2010年07月21日
羅雪娟が米留学へ それぞれの「引退後」
先日、北京大学で学生の米国留学に向けた壮行会が行われた。 そのメンバーはそうそうたるもの。アテネ五輪女子平泳ぎ100mの羅雪娟、シドニー・アテネを制した女子テコンドー67キロ超級の陳中、アテネ女子レスリング72キロ級の王旭などなど・・・。 いずれも五輪の金メダル級アスリートとコーチ20人で構成される同大学のいわゆる「金メダルクラス」の会である。 羅雪娟など9人が留学するのは米国最大級の規模を誇るウィスコンシン州立大学。ここでコーチングやイベント管理、そしてもちろん英語の勉強を12月15日まで行うことになる。 この「留学プログラム」は北京体育大学院と国の留学基金が協力して行ったもの。これだけ大規模な送り出しは史上初ということだ。 彼らは今後、毎月1100米ドルの奨学金を受けながら、キャンパス生活を送ることになる。 これは今年4月、国務院が定めた「運動員の文化教育と職業保障を強化するための指導意見」に基づくもの。 中国スポーツ当局はここ数年、アスリートの教育水準の向上と職業指導を強化する方針を示している。児童期から選抜され、体育学校などでスポーツに特化したエリート教育を受けてきたため、競技人生が終わった後の「つぶし」が効かないアスリートが多く生まれている。世界選手権レベルの大会で優勝していながら、スポーツとは全く無関係なアルバイトで生計を立てる元選手については、数年前、大きく報道された。 国家がアスリートを育てているにもかかわらず、競技人生が終わったらポイというのは無責任・・・というわけだ。 今回の留学は、元アスリートに国際感覚とより科学的なスポーツ知識を身につけ、その後の人生に役立ててもらおうというもの。これまでは卓球の鄧亜ビンなどごく一部の“超一流”アスリートにだけ許されていた「ご褒美」だが、ちょっとだけハードルが下がったことになる。 一方、北京五輪で中国体操の一時代を築いた楊威、李小鵬、黄旭の3人の「その後の人生」も情報が入ってきた。いずれも引退後は国家代表がコーチとして残ってほしいと慰留をしたということだが、3人とも、それを固辞。 黄旭は故郷の江蘇省に帰って省体操センターの副主任として「官」の道へ。楊威は「子供と一緒に過ごす時間を」と家庭優先の生活に戻り、「改めて自分の行く先を考えたい」としている。また李小鵬は1年間、米国に渡って英語を学ぶそうだ。 以前は、アスリートが引退後は即、「コーチ就任」もしくはスポーツ官僚への道を歩んでいくことが多かった。だが、その「枠」は決して多くはなく、人間関係や「時の運」がなければ、まともな進路を得られないこともままあった。 だが、激烈な競争社会の中国で、学歴を持たない元アスリートに対する扱いは厳しく、ごく一部のスター選手以外は、厳しい「その後」を強いられた。 だから、少しずつではあるが、楊威のように「充電期間」を置いたり、留学でさらに自分を磨く機会を与えられるようになってきたのは、中国スポーツ界の大きな変化でもある。 ただもちろん現状で、その恩恵に預かれるのは、運と実力を兼ね備えた、ごく一部の一流アスリートだけ。アスリート全般の“その後”に関してはまだまだ解決しなければならない問題も多い。 競技者としてはトップレベルまでいけなかったが、指導者として、また管理者として、優れた才能を秘めた元アスリートは多い。またスポーツとは無関係でも、その過程で養った力が企業や地域の活力となることは誰もが認めることだ。だが中国におけるアスリートの「使い捨て」の現状では、彼らを拾い上げて、国全体の発展に生かしていくことは非常に難しい。 今回の「金メダルクラス」の“ご褒美”留学にとどまっていては、中国スポーツの改革は進まないだろう。
posted by asa8043 |07:29 |
北京五輪 |
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