために未来あるアスリート達が、そしてスポーツファンがどれだけつらい思いをしてきたか・・・。北京五輪では、そんな悲劇を起こしてほしくはない。 おそらく、これから大会本番に向けて、さまざまな厄介な問題が表に出てくるだろう。だが、オリンピックの精神に集う全ての国・地域が来年8月、北京に集結して、北京五輪が最高の五輪になることを世界中の人たちが望んでいるはずだ。全ては、その素晴らしき「スポーツの祭典」のために・・・当事者に話し合いを、そして優れた「妥協の産物」を作り出してほしい。
posted by asa8043 |00:02 |
北京五輪 |
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