2010年02月15日

中国サッカーの「特効薬」となった優勝

  中国代表にとって、今大会は計り知れない「特効薬」となるかもしれない。

  サッカー東アジア選手権は昨日閉幕。中国が2勝1分で優勝を果たした。

 W杯直前に東アジアでこじんまりと行う大会。日本代表からすれば、欧州やアフリカ諸国などとしっかり練習試合を戦って、シミュレーションをしておきたい時期に実施された今大会だが、W杯という目標のない中国代表にとってみれば、この優勝という結果の意味は大きい。

  「次の次」のW杯への挑戦を担えるであろう元気のいい若手が登場してきた中国代表。日本にとっても中国・韓国にとっても「どうでもいい大会」となりかけていた東アジア選手権を「勝利を欲する大会」に変えたのは、まさに若い中国代表の頑張りだったといえる。

  これまで国家代表に対し、「罵詈雑言」を浴びせるのも飽きて、「あきらめ」や「沈黙」ムードが漂っていた中国サッカーファンだが、この優勝で状況は一変した。たった一個の、しかもアジアでの優勝が・・・とも思えるが、ファン心理とはそのくらい単純なもの。そして、その単純なファン心理こそ、実は一国のサッカー文化を支える重要なものなのだ。その意味で、今回の東アジア選手権は、「瀕死状態」だった中国サッカーに特効薬となった大会である。
 
  実際、大会前の中国国内ははっきりいって、あまり関心が高くなかった。W杯出場もできず、五輪では惨敗。その後も、「八百長疑惑」でサッカー協会トップ、チームの役員・選手が次々と拘束される中、全国放送のCCTV(中国中央テレビ)からは「中継はマイナス要素が大きい(同社幹部の発言として報道済み)」などの理由で中継を見送られた。中国サッカーファンの「支持率」は究極のところまで落ち込んでいた状況といえよう。

  だが、大会ではその空気が一変。日本代表に「堅守」で0-0の試合をし、韓国代表に対しては得意の速攻が見事当たって3-0の大勝。ちょうど旧暦の正月(春節)を14日に迎えた中国にとって、ビッグでサプライズな贈り物となり、一方、ネット上では、これらの試合を中継をしなかったCCTVに対して非難ごうごうの嵐が巻き起こった。エネルギッシュで容赦がなく、「少々、失礼なところ」もある中国サッカーファンの「復活」を感じた。
   
    ただ、歓喜に包まれる彼らも、一夜明ければ、国内サッカーの惨状に改めて目を向けなければならなくなる。八百長事件の「疑惑」はまだ残っており、スーパーリーグを予定通り開催していいのかという議論さえ、広がっているのだ。

  だが、今回の「特効薬」は瀕死の重症患者だった中国サッカーを「治療できる状態」まで回復させるものだった。

  もし仮に、この状態で満足して放置してしまうようなことが起きれば、まさに「元の黙阿弥」だ。

  中国サッカーは多くの人たちが気づいている通り、決して「アジア一流」ではない。それは今回の試合内容を見ていても明らか。高洪波監督も語るように「まだ学ぶべき点が多い」。この「二流」のサッカーを引き上げていくには、何としても国内サッカーの機構改革、クリーンなリーグ運営、そして草の根のサッカー人口増加による裾野の拡大、という「改革」を進めることが大切だ。だからこそ「八百長事件」に対しては、更なる徹底した捜査が必要だし、サッカー協会やチームはこれを進んで受け入れ、協力していくべきだろう。

  「特効薬」が効いている今だからこそ、強い姿勢での疑惑解明と体質改善を望みたい。
 

posted by asa8043 |08:42 | サッカー |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加