2009年04月30日

五輪支持率55%の健全さ

16年東京五輪の支持率は55%・・・

共同通信社が28,29日に実施した全国世論調査で、東京都民の2016年東京五輪に対する支持率が55%だったことが分かった。

この数字について、同記事では「支持率伸び悩む」と見出しがついているし、今後、他メディアも否定的に伝えることは間違いない。

だが私は全く、そうは思わない。むしろ都民のバランス感覚が非常に健全であることがわかったし、今後の招致活動に大きなプラスになる考える。

まず大切なことは、55%とは至極まっとうな数字であり、前回、怪しげな「世論調査」で出てきた「7割の賛成」よりも、よっぽどまともな数字だということだ。

そして都と日本政府が切に感じなくてはならないのは、今もって半数近くの人が、五輪招致に決して賛成していないという事実である。

五輪開催するということは、国体と訳が違う。政府や自治体にとってもそうだが、そこに住む住民にとんでもなく大きな負担が伴う。それは私自身も、北京五輪に向けて準備を続ける北京に身を置いて実感したことだ。北京と東京は事情が違う・・・などというなかれ。おそらく今とそれほど変わらない国際情勢、同じアジア圏内で行われる五輪にともなう困難はそれほど変わらないはずだ。

テロに対する厳重な警備、物価の上昇、交通機関の制限など、どれも地元の市民にとっては不便きわまりない。「世界の一流のアスリートを間近に」などというが、現実問題として、都民全員がチケットを入手して、会場に入れるわけではない。好きな競技を見られる確率は一般市民にとって限りなく低いといっていいだろう。

だが、それでも五輪を自分たちの町で開くということは魅力的なことだ。ある一時期、世界のあらゆる賑やかですばらしいものが、一気に自分たちの周りに集まってきたような、そんな高揚感を感じることができる。多くの国籍の人たちと出会う機会もあるし、彼らに東京という都市をPRする最高の機会となる。これは「五輪」を開催してみないと絶対に得られないものだ。

だから、オリンピックは想像しているほど良いものではないし、それほど悪いものではない。また、価値観が異なる一人ひとりが想像し、期待するものは違って当然だ。

もとより、東京は日本中からさまざまな境遇を持ち、経済状況も異なる人たちが集まる都市だ。

これほど大きなイベントの開催に賛否両論があるのは当然のこと。以前の調査では、マドリードが89%、リオデジャネイロは82%だったそうだ。東京も「それくらいなければ・・・」などとメディアが騒ぎ立てるが、冗談じゃない。そんな「全体主義」志向は真っ平だ。

声をそろえて、「支持率の低さ」を強調する日本のメディアは非常に滑稽だ。

北京はどうだったのだろう。招致成功前後から「反対」の声は、とてつもなく大きな何かにかき消されていた。海外からみれば、あたかも人民全てが、もろ手を挙げて五輪を迎えているように見えていたかもしれない。

だが、私が実感するに、恐らく相当数の庶民は五輪開催に疑問を抱いていたし、期待もしていなかったと思う。

では、日本も彼らと同じように、あたかも少数者の反対がいないかのように、“大多数”の賛成で、「シャンシャン」と五輪を招致しようというのだろうか。

私は決して五輪招致に反対ではない。むしろ、東京が元気になるチャンスとして、大きな期待を寄せているし、楽しみでもある。

だが、五輪招致を目指す東京都、政府、そしてJOCは、今回の調査で表面に出た「45%」の存在をかき消そうとしたりしてはならない。

その存在を背負いながら、時として、その声に怯え、時としてその声を振り払いながら、粛々と招致活動を進めるべきだ。そして、その意見を率直に反映した世論をIOCに示せばよい。

それらを踏まえたうえで、五輪を開催する地としてどこがふさわしいかを考えてもらえばよい。

IOC評価委員は開催都市の「支持率の高さ」を指標にする、などというらしい。

だが、果たして、この五輪なるものは“誰もが賛成すべき”そんな「完全無欠」にすばらしいものなのだろうか。そう彼らが信じ込んでいるとすれば、それはあまりにもナンセンスだ。

仮に「偽り」でもいいから、70%以上の“高支持率”が必要なのだというのならば・・・そんな「全体主義」的な都市でなければ五輪を開催できないというのならば、五輪など願い下げだと私は思う。

支持率55%でも十分・・・それでもスポーツの最高峰、五輪を東京で開催する価値はあるはず・・・

都と政府、JOCは、その意識のもとで、都民におもねることなく、しかし、懸命に五輪開催の魅力を訴え、理解を求めるべきだ。そしてそれでも、半分に近い都民が五輪開催に疑問をもっていることの“重み”をしっかりと感じながら、招致活動を続けていくべきだと思う。




posted by asa8043 |22:29 | スポーツコラム |
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この記事に対するコメント一覧
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五輪支持率55%の健全さ

コメント投稿者ID :

最近、ACLの天津vs川崎戦で小競り合いがありました
その件は中国はどう受け止めてるのでしょうか
ざっとネットで調べて見たのですが、川崎の選手が握手を拒否して
それに反発してた程度しかわからないので、もしよろしければ教えてください

posted by 記事内容とかけ離れて申し訳ないのですが質問 | 2009-05-08 07:43

五輪支持率55%の健全さ

コメント投稿者ID :

>冗談じゃない。そんな「全体主義」志向は真っ平だ。

よほど中国の「全体主義」にフラストレーションが溜まっているようですね。もっと素直にそのことをお書きになったらどうですか?
「五輪支持率55%の健全さ」を裏返せば「中国五輪の異常さ」ですよね。そのことを感じていらっしゃるのだろうけれども、そのことを正面からお書きにはならない。批判すると取材しにくくなるのですかね?

別に中国に批判的になれと言いたいのではなく、筆者さんが中国で感じ取ったことをもっと公正に表現する書き方があるだろう、ということです。

中国やブラジルの国威発揚、マドリッドのバルセロナに対する対抗意識みたいなものは東京にはありませんから、支持率がそれほど上がらなくて当たり前です。

posted by laine | 2009-05-20 12:58